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第一章 大陸編
第108話 転生者、王城に突入する
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魔王とデザストレが西方王国に到達する頃、その西方王国の城でも動きがあった。
「国王陛下、東方より何かがものすごい速度で近付いてきております」
「なんだと?! 兵士たちに伝えろ、万が一に備えて迎撃準備をしろとな」
「はっ!」
国王の命令を受け、城中の兵士たちが一気に城壁へと集まっていく。そして、迫りくる敵に対してしっかりと武器を構える。
構えて見上げる東の空、兵士たちの視界になにやら黒い点が入ってくる。
そうかと思うと、あっという間にその黒い点は大きくなっていった。
「ど、ドラゴン?!」
迫りくる存在をしっかりと確認した兵士たちは、その正体を知って慌てふためき始めた。
―――
「俺の記憶通りなら、もう西方王国の王都に到達する。いいか、一般人には傷をつけるんじゃないぞ」
「分かっておるぞ。面倒だが、この我の能力を甘く見るではない」
俺たちの眼前には、堅固な壁に包まれた要塞のような街の姿がはっきりと見え始めている。あれこそが西方王国の王都だ。
さすがは国の中心とだけあって、構えだけはしっかりとしているようだ。
「魔王、壁の上に何かいるぞ」
俺が西方王国の首都に感心していると、デザストレが話し掛けてくる。
その言葉に反応して壁の上を見ると、兵士たちが迎撃態勢を取っている姿が見えた。
「おっ、意外と早く反応してくれたようだな。あれなら街の中への被害は減らせそうだ」
「ならば、我はあの壁の手前の辺りにブレスをぶつけてやればいいのだな?」
「ああ、そうだ。くれぐれも壁に穴は開けるなよ?」
「くくく、心得ておるわ」
俺とのやり取りを終えて、デザストレは急に止まると大きく息を吸い込む。そして、眼下に見える街道を避けるようにしてブレスを二発放つ。
大きな爆発音とともに、空高く粉塵が舞い上がる。まったく、さすがは厄災と名乗るだけあって威力がとんでもないな。
だが、このデザストレの行動が起点となって、王都を囲む壁の上から反撃が飛んでくる。
「ふはははっ、この程度か人間どもは」
だが、境界線付近で仕掛けてきた攻撃よりもしょぼく、デザストレもこの反応だ。
正直言って、俺たちにけんかを売ってきてこの程度なのかと呆れてしまう。
「デザストレ、俺を城まで運んでくれ」
「おう、直接乗り込むのか。我も同行するぞ」
「別に構わないが、俺の方針はちゃんと守ってくれよ?」
俺のやる事をあっさりと理解はしてくれたようだが、完全に信用ができないのがデザストレだ。俺が確認するように言えば、ただ笑って反応するばかりで少しばかり不安がよぎったぜ。
「そうと決まればしっかり掴まっていろ。雑魚には目もくれぬからな!」
鼻息荒く上体を起こしたデザストレは、勢いをつけて城へと突撃していく。
塀の上から兵士たちが攻撃を仕掛けてくるものの、その速度にまったく追いつけていない。
「うおおおおっ?!」
あまりのスピードに、俺は必死にデザストレに掴まっていた。
勢いよく突進していくので、城にぶつかるかと思った瞬間だった。
ぼふんという音がして、俺はふわりと空中へと放り出される。
次の瞬間、何かに支えられたような感触を受ける。思わず目を閉じてしまったので、何が起きたのか分からなかった。
「さあ、魔王。問題の場所に到着したぞ。いい加減に目を開けろ」
デザストレの声が聞こえてきて、俺はゆっくりと目を開ける。
「あっびゃあ?!」
変な声を出して、俺はじたばたと暴れる。
「おい、落ち着け。敵の目の前でなんて行動を取ってるんだ」
「ふえ?」
暴れるのをやめて落ち着いて周りを見ると、俺たちの周りでは兵士たちが剣や槍を構えている。敵陣のど真ん中なのだからこれは仕方のない状況だろう。
しかし、デザストレの思わぬ行動に俺は混乱していて、状況を把握するには時間がかかってしまった。
ようやく状況を把握した俺は、わざとらしく聞こえるように咳払いをする。そして、兵士たちに向けて言い放つ。
「西方王国の兵士どもよ、よく聞け。俺は今代の魔王だ。我が領に攻め入ろうとしたその度胸に敬意を表し、こうしてわざわざ直々に挨拶に来てやった。感謝するのだな」
うん、決まったな。
ポーズもセリフも完璧だ。
だが、どうしたことだろうか。兵士たちは武器を構えたまま動揺した表情を見せている。
「ううん?」
「はははっ、直前にあんな腑抜けた姿を見たのだ。そりゃああやつらもすぐには信じられぬだろうて」
俺が不思議に思っていると、デザストレが大笑いしながら指摘してくる。
なるほど、お前のせいじゃねえか。
「デザストレ、帰ったらお仕置きな」
「なぜだ!」
俺がぼそっと処遇を漏らせば、デザストレは大声で反論してきやがった。あーうるさい、聞こえない。
「とにかくだ。すぐさま降伏するなら俺たちは危害を加えるつもりはない。だが、は向かうというのなら、どうなるか分かっているだろうな……」
俺は堂々とした態度で胸を張ると、両手の拳に魔力を込めながら言い放つ。
西方王国の玉座の的は目と鼻の先。そこで俺と兵士たちは睨み合いを繰り広げているのだった。
「国王陛下、東方より何かがものすごい速度で近付いてきております」
「なんだと?! 兵士たちに伝えろ、万が一に備えて迎撃準備をしろとな」
「はっ!」
国王の命令を受け、城中の兵士たちが一気に城壁へと集まっていく。そして、迫りくる敵に対してしっかりと武器を構える。
構えて見上げる東の空、兵士たちの視界になにやら黒い点が入ってくる。
そうかと思うと、あっという間にその黒い点は大きくなっていった。
「ど、ドラゴン?!」
迫りくる存在をしっかりと確認した兵士たちは、その正体を知って慌てふためき始めた。
―――
「俺の記憶通りなら、もう西方王国の王都に到達する。いいか、一般人には傷をつけるんじゃないぞ」
「分かっておるぞ。面倒だが、この我の能力を甘く見るではない」
俺たちの眼前には、堅固な壁に包まれた要塞のような街の姿がはっきりと見え始めている。あれこそが西方王国の王都だ。
さすがは国の中心とだけあって、構えだけはしっかりとしているようだ。
「魔王、壁の上に何かいるぞ」
俺が西方王国の首都に感心していると、デザストレが話し掛けてくる。
その言葉に反応して壁の上を見ると、兵士たちが迎撃態勢を取っている姿が見えた。
「おっ、意外と早く反応してくれたようだな。あれなら街の中への被害は減らせそうだ」
「ならば、我はあの壁の手前の辺りにブレスをぶつけてやればいいのだな?」
「ああ、そうだ。くれぐれも壁に穴は開けるなよ?」
「くくく、心得ておるわ」
俺とのやり取りを終えて、デザストレは急に止まると大きく息を吸い込む。そして、眼下に見える街道を避けるようにしてブレスを二発放つ。
大きな爆発音とともに、空高く粉塵が舞い上がる。まったく、さすがは厄災と名乗るだけあって威力がとんでもないな。
だが、このデザストレの行動が起点となって、王都を囲む壁の上から反撃が飛んでくる。
「ふはははっ、この程度か人間どもは」
だが、境界線付近で仕掛けてきた攻撃よりもしょぼく、デザストレもこの反応だ。
正直言って、俺たちにけんかを売ってきてこの程度なのかと呆れてしまう。
「デザストレ、俺を城まで運んでくれ」
「おう、直接乗り込むのか。我も同行するぞ」
「別に構わないが、俺の方針はちゃんと守ってくれよ?」
俺のやる事をあっさりと理解はしてくれたようだが、完全に信用ができないのがデザストレだ。俺が確認するように言えば、ただ笑って反応するばかりで少しばかり不安がよぎったぜ。
「そうと決まればしっかり掴まっていろ。雑魚には目もくれぬからな!」
鼻息荒く上体を起こしたデザストレは、勢いをつけて城へと突撃していく。
塀の上から兵士たちが攻撃を仕掛けてくるものの、その速度にまったく追いつけていない。
「うおおおおっ?!」
あまりのスピードに、俺は必死にデザストレに掴まっていた。
勢いよく突進していくので、城にぶつかるかと思った瞬間だった。
ぼふんという音がして、俺はふわりと空中へと放り出される。
次の瞬間、何かに支えられたような感触を受ける。思わず目を閉じてしまったので、何が起きたのか分からなかった。
「さあ、魔王。問題の場所に到着したぞ。いい加減に目を開けろ」
デザストレの声が聞こえてきて、俺はゆっくりと目を開ける。
「あっびゃあ?!」
変な声を出して、俺はじたばたと暴れる。
「おい、落ち着け。敵の目の前でなんて行動を取ってるんだ」
「ふえ?」
暴れるのをやめて落ち着いて周りを見ると、俺たちの周りでは兵士たちが剣や槍を構えている。敵陣のど真ん中なのだからこれは仕方のない状況だろう。
しかし、デザストレの思わぬ行動に俺は混乱していて、状況を把握するには時間がかかってしまった。
ようやく状況を把握した俺は、わざとらしく聞こえるように咳払いをする。そして、兵士たちに向けて言い放つ。
「西方王国の兵士どもよ、よく聞け。俺は今代の魔王だ。我が領に攻め入ろうとしたその度胸に敬意を表し、こうしてわざわざ直々に挨拶に来てやった。感謝するのだな」
うん、決まったな。
ポーズもセリフも完璧だ。
だが、どうしたことだろうか。兵士たちは武器を構えたまま動揺した表情を見せている。
「ううん?」
「はははっ、直前にあんな腑抜けた姿を見たのだ。そりゃああやつらもすぐには信じられぬだろうて」
俺が不思議に思っていると、デザストレが大笑いしながら指摘してくる。
なるほど、お前のせいじゃねえか。
「デザストレ、帰ったらお仕置きな」
「なぜだ!」
俺がぼそっと処遇を漏らせば、デザストレは大声で反論してきやがった。あーうるさい、聞こえない。
「とにかくだ。すぐさま降伏するなら俺たちは危害を加えるつもりはない。だが、は向かうというのなら、どうなるか分かっているだろうな……」
俺は堂々とした態度で胸を張ると、両手の拳に魔力を込めながら言い放つ。
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