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第一章 大陸編
第141話 転生者、羽毛布団を作る
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クルクーの羽毛をどうするつもりなのかって?
俺は転生時のチートな魔力を今こそと見せる。
キリエとピエラの目の前で、クルクーの羽毛をきれいにする。抜けた羽毛はいろいろと汚れているから、それをきちんと取り除いてきれいにしてやらなきゃいけない。
きれいになったクルクーの羽毛は、それは光を反射して輝きそうなくらいきれいな白色だった。これだけでも装飾品にできそうなくらいだ。
「あら、ずいぶんときれい。クルルにも教えなきゃ」
ルククは驚いた様子でクルクーの羽毛を眺めている。
「まぁ待てよ。ここからが本番だ」
俺はきれいになったクルクーの羽毛を、アラクネ糸で作った布地の袋へと詰め込んでいく。この時、できる限り無理に押し込まずに、ふんわりと詰め込むのがポイントだ。
しばらくすると、袋の中はクルクーの羽でしっかり満たされてしまう。
「これで袋の口を縫い付けてやれば、クルクーの羽毛布団の完成だ。ピエラかキリエ、裁縫道具は持ってないか?」
「それでしたら、私がすぐに用意できます」
「よし、頼む」
俺の頼みに、キリエはすぐさま部屋を出て自室へと戻っていく。
さすがは参謀とはいえメイドもしているキリエだ。裁縫道具も自前のを持っているんだな。
裁縫道具を持ってキリエが戻ってくると、針と糸を取り出してもらう。
そして、魔法を使ってひょひょいと袋の口を縫い付けて閉じてしまった。魔法というよりは念動力といった感じだな、これじゃ。
まぁ、とりあえずはこれで布団が一つ完成したというわけだ。
「キリエとピエラ、どちらでもいいからちょっと試してみてくれ」
俺は執務室のソファーに布団を敷くと、二人に寝転がってもらう様に頼む。
キリエもピエラも不思議そうに顔を見合わせていたものの、とりあえずピエラから布団を試してみることにした。
「なにこれ……、ふわふわで気持ちいいわ……」
寝そべったピエラからすぐさま感想が聞こえてきた。しかもなんだか眠たそうな声でである。
「ああ、セイ。これ、私の分作ってもらっていいかしら。これなら気持ちよく眠れそうだわ」
相当に気に入っているのか、ピエラが布団から離れようとしない。
「ダメだぞ、ピエラ。キリエにも試してもらうんだからな」
「うう、分かったわよう……」
俺に強く言われると、ピエラは渋々布団から起き上がって離れていった。
交代したキリエも同じような反応をしている。
「ふかふかぁ~……。クルルにも教える」
二人の後に試してみたルククもこの通りである。これは人間どころか魔族すらもダメにする布団が完成してしまったようだ。
とはいえ、ぐっすり眠れて疲れが取れるのならば、売り出さない手はないというもの。早速企画を立ち上げることにする。
「で、わたくしも呼ばれましたのね」
クローゼにも執務室に来てもらい、話し合いを始める。
「来てもらって早速だけどさ、これをどう思う?」
俺はクローゼにさっき作ったばかりの布団を差し出す。
「あら、これはクルクーの羽毛かしらね。いいものに目をつけましたわね」
中身を一瞬で見抜くクローゼ。さすが服飾の専門家は違うといったところだ。
「クローゼはクルクーの羽毛について詳しいのか?」
俺の質問に、クローゼは当然といった表情で頷いている。
「専門家ですわよ。なんなら、鳥の獣人たちも含めて、他の鳥の羽毛の話もできましてよ」
またとんでもない自信である。
何とも話が長くなりそうな予感がしたので、俺はひとまず丁寧にお断りしておいた。必要な情報はクルクーだけだ。
「分かりましたわ。では、クルクーのことはわたくしにお任せを。縫製だけならニーナでもできますのでね」
丁寧な挨拶をすると、クローゼは執務室からさっさと姿を消してしまった。クルクーの羽毛を集めるにも、一体どこに伝手があるのだろうか。
クローゼがいなくなった事で、ひとまず俺たちは話を再開する。
「街道の宿場町の町長宅と一番高い価格設定の宿にはこれを導入することにしよう。様子を見て、販売にも着手するんだ」
「私も賛成よ。なんなら今すぐにでも買いたいくらいだわ」
「私もですね。参謀とメイドの掛け持ちは、かなり疲れてしまいます。ぐっすりと眠って翌日を迎えたいですね」
女性陣二人からは好評のようである。
「なら、あとはバフォメットとデザストレにも聞いてみるか。男性の意見も聞いてみたいからな」
「そういえば、まだ西方王国に出向いてましたね、二人とも」
「そろそろ戻られるとは思いますが、まったく、ちゃんと使命を果たしているのでしょうか」
キリエが険しい表情をしている。西方王国に出向いてからかなり日数が経っているので、さぼってるんじゃないかと気が立っているようなのだ。
俺はとりあえず宥めてはおくが、キリエの不機嫌は直らなかったようだ。
結局、羽毛布団の話は男性陣二人が帰ってくるまで保留となった。
とはいえ、二人を待っているだけでは時間の無駄なので、城の使用人や兵士たちにも意見を聞いて回った。総じて好評だったので、いよいよ二人の帰還が待たれる事となった。
そして、二日後。ようやく問題の二人が魔王城へと戻って来たのだった。
はたして、彼らの評価はいかに?
俺は転生時のチートな魔力を今こそと見せる。
キリエとピエラの目の前で、クルクーの羽毛をきれいにする。抜けた羽毛はいろいろと汚れているから、それをきちんと取り除いてきれいにしてやらなきゃいけない。
きれいになったクルクーの羽毛は、それは光を反射して輝きそうなくらいきれいな白色だった。これだけでも装飾品にできそうなくらいだ。
「あら、ずいぶんときれい。クルルにも教えなきゃ」
ルククは驚いた様子でクルクーの羽毛を眺めている。
「まぁ待てよ。ここからが本番だ」
俺はきれいになったクルクーの羽毛を、アラクネ糸で作った布地の袋へと詰め込んでいく。この時、できる限り無理に押し込まずに、ふんわりと詰め込むのがポイントだ。
しばらくすると、袋の中はクルクーの羽でしっかり満たされてしまう。
「これで袋の口を縫い付けてやれば、クルクーの羽毛布団の完成だ。ピエラかキリエ、裁縫道具は持ってないか?」
「それでしたら、私がすぐに用意できます」
「よし、頼む」
俺の頼みに、キリエはすぐさま部屋を出て自室へと戻っていく。
さすがは参謀とはいえメイドもしているキリエだ。裁縫道具も自前のを持っているんだな。
裁縫道具を持ってキリエが戻ってくると、針と糸を取り出してもらう。
そして、魔法を使ってひょひょいと袋の口を縫い付けて閉じてしまった。魔法というよりは念動力といった感じだな、これじゃ。
まぁ、とりあえずはこれで布団が一つ完成したというわけだ。
「キリエとピエラ、どちらでもいいからちょっと試してみてくれ」
俺は執務室のソファーに布団を敷くと、二人に寝転がってもらう様に頼む。
キリエもピエラも不思議そうに顔を見合わせていたものの、とりあえずピエラから布団を試してみることにした。
「なにこれ……、ふわふわで気持ちいいわ……」
寝そべったピエラからすぐさま感想が聞こえてきた。しかもなんだか眠たそうな声でである。
「ああ、セイ。これ、私の分作ってもらっていいかしら。これなら気持ちよく眠れそうだわ」
相当に気に入っているのか、ピエラが布団から離れようとしない。
「ダメだぞ、ピエラ。キリエにも試してもらうんだからな」
「うう、分かったわよう……」
俺に強く言われると、ピエラは渋々布団から起き上がって離れていった。
交代したキリエも同じような反応をしている。
「ふかふかぁ~……。クルルにも教える」
二人の後に試してみたルククもこの通りである。これは人間どころか魔族すらもダメにする布団が完成してしまったようだ。
とはいえ、ぐっすり眠れて疲れが取れるのならば、売り出さない手はないというもの。早速企画を立ち上げることにする。
「で、わたくしも呼ばれましたのね」
クローゼにも執務室に来てもらい、話し合いを始める。
「来てもらって早速だけどさ、これをどう思う?」
俺はクローゼにさっき作ったばかりの布団を差し出す。
「あら、これはクルクーの羽毛かしらね。いいものに目をつけましたわね」
中身を一瞬で見抜くクローゼ。さすが服飾の専門家は違うといったところだ。
「クローゼはクルクーの羽毛について詳しいのか?」
俺の質問に、クローゼは当然といった表情で頷いている。
「専門家ですわよ。なんなら、鳥の獣人たちも含めて、他の鳥の羽毛の話もできましてよ」
またとんでもない自信である。
何とも話が長くなりそうな予感がしたので、俺はひとまず丁寧にお断りしておいた。必要な情報はクルクーだけだ。
「分かりましたわ。では、クルクーのことはわたくしにお任せを。縫製だけならニーナでもできますのでね」
丁寧な挨拶をすると、クローゼは執務室からさっさと姿を消してしまった。クルクーの羽毛を集めるにも、一体どこに伝手があるのだろうか。
クローゼがいなくなった事で、ひとまず俺たちは話を再開する。
「街道の宿場町の町長宅と一番高い価格設定の宿にはこれを導入することにしよう。様子を見て、販売にも着手するんだ」
「私も賛成よ。なんなら今すぐにでも買いたいくらいだわ」
「私もですね。参謀とメイドの掛け持ちは、かなり疲れてしまいます。ぐっすりと眠って翌日を迎えたいですね」
女性陣二人からは好評のようである。
「なら、あとはバフォメットとデザストレにも聞いてみるか。男性の意見も聞いてみたいからな」
「そういえば、まだ西方王国に出向いてましたね、二人とも」
「そろそろ戻られるとは思いますが、まったく、ちゃんと使命を果たしているのでしょうか」
キリエが険しい表情をしている。西方王国に出向いてからかなり日数が経っているので、さぼってるんじゃないかと気が立っているようなのだ。
俺はとりあえず宥めてはおくが、キリエの不機嫌は直らなかったようだ。
結局、羽毛布団の話は男性陣二人が帰ってくるまで保留となった。
とはいえ、二人を待っているだけでは時間の無駄なので、城の使用人や兵士たちにも意見を聞いて回った。総じて好評だったので、いよいよ二人の帰還が待たれる事となった。
そして、二日後。ようやく問題の二人が魔王城へと戻って来たのだった。
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