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第一章 大陸編
第190話 転生者、ポテイを持ち帰る
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ジャガイモを見た俺は歓喜した。これで再現できるものにさらに幅が出てきたからだ。
カツを作ることができたのだから、揚げ物は問題ない。主食から副菜、お菓子に至るまで幅広く使える、それがジャガイモなのだ。
ただ、こちらの世界でジャガイモと呼ぶのかはどうか知らない。持って帰って料理長やウネにでも確認してみるか。
俺は許す限りをデザストレのうろこの亜空間に放り込んでいく。本当にこういう時は便利だよな、このうろこ。
「これくらいで十分だろうかな」
かなりの量を放り込んだのに、まだ余裕がありそうなデザストレのうろこ。
さすがは宝物を集めまくったと言っていた厄災の体の一部だな。底が知れないってもんだ。
満足した俺は、徒歩でキリエたちが待機する麓へと移動していったのだった。
「おう、戻ったぜ」
「おかえりなさいませ、魔王様。いかがでしたでしょうか」
俺が挨拶をすると、キリエが気になるのか状況を確認してきた。
「ああ、この岩山だがな、頂上がまったく見えない。おそらくは越えられないだろうな」
「そうですか。私も変な魔力を感じていますので、おそらくは幻術系の魔法と思われます」
「そうか。となると、ますます俺たちのいるこの陸地は、外界から閉ざされた箱庭空間である疑いが強まったな」
「箱庭……でございますか?」
「ああ」
箱庭の言葉に反応していたので、キリエもこの辺りの言葉は理解できるようだ。
「確かに、魔王領を中心として、周囲を四つの国に囲まれただけの陸地ですもののね。他の国など一切聞いたことがありません」
俺の話を聞かされたキリエも、疑い始めていた。
「まぁ、この話は置いておこう。下手に気付くと何かしらの介入があるっていうのがこの手にはつきものだ。キリエもひとまず忘れてくれ」
「しょ、承知致しました」
忘れろと言われて、キリエは驚いた顔をしている。しかし、すぐに普段通りの表情になるあたり、さすがは魔王軍参謀といったところだな。
もうしばらく休むと、俺たちは次の場所へと移動していく。あまりここに長居をしてはいけない気がしたからだ。
みんなも戸惑った様子を見せていたが、俺が強く言えば受け入れてくれた。獣人の勘っていうのは案外バカにできたもんじゃないからな。
その後、南方王国をぐるっと回ったものの、これといってめぼしいものを見つけることはできなかった。
とはいえども、南方王国のことをまったく知らなかったことを思い知らされたのが一番ショックだったよ。思った以上に国土が広かった。
米のことは聞いたけれど、結局南方王国の中で情報を得ることはできなかった。あるのに場所が分からないってなんなんだよなぁ……。まるで意図的に隠されているようにすら思えてくる。
ひとまずは、手に入れたジャガイモを持って魔王城に戻ることにすることにした。
国境を通る際には、ヨネスにちゃんと挨拶をしておいた。一方的にライバル視をされているとはいえ、今回は魔族の一部を預かってもらったからな。
「おう、そのくらいならお安い御用だ。いつでも来てくれよな」
「まあ、用事があればな」
簡単に挨拶をすると、俺たちは南方王国を去り、魔王城へと戻っていった。
魔王城に戻ると、早速料理長にまずは聞いてみることにする。
だが、料理長はジャガイモを初めて見たという。ただ、かなり興味を示していたので、あとで料理を作るからとだけ言って、俺は次の場所へと向かった。
北の庭園にいるウネだ。ドライアドとアルラウネは植物にとても詳しい。なので、ウネなら知っていると見たので聞きに行ったのだ。
「ポテイなのー」
すると、あっさりと答えが返ってきた。やっぱり知っていたか。
というか、ポテイっていうのか。前世でも英語でポテイトーだから、ずいぶんと似た名前だな。異世界転生あるあるなのかね、これって。
とはいえども、この世界でも普通に存在していることが確認できたのはよしとしよう。
「魔王様、これはどこで見つけたのー?」
「ああ、南方王国の東の端の山岳地帯だ。デザストレには見えなかったみたいなんだが、手元にあるこれはみんな見えてるみたいだな」
「うん、ちゃんと見えてるよー。ちなみにこれ、ちゃんと食べられる。芽と緑色の部分に気を付けるのー」
ウネの説明を聞いて、俺はついきょとんとしてしまう。なんだよ、注意点までジャガイモと一緒なんだな。
「解説ありがとうな、ウネ。ところでさ、これって栽培できるか?」
「お安い御用なのー」
ウネからは即答だった。
よかったぜ。これでジャガイモが収穫できるようになるから、ジャガイモ料理を作ることができるぞ。
スライスしたり棒状にしたりしたフライドポテトにコロッケ、ポテトサラダも作れるな。これはずいぶんと楽しみになってきたものだ。
あと、ジャガイモは保存もきくのでいろいろ有用な食材なのだ。ウネの栽培が成功すれば、もっと広めてもいいかもしれないな。
うん、俺の野望がどんどんと増えていくってもんだよ。
ジャガイモはまあいいんだが、俺の気がかりはやっぱり米だな。馬の餌でありながら一切の情報がない。
ともかく、少し休んだら今度は西方王国だ。俺の求める情報が見つかるといいな。
淡い期待とともに、俺は目は次の目標へと向いていたのだった。
カツを作ることができたのだから、揚げ物は問題ない。主食から副菜、お菓子に至るまで幅広く使える、それがジャガイモなのだ。
ただ、こちらの世界でジャガイモと呼ぶのかはどうか知らない。持って帰って料理長やウネにでも確認してみるか。
俺は許す限りをデザストレのうろこの亜空間に放り込んでいく。本当にこういう時は便利だよな、このうろこ。
「これくらいで十分だろうかな」
かなりの量を放り込んだのに、まだ余裕がありそうなデザストレのうろこ。
さすがは宝物を集めまくったと言っていた厄災の体の一部だな。底が知れないってもんだ。
満足した俺は、徒歩でキリエたちが待機する麓へと移動していったのだった。
「おう、戻ったぜ」
「おかえりなさいませ、魔王様。いかがでしたでしょうか」
俺が挨拶をすると、キリエが気になるのか状況を確認してきた。
「ああ、この岩山だがな、頂上がまったく見えない。おそらくは越えられないだろうな」
「そうですか。私も変な魔力を感じていますので、おそらくは幻術系の魔法と思われます」
「そうか。となると、ますます俺たちのいるこの陸地は、外界から閉ざされた箱庭空間である疑いが強まったな」
「箱庭……でございますか?」
「ああ」
箱庭の言葉に反応していたので、キリエもこの辺りの言葉は理解できるようだ。
「確かに、魔王領を中心として、周囲を四つの国に囲まれただけの陸地ですもののね。他の国など一切聞いたことがありません」
俺の話を聞かされたキリエも、疑い始めていた。
「まぁ、この話は置いておこう。下手に気付くと何かしらの介入があるっていうのがこの手にはつきものだ。キリエもひとまず忘れてくれ」
「しょ、承知致しました」
忘れろと言われて、キリエは驚いた顔をしている。しかし、すぐに普段通りの表情になるあたり、さすがは魔王軍参謀といったところだな。
もうしばらく休むと、俺たちは次の場所へと移動していく。あまりここに長居をしてはいけない気がしたからだ。
みんなも戸惑った様子を見せていたが、俺が強く言えば受け入れてくれた。獣人の勘っていうのは案外バカにできたもんじゃないからな。
その後、南方王国をぐるっと回ったものの、これといってめぼしいものを見つけることはできなかった。
とはいえども、南方王国のことをまったく知らなかったことを思い知らされたのが一番ショックだったよ。思った以上に国土が広かった。
米のことは聞いたけれど、結局南方王国の中で情報を得ることはできなかった。あるのに場所が分からないってなんなんだよなぁ……。まるで意図的に隠されているようにすら思えてくる。
ひとまずは、手に入れたジャガイモを持って魔王城に戻ることにすることにした。
国境を通る際には、ヨネスにちゃんと挨拶をしておいた。一方的にライバル視をされているとはいえ、今回は魔族の一部を預かってもらったからな。
「おう、そのくらいならお安い御用だ。いつでも来てくれよな」
「まあ、用事があればな」
簡単に挨拶をすると、俺たちは南方王国を去り、魔王城へと戻っていった。
魔王城に戻ると、早速料理長にまずは聞いてみることにする。
だが、料理長はジャガイモを初めて見たという。ただ、かなり興味を示していたので、あとで料理を作るからとだけ言って、俺は次の場所へと向かった。
北の庭園にいるウネだ。ドライアドとアルラウネは植物にとても詳しい。なので、ウネなら知っていると見たので聞きに行ったのだ。
「ポテイなのー」
すると、あっさりと答えが返ってきた。やっぱり知っていたか。
というか、ポテイっていうのか。前世でも英語でポテイトーだから、ずいぶんと似た名前だな。異世界転生あるあるなのかね、これって。
とはいえども、この世界でも普通に存在していることが確認できたのはよしとしよう。
「魔王様、これはどこで見つけたのー?」
「ああ、南方王国の東の端の山岳地帯だ。デザストレには見えなかったみたいなんだが、手元にあるこれはみんな見えてるみたいだな」
「うん、ちゃんと見えてるよー。ちなみにこれ、ちゃんと食べられる。芽と緑色の部分に気を付けるのー」
ウネの説明を聞いて、俺はついきょとんとしてしまう。なんだよ、注意点までジャガイモと一緒なんだな。
「解説ありがとうな、ウネ。ところでさ、これって栽培できるか?」
「お安い御用なのー」
ウネからは即答だった。
よかったぜ。これでジャガイモが収穫できるようになるから、ジャガイモ料理を作ることができるぞ。
スライスしたり棒状にしたりしたフライドポテトにコロッケ、ポテトサラダも作れるな。これはずいぶんと楽しみになってきたものだ。
あと、ジャガイモは保存もきくのでいろいろ有用な食材なのだ。ウネの栽培が成功すれば、もっと広めてもいいかもしれないな。
うん、俺の野望がどんどんと増えていくってもんだよ。
ジャガイモはまあいいんだが、俺の気がかりはやっぱり米だな。馬の餌でありながら一切の情報がない。
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