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第一章 大陸編
第225話 転生者、帝国の内政に干渉しようとする
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出発してから十日後、ようやくエイミーが戻ってきた。付き添っていたキリエとコモヤは元気そうなのに、なんでエイミー一人がこんなに疲れているのだろうか。
「ただいま戻りました。これで国境付近の怪しげな魔法砲台はすべて無効化できました」
「そうか、ご苦労だったな」
「自分で仕掛けておきながら、なぜ解除できないのか。理解に苦しみますね」
「あ、ああ、そういうことか……」
コモヤの愚痴を聞いて、エイミーが疲れている理由が分かった。
つまり、解除を試みようとしていろいろ魔法を使ってみたものの、ことごとく空振りしてしまったということだろう。無駄な魔力を使ったから、これだけ疲れてるってわけだ。
「まったく、魔法の使い方がなっていませんね。よくこれであんな魔法を使ってくれたものです。制御不能になるのもよく分かりました」
「ぐぬぬぬぬ……。魔族に後れを取るなんて……」
エイミーはすごく悔しがっているようだった。
こういうところは、デザストレと似たところがあるな。さすがは根本が同じなだけあるというものだ。
「本当に、厄災と似たところがあるな。そういうどことなく自信満々で抜けたところがな」
「あ、あいつと一緒にするんじゃないにゃ!」
俺がからかうと、エイミーは頬を膨らませてへそを曲げていた。まったく、無駄に可愛い仕草だな。
「魔王様、この方、デザストレとは関係のある方なのですか?」
じっとエイミーを見つめながら、キリエは訝しむような表情をしている。
「な、なんなのにゃ。そんなに見つめられると恥ずかしいのにゃ」
エイミーはキリエにじっと見られて恥ずかしそうにしている。
「やはり違いますね。第一、この方可愛げだけはございますから」
「可愛いだけじゃダメなのかにゃ?!」
キリエにスパッと言われて、エイミーはびっくりして耳が出ている。
「おっ、猫耳だ」
「にゃにゃっ!」
ひょこりと飛び出した猫耳に、俺はつい反応してしまう。
自分には犬耳があるし、魔王領内には獣人の集落もある。だが、こうやって見てしまうと反応したくてたまらないのだ。
「さーわーるーにゃーっ!」
耳をもふもふされているエイミーが騒いでいる。
「自分の耳でももふもふすればいいのにゃ。やめっ、くすぐったいっ!」
しばらくの間、エイミーの騒ぎ声が響いていた。
「はあはあはあ……」
「ああ、悪い。猫耳は久しぶりだったから、つい……な」
「し、心臓に悪いにゃあ……」
やっとお話から解放されたエイミーは、その場に手をついて倒れ込んでいた。
「エイミー、戻ってきていたか」
「は、はい。ただいま戻りましたにゃ」
皇帝の声が聞こえてくると、エイミーは飛び上がって敬礼をしている。
「だったら、すぐに報告をしに来い。余は忙しいのだ」
「はっ、大変申し訳ございませんですにゃ。では、魔法停止のついでに行ってきた視察の結果を……」
エイミーは皇帝の横まで走っていき、いろいろと報告を行っているようだった。ちゃんと耳を隠した上で。
「ふむ、ポンコツの割には、皇帝の補佐としては優秀なんだな」
「そのようでございますね。確かに、移動中はあちこちを気にしたように見ていましたからね」
「そういうところでは、デザストレとは違うな。あいつはひたすらに頭に血が上りやすいからな」
「左様でございますね」
デザストレの事を思い出して、俺たちは思い切り笑っていた。
俺たちがこう言っている間、魔王城内でデザストレが大きなくしゃみをしているなど、俺たちは知る由もなかった。
「さて、俺たちも皇帝のところに行こうか。客人であるとはいえ、勝手にうろつくわけにもいかないからな」
「承知致しました」
外をうろついていても他の帝国の人間からじろじろと見られるだけなので、俺たちは皇帝の後を追って移動したのだった。
エイミーたちは戻ってきたが、今日も俺は皇帝の仕事を手伝う。ただ、ケンソウはようやく事務仕事から解放されていた。
その際に、「やっと机から離れられる」と喜んでいたのは印象的だった。根っからの武人なんだろうな。
皇帝がエイミーから報告を受けている横で、俺もキリエとコモヤから帝国内の報告を受けている。
「そうか。辺境地帯は思ったより荒れてるのか。国境から見た時もそうだったが、あまり手が入っている印象はなかったもんな」
「はい。はっきり申しまして魔王領よりも荒れているのは意外でした」
「うちがここまでやってくるのに一苦労したくらいですからね。エイミーはその状況でもまったく足取りは変わりませんでしたけれど」
「ふむふむ」
俺は二人の報告を聞きながら、帝国内のことをあれこれと考えた。
聞いてみたところを総括すると、相当に帝国内の土地は荒れた場所が多いようだ。
おそらくは、先代の皇帝がその分野に関心が低かったこともあるのだろうが、その皇帝が亡くなってからというもの、後継者争いが起きた上に幼い皇帝が継いだことが重なって、身の回りを固める方が優先された結果だろう。
「ふ~む。これなら俺たちが環境整備に手を出してやれば、魔族に対する心象も好転するかもしれないな」
「そうでしょうかね。あまり想像できませんが」
キリエは俺の意見には否定的のようだ。
でも、やってみなければ分からない。
そんなわけで、俺は帝国の立て直し計画を練ることにしたのだった。
「ただいま戻りました。これで国境付近の怪しげな魔法砲台はすべて無効化できました」
「そうか、ご苦労だったな」
「自分で仕掛けておきながら、なぜ解除できないのか。理解に苦しみますね」
「あ、ああ、そういうことか……」
コモヤの愚痴を聞いて、エイミーが疲れている理由が分かった。
つまり、解除を試みようとしていろいろ魔法を使ってみたものの、ことごとく空振りしてしまったということだろう。無駄な魔力を使ったから、これだけ疲れてるってわけだ。
「まったく、魔法の使い方がなっていませんね。よくこれであんな魔法を使ってくれたものです。制御不能になるのもよく分かりました」
「ぐぬぬぬぬ……。魔族に後れを取るなんて……」
エイミーはすごく悔しがっているようだった。
こういうところは、デザストレと似たところがあるな。さすがは根本が同じなだけあるというものだ。
「本当に、厄災と似たところがあるな。そういうどことなく自信満々で抜けたところがな」
「あ、あいつと一緒にするんじゃないにゃ!」
俺がからかうと、エイミーは頬を膨らませてへそを曲げていた。まったく、無駄に可愛い仕草だな。
「魔王様、この方、デザストレとは関係のある方なのですか?」
じっとエイミーを見つめながら、キリエは訝しむような表情をしている。
「な、なんなのにゃ。そんなに見つめられると恥ずかしいのにゃ」
エイミーはキリエにじっと見られて恥ずかしそうにしている。
「やはり違いますね。第一、この方可愛げだけはございますから」
「可愛いだけじゃダメなのかにゃ?!」
キリエにスパッと言われて、エイミーはびっくりして耳が出ている。
「おっ、猫耳だ」
「にゃにゃっ!」
ひょこりと飛び出した猫耳に、俺はつい反応してしまう。
自分には犬耳があるし、魔王領内には獣人の集落もある。だが、こうやって見てしまうと反応したくてたまらないのだ。
「さーわーるーにゃーっ!」
耳をもふもふされているエイミーが騒いでいる。
「自分の耳でももふもふすればいいのにゃ。やめっ、くすぐったいっ!」
しばらくの間、エイミーの騒ぎ声が響いていた。
「はあはあはあ……」
「ああ、悪い。猫耳は久しぶりだったから、つい……な」
「し、心臓に悪いにゃあ……」
やっとお話から解放されたエイミーは、その場に手をついて倒れ込んでいた。
「エイミー、戻ってきていたか」
「は、はい。ただいま戻りましたにゃ」
皇帝の声が聞こえてくると、エイミーは飛び上がって敬礼をしている。
「だったら、すぐに報告をしに来い。余は忙しいのだ」
「はっ、大変申し訳ございませんですにゃ。では、魔法停止のついでに行ってきた視察の結果を……」
エイミーは皇帝の横まで走っていき、いろいろと報告を行っているようだった。ちゃんと耳を隠した上で。
「ふむ、ポンコツの割には、皇帝の補佐としては優秀なんだな」
「そのようでございますね。確かに、移動中はあちこちを気にしたように見ていましたからね」
「そういうところでは、デザストレとは違うな。あいつはひたすらに頭に血が上りやすいからな」
「左様でございますね」
デザストレの事を思い出して、俺たちは思い切り笑っていた。
俺たちがこう言っている間、魔王城内でデザストレが大きなくしゃみをしているなど、俺たちは知る由もなかった。
「さて、俺たちも皇帝のところに行こうか。客人であるとはいえ、勝手にうろつくわけにもいかないからな」
「承知致しました」
外をうろついていても他の帝国の人間からじろじろと見られるだけなので、俺たちは皇帝の後を追って移動したのだった。
エイミーたちは戻ってきたが、今日も俺は皇帝の仕事を手伝う。ただ、ケンソウはようやく事務仕事から解放されていた。
その際に、「やっと机から離れられる」と喜んでいたのは印象的だった。根っからの武人なんだろうな。
皇帝がエイミーから報告を受けている横で、俺もキリエとコモヤから帝国内の報告を受けている。
「そうか。辺境地帯は思ったより荒れてるのか。国境から見た時もそうだったが、あまり手が入っている印象はなかったもんな」
「はい。はっきり申しまして魔王領よりも荒れているのは意外でした」
「うちがここまでやってくるのに一苦労したくらいですからね。エイミーはその状況でもまったく足取りは変わりませんでしたけれど」
「ふむふむ」
俺は二人の報告を聞きながら、帝国内のことをあれこれと考えた。
聞いてみたところを総括すると、相当に帝国内の土地は荒れた場所が多いようだ。
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「ふ~む。これなら俺たちが環境整備に手を出してやれば、魔族に対する心象も好転するかもしれないな」
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