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第一章 大陸編
第258話 転生者、プライドを砕かれる
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「魔王様、今までどこへ行かれていたのですか!」
「悪い。あの魔物たちの故郷が分かったから、帰しに行ってたんだよ」
案の定、俺はキリエから雷をもらっていた。
だいたいこれだけ時間がかかったのはデザストレが拒否したからだ。
ミーアドッグたちのおかげで、徒歩にならなかっただけマシなんだが、それでも想像以上に時間がかかってしまっていた。
「まぁ、これであの魔物、ミーアドッグたちの問題は解決したからな。故郷である聖国でのんびり暮らしているさ」
「あら、あの魔物、ミーアドッグっていうのね」
キリエに事情を説明し終わると、そこにはピエラが現れた。
まずいなぁ、この少々度の過ぎたケモナーが出てくると、話が余計にこじれてしまう気がする。
ピエラの出現に、俺はつい身構えてしまう。
ずずいっと俺に一気に迫るピエラは、俺の前で両手を握って訴えかけてきた。
「いいな、セイばっかり。私もたっぷりもふもふしたかったわよ。ねえ、今度ミーアドッグに会わせてちょうだいよ」
予想はしていたが、やっぱり羨ましがられてしまった。
あれだけ獣人たちに囲まれているのに、まだ足りないというのか……。
ケモナーってやっぱり分からねえ……。
「分かったよ。またいずれ聖国に行くことがあったら会わせてやるよ」
「約束だからね」
とりあえず面倒だ。
場をおさめるためだけに、俺はひとまずの口約束をしておいた。
ミーアドッグのことに構っているわけにはいかないんだよな。
キリエとピエラの二人に丸投げになっていた、純魔族たちの事後処理の最終的な決定を俺をこなさなければいけないんだ。
キリエもピエラもそれだけの権限はあるんだがな。多分、なかなか戻ってこない俺への意趣返しだろう。
正直やめてほしい。こういうことの処理は少しでも早い方がいいんだ。いたずらに引き延ばしても面倒が増えるだけなんだからな。
だが、魔王の片腕として宰相も務めるキリエが、それを分かっていないわけがない。間違いなく、俺への嫌がらせでしかないってわけだ。
ヒョウムが座っていた席に腰を落ち着けた俺は、大きなため息を漏らす。
こんなことをしても状況が好転しないの分かり切っているので、諦めて純魔族たちに対する対処をひとつづつ進めていくことにした。
「うわー……。さすがに疲れたぜ」
一つ一つ処理を進めていった結果、すべての処理を終えるのまるっと一日かかってしまった。
これだけ長い時間事務処理をしたのは、社畜時代以来だろうか。さすに肩も腰も痛いぜ。
「お疲れ様でございます、魔王様」
終わったのを見計らったかのようにキリエがやってくる。この分だと、間違いなく様子をどこかで見てやがったな。
「おう、とりあえず、この内容を純魔族たちに通達しておいてくれ。さすがに丸一日寝ないでの仕事はダメージがでかい」
「承知致しました。それでは私はすぐに各所に通達して参ります。魔王様は隣室に移ってお休みになられるようお願い致します」
「うん? この部屋じゃダメなのか?」
「はい、隣でお願い致します」
俺が確認すると、キリエは再度念を押してきた。
何か怪しい感じしかしないが、ひとまず俺はキリエが出ていくのを確認してから部屋を移動することにした。
「ふわあああ~……。さすがにバタバタした後だと、若いといってもきついぜ」
大あくびからの背伸びをした俺は、目をこすりながら隣の部屋へと移動していく。
隣の部屋に入ると、俺は思わずその身を引いてしまった。
うん、予想通りピエラが待っていたよ。姿を見せなかった時点で怪しんではいたが、本当にいるとはな。
しかも、なんで両手を前に出して待ち構えてるんだよ。
……勘の鋭い奴なら誰でも分かる。
うん、これはあれだ。
膝枕をする気満々な状況だよ。
くそっ、やられたぜ。
俺を膝枕した挙句、もふもふするつもりだ。やめてくれ、そういう精神攻撃はやめてくれ。
そのことに気が付いた俺は部屋から慌てて出ようとする。
だが、目の前のピエラがそれを許してくれるわけがない。
ガッシャーンという音ともに、目の前には光の格子が出現した。やばい、閉じ込められたぞ。
「さあ、セイ。おいで……」
にっこりと微笑んで、前に突き出した両手をさらに突き出してくる。
さすがにこれは怖くてたまらない。
俺はプライドを全部捨ててでも、全力で拒否する。土下座だってやってやる。
「酷いわ、セイったら。私がせっかく待ってたっていうのに、断るのね。こんな冷たい人が婚約者だっただなんて、私悲しいわ」
泣き落としかよ!
精神攻撃のフルコンボ。
さすがに幼馴染みの涙には俺も弱かった。
ここまでやられては、俺が折れるしかなかった。
結局俺はピエラに膝枕をされながら、諦めの境地に達していた。
ピエラの膝枕で横になった瞬間、俺の緊張の糸は切れてしまい、そのまま眠ってしまったのは幸運だったな。
その後、何があったかは俺は知らない。
ただはっきり分かっているのは、起きるまで丸一日かかったということだけだった。
とんでもないラストだったが、一応純魔族たちの対処がすべて終わり、何の問題なく魔王城に戻れることとなったのだった。
「悪い。あの魔物たちの故郷が分かったから、帰しに行ってたんだよ」
案の定、俺はキリエから雷をもらっていた。
だいたいこれだけ時間がかかったのはデザストレが拒否したからだ。
ミーアドッグたちのおかげで、徒歩にならなかっただけマシなんだが、それでも想像以上に時間がかかってしまっていた。
「まぁ、これであの魔物、ミーアドッグたちの問題は解決したからな。故郷である聖国でのんびり暮らしているさ」
「あら、あの魔物、ミーアドッグっていうのね」
キリエに事情を説明し終わると、そこにはピエラが現れた。
まずいなぁ、この少々度の過ぎたケモナーが出てくると、話が余計にこじれてしまう気がする。
ピエラの出現に、俺はつい身構えてしまう。
ずずいっと俺に一気に迫るピエラは、俺の前で両手を握って訴えかけてきた。
「いいな、セイばっかり。私もたっぷりもふもふしたかったわよ。ねえ、今度ミーアドッグに会わせてちょうだいよ」
予想はしていたが、やっぱり羨ましがられてしまった。
あれだけ獣人たちに囲まれているのに、まだ足りないというのか……。
ケモナーってやっぱり分からねえ……。
「分かったよ。またいずれ聖国に行くことがあったら会わせてやるよ」
「約束だからね」
とりあえず面倒だ。
場をおさめるためだけに、俺はひとまずの口約束をしておいた。
ミーアドッグのことに構っているわけにはいかないんだよな。
キリエとピエラの二人に丸投げになっていた、純魔族たちの事後処理の最終的な決定を俺をこなさなければいけないんだ。
キリエもピエラもそれだけの権限はあるんだがな。多分、なかなか戻ってこない俺への意趣返しだろう。
正直やめてほしい。こういうことの処理は少しでも早い方がいいんだ。いたずらに引き延ばしても面倒が増えるだけなんだからな。
だが、魔王の片腕として宰相も務めるキリエが、それを分かっていないわけがない。間違いなく、俺への嫌がらせでしかないってわけだ。
ヒョウムが座っていた席に腰を落ち着けた俺は、大きなため息を漏らす。
こんなことをしても状況が好転しないの分かり切っているので、諦めて純魔族たちに対する対処をひとつづつ進めていくことにした。
「うわー……。さすがに疲れたぜ」
一つ一つ処理を進めていった結果、すべての処理を終えるのまるっと一日かかってしまった。
これだけ長い時間事務処理をしたのは、社畜時代以来だろうか。さすに肩も腰も痛いぜ。
「お疲れ様でございます、魔王様」
終わったのを見計らったかのようにキリエがやってくる。この分だと、間違いなく様子をどこかで見てやがったな。
「おう、とりあえず、この内容を純魔族たちに通達しておいてくれ。さすがに丸一日寝ないでの仕事はダメージがでかい」
「承知致しました。それでは私はすぐに各所に通達して参ります。魔王様は隣室に移ってお休みになられるようお願い致します」
「うん? この部屋じゃダメなのか?」
「はい、隣でお願い致します」
俺が確認すると、キリエは再度念を押してきた。
何か怪しい感じしかしないが、ひとまず俺はキリエが出ていくのを確認してから部屋を移動することにした。
「ふわあああ~……。さすがにバタバタした後だと、若いといってもきついぜ」
大あくびからの背伸びをした俺は、目をこすりながら隣の部屋へと移動していく。
隣の部屋に入ると、俺は思わずその身を引いてしまった。
うん、予想通りピエラが待っていたよ。姿を見せなかった時点で怪しんではいたが、本当にいるとはな。
しかも、なんで両手を前に出して待ち構えてるんだよ。
……勘の鋭い奴なら誰でも分かる。
うん、これはあれだ。
膝枕をする気満々な状況だよ。
くそっ、やられたぜ。
俺を膝枕した挙句、もふもふするつもりだ。やめてくれ、そういう精神攻撃はやめてくれ。
そのことに気が付いた俺は部屋から慌てて出ようとする。
だが、目の前のピエラがそれを許してくれるわけがない。
ガッシャーンという音ともに、目の前には光の格子が出現した。やばい、閉じ込められたぞ。
「さあ、セイ。おいで……」
にっこりと微笑んで、前に突き出した両手をさらに突き出してくる。
さすがにこれは怖くてたまらない。
俺はプライドを全部捨ててでも、全力で拒否する。土下座だってやってやる。
「酷いわ、セイったら。私がせっかく待ってたっていうのに、断るのね。こんな冷たい人が婚約者だっただなんて、私悲しいわ」
泣き落としかよ!
精神攻撃のフルコンボ。
さすがに幼馴染みの涙には俺も弱かった。
ここまでやられては、俺が折れるしかなかった。
結局俺はピエラに膝枕をされながら、諦めの境地に達していた。
ピエラの膝枕で横になった瞬間、俺の緊張の糸は切れてしまい、そのまま眠ってしまったのは幸運だったな。
その後、何があったかは俺は知らない。
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