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第二章 外側の世界
第360話 転生者、飽きずに求婚される
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レーヴェンの樹を定着させた俺たちは、マーシャルたちと別れて地上へと戻っていく。
地下に定着させてしまった以上、少し場所を変えて次のレーヴェンの樹を植えざるを得ない。
「さて、どの辺がいいかな」
「そうですね。このサージェントの遺跡から少し離れていた方がよさそうですからね。手前に戻るか、少し進むかした方がよさそうです」
俺が場所を考えていると、セイ太はそのように提案をしてきた。確かにその通りだろうな。
ならばと、改めて俺は地図を取り出した。
地図とにらめっこしながら、ここまでの軌跡を確認する。
地図上に植えたレーヴェンの樹が記されているおかげで非常に分かりやすい。
「よし、進んだところにしようか」
「分かりました。では、みなさん。背中に乗って下さい」
俺たちは大きな犬となったセイ太の背中に乗り込んで移動を開始する。
また一本、また一本とレーヴェンの樹を定着させていくが、あの変態紳士は現れることがなかった。
「そういえば、あの変態紳士が現れないな。いよいよ諦めたかな」
「それだといいんですけどね……」
サージェントの遺跡から移動を始めて、三本目のレーヴェンの樹を定着させようとした時だった。
「呼ばれて飛び出て、俺参上!」
変態紳士が現れた。どうする?
あまりにも聞いたことのあるフレーズを繋げてきたものだから、俺はあまりのショックに固まってしまった。
しかも、なんか妙なポーズまで取ってるし……。なんか見たことあるんだけど、なんだったか思い出せねえ……。
「むむっ、せっかくカッコよく決めたというのに、リアクションはなしか。つまらん、実につまらん」
変態紳士は首を捻っている。
いきなりすぎてどう反応していいのか分からねえんだよ。
「お前さ、俺たちにそんなに構ってほしいのか?」
「無論。あの方の理想とはいえ、遊ぶ相手がいないというのはつまらんのだ」
俺の質問に、変態紳士ははっきりと言い切っていた。寂しがり屋かよ。
「仕方なかろう。新たな世界の侵略が始まってたくさんのおもちゃで遊べると思ったのに、あの方の毒で全員死に絶えてしまったのだからな。この世界の連中は実に貧弱すぎるというものだ」
「はあん? やっぱりこの世界とは別の世界からやって来た侵略者だったのか」
変態紳士の言葉は、リヒテルが話していた内容を肯定するものだった。
つまり、この毒霧を発生させたやつも、目の前の変態紳士も、こことは別の世界からやって来た連中ということだ。
だが、内容を聞いていると、おかしな点に気が付く。
「なあ、すべて死に絶えてしまったなら侵略完了じゃないのか?」
「俺はそう思ったのだがな、あの方はなぜか次の世界に向かおうとなさらなかった。お前たちみたいな者が現れることを想定していたのやもしれぬ。俺にはあの方の考えは崇高すぎてまったく分からぬのだ」
なるほど、生き残りがいることは察知していたってわけか。
まあ、ケオス大陸の状況を見れば、察することができるんだろうな。
「だが、俺はお前たちの出現に歓喜しておるぞ」
「ほう、それはどうしてだ?」
「知れたことよ!」
変態紳士が俺に向かって突進してくる。
相変わらずのスピードだが、目で追えるほどのものだった。俺は変態紳士の攻撃を受け止める。
「やはり、この俺の相手としてお前はふさわしい。後ろの連中を皆殺しにしたら、俺のものにならないか?」
「やなこった。いつまでも追っかけてくるストーカーってやつは、嫌われるだけなんだよ!」
俺が思いきり蹴り上げるが、変態紳士は躱しやがった。
かと思えば、俺の足をつかんできた。
「ふむ、見れば見るほど美しい。どんな手を使ってでも俺のものにしたくなる美貌だな」
「気持ち悪いん……だよ!」
俺は足をつかまれた状態にもかかわらず、しっぽでバランスを取って変態紳士に神聖魔力が乗った蹴りをお見舞いする。
さすがに今回は不意打ちになったらしく、変態紳士は仰け反りながら、俺の足を離していた。
「ふっ、いい蹴りだ。まさか尻のものが飾りではないとはな」
「今の俺は獣人だ。しっぽだって体の一部なんだよ」
「ふむ、そうか。覚えておこう」
蹴り飛ばされたというのに、変態紳士は相変わらず涼しい顔をしている。いや、ちょっと気持ち悪く笑ってたわ。
「だが、悲しいな。こんなものを植えられてしまっては、あの方の理想からは遠ざかってしまう。俺としてはお前だけは欲しいのだが、あの方の怒りに触れるわけにはいかぬ。死ぬか俺のものになるか、どちらか選べ!」
「どっちもやなこった!」
変態紳士の二択に、俺は即答のお断りを入れる。
「ならば、死ねい!」
結局戦うことになってしまった。
何なんだよ、ここまでの茶番は!
俺は変態紳士の攻撃をどうにか躱すが、その時うっかりレーヴェンの樹の種を入れた袋が変態紳士の攻撃で破れてしまった。
「しまった。植えようとして出してのを忘れてたぜ」
「おやおや、何か大事なものらしいな。どうだ、無残に散らされる気分は!」
「くそっ!」
俺は予想外のできごとに、険しい表情をしてしまう。
だが、次の瞬間、予想外なことが起こった。
レーヴェンの樹の種が、変態紳士の体に当たった時だった。
「うっがあああああっ!!」
変態紳士が突然大声を上げて苦しみだしたのだ。
一体何が起きたのだろうか。
俺たちにまったく分からず、苦しむ姿を見つめることしかできなかった。
地下に定着させてしまった以上、少し場所を変えて次のレーヴェンの樹を植えざるを得ない。
「さて、どの辺がいいかな」
「そうですね。このサージェントの遺跡から少し離れていた方がよさそうですからね。手前に戻るか、少し進むかした方がよさそうです」
俺が場所を考えていると、セイ太はそのように提案をしてきた。確かにその通りだろうな。
ならばと、改めて俺は地図を取り出した。
地図とにらめっこしながら、ここまでの軌跡を確認する。
地図上に植えたレーヴェンの樹が記されているおかげで非常に分かりやすい。
「よし、進んだところにしようか」
「分かりました。では、みなさん。背中に乗って下さい」
俺たちは大きな犬となったセイ太の背中に乗り込んで移動を開始する。
また一本、また一本とレーヴェンの樹を定着させていくが、あの変態紳士は現れることがなかった。
「そういえば、あの変態紳士が現れないな。いよいよ諦めたかな」
「それだといいんですけどね……」
サージェントの遺跡から移動を始めて、三本目のレーヴェンの樹を定着させようとした時だった。
「呼ばれて飛び出て、俺参上!」
変態紳士が現れた。どうする?
あまりにも聞いたことのあるフレーズを繋げてきたものだから、俺はあまりのショックに固まってしまった。
しかも、なんか妙なポーズまで取ってるし……。なんか見たことあるんだけど、なんだったか思い出せねえ……。
「むむっ、せっかくカッコよく決めたというのに、リアクションはなしか。つまらん、実につまらん」
変態紳士は首を捻っている。
いきなりすぎてどう反応していいのか分からねえんだよ。
「お前さ、俺たちにそんなに構ってほしいのか?」
「無論。あの方の理想とはいえ、遊ぶ相手がいないというのはつまらんのだ」
俺の質問に、変態紳士ははっきりと言い切っていた。寂しがり屋かよ。
「仕方なかろう。新たな世界の侵略が始まってたくさんのおもちゃで遊べると思ったのに、あの方の毒で全員死に絶えてしまったのだからな。この世界の連中は実に貧弱すぎるというものだ」
「はあん? やっぱりこの世界とは別の世界からやって来た侵略者だったのか」
変態紳士の言葉は、リヒテルが話していた内容を肯定するものだった。
つまり、この毒霧を発生させたやつも、目の前の変態紳士も、こことは別の世界からやって来た連中ということだ。
だが、内容を聞いていると、おかしな点に気が付く。
「なあ、すべて死に絶えてしまったなら侵略完了じゃないのか?」
「俺はそう思ったのだがな、あの方はなぜか次の世界に向かおうとなさらなかった。お前たちみたいな者が現れることを想定していたのやもしれぬ。俺にはあの方の考えは崇高すぎてまったく分からぬのだ」
なるほど、生き残りがいることは察知していたってわけか。
まあ、ケオス大陸の状況を見れば、察することができるんだろうな。
「だが、俺はお前たちの出現に歓喜しておるぞ」
「ほう、それはどうしてだ?」
「知れたことよ!」
変態紳士が俺に向かって突進してくる。
相変わらずのスピードだが、目で追えるほどのものだった。俺は変態紳士の攻撃を受け止める。
「やはり、この俺の相手としてお前はふさわしい。後ろの連中を皆殺しにしたら、俺のものにならないか?」
「やなこった。いつまでも追っかけてくるストーカーってやつは、嫌われるだけなんだよ!」
俺が思いきり蹴り上げるが、変態紳士は躱しやがった。
かと思えば、俺の足をつかんできた。
「ふむ、見れば見るほど美しい。どんな手を使ってでも俺のものにしたくなる美貌だな」
「気持ち悪いん……だよ!」
俺は足をつかまれた状態にもかかわらず、しっぽでバランスを取って変態紳士に神聖魔力が乗った蹴りをお見舞いする。
さすがに今回は不意打ちになったらしく、変態紳士は仰け反りながら、俺の足を離していた。
「ふっ、いい蹴りだ。まさか尻のものが飾りではないとはな」
「今の俺は獣人だ。しっぽだって体の一部なんだよ」
「ふむ、そうか。覚えておこう」
蹴り飛ばされたというのに、変態紳士は相変わらず涼しい顔をしている。いや、ちょっと気持ち悪く笑ってたわ。
「だが、悲しいな。こんなものを植えられてしまっては、あの方の理想からは遠ざかってしまう。俺としてはお前だけは欲しいのだが、あの方の怒りに触れるわけにはいかぬ。死ぬか俺のものになるか、どちらか選べ!」
「どっちもやなこった!」
変態紳士の二択に、俺は即答のお断りを入れる。
「ならば、死ねい!」
結局戦うことになってしまった。
何なんだよ、ここまでの茶番は!
俺は変態紳士の攻撃をどうにか躱すが、その時うっかりレーヴェンの樹の種を入れた袋が変態紳士の攻撃で破れてしまった。
「しまった。植えようとして出してのを忘れてたぜ」
「おやおや、何か大事なものらしいな。どうだ、無残に散らされる気分は!」
「くそっ!」
俺は予想外のできごとに、険しい表情をしてしまう。
だが、次の瞬間、予想外なことが起こった。
レーヴェンの樹の種が、変態紳士の体に当たった時だった。
「うっがあああああっ!!」
変態紳士が突然大声を上げて苦しみだしたのだ。
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俺たちにまったく分からず、苦しむ姿を見つめることしかできなかった。
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