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第八章 二年次
第207話 二年次学園祭、開始前
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そんなこんなで、二年次の学園祭の日がやって来た。普通二年目というのは、いろいろとイベントが起きて濃いはずなのに、夏の合宿の事件以外は特に何も起きずに平和なものだった。まあ、ゲームの方は合宿と学園祭と年末の三回、ロゼリアたちの前回も学園祭と年末しか、これといった事は起きなかった。
しかし、いろいろと双方とも乖離が著しい今回は、もう何が起こるのか分からないので、ロゼリアたちは常に警戒をしていた。それが故に、今回はとても平和なものであった。
忙しかったのは、女王教育を受ける事になったペシエラとその従者のアイリスくらいで、ロゼリアとチェリシアの二人は、学園祭への出店の準備をマイペースに行なっていた。
「クラスのみんなには手伝いに行けないって言っちゃって、ちょっと気まずかったかな」
「仕方ないわよ。こっちはこっちで忙しいわけだし、掛け持ちできる余裕なんてないのは普通よ」
申請したスペースで、カウンターに座るロゼリアとチェリシア。ペシエラは今年も武術大会のトップバッターらしく、手伝えない事を嘆いていた。様子はアイリスに報告してもらおう。
ロゼリアとチェリシアの後ろでは、シアンとキャノルの二人が忙しく準備をしている。肉や野菜、魚に乳製品など、刻んでは盛り付けていく。
去年は焼き魚を振る舞ったが、今年はピザや瓶詰めなど盛りだくさんだ。缶詰は仕様の関係で危険(縁で手を切るなど)と判断してやめた。小型調理窯七台をフル稼働で対応し、カウンターには保温装置も用意している。さあ、どこからでもかかってこい。チェリシアは意気込んでいた。
さて、食材はオーカー商会が頑張った。ロゼリアに挑発され、チェリシアに餌で釣られたブローゼンは、威信に賭けて発注された食材を王国中、いや、隣国にまで足を伸ばしてかき集めた。更には、チェリシアが開発した大型保冷庫も役に立っていた。これによって新鮮なまま、この学園まで無事に届けられたのである。なにせ金貨うん十枚という大金が動く仕事だ。手を抜けるはずもなかったのである。
「やあ、準備大変そうですね」
「ロイエールくん」
ロゼリアとチェリシアの元に、ドール商会のロイエールがやって来た。今回はドール商会の出し物は地味なもので、ルゼとリードとストンが頑張りまくった結果、武具や生活用品がずらりと並ぶ展示会となっていた。うん? どこが地味なのか?
「いやー、あのルゼさんのおかげで、僕のところの職人が張り切っちゃいましてね。あれでも数は絞ったんですよ」
あー、なるほど。チェリシアは直感した。
つまるところ、ルゼの能力で希少な金属も手に入れやすくなったから、新しい金属につい舞い上がってしまったというわけだ。魔道具を作るチェリシアは、とても共感を覚えた。
「数はあるものの、種類的にはいつもと変わりありませんから、地味と言っているだけなんですよ」
「そういう事なのね」
ロイエールの言い分に、ロゼリアは納得した。
「お二人の展示も楽しみにしてますよ。もう開始時間になっちゃうので、僕は自分の持ち場に戻りますね」
「ええ、お互い頑張りましょう」
「はいっ」
ロゼリアとチェリシアは、手を振ってロイエールを見送った。
「さーて、今年の学園祭は忙しくなりそうよ。準備はいい?」
ロゼリアが気合いたっぷりに後ろを振り返る。
「もちろんですとも、ロゼリア様」
「こういう表舞台は慣れないが、あたいも頑張るぜ」
シアンとキャノルは気合い十分だった。その後ろで、チェリシアは黙々とピザを作り続けている。それ以外にも、マゼンダ商会とオーカー商会から料理人が何人か作業をしている。特にオーカー商会の料理人は、特別報酬が出ると聞いて、更に気合いが入っていた。
カウンターの上には、ピザが焼き上がるまでの映像を映し出す投影用の魔石まで配置されている。
……さあ、準備は万端だ。いくらでもかかってきなさい。
ロゼリアとチェリシアはそう息巻きながら、学園祭の開始の時を迎えた。
しかし、いろいろと双方とも乖離が著しい今回は、もう何が起こるのか分からないので、ロゼリアたちは常に警戒をしていた。それが故に、今回はとても平和なものであった。
忙しかったのは、女王教育を受ける事になったペシエラとその従者のアイリスくらいで、ロゼリアとチェリシアの二人は、学園祭への出店の準備をマイペースに行なっていた。
「クラスのみんなには手伝いに行けないって言っちゃって、ちょっと気まずかったかな」
「仕方ないわよ。こっちはこっちで忙しいわけだし、掛け持ちできる余裕なんてないのは普通よ」
申請したスペースで、カウンターに座るロゼリアとチェリシア。ペシエラは今年も武術大会のトップバッターらしく、手伝えない事を嘆いていた。様子はアイリスに報告してもらおう。
ロゼリアとチェリシアの後ろでは、シアンとキャノルの二人が忙しく準備をしている。肉や野菜、魚に乳製品など、刻んでは盛り付けていく。
去年は焼き魚を振る舞ったが、今年はピザや瓶詰めなど盛りだくさんだ。缶詰は仕様の関係で危険(縁で手を切るなど)と判断してやめた。小型調理窯七台をフル稼働で対応し、カウンターには保温装置も用意している。さあ、どこからでもかかってこい。チェリシアは意気込んでいた。
さて、食材はオーカー商会が頑張った。ロゼリアに挑発され、チェリシアに餌で釣られたブローゼンは、威信に賭けて発注された食材を王国中、いや、隣国にまで足を伸ばしてかき集めた。更には、チェリシアが開発した大型保冷庫も役に立っていた。これによって新鮮なまま、この学園まで無事に届けられたのである。なにせ金貨うん十枚という大金が動く仕事だ。手を抜けるはずもなかったのである。
「やあ、準備大変そうですね」
「ロイエールくん」
ロゼリアとチェリシアの元に、ドール商会のロイエールがやって来た。今回はドール商会の出し物は地味なもので、ルゼとリードとストンが頑張りまくった結果、武具や生活用品がずらりと並ぶ展示会となっていた。うん? どこが地味なのか?
「いやー、あのルゼさんのおかげで、僕のところの職人が張り切っちゃいましてね。あれでも数は絞ったんですよ」
あー、なるほど。チェリシアは直感した。
つまるところ、ルゼの能力で希少な金属も手に入れやすくなったから、新しい金属につい舞い上がってしまったというわけだ。魔道具を作るチェリシアは、とても共感を覚えた。
「数はあるものの、種類的にはいつもと変わりありませんから、地味と言っているだけなんですよ」
「そういう事なのね」
ロイエールの言い分に、ロゼリアは納得した。
「お二人の展示も楽しみにしてますよ。もう開始時間になっちゃうので、僕は自分の持ち場に戻りますね」
「ええ、お互い頑張りましょう」
「はいっ」
ロゼリアとチェリシアは、手を振ってロイエールを見送った。
「さーて、今年の学園祭は忙しくなりそうよ。準備はいい?」
ロゼリアが気合いたっぷりに後ろを振り返る。
「もちろんですとも、ロゼリア様」
「こういう表舞台は慣れないが、あたいも頑張るぜ」
シアンとキャノルは気合い十分だった。その後ろで、チェリシアは黙々とピザを作り続けている。それ以外にも、マゼンダ商会とオーカー商会から料理人が何人か作業をしている。特にオーカー商会の料理人は、特別報酬が出ると聞いて、更に気合いが入っていた。
カウンターの上には、ピザが焼き上がるまでの映像を映し出す投影用の魔石まで配置されている。
……さあ、準備は万端だ。いくらでもかかってきなさい。
ロゼリアとチェリシアはそう息巻きながら、学園祭の開始の時を迎えた。
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