ラミアプリンセスは配信者

未羊

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SCENE021 ダンジョンの特殊設定

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 キラーアントを配置した翌日、僕はバトラーに確認をしてみる。

「ねえ、バトラー」

「なんでしょうか、プリンセス」

「ダンジョン内で死なないような設定とかってできるの?」

「ほう、その方法を聞かれますか」

 僕が聞いたのは、ゲームでよくある死に戻りのような効果のことだった。
 バトラーはすぐに意味が分かったらしくて、僕の言葉にちょっとにやついているようだ。

「まあ、初心者ダンジョンですからな。死なれても困るでしょうし、プリンセスが人の死をあまり望んでおりませんようですからな」

 バトラーはそう話すと、僕にダンジョンコアを呼び出すように急かしてくる。僕は仕方なくダンジョンコアを呼び出す。

「ダンジョンコアの設定という項目を選んでくださいませ、プリンセス」

「うん、設定だね。えいっ」

 表示されている項目の一番下にある設定をポチッと押す。
 すると、細かい項目がいろいろと出てきた。

「この設定で、ダンジョン内の環境を変化させることができます。ただし、コストのかかるものとかからないものがありますゆえ、ご注意ください」

「うん、分かったよ。さて、どんな設定ができるのかな」

 バトラーに注意されて、僕は改めて設定の項目をじっと見てみる。

「えっと『不殺設定』『不死設定』『温度設定』『明るさ設定』の四つ?」

「左様ですな。では、その中の『不死設定』をお選びください」

「不死設定だね。えいっ」

 僕は再びポチッと押してみる。
 また細かい項目が出てきたよ。

「あれっ、なんだかダンジョンポイントを消費する?」

「そうですな。特殊な環境ですから、ダンジョンポイントを消費しますぞ。戦闘死亡無効、罠死亡無効、モンスターリポップ、ボスリポップとありまして、我はモンスターリポップ、プリンセスはボスリポップとなりますな」

「うへっ、項目別々なんだ」

「左様ですとも。ダンジョンコアを操れるのはプリンセスだけなのですからな」

 なるほど思った。
 バトラーによると、それぞれの死亡無効による復活地点は、それぞれの端っこになるらしい。探索者ならダンジョン入口、モンスターならボス部屋になるんだって。ちなみにモンスターリポップはネームドにのみ有効なんだとか。

「うへっ、500万ダンジョンポイント?!」

 僕は全部を有効にしようと思ったものの、ものすごく高かった。ボスリポップが200万ダンジョンポイントで、それ以外は100万ダンジョンポイントも必要だった。
 これではとてもじゃないけれど、今の僕には無理すぎる。だって、まだ3000ポイントくらいなんだもん。
 配信のおかげでチャンネルフォローが増えて、その度にポイントが入ってきている。でも、みんな軽度の魅了なので、ポイントの増え方は緩いんだよな。このままじゃ、一年かかっても不死設定は叶えられそうにない。

「死なないように、弱いモンスターや程度の軽い罠を仕掛けて慣れてもらうしかございませんな」

「そうみたいだね。とほほほ……」

 そんなわけで、僕は不死設定はひとまず諦めざるを得なかった。
 これだけ高い理由は、マナの消費に理由があるのだとか。弱い者たちにはとっとと死んでもらって、元の世界との間でマナのやり取りをした方が、よりよいダンジョンを生み出せるからではないかとバトラーは睨んでいるらしい。

「最初のうちは、この不殺設定で無難でしょうな。対象を選んで互いを攻撃できないようにする設定ですからな」

「ふむふむ」

「それと、不殺設定を結んだ相手とは気軽に会えるように、ショートカットの通路を設定することもできますぞ。設備追加でできますので、あとでご確認を」

「あっ、そういうのもあるんだ。そうだね。わざわざ広がっていくダンジョンの中を移動してもらうのも大変だもんね」

 なんともご都合主義なこともできるみたいだ。
 ダンジョンマスターとしてそのシステムを知っていくと、なんだか楽しくなってくる。ただ、ダンジョンポイントの消費は痛いんだけどね。下手に使い過ぎると、僕たちの食事すら取れなくなっちゃうしな。加減が難しいや。
 でも、不殺設定は一人一設定につき500ポイントだ。これなら大丈夫かな。
 非戦闘員とはいっても、谷地さんも日下さんもその気になれば僕たちを倒せる。今後もよいお付き合いをするためにも、ここはまず設定しておこう。

「あっ、この不殺設定って解除できる?」

「できますぞ。解除してもポイントは戻ってこず、さらに消費しますがな」

「うへっ。なんともな設定だね」

「そういうものですぞ、プリンセス」

 なんとも世知辛い気がするんだけど、まぁそういう設定なら仕方ないかと、僕は諦めることにした。
 ひとまず僕との間で、谷地さんと日下さんの二人と不殺設定をさせてもらった。

「妹君はしないのですか?」

「うん、まだここにやって来れないからね。ダンジョンに入れるようになる中学三年生になったら考えるよ」

「確かにそうですな。その携帯電話とやらを使えば、話はできるでしょうからな」

 バトラーが指摘する通り、僕の手元には僕の使っていた携帯電話が握られている。薄っぺらい板だけど、これが現状における僕と家族をつなげている唯一といってもいい。

「瞳、配信見てくれるといいんだけどな」

「まあ、そうですな。プリンセスと同じようにいい大人に育ちそうで、我は部外者ながら、楽しみで仕方ありませんぞ」

「はははっ、まったくバトラーってば」

 細かい設定を終えた僕たち。
 それと同時に、ダンジョン内の空気が震える。

「どうやら谷地さんたちが来たみたいだね」

「みたいですな。早速、不殺設定を試してみましょうぞ」

 設定をいじった直後ということもあって、僕たちはちょっと楽しみに思いながら、ゆっくりとダンジョンの入口に向けて移動していった。
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