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SCENE108 探索者ギルドの問題
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「剛力さん、戻りました」
本部に足を踏み入れた私は、剛力さんに挨拶をする。
「おう、戻ったか、衣織。って、なんだそいつらは」
剛力さんが私の方を見て挨拶をするが、すぐに隣にいる三人を見て顔を歪ませていた。
まあそうだろう。剛力さんもこいつらがパラダイス所属のメンバーだってのは知っているからな。
ギルドマスターともなると、他のギルドの動向を気にすることになる。だから、構成するメンバーというのは常にチェックをしていて、問題の解決や回避に向けて動いているんだ。
「この三人、よりにもよって瞬のダンジョンにやって来てたんですよ。なんでも、瞬のファンらしくってね」
「なんだ、そうだったのか。パラダイスの連中にもそういうのがいるんだな」
私が事情を説明していると、剛力さんは意外だなという表情を見せている。まあ、そのくらいにパラダイスの連中がよく思われていないってことなんだがな。
「こいつらはパラダイスを抜けて、新しいギルドを作ったそうですよ。それで、しばらく守ってやってほしいと瞬から頼まれましてね」
「あのギルドを抜けたのか。簡単に抜けれるとは思えないがな」
「ええ。瞬のダンジョンにいる職員に手伝ってもらって、書類上の手続きだけは済ませたそうですよ。あの連中が許すとは思えませんので、一時的に私が身柄を預かることになったってわけです」
「ああ、そういえばあのダンジョンには管理局の人員が常在していたか。なら、脱退は有効だな」
剛力さんも脱退したという話を信じたようだ。
「まったく、外で頼れるのが私しかいないからとはいえ、こんな面倒ごとを押し付けられて正直困っているよ。だが、瞬の頼みだからやるにはやるんだがな」
「当面、この三人はうちで預かれってことかな、衣織」
「そういうことですよ。いくらパラダイスの連中でも、私たちにケンカを売るような馬鹿じゃないでしょうし、ギルド運営の先輩がいるわけだから、いろいろ教えてやることもできますからね」
「分かった。でも、三か月くらいだな。正式なギルドとなるには、拠点を設定しなきゃいけなくなる。その期限が三か月だから、それまでの間だぞ」
面倒だということを私が言っているというのに、剛力さんも同じように面倒に感じながらも受け入れてくれた。
というのも、剛力さんも私もほとほとパラダイスの存在自体を疎んでいるからだ。真面目な探索者っていうのは守ってやらないと、いずれダンジョンというのは無法地帯に陥る。
世界中でどうにか秩序を保ってダンジョンブレイクを防いでいるんだからな。
「えと、あの……。俺たち、ここでお世話になってもいいんですかね」
「ああ。さっきも言ったが、三か月の間だけだ。それまでにどうにか自分たちの拠点を構えて、正式なギルドとなってくれ。そうでないと、最悪の場合、再びパラダイスに戻されることになる」
「ひっ!」
剛力さんが脅すように言えば、三人は震え上がっていた。
「あ、あそこに戻るのは嫌だ」
「ウィンクちゃんの配信が唯一の癒しでなんとか我慢してきたんですぅ!」
「だったら、さっさと稼ぎで拠点を得て、ギルド名を決めるんだな。瞬の頼みとはいえ、我々で面倒を見れる限度っていうのはあるんだからな」
「わ、分かりましたぁっ!」
私がちょっと脅してやれば、三人は身を寄せ合いながら返事をしていた。本当に憶病な連中だな。
さて、ここまで連れてきたからには、私の役目は一時的に終わりかな。
「おい、衣織、どこに行くんだ」
「管理局に。パラダイスの件、詳しく調査をしてもらおうと思いますからね。こんなにギルドメンバーが怯えているってことは、内輪でもよからぬことが起きているということでしょうからね」
「そうか。だが、あまり期待をするものじゃないぞ。ダンジョン管理局は、ダンジョン以外に関してはとことん権力がないからな」
「分かっています。でも、私は瞬の期待に応えてやらないといけないんですよ」
私はそうとだけ言い残し、横浜にあるダンジョン管理局の支部へと向かっていった。
その際、剛力さんの小さくつぶやく声が耳に聞こえてきたが、その通りだから言い返さずにそのまま出かけた。
そうして、私は横浜のダンジョン管理局へとやって来た。
まさか、ダンジョンの素材を持ってくる以外の用事で来ることになるとは思わなかったな。
「よし、ダメ元で話を持ち掛けるか」
私は、ダンジョン管理局へと入っていく。
「あっ、これは衣織さん。本日はどのようなご用件でしょうか」
受付の人が立ち上がって声をかけてくる。さすがに有名になりすぎたせいか、姿を見せただけでこれだ。
「悪い、今日は支部長か副支部長に話があって来たんだ。お会いできるだろうか」
「はい、副支部長ならいらっしゃいますので、お会いいただけますよ。内線をしますので、おかけになってお待ち下さい」
なんだ、副支部長か。いつ来ても支部長は不在だな。
だが、話だけなら副支部長でも問題はない。私は受付からの答えを待つために、ロビーにある椅子に腰かけて反応を待った。
「衣織さん、お待たせしました」
受付から呼ばれた私は、無事に副支部長と出会うことができるようだ。
さて、長らく放置されていた問題に、いよいよ切り込むこととしようかね。
本部に足を踏み入れた私は、剛力さんに挨拶をする。
「おう、戻ったか、衣織。って、なんだそいつらは」
剛力さんが私の方を見て挨拶をするが、すぐに隣にいる三人を見て顔を歪ませていた。
まあそうだろう。剛力さんもこいつらがパラダイス所属のメンバーだってのは知っているからな。
ギルドマスターともなると、他のギルドの動向を気にすることになる。だから、構成するメンバーというのは常にチェックをしていて、問題の解決や回避に向けて動いているんだ。
「この三人、よりにもよって瞬のダンジョンにやって来てたんですよ。なんでも、瞬のファンらしくってね」
「なんだ、そうだったのか。パラダイスの連中にもそういうのがいるんだな」
私が事情を説明していると、剛力さんは意外だなという表情を見せている。まあ、そのくらいにパラダイスの連中がよく思われていないってことなんだがな。
「こいつらはパラダイスを抜けて、新しいギルドを作ったそうですよ。それで、しばらく守ってやってほしいと瞬から頼まれましてね」
「あのギルドを抜けたのか。簡単に抜けれるとは思えないがな」
「ええ。瞬のダンジョンにいる職員に手伝ってもらって、書類上の手続きだけは済ませたそうですよ。あの連中が許すとは思えませんので、一時的に私が身柄を預かることになったってわけです」
「ああ、そういえばあのダンジョンには管理局の人員が常在していたか。なら、脱退は有効だな」
剛力さんも脱退したという話を信じたようだ。
「まったく、外で頼れるのが私しかいないからとはいえ、こんな面倒ごとを押し付けられて正直困っているよ。だが、瞬の頼みだからやるにはやるんだがな」
「当面、この三人はうちで預かれってことかな、衣織」
「そういうことですよ。いくらパラダイスの連中でも、私たちにケンカを売るような馬鹿じゃないでしょうし、ギルド運営の先輩がいるわけだから、いろいろ教えてやることもできますからね」
「分かった。でも、三か月くらいだな。正式なギルドとなるには、拠点を設定しなきゃいけなくなる。その期限が三か月だから、それまでの間だぞ」
面倒だということを私が言っているというのに、剛力さんも同じように面倒に感じながらも受け入れてくれた。
というのも、剛力さんも私もほとほとパラダイスの存在自体を疎んでいるからだ。真面目な探索者っていうのは守ってやらないと、いずれダンジョンというのは無法地帯に陥る。
世界中でどうにか秩序を保ってダンジョンブレイクを防いでいるんだからな。
「えと、あの……。俺たち、ここでお世話になってもいいんですかね」
「ああ。さっきも言ったが、三か月の間だけだ。それまでにどうにか自分たちの拠点を構えて、正式なギルドとなってくれ。そうでないと、最悪の場合、再びパラダイスに戻されることになる」
「ひっ!」
剛力さんが脅すように言えば、三人は震え上がっていた。
「あ、あそこに戻るのは嫌だ」
「ウィンクちゃんの配信が唯一の癒しでなんとか我慢してきたんですぅ!」
「だったら、さっさと稼ぎで拠点を得て、ギルド名を決めるんだな。瞬の頼みとはいえ、我々で面倒を見れる限度っていうのはあるんだからな」
「わ、分かりましたぁっ!」
私がちょっと脅してやれば、三人は身を寄せ合いながら返事をしていた。本当に憶病な連中だな。
さて、ここまで連れてきたからには、私の役目は一時的に終わりかな。
「おい、衣織、どこに行くんだ」
「管理局に。パラダイスの件、詳しく調査をしてもらおうと思いますからね。こんなにギルドメンバーが怯えているってことは、内輪でもよからぬことが起きているということでしょうからね」
「そうか。だが、あまり期待をするものじゃないぞ。ダンジョン管理局は、ダンジョン以外に関してはとことん権力がないからな」
「分かっています。でも、私は瞬の期待に応えてやらないといけないんですよ」
私はそうとだけ言い残し、横浜にあるダンジョン管理局の支部へと向かっていった。
その際、剛力さんの小さくつぶやく声が耳に聞こえてきたが、その通りだから言い返さずにそのまま出かけた。
そうして、私は横浜のダンジョン管理局へとやって来た。
まさか、ダンジョンの素材を持ってくる以外の用事で来ることになるとは思わなかったな。
「よし、ダメ元で話を持ち掛けるか」
私は、ダンジョン管理局へと入っていく。
「あっ、これは衣織さん。本日はどのようなご用件でしょうか」
受付の人が立ち上がって声をかけてくる。さすがに有名になりすぎたせいか、姿を見せただけでこれだ。
「悪い、今日は支部長か副支部長に話があって来たんだ。お会いできるだろうか」
「はい、副支部長ならいらっしゃいますので、お会いいただけますよ。内線をしますので、おかけになってお待ち下さい」
なんだ、副支部長か。いつ来ても支部長は不在だな。
だが、話だけなら副支部長でも問題はない。私は受付からの答えを待つために、ロビーにある椅子に腰かけて反応を待った。
「衣織さん、お待たせしました」
受付から呼ばれた私は、無事に副支部長と出会うことができるようだ。
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