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第33話 海斗の疑問
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今日は芋ほりがある日だ。
俺は、妹の真鈴にせがまれて芋ほりの手伝いへとやって来た。まっ、トレーニングの一環だと思えばいいか。
一応、町にある神社の神様への奉納もあるということで、町に住んでいる身として、俺は妹と一緒に神社の近くの畑へと出かけた。
「おお、思ったよりも人数がいるな」
「そりゃ、ここで掘った芋はその場で振る舞われるし、持って帰ることもできるんだもの。子どもがいる家なら参加すると思うよ?」
「ああ、そういえばそうだったな」
俺はあまり乗り気じゃないということで、あんまり細かいことは覚えていなかった。
そもそも、去年まではどうしてきていたのかも覚えていない。
うーん、誰かいたっけかな……。
「あたっ……」
俺の頭に、いきなり激痛が走る。
「お兄ちゃん、大丈夫?!」
俺の突然の大声に、真鈴が心配して寄り添ってくる。
そのタイミングで、不思議と痛みは引いてしまった。一体何だったんだろうか、今の痛みは。
「ああ、大丈夫だ。心配かけたな」
俺は真鈴に対して、笑顔を見せて反応を返しておく。俺の元気そうな顔を見たためか、真鈴は笑顔を見せてくれていた。
とはいえ、突然襲ってきた痛みは、しばらくの間、俺の心に引っ掛かり続けていた。
さて、芋ほりにやってきた俺は、最近よく見るやつを視界に捉えた。
(なんだ、あいつも来ていたのか)
そいつは、ひと月くらい前に突然現れて、先生の家に居候している少女だ。
別世界からやってきたマーメイドのお姫様とかほざいている、マイとか名乗る少女だ。まあ、実際に下半身が魚になっているところを見たから、マーメイドっていうのは信じざるを得ないな。
それでも、その様子を見ている限りは、どう見てもどこにでもいる少女だ。今はちゃんと二本の足で立って歩いて動いているしな。
それだというのに、どうしてこうも気になってしまうのだろうな。マイの姿は俺の目を惹きつけてしまう。
「おい、真鈴」
「なによ、お兄ちゃん」
「なんでそんなに睨んでるんだ?」
「お兄ちゃんには関係ないでしょ」
俺が真鈴の方をちらりと見ると、マイのことをかなり毛嫌いしているのか、不機嫌そうな顔でじっと見つめていた。
さすがにこの場でそれは困るだろう。
ちょっと咎めてやると、ふいっと横を向いてへそを曲げてしまった。本当に、なんでそこまで嫌っているんだろうな。俺にはまったく分からん。
この分だと、芋ほり中に何かが起こるかもしれないな。俺はマイとちょっと言葉を交わすと、真鈴をマイから引き離すために、別々の畑へと向かっていった。
そのかいあってか、特に何も起こることなく、芋ほりは無事に終わった。
掘ったばかりの芋を堪能させてもらったが、違いはよく分からなかった。
その後、俺たちは袋いっぱいのジャガイモとサツマイモを持って家へと帰ることになる。
その際、マイの方をちらりと見てみたが、先生と手をつないで、それは嬉しそうな笑顔を浮かべていた。その姿を確認して、俺は真鈴と一緒に家路につく。
「お兄ちゃん。さっき、どこを見てたのよ」
「どこだっていいだろ。そんなに気になるのか?」
畑から離れてしばらくした時だった。急に真鈴が少し怒ったような声で俺に文句を言ってくる。
だが、どうにも理不尽に思えた俺は、あんまりまともに取りあうことはしなかった。真鈴の不満の声は、だいたいマイが絡んだ時に出てくるからな。
正直、俺には真鈴の態度がよく分からない。
俺からしてみれば、海岸に打ち上げられた少女のその後が気になるだけだからな。助けた相手を気にして何が悪いということだ。
まったく、女の心というのはまったくもって理解ができないな。
「むぅ……、お兄ちゃんは私のなんだから。ぜーったいにマイちゃんには渡さないわ」
「はいはい。でもな、一応相手は年下なんだから、そこまで邪険に扱わないでやってくれ。マイには頼れる相手が俺たちしかいないんだから」
「……お兄ちゃんがそういうのなら、しょうがないわね。親切にして、恩を売りまくってやるわよ」
「……反省してないなぁ」
俺は真鈴の態度を見て、首を振りながらため息をつく。
真鈴は中学一年生だから、きっと難しい年ごろなんだろうな。まったく、そのせいで余計に言動の一つ一つの理解に苦しむというものだ。
だけど、一応俺の妹だから、優しくしてやらないといけないだろう。
そう思った俺は、真鈴の頭に手を置いて、軽く撫でまわしてやることにした。
「お兄ちゃん」
真鈴が前を見たまま声をかけてくる。
「なんだ、真鈴」
「土を触った手で頭撫でないでよ。汚れるじゃないの」
「あっ、悪い」
機嫌を取ろうとしたら、逆に怒られてしまった。
でも、ちょっと照れてるように見えるのはどうしてだろうかな。
はあ、しょうがない。今日の夕食は、俺も母さんを手伝って作るとするかな。
俺は隣で歩く妹の真鈴を見ながら、家へとゆっくり帰っていった。
なんだろうな。今日は芋ほりよりも妹の相手の方が疲れた気がするぜ……。
俺は、妹の真鈴にせがまれて芋ほりの手伝いへとやって来た。まっ、トレーニングの一環だと思えばいいか。
一応、町にある神社の神様への奉納もあるということで、町に住んでいる身として、俺は妹と一緒に神社の近くの畑へと出かけた。
「おお、思ったよりも人数がいるな」
「そりゃ、ここで掘った芋はその場で振る舞われるし、持って帰ることもできるんだもの。子どもがいる家なら参加すると思うよ?」
「ああ、そういえばそうだったな」
俺はあまり乗り気じゃないということで、あんまり細かいことは覚えていなかった。
そもそも、去年まではどうしてきていたのかも覚えていない。
うーん、誰かいたっけかな……。
「あたっ……」
俺の頭に、いきなり激痛が走る。
「お兄ちゃん、大丈夫?!」
俺の突然の大声に、真鈴が心配して寄り添ってくる。
そのタイミングで、不思議と痛みは引いてしまった。一体何だったんだろうか、今の痛みは。
「ああ、大丈夫だ。心配かけたな」
俺は真鈴に対して、笑顔を見せて反応を返しておく。俺の元気そうな顔を見たためか、真鈴は笑顔を見せてくれていた。
とはいえ、突然襲ってきた痛みは、しばらくの間、俺の心に引っ掛かり続けていた。
さて、芋ほりにやってきた俺は、最近よく見るやつを視界に捉えた。
(なんだ、あいつも来ていたのか)
そいつは、ひと月くらい前に突然現れて、先生の家に居候している少女だ。
別世界からやってきたマーメイドのお姫様とかほざいている、マイとか名乗る少女だ。まあ、実際に下半身が魚になっているところを見たから、マーメイドっていうのは信じざるを得ないな。
それでも、その様子を見ている限りは、どう見てもどこにでもいる少女だ。今はちゃんと二本の足で立って歩いて動いているしな。
それだというのに、どうしてこうも気になってしまうのだろうな。マイの姿は俺の目を惹きつけてしまう。
「おい、真鈴」
「なによ、お兄ちゃん」
「なんでそんなに睨んでるんだ?」
「お兄ちゃんには関係ないでしょ」
俺が真鈴の方をちらりと見ると、マイのことをかなり毛嫌いしているのか、不機嫌そうな顔でじっと見つめていた。
さすがにこの場でそれは困るだろう。
ちょっと咎めてやると、ふいっと横を向いてへそを曲げてしまった。本当に、なんでそこまで嫌っているんだろうな。俺にはまったく分からん。
この分だと、芋ほり中に何かが起こるかもしれないな。俺はマイとちょっと言葉を交わすと、真鈴をマイから引き離すために、別々の畑へと向かっていった。
そのかいあってか、特に何も起こることなく、芋ほりは無事に終わった。
掘ったばかりの芋を堪能させてもらったが、違いはよく分からなかった。
その後、俺たちは袋いっぱいのジャガイモとサツマイモを持って家へと帰ることになる。
その際、マイの方をちらりと見てみたが、先生と手をつないで、それは嬉しそうな笑顔を浮かべていた。その姿を確認して、俺は真鈴と一緒に家路につく。
「お兄ちゃん。さっき、どこを見てたのよ」
「どこだっていいだろ。そんなに気になるのか?」
畑から離れてしばらくした時だった。急に真鈴が少し怒ったような声で俺に文句を言ってくる。
だが、どうにも理不尽に思えた俺は、あんまりまともに取りあうことはしなかった。真鈴の不満の声は、だいたいマイが絡んだ時に出てくるからな。
正直、俺には真鈴の態度がよく分からない。
俺からしてみれば、海岸に打ち上げられた少女のその後が気になるだけだからな。助けた相手を気にして何が悪いということだ。
まったく、女の心というのはまったくもって理解ができないな。
「むぅ……、お兄ちゃんは私のなんだから。ぜーったいにマイちゃんには渡さないわ」
「はいはい。でもな、一応相手は年下なんだから、そこまで邪険に扱わないでやってくれ。マイには頼れる相手が俺たちしかいないんだから」
「……お兄ちゃんがそういうのなら、しょうがないわね。親切にして、恩を売りまくってやるわよ」
「……反省してないなぁ」
俺は真鈴の態度を見て、首を振りながらため息をつく。
真鈴は中学一年生だから、きっと難しい年ごろなんだろうな。まったく、そのせいで余計に言動の一つ一つの理解に苦しむというものだ。
だけど、一応俺の妹だから、優しくしてやらないといけないだろう。
そう思った俺は、真鈴の頭に手を置いて、軽く撫でまわしてやることにした。
「お兄ちゃん」
真鈴が前を見たまま声をかけてくる。
「なんだ、真鈴」
「土を触った手で頭撫でないでよ。汚れるじゃないの」
「あっ、悪い」
機嫌を取ろうとしたら、逆に怒られてしまった。
でも、ちょっと照れてるように見えるのはどうしてだろうかな。
はあ、しょうがない。今日の夕食は、俺も母さんを手伝って作るとするかな。
俺は隣で歩く妹の真鈴を見ながら、家へとゆっくり帰っていった。
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