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第36話 応援する気持ちは一緒
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「んもうっ! なんて強さなのよーっ!」
試合が終わった時、真鈴ちゃんは悔しそうに地団太を踏んでいた。
相手の高校は、全国大会にたまに出ることのある強豪校。この結果はやむを得ないかなって感じだわね。
でも、本来の試合の半分の時間でこの点差はとんでもない強さだわ。
「さすが強豪校はそれだけ練習をしてきているってことだろうな」
「お兄ちゃんたちも練習しているのに、こんなの不公平よ」
「まあ、そうだな」
真鈴ちゃんは頬を膨らませて、ものすごく不満そうだった。うん、気持ちは分かるわよ。
私だって、海斗の試合をしている姿を見るのはこれが初めてだもの。まさかこんな結果になるなんて思ってもみなかったわ。
だけど、海斗たちはそれほど休む間もなく、次の試合に臨む。
次の相手は全国大会の常連。さっき戦った相手よりもさらに強い高校だわ。さっきの相手でもボロボロだったのに、それより強いとなると、更なる悲惨な結果が待っていることは想像に難くない。
私は強く胸の前で手を握って、海斗たちを応援してしまう。
狭いコートの中で入り乱れる十人の選手たち。だけど、私はやっぱり海斗の姿を追ってしまう。海斗の一挙手一投足に、一喜一憂してしまう。
(やっぱり、私って海斗のことが好きなんだなぁ……)
無意識に目で追ってしまっていたことを自覚すると、私はついおかしくて笑ってしまう。
「ちょっと、お兄ちゃんたち負けてるのに、そんな風に笑わないでよ」
「あっ、ごめんね」
不機嫌そうな真鈴ちゃんの声に我に返ると、苦笑いになって私は答えてしまう。
私の顔を見た真鈴ちゃんは、ますます不機嫌になっていたわ。
結局、次の強豪相手の練習試合も、一試合目と同じような大惨敗っぷりだった。
「くっそーっ! 力の差は分かってたけど、ここまでだとさすがに悔しさすら湧いてこないぜ」
ここまで二試合終えた海斗は、床に足を放り出した状態で座り込みながら、正直な気持ちを叫んでいた。
「渡、あんまりはっきりそういうことを言うんじゃない。多分、相手も同じ気持ちだろうが、まだその相手との一試合が残っているんだからな」
「分かりましたよ、キャプテン」
海斗がチームメイトからお小言を食らっていた。
って、彼がキャプテンになってたのか。
誰かっていうと、転生前の私の最後のクラスの委員長よ。真面目な優等生なんだけど、まさかバスケット部のキャプテンになっているとはね……。世の中分からないものだわ。
私がじっと見ていると、そのキャプテンがこっちをちらりと見てくる。
「ほら、家族も見守っているんだろう? もうちょっと、しっかりした姿を見せてやりなよ、渡」
一瞬ドキッとしたけど、なるほど、海斗に私たちの姿を見せるために顔を向けたのか。私のことに気が付いたのかと思ったわよ。
そうかと思ったら、私の方を見て、ちょっと笑った気がした。
「分かったよ。最後は同じような実力の相手だ。これは絶対に負けねえからな」
「その意気だ。俺たちの実力もよく分かったことだし、この練習試合はいい収穫にしようじゃないか」
「だな、キャプテン」
キャプテンに言われて、海斗は立ち上がって気合いを入れていた。
そして、最後の練習試合に臨む。
相手は似たような実力の高校だけど、わずかにこっちの高校の方が対戦成績が悪い。だけど、どちらも三連敗を避けたい気持ちがあるはず。
海斗たちは、休憩時間を終えて、再びコートに集合していた。
「うぬぬぬ、さすがに全部負けるところは見たくないわ」
「それは私も同じ気持ちよ」
「しょうがない。今だけは一緒に応援しましょう」
「ええ、そうね」
普段は私に対してあんまりいい顔をしてくれない真鈴ちゃんだけど、今回ばかりは一緒に応援することになった。
まったく、真鈴ちゃんも海斗のことが相当好きなのね。やっぱり兄妹だからかな?
とりあえず、普段のことは忘れて、海斗のことを一生懸命応援しなきゃね。
目の前では、試合開始のジャンプボールが行われている。そこに立っているのは、やっぱり海斗だった。
「いっけーっ、お兄ちゃーんっ!」
私たちの声援が届いたのか、このジャンプボールもしっかり海斗がものにしていた。三試合とも取ってるんだから、本当にすごいわね。
試合を見ていると、海斗たちだって決して下手っていうわけじゃないのよね。相手がうますぎるっていう感じ。
だって、この第三試合の相手は、海斗たちからボールをあまり奪えないでいるもの。
時々試みられるスルーポイントシュートの精度だってあんまりよくない。なるほど、こういうところで相手に差をつけられてたってわけか。
結果、終わってみればワンシュート分の二点差で海斗たちの勝利となった。
「よっしゃーっ!」
試合終了のホイッスルが響き渡った瞬間、海斗の叫び声がコートの中に響き渡っていた。
そのあまりにも大きな声に、私と真鈴ちゃんはつい笑ってしまっていた。
「お兄ちゃん、本当に嬉しそうよね」
「本当。よっぽど立て続けに負けたのが悔しかったんでしょうね」
「うんうん」
お互いに頷いていたはずなんだけど、真鈴ちゃんは急に何かを思い出したかのように動きを止めた。
「か、勘違いしないでよ。さ、さっきまでは一時休戦してただけなんだから。あなたのことは、絶対に認めないんだから」
「ふふふっ、真鈴ちゃんてば可愛い」
「ふ、ふざけないでよ!」
私は思わず真鈴ちゃんに抱きついていた。
真鈴ちゃんの態度は相変わらずだけど、ちょっと距離が縮まったかなと思う日曜日だったわ。
試合が終わった時、真鈴ちゃんは悔しそうに地団太を踏んでいた。
相手の高校は、全国大会にたまに出ることのある強豪校。この結果はやむを得ないかなって感じだわね。
でも、本来の試合の半分の時間でこの点差はとんでもない強さだわ。
「さすが強豪校はそれだけ練習をしてきているってことだろうな」
「お兄ちゃんたちも練習しているのに、こんなの不公平よ」
「まあ、そうだな」
真鈴ちゃんは頬を膨らませて、ものすごく不満そうだった。うん、気持ちは分かるわよ。
私だって、海斗の試合をしている姿を見るのはこれが初めてだもの。まさかこんな結果になるなんて思ってもみなかったわ。
だけど、海斗たちはそれほど休む間もなく、次の試合に臨む。
次の相手は全国大会の常連。さっき戦った相手よりもさらに強い高校だわ。さっきの相手でもボロボロだったのに、それより強いとなると、更なる悲惨な結果が待っていることは想像に難くない。
私は強く胸の前で手を握って、海斗たちを応援してしまう。
狭いコートの中で入り乱れる十人の選手たち。だけど、私はやっぱり海斗の姿を追ってしまう。海斗の一挙手一投足に、一喜一憂してしまう。
(やっぱり、私って海斗のことが好きなんだなぁ……)
無意識に目で追ってしまっていたことを自覚すると、私はついおかしくて笑ってしまう。
「ちょっと、お兄ちゃんたち負けてるのに、そんな風に笑わないでよ」
「あっ、ごめんね」
不機嫌そうな真鈴ちゃんの声に我に返ると、苦笑いになって私は答えてしまう。
私の顔を見た真鈴ちゃんは、ますます不機嫌になっていたわ。
結局、次の強豪相手の練習試合も、一試合目と同じような大惨敗っぷりだった。
「くっそーっ! 力の差は分かってたけど、ここまでだとさすがに悔しさすら湧いてこないぜ」
ここまで二試合終えた海斗は、床に足を放り出した状態で座り込みながら、正直な気持ちを叫んでいた。
「渡、あんまりはっきりそういうことを言うんじゃない。多分、相手も同じ気持ちだろうが、まだその相手との一試合が残っているんだからな」
「分かりましたよ、キャプテン」
海斗がチームメイトからお小言を食らっていた。
って、彼がキャプテンになってたのか。
誰かっていうと、転生前の私の最後のクラスの委員長よ。真面目な優等生なんだけど、まさかバスケット部のキャプテンになっているとはね……。世の中分からないものだわ。
私がじっと見ていると、そのキャプテンがこっちをちらりと見てくる。
「ほら、家族も見守っているんだろう? もうちょっと、しっかりした姿を見せてやりなよ、渡」
一瞬ドキッとしたけど、なるほど、海斗に私たちの姿を見せるために顔を向けたのか。私のことに気が付いたのかと思ったわよ。
そうかと思ったら、私の方を見て、ちょっと笑った気がした。
「分かったよ。最後は同じような実力の相手だ。これは絶対に負けねえからな」
「その意気だ。俺たちの実力もよく分かったことだし、この練習試合はいい収穫にしようじゃないか」
「だな、キャプテン」
キャプテンに言われて、海斗は立ち上がって気合いを入れていた。
そして、最後の練習試合に臨む。
相手は似たような実力の高校だけど、わずかにこっちの高校の方が対戦成績が悪い。だけど、どちらも三連敗を避けたい気持ちがあるはず。
海斗たちは、休憩時間を終えて、再びコートに集合していた。
「うぬぬぬ、さすがに全部負けるところは見たくないわ」
「それは私も同じ気持ちよ」
「しょうがない。今だけは一緒に応援しましょう」
「ええ、そうね」
普段は私に対してあんまりいい顔をしてくれない真鈴ちゃんだけど、今回ばかりは一緒に応援することになった。
まったく、真鈴ちゃんも海斗のことが相当好きなのね。やっぱり兄妹だからかな?
とりあえず、普段のことは忘れて、海斗のことを一生懸命応援しなきゃね。
目の前では、試合開始のジャンプボールが行われている。そこに立っているのは、やっぱり海斗だった。
「いっけーっ、お兄ちゃーんっ!」
私たちの声援が届いたのか、このジャンプボールもしっかり海斗がものにしていた。三試合とも取ってるんだから、本当にすごいわね。
試合を見ていると、海斗たちだって決して下手っていうわけじゃないのよね。相手がうますぎるっていう感じ。
だって、この第三試合の相手は、海斗たちからボールをあまり奪えないでいるもの。
時々試みられるスルーポイントシュートの精度だってあんまりよくない。なるほど、こういうところで相手に差をつけられてたってわけか。
結果、終わってみればワンシュート分の二点差で海斗たちの勝利となった。
「よっしゃーっ!」
試合終了のホイッスルが響き渡った瞬間、海斗の叫び声がコートの中に響き渡っていた。
そのあまりにも大きな声に、私と真鈴ちゃんはつい笑ってしまっていた。
「お兄ちゃん、本当に嬉しそうよね」
「本当。よっぽど立て続けに負けたのが悔しかったんでしょうね」
「うんうん」
お互いに頷いていたはずなんだけど、真鈴ちゃんは急に何かを思い出したかのように動きを止めた。
「か、勘違いしないでよ。さ、さっきまでは一時休戦してただけなんだから。あなたのことは、絶対に認めないんだから」
「ふふふっ、真鈴ちゃんてば可愛い」
「ふ、ふざけないでよ!」
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