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第37話 邪魔はさせない
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ニックは、自分が持っている金属を地面に埋まった金属とをぴたりとくっつける。
「おい、ニック。何をする気だ」
アーツが声を上げる。
それとほぼ同時だった。
「グワアアアアッ!!」
どこからともなく雄たけびが聞こえてくる。
「げっ、この声は恐竜か!?」
思わぬ咆哮に、アーツたちが慌てふためている。
「おい、いったん逃げるぞ」
「いえ、僕は逃げません」
「なんでだよ!」
ニックは残ると言い放つので、アーツが声を荒げて理由を問い質す。
「この金属がここに戻りたがっているからです。僕には金属の声を聴く能力も芽生えたようですね。この金属が戻りたがっている以上、僕はここを動きません」
「何をわけの分からないことを。恐竜どもが来ちまうんだよ!」
アーツがどんなに騒ごうとも、ニックはまったく動かない。
「グワアアアアアアッ!!」
近くの岩場の陰から、恐竜がその顔をひょっこりと覗かせる。
ただ大きな雄たけびのせいで、そこには可愛らしさのかけらもなかった。
『数は一体だ。戦えなくはない』
「本当なのね、それは」
『ああ、オランジュ、空から奴の気を引いてくれ』
『御意に』
元がハチとあって空が飛べるオランジュが、そのまま恐竜目がけて飛んでいく。
『デカブツよ。お前の相手はこの私だ』
「グワアッ!!」
オランジュが挑発をすれば、恐竜は再び雄たけびを上げる。
短い前脚を振り回すが、動きの素早いオランジュに当たるどころか、届くことすらなかった。
『どこを狙っている。自分との距離感も、自分の攻撃範囲も捉え切れていないのか』
オランジュは余裕の笑みを浮かべている。
ところが、それは間違いだったことを次の瞬間思い知らされる。
『なっ!』
攻撃は確かに空振りしたものの、短い腕から繰り出された斬撃が、地面を深くえぐっていたのだ。
なんてことだろうか。恐竜の短い腕が素早く振り抜かれたことで、そこから衝撃波が発生していたのだ。
恐竜のくせに、口から吐く火以外にも飛び道具を持っているのである。なんという反則的な存在なのだろうか。
オランジュが改めて顔を見上げてみると、恐竜が笑っているように見える。
『このデカブツがあっ!!』
さすがにイラついて、オランジュは恐竜へと向けて突っ込んでいく。
突進するオランジュに対して、恐竜は大きく息を吸い込む。火を吐く予備動作だ。
『私は一度死んだ身。炎に焼かれることなど、怖くもないわ!』
オランジュは構わず突撃していく。
その目の前を二本のレーザーが通り過ぎる。
「いっけぇっ!」
アーツが放った閃光銃だ。
目の前を通り過ぎたレーザーはくるりと曲がり、恐竜の目へ向けて突き進む。
「ギャアアッ!!」
見事、アーツが放ったレーザーが恐竜の両眼を貫いた。
「よしっ、これであの恐竜は目が見えなくなったぞ」
アーツが勝ち誇ったのも束の間、恐竜の顔がぐるりとアーツの方を向く。
「げっ!」
思わぬ対象の変更に、アーツは驚いて固まってしまう。
「させるかあっ!」
怪力で巨木を引っこ抜いたレンクスが、恐竜目がけて投げつける。
ところが、その勢いはあまりよくなく、このままでは恐竜が火を吐く方が早いようだった。
「お願い、間に合って!」
クロノが祈るように叫ぶ。
それとほぼ同時に、レンクスが投げた巨木の速度が上がったような気がした。
「フゴォッ!!」
恐竜が火を噴くよりも早く、レンクスの投げた巨木が恐竜の下あごを直撃する。その衝撃によって行き場を失った炎は、恐竜の体の中へと逆流する。
「ギャアアアスッ!!」
自分の吐こうとした火で体の中を焼かれた恐竜はそのまま動かなくなってしまう。
『ちょっと、私の攻撃がまだだっていうのに、勝手に倒れないでくれないかな!?』
オランジュは力尽きて倒れようとする恐竜に対して苛ついていた。なにせ爪の風圧で真っ二つにされかけたのだ。この恨みを晴らさでかというわけである。
『トドメ!』
恐竜の顔の前まで飛び上がったオランジュは、そのままお尻の針を恐竜の眉間に突き刺した。
これが本当にトドメになったらしく、恐竜はそのまま力なくその場に倒れてしまったのだった。
「よっしゃーっ!」
アーツが喜びで飛び上がっている。
「何だったんだ、今のは」
「どうしたんだよ、レンクス」
喜ぶアーツの隣で、レンクスが難しい顔をしている。
「いや、俺の投げた木は間違いなく間に合わないはずだった。だけど、急に速度が上がったような気がするんだよな」
「そうか? 俺には分からなかったがな」
「……そうか。気のせいかな」
アーツがきょとんとしているので、レンクスも気のせいだと思うことにした。
(でも、間違いなく加速してたはずだよな……?)
ニックたちのところに戻りながら、レンクスは恐竜がいた方向を何度も振り返っていた。
『こらっ! 私を置いていくでない』
恐竜にとどめを刺してご満悦だったオランジュも、アーツたちの動きに気が付いて慌てて合流するのだった。
突然現れた恐竜をいう脅威を、協力して打ち破ったアーツたち。
これで安心して、金属とにらめっこをするニックを見守ることができるというものである。
ノワールが拾った金属と、地面に埋まっている金属。その間には一体どんな関係があるというのだろうか。
「おい、ニック。何をする気だ」
アーツが声を上げる。
それとほぼ同時だった。
「グワアアアアッ!!」
どこからともなく雄たけびが聞こえてくる。
「げっ、この声は恐竜か!?」
思わぬ咆哮に、アーツたちが慌てふためている。
「おい、いったん逃げるぞ」
「いえ、僕は逃げません」
「なんでだよ!」
ニックは残ると言い放つので、アーツが声を荒げて理由を問い質す。
「この金属がここに戻りたがっているからです。僕には金属の声を聴く能力も芽生えたようですね。この金属が戻りたがっている以上、僕はここを動きません」
「何をわけの分からないことを。恐竜どもが来ちまうんだよ!」
アーツがどんなに騒ごうとも、ニックはまったく動かない。
「グワアアアアアアッ!!」
近くの岩場の陰から、恐竜がその顔をひょっこりと覗かせる。
ただ大きな雄たけびのせいで、そこには可愛らしさのかけらもなかった。
『数は一体だ。戦えなくはない』
「本当なのね、それは」
『ああ、オランジュ、空から奴の気を引いてくれ』
『御意に』
元がハチとあって空が飛べるオランジュが、そのまま恐竜目がけて飛んでいく。
『デカブツよ。お前の相手はこの私だ』
「グワアッ!!」
オランジュが挑発をすれば、恐竜は再び雄たけびを上げる。
短い前脚を振り回すが、動きの素早いオランジュに当たるどころか、届くことすらなかった。
『どこを狙っている。自分との距離感も、自分の攻撃範囲も捉え切れていないのか』
オランジュは余裕の笑みを浮かべている。
ところが、それは間違いだったことを次の瞬間思い知らされる。
『なっ!』
攻撃は確かに空振りしたものの、短い腕から繰り出された斬撃が、地面を深くえぐっていたのだ。
なんてことだろうか。恐竜の短い腕が素早く振り抜かれたことで、そこから衝撃波が発生していたのだ。
恐竜のくせに、口から吐く火以外にも飛び道具を持っているのである。なんという反則的な存在なのだろうか。
オランジュが改めて顔を見上げてみると、恐竜が笑っているように見える。
『このデカブツがあっ!!』
さすがにイラついて、オランジュは恐竜へと向けて突っ込んでいく。
突進するオランジュに対して、恐竜は大きく息を吸い込む。火を吐く予備動作だ。
『私は一度死んだ身。炎に焼かれることなど、怖くもないわ!』
オランジュは構わず突撃していく。
その目の前を二本のレーザーが通り過ぎる。
「いっけぇっ!」
アーツが放った閃光銃だ。
目の前を通り過ぎたレーザーはくるりと曲がり、恐竜の目へ向けて突き進む。
「ギャアアッ!!」
見事、アーツが放ったレーザーが恐竜の両眼を貫いた。
「よしっ、これであの恐竜は目が見えなくなったぞ」
アーツが勝ち誇ったのも束の間、恐竜の顔がぐるりとアーツの方を向く。
「げっ!」
思わぬ対象の変更に、アーツは驚いて固まってしまう。
「させるかあっ!」
怪力で巨木を引っこ抜いたレンクスが、恐竜目がけて投げつける。
ところが、その勢いはあまりよくなく、このままでは恐竜が火を吐く方が早いようだった。
「お願い、間に合って!」
クロノが祈るように叫ぶ。
それとほぼ同時に、レンクスが投げた巨木の速度が上がったような気がした。
「フゴォッ!!」
恐竜が火を噴くよりも早く、レンクスの投げた巨木が恐竜の下あごを直撃する。その衝撃によって行き場を失った炎は、恐竜の体の中へと逆流する。
「ギャアアアスッ!!」
自分の吐こうとした火で体の中を焼かれた恐竜はそのまま動かなくなってしまう。
『ちょっと、私の攻撃がまだだっていうのに、勝手に倒れないでくれないかな!?』
オランジュは力尽きて倒れようとする恐竜に対して苛ついていた。なにせ爪の風圧で真っ二つにされかけたのだ。この恨みを晴らさでかというわけである。
『トドメ!』
恐竜の顔の前まで飛び上がったオランジュは、そのままお尻の針を恐竜の眉間に突き刺した。
これが本当にトドメになったらしく、恐竜はそのまま力なくその場に倒れてしまったのだった。
「よっしゃーっ!」
アーツが喜びで飛び上がっている。
「何だったんだ、今のは」
「どうしたんだよ、レンクス」
喜ぶアーツの隣で、レンクスが難しい顔をしている。
「いや、俺の投げた木は間違いなく間に合わないはずだった。だけど、急に速度が上がったような気がするんだよな」
「そうか? 俺には分からなかったがな」
「……そうか。気のせいかな」
アーツがきょとんとしているので、レンクスも気のせいだと思うことにした。
(でも、間違いなく加速してたはずだよな……?)
ニックたちのところに戻りながら、レンクスは恐竜がいた方向を何度も振り返っていた。
『こらっ! 私を置いていくでない』
恐竜にとどめを刺してご満悦だったオランジュも、アーツたちの動きに気が付いて慌てて合流するのだった。
突然現れた恐竜をいう脅威を、協力して打ち破ったアーツたち。
これで安心して、金属とにらめっこをするニックを見守ることができるというものである。
ノワールが拾った金属と、地面に埋まっている金属。その間には一体どんな関係があるというのだろうか。
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