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第43話 待ち伏せる恐怖
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地下空間から外へと出ようとするアーツたちだったが、もう少しで地上というところで、オランジュに止められる。
「アーツ、外に恐竜たちが集まってきているみたい」
「なんだって!?」
ブランの通訳を通じて、外に恐竜が集まっていることを知ることになった。
「くそっ、なんだってこんな時に……」
あまりにも間が悪いために、アーツの表情が歪む。
「突然止まるなよ。落っこちたらただじゃ済まねえんだぞ!?」
しんがりを進むレンクスが文句を言っている。
「悪い。外には恐竜が集まってきているらしい。このままじゃ外に出れないようだ」
「なんだと!?」
レンクスもアーツと同じような反応を示している。
「もしかして、ここの人たちが最終的にみんな死んでしまったのは……」
「可能性はありますね。外には恐竜たちがいて、食料の調達が困難になったのでしょう。おそらくはみんな餓死ですね」
「そんな……!」
ニックたちの推測に、ブランは悲痛な声を漏らしている。
「ありえなくはないな。外に出た瞬間、あいつらの餌食になる可能性は高い。外に出ても食われるだけだし、少しでも生きていようと考えて閉じこもったんだろう……」
「痛ましいわね」
なんとも言えない不運である。
そもそも恐竜を蘇らせようとしなければ、こんなことにはならなかっただろう。そうすれば、事故で別の変な空間から余計なことを招き入れずに、無事に帰ることができたはずだ。
とはいえ、ここでそんなことを言っていたもすべてはもうただの結果論。
それよりも、この状況をどうやって打破するかの方が問題である。
「……俺がおとりになる。その間に、みんなは横穴に逃げ込んでくれ」
「アーツ!」
覚悟を決めたアーツの言葉に、クロノが叫ぶ。
「閃光剣と閃光銃を持っていて、それを自在に操る俺の能力なら、きっと対抗できると思うんだ」
「危険よ、アーツ」
「そういっても、クロノ。ここにいたら、あの遺体の二の舞になるんだ。だったら、少しでも可能性に賭けてみるしかねえだろ」
アーツの訴えに、クロノは黙ることしかできなかった。
「みんなもそれでいいな?」
アーツの真剣な声に、レンクスたちも黙って頷くことしかできなかった。
「ノワールたちはクロノたちを頼むぞ。横穴に逃げ込めるように援護してくれ」
『心得た』
こうして、地下空間から脱出する決死の作戦が実行に移される。
「いくぜっ!」
最初に勢いよくアーツが外に飛び出ていく。
「おらっ、デカブツども! 餌はこっちだぜ!」
アーツは早速恐竜たちを挑発する。集まってきている恐竜たちすべての気を引くために、かなり大げさに振る舞っている。
(ノワールが言っていた通り、かなりの数が集まっているな。さすがに厳しいだろうが、あいつらを逃がすためだ。できる限りやってやるぜ!)
ちらりと見ただけでも、恐竜は四体ほど見える。
アーツは気を引くことを目的に、わざと外して閃光銃を一発お見舞いする。
「グオオオオオオッ!!」
閃光銃がかすった恐竜が、大きな雄たけびを上げている。
アーツの狙い通りに、視線が自分の方へと向いた。
(よし、そのまま来い。あいつらにはなんとしても無事に逃げてもらわねえといけないからな)
続けてアーツは、恐竜の一体の目に向けて閃光銃を放つ。
だが、二発目を簡単に食らうような恐竜ではなかった。
「甘いな!」
とっさに能力を使う。
避けられた閃光銃の軌跡がぐぐぐっと曲がって恐竜の方へと戻ってくる。
「ギャアアアアスッ!」
恐竜の左目を見事に潰すことに成功する。アーツもだいぶ能力の使い方に慣れてきたものである。
「あいつらが逃げ込むまで、お前らの相手は俺だ! おらぁっ、かかって来いやぁっ!」
アーツは閃光剣も取り出して、恐竜へと向かっていく。
自分の十倍以上の大きさのある恐竜数体を相手に、アーツは決死の突撃を仕掛けていく。
アーツは、クロノたちが無事に横穴に到達するまで恐竜たちの気を引き続けていられるのか。そして、無事にアーツも合流できるのか。
命を賭した戦いが、本格的に始まったのである。
―――
「アーツ、大丈夫かしら」
「そうですね。閃光剣と閃光銃を自在に操れるとはいえ、あの巨体を複数体相手にするんです。勝ち目はほとんどないでしょう」
「そんな……!」
ニックの冷静な分析に、クロノは嘘だと思いたかった。
「とにかく、僕たちが安全を確保することは最優先です。それからアーツを助ける方法を考えましょう」
「……分かったわ」
あまりにも残酷な現実に、クロノはなかなかニックの意見を素直に受け入れられなかった。
(死ぬなんて、絶対嘘よね、アーツ。航宙船のことをずっと気にかけているし、ここで死ぬような人じゃないでしょう?)
クロノはちらりとアーツの方へと視線を向ける。
「アーツ!」
その時飛び込んできた光景に、クロノは思わず叫んでしまう。
「ダメですよ、クロノ! 何のためにアーツが体を張っていると思ってるんですか!」
「嫌よ、あのままじゃアーツが!」
クロノが目撃した光景は、アーツが恐竜に取り囲まれて火を吐かれようとしている瞬間だった。
いくら能力を持っていたとしても、四体から同時に火を浴びせられては、アーツもひとたまりもないはずだ。
「アーツ!」
クロノが叫んだ時、思わぬできごとがクロノたちに起きたのだ。
「アーツ、外に恐竜たちが集まってきているみたい」
「なんだって!?」
ブランの通訳を通じて、外に恐竜が集まっていることを知ることになった。
「くそっ、なんだってこんな時に……」
あまりにも間が悪いために、アーツの表情が歪む。
「突然止まるなよ。落っこちたらただじゃ済まねえんだぞ!?」
しんがりを進むレンクスが文句を言っている。
「悪い。外には恐竜が集まってきているらしい。このままじゃ外に出れないようだ」
「なんだと!?」
レンクスもアーツと同じような反応を示している。
「もしかして、ここの人たちが最終的にみんな死んでしまったのは……」
「可能性はありますね。外には恐竜たちがいて、食料の調達が困難になったのでしょう。おそらくはみんな餓死ですね」
「そんな……!」
ニックたちの推測に、ブランは悲痛な声を漏らしている。
「ありえなくはないな。外に出た瞬間、あいつらの餌食になる可能性は高い。外に出ても食われるだけだし、少しでも生きていようと考えて閉じこもったんだろう……」
「痛ましいわね」
なんとも言えない不運である。
そもそも恐竜を蘇らせようとしなければ、こんなことにはならなかっただろう。そうすれば、事故で別の変な空間から余計なことを招き入れずに、無事に帰ることができたはずだ。
とはいえ、ここでそんなことを言っていたもすべてはもうただの結果論。
それよりも、この状況をどうやって打破するかの方が問題である。
「……俺がおとりになる。その間に、みんなは横穴に逃げ込んでくれ」
「アーツ!」
覚悟を決めたアーツの言葉に、クロノが叫ぶ。
「閃光剣と閃光銃を持っていて、それを自在に操る俺の能力なら、きっと対抗できると思うんだ」
「危険よ、アーツ」
「そういっても、クロノ。ここにいたら、あの遺体の二の舞になるんだ。だったら、少しでも可能性に賭けてみるしかねえだろ」
アーツの訴えに、クロノは黙ることしかできなかった。
「みんなもそれでいいな?」
アーツの真剣な声に、レンクスたちも黙って頷くことしかできなかった。
「ノワールたちはクロノたちを頼むぞ。横穴に逃げ込めるように援護してくれ」
『心得た』
こうして、地下空間から脱出する決死の作戦が実行に移される。
「いくぜっ!」
最初に勢いよくアーツが外に飛び出ていく。
「おらっ、デカブツども! 餌はこっちだぜ!」
アーツは早速恐竜たちを挑発する。集まってきている恐竜たちすべての気を引くために、かなり大げさに振る舞っている。
(ノワールが言っていた通り、かなりの数が集まっているな。さすがに厳しいだろうが、あいつらを逃がすためだ。できる限りやってやるぜ!)
ちらりと見ただけでも、恐竜は四体ほど見える。
アーツは気を引くことを目的に、わざと外して閃光銃を一発お見舞いする。
「グオオオオオオッ!!」
閃光銃がかすった恐竜が、大きな雄たけびを上げている。
アーツの狙い通りに、視線が自分の方へと向いた。
(よし、そのまま来い。あいつらにはなんとしても無事に逃げてもらわねえといけないからな)
続けてアーツは、恐竜の一体の目に向けて閃光銃を放つ。
だが、二発目を簡単に食らうような恐竜ではなかった。
「甘いな!」
とっさに能力を使う。
避けられた閃光銃の軌跡がぐぐぐっと曲がって恐竜の方へと戻ってくる。
「ギャアアアアスッ!」
恐竜の左目を見事に潰すことに成功する。アーツもだいぶ能力の使い方に慣れてきたものである。
「あいつらが逃げ込むまで、お前らの相手は俺だ! おらぁっ、かかって来いやぁっ!」
アーツは閃光剣も取り出して、恐竜へと向かっていく。
自分の十倍以上の大きさのある恐竜数体を相手に、アーツは決死の突撃を仕掛けていく。
アーツは、クロノたちが無事に横穴に到達するまで恐竜たちの気を引き続けていられるのか。そして、無事にアーツも合流できるのか。
命を賭した戦いが、本格的に始まったのである。
―――
「アーツ、大丈夫かしら」
「そうですね。閃光剣と閃光銃を自在に操れるとはいえ、あの巨体を複数体相手にするんです。勝ち目はほとんどないでしょう」
「そんな……!」
ニックの冷静な分析に、クロノは嘘だと思いたかった。
「とにかく、僕たちが安全を確保することは最優先です。それからアーツを助ける方法を考えましょう」
「……分かったわ」
あまりにも残酷な現実に、クロノはなかなかニックの意見を素直に受け入れられなかった。
(死ぬなんて、絶対嘘よね、アーツ。航宙船のことをずっと気にかけているし、ここで死ぬような人じゃないでしょう?)
クロノはちらりとアーツの方へと視線を向ける。
「アーツ!」
その時飛び込んできた光景に、クロノは思わず叫んでしまう。
「ダメですよ、クロノ! 何のためにアーツが体を張っていると思ってるんですか!」
「嫌よ、あのままじゃアーツが!」
クロノが目撃した光景は、アーツが恐竜に取り囲まれて火を吐かれようとしている瞬間だった。
いくら能力を持っていたとしても、四体から同時に火を浴びせられては、アーツもひとたまりもないはずだ。
「アーツ!」
クロノが叫んだ時、思わぬできごとがクロノたちに起きたのだ。
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