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第12話 雨上がりの一日
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夜が明けて、ベニーが目を覚ます。
眠い目をこすりながら、顔を洗って服を着替える。
支度が済めば、朝のいつもの作業だ。
階段を上がっていき、導の灯の様子を確認する。
頂上で確認した導の灯は、今日も煌々と光を放っている。
「うん、異常なしね。それと……」
灯の状態を確認したベニーの視界に、外の景色が飛び込んでくる。
まだ夜が明け始めたところではあるものの、灯台の頂上からは外の景色がよく見える。その景色を見てみる限り、どうやら風雨は完全に治まっているようだった。
「雨がやんでいるわね。でも、一応念のため、周囲の魔法障壁はこのままにしておきましょうか」
まだ治まったばかりと見たベニーは、念のために障壁を発動したままにしておく。
朝の用事を済ませた後で、改めて判断をすることにしたのだった。
それというのも、ご先祖様の手記の中に、嵐が治まった直後に障壁を解除して、いろいろと困ったことが起きたというものがあったというものがあったからだ。
なので、ベニーは完全に落ち着くまで様子を見ることにしたというわけだ。
ただ、その内容は恥ずかしかったのかは分からないが、詳細が記載されていない。困ったことがあったのは事実だろうなという認識で後々に伝えられている。
朝食を終えて外に出ると、さすがは嵐になっていたということがよく分かる。
「水たまりが酷いわね。ぬかるみに足を取られて転ばないように気をつけなきゃ……」
でこぼこした地面には、大小さまざまな水たまりができていた。
水たまりのない場所も、水分を含んでぬかるんでいるようで、移動するにはちょっとばかり苦戦しそうな状態になっていた。
この状況には、ベニーはちょっとばかり慎重になっているようだ。
それはなぜか。
実はおろしたての新しい服を着ているからだ。
古い服だったら多少汚れようともあまり気にならないのだが、着用歴の短い新しい服となると、どういうわけかあまり汚したいとは思わないものだ。きれいなものはきれいなままにしておきたいのである。
しかし、昨日の風雨のせいで少し蓄えが減ってしまったので、少しでも補充をしておきたいベニーは意を決して草摘みと魔物狩りへと出かけていった。
「うう……、せっかくの服が泥だらけだよー……」
戻ってきたベニーは半べそ状態だった。
草摘みは問題がなかったのだが、問題は魔物狩りの方だった。
魔法罠には今日も一角ウサギが引っ掛かっていたのだが、捕まえようとしたところで激しく抵抗されてしまったのだ。
結果、足裏に付着していた泥をもろにかぶってしまい、服がどろどろになってしまったのだった。
「もう、動けなくなるだけの魔法罠じゃダメかな……。だけど、強力な魔法罠だと、無関係ないものまで危害を加えかねないし、難しいよね」
どろどろになりながらも、ベニーは魔法罠のことを考えていた。
今のベニーが使っている魔法罠は、微弱な麻痺を与えて動けなくするもの。狙った魔物だけを狩りたいので、そのような罠を設置しているのだ。
しかし、雨上がりの日にはそれが逆効果だと思い知らされてしまった。
「う~ん、あの罠だけだとこうなっちゃうのね。次からはもっと対策を考えないと……」
必死の抵抗のせいで全身泥だらけにされたベニーは、これを教訓に狩りの仕方を考え直すことにしたのだった。
灯台に戻ったベニーは、まずは泥だらけになった体をきれいさっぱりさせる。お昼からお風呂というのも、実にぜいたくなものだが仕方がない。
同様に泥だらけになった服は、浴槽の中できれいに洗っておく。お風呂のお湯がもったいないがための行動である。
泥だらけにして反省したのか、ベニーは新調する前に着ていた服を引っ張り出して着替える。今日みたいな日は新しい服を着ちゃいけないと学んだのだ。
泥にまみれた服をしっかりと洗い終えると、風通しのいい場所にしっかりと干しておく。
雨は上がったものの、まだ少し風がある。なので、先人たちの知恵で生み出された物を固定する魔法で、洗濯物が飛ばないようにロープにしっかりと固定させていた。
こんな魔法も生み出してくれて、代々の灯台守たちに感謝をするベニーである。
お昼を食べれば、すぐさま薬作りを開始する。
湿気はまだ残っているものの、これくらいならば誤差の範囲内。ベニーは積んできた草をしっかりと乾燥させてすりつぶしていく。
ちょっとした違いなら、自分の経験と先祖の知恵によってどうにかできるものだ。
とはいえ、薬の調合はその都度変化するので、作り終えたらしっかり鑑定することは忘れない。これによって、灯台守の薬はしっかりとした品質が保たれているのである。
あっという間に日が暮れてしまう。
「ふぅ、今日はいい天気だったわね。泥まみれになったのは最悪だったけど」
やることを終えると、ベニーは作業台の前で大きく伸びをする。
なんといっても、薬の調合中は座りっぱなしなのだ。同じ姿勢はきついというものだ。
「さてと、服は乾いているかしらね」
作業を終了すると、ベニーは昼に干した洗濯物を取り込みに行く。
時間としては短かったので不安だったけれど、どうやらすっかり乾いているようだった。
今日もいろいろあったけれど、概ね平和にベニーの一日は暮れていくのだった。
眠い目をこすりながら、顔を洗って服を着替える。
支度が済めば、朝のいつもの作業だ。
階段を上がっていき、導の灯の様子を確認する。
頂上で確認した導の灯は、今日も煌々と光を放っている。
「うん、異常なしね。それと……」
灯の状態を確認したベニーの視界に、外の景色が飛び込んでくる。
まだ夜が明け始めたところではあるものの、灯台の頂上からは外の景色がよく見える。その景色を見てみる限り、どうやら風雨は完全に治まっているようだった。
「雨がやんでいるわね。でも、一応念のため、周囲の魔法障壁はこのままにしておきましょうか」
まだ治まったばかりと見たベニーは、念のために障壁を発動したままにしておく。
朝の用事を済ませた後で、改めて判断をすることにしたのだった。
それというのも、ご先祖様の手記の中に、嵐が治まった直後に障壁を解除して、いろいろと困ったことが起きたというものがあったというものがあったからだ。
なので、ベニーは完全に落ち着くまで様子を見ることにしたというわけだ。
ただ、その内容は恥ずかしかったのかは分からないが、詳細が記載されていない。困ったことがあったのは事実だろうなという認識で後々に伝えられている。
朝食を終えて外に出ると、さすがは嵐になっていたということがよく分かる。
「水たまりが酷いわね。ぬかるみに足を取られて転ばないように気をつけなきゃ……」
でこぼこした地面には、大小さまざまな水たまりができていた。
水たまりのない場所も、水分を含んでぬかるんでいるようで、移動するにはちょっとばかり苦戦しそうな状態になっていた。
この状況には、ベニーはちょっとばかり慎重になっているようだ。
それはなぜか。
実はおろしたての新しい服を着ているからだ。
古い服だったら多少汚れようともあまり気にならないのだが、着用歴の短い新しい服となると、どういうわけかあまり汚したいとは思わないものだ。きれいなものはきれいなままにしておきたいのである。
しかし、昨日の風雨のせいで少し蓄えが減ってしまったので、少しでも補充をしておきたいベニーは意を決して草摘みと魔物狩りへと出かけていった。
「うう……、せっかくの服が泥だらけだよー……」
戻ってきたベニーは半べそ状態だった。
草摘みは問題がなかったのだが、問題は魔物狩りの方だった。
魔法罠には今日も一角ウサギが引っ掛かっていたのだが、捕まえようとしたところで激しく抵抗されてしまったのだ。
結果、足裏に付着していた泥をもろにかぶってしまい、服がどろどろになってしまったのだった。
「もう、動けなくなるだけの魔法罠じゃダメかな……。だけど、強力な魔法罠だと、無関係ないものまで危害を加えかねないし、難しいよね」
どろどろになりながらも、ベニーは魔法罠のことを考えていた。
今のベニーが使っている魔法罠は、微弱な麻痺を与えて動けなくするもの。狙った魔物だけを狩りたいので、そのような罠を設置しているのだ。
しかし、雨上がりの日にはそれが逆効果だと思い知らされてしまった。
「う~ん、あの罠だけだとこうなっちゃうのね。次からはもっと対策を考えないと……」
必死の抵抗のせいで全身泥だらけにされたベニーは、これを教訓に狩りの仕方を考え直すことにしたのだった。
灯台に戻ったベニーは、まずは泥だらけになった体をきれいさっぱりさせる。お昼からお風呂というのも、実にぜいたくなものだが仕方がない。
同様に泥だらけになった服は、浴槽の中できれいに洗っておく。お風呂のお湯がもったいないがための行動である。
泥だらけにして反省したのか、ベニーは新調する前に着ていた服を引っ張り出して着替える。今日みたいな日は新しい服を着ちゃいけないと学んだのだ。
泥にまみれた服をしっかりと洗い終えると、風通しのいい場所にしっかりと干しておく。
雨は上がったものの、まだ少し風がある。なので、先人たちの知恵で生み出された物を固定する魔法で、洗濯物が飛ばないようにロープにしっかりと固定させていた。
こんな魔法も生み出してくれて、代々の灯台守たちに感謝をするベニーである。
お昼を食べれば、すぐさま薬作りを開始する。
湿気はまだ残っているものの、これくらいならば誤差の範囲内。ベニーは積んできた草をしっかりと乾燥させてすりつぶしていく。
ちょっとした違いなら、自分の経験と先祖の知恵によってどうにかできるものだ。
とはいえ、薬の調合はその都度変化するので、作り終えたらしっかり鑑定することは忘れない。これによって、灯台守の薬はしっかりとした品質が保たれているのである。
あっという間に日が暮れてしまう。
「ふぅ、今日はいい天気だったわね。泥まみれになったのは最悪だったけど」
やることを終えると、ベニーは作業台の前で大きく伸びをする。
なんといっても、薬の調合中は座りっぱなしなのだ。同じ姿勢はきついというものだ。
「さてと、服は乾いているかしらね」
作業を終了すると、ベニーは昼に干した洗濯物を取り込みに行く。
時間としては短かったので不安だったけれど、どうやらすっかり乾いているようだった。
今日もいろいろあったけれど、概ね平和にベニーの一日は暮れていくのだった。
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