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第一章『ハンター・ルナル』
決着!ルナル対ジャグラー
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ジャグラーへ向けて、斬り上げからの連続突きが繰り出される。
決まったかのように思われた天閃破だったが、どうやら想像以上にルナルの動きが鈍っており、ジャグラーには剣先が軽く触れる程度にしか命中しなかった。普段は槍を使っているので、間合いを見誤ったのだろうか。
「ふふふ……ふははははははっ! どうした、啖呵を切った割には攻撃が届いておらぬぞ?」
予想外の腑抜けた攻撃に、ジャグラーは余裕の表情を見せてあざ笑っている。ところが、そのジャグラーの態度に対して、ルナルは不敵な笑みを浮かべてジャグラーを見ている。
「ふん、気でも触れたか。だが、今ので最後の力も使い切っただろう。ならばお望み通り、今すぐにでも……ぬぅ?!」
肩で大きく息をするルナルに対してとどめを刺そうとしたジャグラーだったが、その様子が突然おかしくなった。
「ぐっ……。な、なんだ? ち、力が入らぬ……ぞ?」
急に足元がおぼつかなくなるジャグラー。手に持っている杖を使って、どうにか立つ事ができるものの、全身が震えてしまっている。
この状況に、セインは何が起こったのか分からないでいる。だが、彼の隣に立つソルトとアカーシャは、微動だにせずにその様子を見つめている。まるで、何が起こったのか分かっているかのように。
「ジャグラー、この剣が何だかわかりますか?」
ルナルが目立つように自分の前に剣を掲げて、ジャグラーに話し掛ける。その剣を見たジャグラーの顔が、みるみるうちに驚きの色に染まっていく。
「そ、それは……、その剣は、まさかっ!?」
「ふふっ、そのまさか、ですよ」
ジャグラーの反応に、ルナルは少し青ざめた表情をしながらも、必死に笑みを浮かべている。
「バカな! お前はまさか、そんなものを持ってこの俺と戦っていたというのか? 我々魔族にとって、それは紛れもなく自殺行為だぞ!」
恐るべきものを持って立っているルナルの姿に、ジャグラーが激しくうろたえている。
「ええ、そんなもの、百も承知ですよ! わたしなりの”けじめ”というものです!」
ルナルはそのまま剣を構えて、ジャグラーに大声で言い放つ。
「さあ、ジャグラー! お前もまた罪なき者たちへの贖罪として、ここで果てるのです!」
しかし、ルナルの体力の消耗も相当のものだ。立っているのも不思議なくらいにふらついているものの、その瞳は眼光鋭くジャグラーを見据えている。
一方のジャグラーだってこのまま引き下がれるものかと、必死に杖を構えて応戦する様相だ。
「俺様は誇り高き魔族だ! このままおめおめと死ぬような事があってはならん! たとえ死ぬとしても一人では死なん。その時は、お前たちも道連れだ!」
ジャグラーは素早く懐から何かを取り出す。そして、魔力を使ってルナルたちに向けて飛ばした。
飛ばしたそれは、赤黒く光る『魔眼石』だった。
「くははははっ! さあ、石に取り込まれてしまえ!」
ジャグラーが叫ぶ。
だが、ルナル、ソルト、アカーシャの三人にそんな攻撃が通じるわけもなく、石を切り裂いてしまった。ところが、セインだけはそうはいかなかった。
「ぐっ!」
魔眼石がセインに直撃し、うめき声を上げる。
「くははははっ、ぬかったな! 武器を取り上げるからこんな事になるのだ。さあ、小僧だけでも俺の傀儡となれ!」
ジャグラーは勝ち誇ったかのように笑っているが、ルナルたちは誰もまったく動じていなかった。
「まったく、勝ったつもりでいるとは片腹痛いですね。お前の行動は予想のうちですし、放った魔眼石はわざとセインには命中させたのですよ。ちょっと確認したい事がありましたからね」
「なに?」
ルナルがそう言った瞬間、セインの体が眩く光る。そして、次の瞬間、セインの体に命中した魔眼石はセインの体に張り付いたままではあったものの、色を失って砂のように崩れ去ってしまっていくではないか。この様子を目の当たりにして、ジャグラーはただただ驚くしかなかった。
「ば、バカな……。この光はまさか、まさか奴はあの男の生まれ変わりだとでもいうのか!?」
「おそらくは。生まれ変わりではなく、その力が蘇ったと考えるべきでしょうかね。この剣は彼の家に代々受け継がれてきたものだと聞いていますから」
万策尽きたのか、ジャグラーは力なく首を垂れる。そして、しばらくすると突如として体を震わせ始め、
「くそっ! こうなったらやぶれかぶれだ! 誇り高き魔族として、せめてお前くらいは殺してやらねば気が済まぬ!」
顔を上げたジャグラーは目を血走らせてルナルに襲い掛かってきた。
「往生際が悪いですよ、ジャグラー!」
ルナルはどこまでも冷静だった。ふらつく体に力を籠め、剣に炎をまとわせる。
「鳳華落翼撃!」
垂直に跳び上がったルナルは、ジャグラー目がけて急降下する。体力と魔力、そして冷静さを欠いたジャグラーに、もうその攻撃を躱すだけの余力は残っていなかった。
「ぐはっ!!」
突き出されたルナルの剣にあえなく貫かれ、炎に包まれながらその場に崩れ落ちた。
「くくく……、俺様を倒した事は、褒めてやろう……」
ジャグラーはまだ生きていた。
「だがな、お前が人間側についたと知れば、一体どれくらいの魔族が、お前に対して牙を剥く、だろうかな……?」
瀕死の重傷を負い、炎に包まれながらも、ジャグラーの口は減る事を知らなかった。
「俺様を倒したくらいで……いい気になるなよ。もうすでに、多くの魔族が、動き、出している……。くくく……、その現実に、せいぜい苦しむ……んだな、……うぼぁっ!」
そして、言いたい事を言い終えるとついに息絶え、体は崩れ去り、魔力の霧となって散り散りになったのだった。
多くの者を操り苦しめてきたジャグラー。彼を討ち取り、その者たちの無念を晴らしたというのに、その場には何とも言えない、重苦しい空気が漂っていたのだった。
決まったかのように思われた天閃破だったが、どうやら想像以上にルナルの動きが鈍っており、ジャグラーには剣先が軽く触れる程度にしか命中しなかった。普段は槍を使っているので、間合いを見誤ったのだろうか。
「ふふふ……ふははははははっ! どうした、啖呵を切った割には攻撃が届いておらぬぞ?」
予想外の腑抜けた攻撃に、ジャグラーは余裕の表情を見せてあざ笑っている。ところが、そのジャグラーの態度に対して、ルナルは不敵な笑みを浮かべてジャグラーを見ている。
「ふん、気でも触れたか。だが、今ので最後の力も使い切っただろう。ならばお望み通り、今すぐにでも……ぬぅ?!」
肩で大きく息をするルナルに対してとどめを刺そうとしたジャグラーだったが、その様子が突然おかしくなった。
「ぐっ……。な、なんだ? ち、力が入らぬ……ぞ?」
急に足元がおぼつかなくなるジャグラー。手に持っている杖を使って、どうにか立つ事ができるものの、全身が震えてしまっている。
この状況に、セインは何が起こったのか分からないでいる。だが、彼の隣に立つソルトとアカーシャは、微動だにせずにその様子を見つめている。まるで、何が起こったのか分かっているかのように。
「ジャグラー、この剣が何だかわかりますか?」
ルナルが目立つように自分の前に剣を掲げて、ジャグラーに話し掛ける。その剣を見たジャグラーの顔が、みるみるうちに驚きの色に染まっていく。
「そ、それは……、その剣は、まさかっ!?」
「ふふっ、そのまさか、ですよ」
ジャグラーの反応に、ルナルは少し青ざめた表情をしながらも、必死に笑みを浮かべている。
「バカな! お前はまさか、そんなものを持ってこの俺と戦っていたというのか? 我々魔族にとって、それは紛れもなく自殺行為だぞ!」
恐るべきものを持って立っているルナルの姿に、ジャグラーが激しくうろたえている。
「ええ、そんなもの、百も承知ですよ! わたしなりの”けじめ”というものです!」
ルナルはそのまま剣を構えて、ジャグラーに大声で言い放つ。
「さあ、ジャグラー! お前もまた罪なき者たちへの贖罪として、ここで果てるのです!」
しかし、ルナルの体力の消耗も相当のものだ。立っているのも不思議なくらいにふらついているものの、その瞳は眼光鋭くジャグラーを見据えている。
一方のジャグラーだってこのまま引き下がれるものかと、必死に杖を構えて応戦する様相だ。
「俺様は誇り高き魔族だ! このままおめおめと死ぬような事があってはならん! たとえ死ぬとしても一人では死なん。その時は、お前たちも道連れだ!」
ジャグラーは素早く懐から何かを取り出す。そして、魔力を使ってルナルたちに向けて飛ばした。
飛ばしたそれは、赤黒く光る『魔眼石』だった。
「くははははっ! さあ、石に取り込まれてしまえ!」
ジャグラーが叫ぶ。
だが、ルナル、ソルト、アカーシャの三人にそんな攻撃が通じるわけもなく、石を切り裂いてしまった。ところが、セインだけはそうはいかなかった。
「ぐっ!」
魔眼石がセインに直撃し、うめき声を上げる。
「くははははっ、ぬかったな! 武器を取り上げるからこんな事になるのだ。さあ、小僧だけでも俺の傀儡となれ!」
ジャグラーは勝ち誇ったかのように笑っているが、ルナルたちは誰もまったく動じていなかった。
「まったく、勝ったつもりでいるとは片腹痛いですね。お前の行動は予想のうちですし、放った魔眼石はわざとセインには命中させたのですよ。ちょっと確認したい事がありましたからね」
「なに?」
ルナルがそう言った瞬間、セインの体が眩く光る。そして、次の瞬間、セインの体に命中した魔眼石はセインの体に張り付いたままではあったものの、色を失って砂のように崩れ去ってしまっていくではないか。この様子を目の当たりにして、ジャグラーはただただ驚くしかなかった。
「ば、バカな……。この光はまさか、まさか奴はあの男の生まれ変わりだとでもいうのか!?」
「おそらくは。生まれ変わりではなく、その力が蘇ったと考えるべきでしょうかね。この剣は彼の家に代々受け継がれてきたものだと聞いていますから」
万策尽きたのか、ジャグラーは力なく首を垂れる。そして、しばらくすると突如として体を震わせ始め、
「くそっ! こうなったらやぶれかぶれだ! 誇り高き魔族として、せめてお前くらいは殺してやらねば気が済まぬ!」
顔を上げたジャグラーは目を血走らせてルナルに襲い掛かってきた。
「往生際が悪いですよ、ジャグラー!」
ルナルはどこまでも冷静だった。ふらつく体に力を籠め、剣に炎をまとわせる。
「鳳華落翼撃!」
垂直に跳び上がったルナルは、ジャグラー目がけて急降下する。体力と魔力、そして冷静さを欠いたジャグラーに、もうその攻撃を躱すだけの余力は残っていなかった。
「ぐはっ!!」
突き出されたルナルの剣にあえなく貫かれ、炎に包まれながらその場に崩れ落ちた。
「くくく……、俺様を倒した事は、褒めてやろう……」
ジャグラーはまだ生きていた。
「だがな、お前が人間側についたと知れば、一体どれくらいの魔族が、お前に対して牙を剥く、だろうかな……?」
瀕死の重傷を負い、炎に包まれながらも、ジャグラーの口は減る事を知らなかった。
「俺様を倒したくらいで……いい気になるなよ。もうすでに、多くの魔族が、動き、出している……。くくく……、その現実に、せいぜい苦しむ……んだな、……うぼぁっ!」
そして、言いたい事を言い終えるとついに息絶え、体は崩れ去り、魔力の霧となって散り散りになったのだった。
多くの者を操り苦しめてきたジャグラー。彼を討ち取り、その者たちの無念を晴らしたというのに、その場には何とも言えない、重苦しい空気が漂っていたのだった。
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