1 / 7
神様は不公平
しおりを挟む
消毒の匂い。
「あなたは余命3ヶ月です。」
淡々とそう告げられた。
横には母と父と妹の泣き顔。私はそこまで取り乱していなかった。きっとこうも淡々と言われたら叫んだりなどできないだろう。
「もう手術は難しい状態ですので、彼女が望むことをさせてあげてください。」
教えて下さい。神様は不公平なのでしょうか。
私達は病院帰り、沈黙に包まれていた。
「私、写真撮りたいから、先帰っててもらってていい?」
「わかった。いっておいで!」
お母さんの妙に明るい声が私を苦しめる。早く1人になりたい。
カメラのメモリーには蟻の写真。猫の写真。ベンチの写真。人の写真。そして空の写真。他にもたくさんの写真がある。
「今日は…花の写真撮ろうかな」
あれ?何か後ろから大量の足音が近づいてくるけど、気のせいかな。
足音が止まる。
「深津京華さんでいらっしゃいますか?」
「はい、そうですけど何か…」
この人たち、異常に格好良すぎたりしませんか?まず何故私の名前を知っているのだろうか。
「突然ですが、願いをひとつ叶えましょう。」
「…え?」
「ですから、願いを叶えると言っているんです。」
「急に言われても…他の人とかに聞いたことありますか?」
「はい。」
「他の人はどんな願い事をするんですか?」
「ええと、例えばあなたの同年代くらいでは、可愛くなりたい、彼氏が欲しい、お金が欲しいとかですかね」
やっぱり女子高生はそんなちっぽけな願いなんだろう。努力さえすれば可愛くなんかなれるのに。
さっきまでとは違う声で、後ろの方の人が言った。
「京華ちゃんなら、カメラが欲しいとかでもいいんじゃない?もう十分可愛いし可愛くなりたいなんか言ったら逆にブスになりそう」
さっきと違って馴れ馴れしい気がする。
「じゃあ」
本当に、本当に一つだけ願いを叶えてくれるのだとしたら。私はもう決めている。
「もっと、もっと…長く生きたい」
そう言うと、美形集団が目を見開いた。
「あなたは余命3ヶ月です。」
淡々とそう告げられた。
横には母と父と妹の泣き顔。私はそこまで取り乱していなかった。きっとこうも淡々と言われたら叫んだりなどできないだろう。
「もう手術は難しい状態ですので、彼女が望むことをさせてあげてください。」
教えて下さい。神様は不公平なのでしょうか。
私達は病院帰り、沈黙に包まれていた。
「私、写真撮りたいから、先帰っててもらってていい?」
「わかった。いっておいで!」
お母さんの妙に明るい声が私を苦しめる。早く1人になりたい。
カメラのメモリーには蟻の写真。猫の写真。ベンチの写真。人の写真。そして空の写真。他にもたくさんの写真がある。
「今日は…花の写真撮ろうかな」
あれ?何か後ろから大量の足音が近づいてくるけど、気のせいかな。
足音が止まる。
「深津京華さんでいらっしゃいますか?」
「はい、そうですけど何か…」
この人たち、異常に格好良すぎたりしませんか?まず何故私の名前を知っているのだろうか。
「突然ですが、願いをひとつ叶えましょう。」
「…え?」
「ですから、願いを叶えると言っているんです。」
「急に言われても…他の人とかに聞いたことありますか?」
「はい。」
「他の人はどんな願い事をするんですか?」
「ええと、例えばあなたの同年代くらいでは、可愛くなりたい、彼氏が欲しい、お金が欲しいとかですかね」
やっぱり女子高生はそんなちっぽけな願いなんだろう。努力さえすれば可愛くなんかなれるのに。
さっきまでとは違う声で、後ろの方の人が言った。
「京華ちゃんなら、カメラが欲しいとかでもいいんじゃない?もう十分可愛いし可愛くなりたいなんか言ったら逆にブスになりそう」
さっきと違って馴れ馴れしい気がする。
「じゃあ」
本当に、本当に一つだけ願いを叶えてくれるのだとしたら。私はもう決めている。
「もっと、もっと…長く生きたい」
そう言うと、美形集団が目を見開いた。
0
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる