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28 マミ 語り合う (1)

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 夕食を済ませて一息ついてから一同帰宅し、
 
 「おれ、お風呂にしよっかな。」と、マミが。
「どーぞー。」と、何気無くフレナが応えて、
「じゃ、お先!」と、マミが地下の大浴場に向かう。
 
 
 「…うっわあ…、こりゃすごい…。」一糸纏わぬ裸身のマミが、
いささかあきれつつ、感嘆の声を上げる。
6名全員どころか十数名でもゆったりとくつろげる公衆浴場並みの
超大型浴槽には天然の温泉が引き込んであり、常に新たな湯が
流れ込み続けもう一方から流れ出し続けしかも浄化魔法で湯が清潔に
保たれ続けているという至れり尽くせり状態である。
天井も壁も床も上質の大理石で光沢を放っており、シャワーが8箇所、
各種装備各種入浴剤を取りそろえた個人浴槽が別個に6個、と、
各種設備も異様に整っている。
床の要所要所と言うか大部分には、転倒時の危険防止に
弾力性防水素材の上質な白いマットが敷いてあるのだが、
住んでいる6名全員常人よりも遥かに身体能力が高い猛者である事を思えば、
いささか気を利かせ過ぎの様でもある。
「…何もここまでしなくても…、まあいいか。」と、苦笑しつつ、
無意識に神界波動の虹の光粒子で全身を浄化しておいてから、
マミが、浴槽に。
湯に入る仕草が無造作で無防備なのだが、
それがかえって妙になまめかしい。
 
 
 ふと、フレナが、「・・・ねえみんな、」と。
「何?」と、何気無くたずねるミーユに、
フレナが、「…わたし達もマミちゃんと一緒にお風呂、入らない…?」と。
「!!!!」一気にミーユが真紅に頬を染め、
「…!!!」マリンも頬を染めて何だか肢体を揺らがせて、
「フレナ様…!!!?」と、頬を紅潮させたフィリスが取り乱し、
 
 「…何考えてるの、フレナ…?」と、クレイアの瞳がフレナを見据えて、
「…ん、まあ、いろいろと。」と、フレナが、なにげなく、
ほのかに深い瞳で。
「…わたし揉めない様にって言ったよね?」と、
いささか冷ややかなクレイアに、
「…まあ、思う所もあって…」と、フレナが。
ミーユが、「…フレナ…?」と、何かを感じている様な面差しで。
 
 「…気ぃ持ちいー……」と、心持ち伸びをして、微笑んで、マミが、
ふと、もの思う様に天井を見上げて、
 
浴室のドアを開ける音がする。
 
 「…おっじゃましまーす。」と、なにげなさをよそおう様なフレナの
声音が響いて、
フレナが、ミーユが、マリンが、フィリスが、クレイアが、入ってくる。
5人とも、一糸纏わぬ裸身で、タオルも巻いていない。
 
 「…え…、えええええ!!!!?」一気に頬を真紅に染めて、
マミが取り乱し、5人が、少しだけシャワーで身体を洗って、
水滴が光沢を放つ優美な裸身で、浴槽の方に迫ってくる。
 
 フレナの、ミーユの、マリンの、フィリスの、クレイアの、
可憐な乳首に、可愛らしい乳輪に、可憐な臍に、
可愛らしい秘めた所に、マミは、思わず視線を向けてしまって、
思わずしばらく見つめてしまって、
うろたえた様に視線をそらして、
 
「!!!!」あわてて浴槽の反対側の方へ退散するマミの方へ、
浴槽につかった5人が、容赦無く迫ってくる。
フレナは、ほのかに頬を染めてマミを見つめて。
ミーユは、頬を真紅に染めて何だか思いつめた様な面差しで。
マリンは、なんとなく気まずそうに頬を染めて。
フィリスは、思い切り頬を紅潮させて何だか申し訳無さそうな面差しで。
クレイアは、なんとなくマミの瞳を見据える様に。
 
 「どしたの、みんな!!!?」と、
何だかわずかにおびえている様な真紅の頬のマミに、
フレナが、「…まあ、なんて言うか、裸のお付き合いって事で…、
いいじゃない別に、女の子同士なんだし…!」と、わずかに微笑む。
「けど、おれ、元は男だし…、」と、なんだか申し訳無さそうに、
それでも何となく5人の裸を横目でちらちらとみてしまっているマミに、
「でも今は女の子でしょ?」と、フレナが。
 
 数瞬、間が有って、
ふと、フレナが、「…んー…」と、マミの瞳を見つめて、
「…何?」と、マミが少したじろいで、
 
フレナが、「…マミちゃん、
男に戻りたいって気持ち、あったりする…?」と。
 
 暫し、間が有って、
 
「えええええええ!!!!?」思い切りマミが取り乱して、
 
「…男に、って……、いやでも、転生してもう元の身体には
戻れないんだし…!!!!?」と。
 
 「…どういうつもり、フレナ…?」クレイアの鋭い瞳に、
「…はっきりさせておきたい事が、色々と…、」と、応えておいて、
フレナが、マミの瞳を見つめつつ、「…元には戻れない、っていうのは
解ってるわよ。でも、性転換能力で男になる、って事は可能でしょ?。 
今のマミちゃんが普通に性転換能力使ったら、顔はそのままで
女の子にしか見えないとびっきり可愛いくてきれいな男の子に
なるはずよね…?」と。
 
 ミーユも、フィリスも、マリンも、かなり愕然と、言葉を無くしたまま、
話を聞いている。
 
 真紅の頬のままで、「…そりゃそうだけど、
何でいきなりそんな事聞くの…?」と、たずねるマミに、
「…マミちゃんも知ってるはずよね。過去にも、神界の勇者として転生して、
エルクヴェリアの女の子との間に子孫を残した男性が幾人もいたって事。
中には、ハーレム作って複数の女の子に子供産ませた男性もいたって事。」
 
 「!!!!?」マミが、愕然と、裸身を揺らがせて湯が踊り、
「っ!!!!?、フレナ…っ!!!!?」あまりに動揺して酷く頬を
紅潮させたミーユが、言葉を震わせて。
 
 どうしようもなく頬を染めてしまいつつ、フレナが、「…今は女の子の
身体でも、マミちゃんの心の中には元の男性がいるはずでしょ?。
その、元の男性は、その辺りの事、どう感じているのかな、って…。」と。
 
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