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49 マミ達 バカンスに行く (1)

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***
 
 
 マミがあわてて、「あ!、いや、そんな…!!、おれも
したくて特訓の相手してたんで…!!、…その、正直な所、
みんなの可愛くてエロい姿を間近に観られて役得に感じてたのも
事実だし…、その、すみません……」と、頭を下げて、
 
みんな、どう応じたものか困惑気味になり、
 
マミが、やや気まずそうに微笑みつつ、「…まあとにかく、
ゆっくり観光させてもらえたらうれしいし、その、
フレナに気を遣ってもらってありがたいと思うし……」と。
 
フレナが頬を染めて、「…まあ、わたしが遊びたいっていうのも
正直あるんだけど……」と。
クレイアが、わずかにあきれている様な表情で、「…そっちが
メイン…?」と。
フレナが、「…うん。」と、素直にうなずいて。
 
結局6人全員で山岳地帯のほとりの湖にバカンスに行く事に
なったのである。
 
 
 
 まずレンタルしたのは8人宿泊可能な高質木材のコテージである。
地元の優良食材を時間指定で届けてもらえて自炊も可能。
手配その他はフィリスが意気込んで積極的にしている。
正体を隠して6人とも普段着で認識阻害魔術を発動させている。
 
 朝、
 
 「…うっわあ……!!!!!」ベランダから身を乗り出して、マミが、
観惚れて。
周囲の山は命あふれる緑の針葉樹林で、その合間に様々な
可憐な色合いの花々が、咲き乱れている。
その光景を磨き抜かれた鏡よりも遥かに美しく映し出しているのは、
済み通って青い湖水。動植物の健康を支える独特のミネラルの効果で
緑を刷いて優美で、時折穏やかなさざなみが過っている。
 
風は心持ち涼しくこの上なく心地良く、心を癒す独特の緑の匂いに
様々に甘い花の香りが加わって、空気がとても美味しい。
 
「…!!!!!」たまりかねてマミが、認識阻害を発動させたまま
蒼いハイレグビキニアーマー姿にチェンジしてしまい、
空へと飛び出してしまう。
「!!?っ、ちょっとマミちゃん!!!?」あわててフレナが
黄金のハイレグビキニアーマー姿になってマミの後を追って
飛んで行ってしまい、
 
「……」ミーユが少し茫然として、クレイアがあきれた様に、
「…え、あの、」フィリスがなんだか動揺気味に、その様子を見上げて、
「…ぼうっとしてたら損…っ!!!」と、マリンが、
楽しそうな笑みを抑えきれずに漆黒のハイレグビキニレザーアーマー姿に
なって勢い良く上空へ飛び出して、
 
「…見ててもだめ…!!」と、ミーユも水色を刷いた純白の
ハイレグビキニアーマー姿にチェンジして空へと舞い飛び、
「…やれやれ…」と、あきれつつ、クレイアも
紫のハイレグビキニアーマー姿にチェンジして飛んで行ってしまい、
「…え、えっと…!」うろたえ気味に出遅れつつもフィリスも
マント無しの水色のハイレグビキニアーマー姿で、空へ。
 
あまりに空気が心地良くて、
どうこう言っても6人全員肌で感じずにはいられなくなっている。
 
 果てし無い針葉樹林の合間には、岩山があり岸壁があり谷があり、
幾つもの滝が複雑な岩肌の起伏を舞い散る水で彩っている。
この上なく澄んだ快晴の空から、心地良い光量のまばゆい陽光が
降り注いで、周囲が輝いている。
 
 風そよぐ中、マミは、
あまりに美しい光景を瞳の奥に焼き付けながら、
時折、無数に連なる奇岩を踏んでステップしながら、円舞し、
風に吹かれる様に踊り、肌で感じる空気の美味しさを
可愛らしい笑みを浮かべて存分に味わっている。
 
 その、あまりに美しい背景の中で身を踊らせるマミの、
この上なく優美な有様に、
フレナも、マリンも、ミーユも、クレイアも、フィリスも、
上空の風に身をゆだねて穏やかに飛翔しながら、
見惚れている。
 
 「……!」ふと、微笑んで、
マミが、優美な柔肌からほのかに虹の輝きを放つ。
 
アニメや特撮や様々な映像作品のオーケストラが演奏するBGMが
大好きなマミは、いつの間にか、マミ自身の肉体から、
神界波動にゆだねて、どこか雄大で流麗で美しい
フルオーケストラの演奏している様な調べを、音声波動として、
マミ自身の舞い踊る仕草と完璧以上にシンクロさせて、放っている。
 
この上なく美しい光景とこの上なく美しい音楽が調和し共鳴して、
観入っている5人の少女を包み、響いていく。
 
「!!!!!」思わずマリンが、異次元収納モードのモバイルタブレットを
実体化させて、「マミさん…!!」と、叫び、「…あの、今のマミさん
何だかもったいないんで録画と録音させてもらって構いませんか…?」と。
 
「!!」思わずマミが恥ずかしそうに頬を染めて、「…うーん……」と
少し考え込み、マリンの瞳を見つめて、「…いいけど、一つお願い…!」と。
「…何ですか?」と、気を遣う表情のマリンに、
「…映像公開するのは、おれ達がバカンスから帰ってからにして…!」と、
はにかみながら告げて、マミは、認識阻害を解除し、
また、大地が生み風雨に研磨された岩の群れと戯れつつ舞いつつ、
壮麗な音楽を放ち続ける。
 
岩が描く山と谷の合間で、
時折まばゆい逆光が舞い翔ぶマミの柔肌を射ち、
輝く光の欠片を散らせて、周囲の空間を彩る。
  
 芸術という言葉でも表現しきれないその光景を、
フレナも、マリンも、ミーユも、クレイアも、フィリスも、
何時の間にか時が過ぎるのも忘れて、観入ってしまい続けている。
 
ただ観入っているだけでは物足りなくなってしまって、
なんだか5人みんな連なる岩の周囲を恵まれた空気に身をゆだねながら、
飛んでみたりステップを踏んでみたり
様々な角度から風景のみも撮影してみたり
5人みんな次々に撮影してもらったり、
一時立場を忘れて子供になって岩の群れに存分に親しんで
風の中で舞い遊び続けている。
 
 ふと、マミが、
岩の上で立ち尽くして、陽光を浴びながら、周囲を眺める。
「…どうしたの?」と、傍らでなんとなく微笑むフレナに、
マミが、「…その、こんなにきれいだと…、
…この世界が壊されてしまわない様に、守りたいな、って……」と、
微笑み、
マリンが少し複雑に微笑み、ミーユがあらためて見惚れて、
クレイアが淡々と観つめて、フィリスは言葉を無くし、
フレナが、少し可笑しそうに、穏やかに、微笑む。
 
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