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第一章「利用される者、する者」
首飾りが意味するもの
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初めてといってもいい風呂に入れられ、いたるところを洗われた。
メイドは女だったが、特に俺の体を洗うことに何の躊躇もないらしく、とても手際がよかった。
風呂を上がった後は、これまた今までに経験したこともないほどのふわふわのタオルで全身くまなく拭かれて、白い服を着せられた。
特に抵抗する気もないけれども、抵抗する暇もないという感じの手際だった。
「レオヴィク様」
「おお、戻ったか」
ここで一つ情報を手に入れた。この騎士団長はレオヴィクというらしい。
「お前、これでここに座れるだろ。」
俺は、特に言葉を発することはなく、ひとまずふかふかそうなソファに近づく。
座ることは別にいいのだが、どのあたりに座ればいいのか。
端っこか? 真ん中か? 右側か? 左側か?
間違えたら折檻でもされてしまうのか。
もしくはこいつは俺のことを試しているのか?
「どこでもいい。座りたいところに座れ。別に座ったことに対して何かするわけじゃない」
本当にこいつはどうしてこんなに考えてることがわかるのか。
それとも俺はそこまでわかりやすいような顔をしていたりするのだろうか。
とはいえ、今この状況でそれが重要な事柄ではないことは俺でも理解できるため、とにかくソファの端っこに座ることにした。
俺が座ったところで大人はあと3人くらい座れそうだ。
「さて。単刀直入に聞こう。その首飾り、どこで手に入れた?」
俺は風呂のときに外されそうになった首飾りを服の上から握りしめる。
「それは、お前が盗んだものなのか」
「ぬ、盗んでない」
これは元々俺がずっと持っていたものだった。スラムのボス、あの男に拾われたときにはすでに持っていて、体を使われる時でさえ外すことに嫌悪を抱いてしまうくらいには体の一部となっていた。
そういえば、あいつらに「おい、これ売れば結構な金になるんじゃね」と言われて、その時ばかりは抵抗をして首飾りは守り抜いたが、ぼこぼこに殴られたな。思い出しただけでもなんか痛くなってくる。
「だったら、いつからそれを持っている。誰にもらった。それはお前のものなのか」
質問の量がどんどんと増えていき、次第に俺の言葉すら待たずに矢継ぎ早に質問が飛んできた。
一つ一つの質問に答える間もなく次が来るため、結局どの質問に答えればいいのか俺はわからなくなった。
とりあえず、最後の質問にだけ返答すればいいのか?
「これは。これは俺のものだ。たぶん」
「たぶんってなんだ。なんでお前がそれを持っているんだと聞いている」
それはいつした質問だ?一番最初か?
「いや……。えっと、俺が…聞きたいというか」
「はぁ?俺が質問しているのになぜお前が質問をできると思っているんだ。仮にもスラムの犯罪組織のガキが」
なんなんだこいつは。ここに連れてきたのはお前だろうが。
何をそんなに…
「焦ってんのか?」
その言葉を俺が言った瞬間、レオヴィクは黙った。
俺は続きの言葉など考えてもいなかったから俺も黙った。
結果、部屋に沈黙が訪れる。
すると、レオヴィクは前髪をかきあげながら頭をガシガシと掻き、大きなため息を吐いた。
「まさか、お前のようなガキに言い当てられるとはな。しかも自分でも自覚していなかった」
口を開いたかと思ったら俺の言った言葉に少なからずダメージを受けたような声色で言葉を紡ぐ。
俺は何を答えれば正解なのか。そもそも俺をここに連れてきたのはこの首飾りが要因ということはわかるが、この首飾りはいったいなんなんだ。
俺は服の上で握っていた首飾りを放し、静かに服の上に出す。
その動作をレオヴィクは視線だけで追いかけていた。
少しくすぐったさを感じながらも、俺は首飾りに視線を向ける。
宝石は一つだけ、人間の瞳くらいの大きさの琥珀が一つ。
その琥珀を囲むように銀色のフレームがあり、そのフレームには俺では読めない文字のようなものがぐるりと彫られている。フレームから延びる銀色の鎖は一つ一つが非常に小さく、引っ張れば切れてしまいそうな見た目ではあるが、俺が生きてきた15年…くらい?は一度も切れたこともなければほつれたこともない。見た目に反して非常に強いものらしい。
その首飾りの琥珀部分を人差し指と親指でつかみ、窓から見える太陽の光に当てる。
すると、琥珀の中に何か炎のようなキラキラしたものが見える。
まるでこの首飾りが息をしているかのように、規則正しくゆらゆらと揺れている。
そんな動作をずっと視線で追っていたレオヴィクが口を開いた。
「お前が持っているこの首飾り。おそらく王家の証の首飾りだ。」
「王家の…証?」
メイドは女だったが、特に俺の体を洗うことに何の躊躇もないらしく、とても手際がよかった。
風呂を上がった後は、これまた今までに経験したこともないほどのふわふわのタオルで全身くまなく拭かれて、白い服を着せられた。
特に抵抗する気もないけれども、抵抗する暇もないという感じの手際だった。
「レオヴィク様」
「おお、戻ったか」
ここで一つ情報を手に入れた。この騎士団長はレオヴィクというらしい。
「お前、これでここに座れるだろ。」
俺は、特に言葉を発することはなく、ひとまずふかふかそうなソファに近づく。
座ることは別にいいのだが、どのあたりに座ればいいのか。
端っこか? 真ん中か? 右側か? 左側か?
間違えたら折檻でもされてしまうのか。
もしくはこいつは俺のことを試しているのか?
「どこでもいい。座りたいところに座れ。別に座ったことに対して何かするわけじゃない」
本当にこいつはどうしてこんなに考えてることがわかるのか。
それとも俺はそこまでわかりやすいような顔をしていたりするのだろうか。
とはいえ、今この状況でそれが重要な事柄ではないことは俺でも理解できるため、とにかくソファの端っこに座ることにした。
俺が座ったところで大人はあと3人くらい座れそうだ。
「さて。単刀直入に聞こう。その首飾り、どこで手に入れた?」
俺は風呂のときに外されそうになった首飾りを服の上から握りしめる。
「それは、お前が盗んだものなのか」
「ぬ、盗んでない」
これは元々俺がずっと持っていたものだった。スラムのボス、あの男に拾われたときにはすでに持っていて、体を使われる時でさえ外すことに嫌悪を抱いてしまうくらいには体の一部となっていた。
そういえば、あいつらに「おい、これ売れば結構な金になるんじゃね」と言われて、その時ばかりは抵抗をして首飾りは守り抜いたが、ぼこぼこに殴られたな。思い出しただけでもなんか痛くなってくる。
「だったら、いつからそれを持っている。誰にもらった。それはお前のものなのか」
質問の量がどんどんと増えていき、次第に俺の言葉すら待たずに矢継ぎ早に質問が飛んできた。
一つ一つの質問に答える間もなく次が来るため、結局どの質問に答えればいいのか俺はわからなくなった。
とりあえず、最後の質問にだけ返答すればいいのか?
「これは。これは俺のものだ。たぶん」
「たぶんってなんだ。なんでお前がそれを持っているんだと聞いている」
それはいつした質問だ?一番最初か?
「いや……。えっと、俺が…聞きたいというか」
「はぁ?俺が質問しているのになぜお前が質問をできると思っているんだ。仮にもスラムの犯罪組織のガキが」
なんなんだこいつは。ここに連れてきたのはお前だろうが。
何をそんなに…
「焦ってんのか?」
その言葉を俺が言った瞬間、レオヴィクは黙った。
俺は続きの言葉など考えてもいなかったから俺も黙った。
結果、部屋に沈黙が訪れる。
すると、レオヴィクは前髪をかきあげながら頭をガシガシと掻き、大きなため息を吐いた。
「まさか、お前のようなガキに言い当てられるとはな。しかも自分でも自覚していなかった」
口を開いたかと思ったら俺の言った言葉に少なからずダメージを受けたような声色で言葉を紡ぐ。
俺は何を答えれば正解なのか。そもそも俺をここに連れてきたのはこの首飾りが要因ということはわかるが、この首飾りはいったいなんなんだ。
俺は服の上で握っていた首飾りを放し、静かに服の上に出す。
その動作をレオヴィクは視線だけで追いかけていた。
少しくすぐったさを感じながらも、俺は首飾りに視線を向ける。
宝石は一つだけ、人間の瞳くらいの大きさの琥珀が一つ。
その琥珀を囲むように銀色のフレームがあり、そのフレームには俺では読めない文字のようなものがぐるりと彫られている。フレームから延びる銀色の鎖は一つ一つが非常に小さく、引っ張れば切れてしまいそうな見た目ではあるが、俺が生きてきた15年…くらい?は一度も切れたこともなければほつれたこともない。見た目に反して非常に強いものらしい。
その首飾りの琥珀部分を人差し指と親指でつかみ、窓から見える太陽の光に当てる。
すると、琥珀の中に何か炎のようなキラキラしたものが見える。
まるでこの首飾りが息をしているかのように、規則正しくゆらゆらと揺れている。
そんな動作をずっと視線で追っていたレオヴィクが口を開いた。
「お前が持っているこの首飾り。おそらく王家の証の首飾りだ。」
「王家の…証?」
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