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第ニ章 カザリア王国の日々
21 十一歳はお年頃?
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ニューパロマの大使館に帰った夜に爆睡したショウは、翌日の昼にやっと目覚めた。
「あ~、よく寝たなぁ」
う~んとのびをして、ショウはベッドから飛び下りる。
「ショウ王子、お目覚めですか?」
まさか、見張っていたのかと思うほどのジャストタイミングで顔を出したパシャム大使に驚きながら、ショウは朝の挨拶を交わしたが、どんよりした冬空でわからなかったがお昼になっている。
ぐう~とお腹の音にショウは恥ずかしくなったが、パシャム大使はいそいそと食事の用意が出来ていますと食堂へと誘った。航海の間、レッサ艦長はショウの為に薄味の料理を別に作らせていたが、やはり香辛料がキツい時もあったので、大使館の料理人の味にパクパクとパシャム大使が満足するほどの量を平らげる。
「パシャム大使、料理人に美味しかったと伝えて下さい」
ショウのお礼の言葉に、パシャム大使は自分が褒められたように喜んだ。
「ショウ王子、国から手紙が何通か届いてます」
手紙を受け取ったショウが立ち上がって、自室に帰ろうとする姿を見ていたパシャム大使は驚いて引き止める。
「ショウ王子、背が伸びられたのですね。裾が、短くなっています。新しい服を用意しなくては!」
東南諸島の男の服は身分が高い程、裾が長くなる。王子であるショウは幼い時から、足首まで隠れる長衣を着ていたが、普通の子供は夏場はチョッキと短パンだけの身軽な服装が多かった。ニューパロマは寒いからとミヤが用意してくれた上等な絹の綿入り長衣が、ショウの足首よりかなり上までしか無かった。
「でも、中のズボンをずらしてはけば、大丈夫ですよ。それに少し休養したら、又、ゴルチェ大陸に向かいますから」
一般の庶民ではあるまいし、足首が見えている服を王子様に着せておくわけにはいかないと、パシャム大使は後に引かない。
「東南諸島の服は夏場は涼しくて良いけど、冬場は寒いんだよね。いっそ、作るなら三国風の服の方が機能的で防寒には良いけど、パシャム大使は、僕が帝国カブレだと思うかもなぁ」
パロマ大学には東南諸島の裕福な商人の子息達が何人か留学していたが、目立つ服装を改め、帝国風の格好をする学生も多かった。しかし、ショウは東南諸島の第六とはいえ王子なのだからと、国の服装を着ていた。
「確かに、カザリア王国の冬は寒すぎるよ。どうせ、背が伸びて新調するなら、ダメ元で言ってみるか」
「なんですと! ショウ王子は、東南諸島連合王国の王子なのですよ! 帝国風の服だなんて、とんでもない! アスラン王といい、ショウ王子といい、とてもお似合いで格調高いのに!」
案の定、パシャム大使は東南諸島の服を着ないなんてと、反対しだしたのでショウは帝国風の服を諦める。
「帝国風の服装の方が冬は暖かそうだから言ってみただけだよ。そんな風にムキにならなくても良いのに……」
ショウは未だ東南諸島の誇りについてお説教をしているパシャム大使を後にして、手紙を読もうと部屋に帰る。
「マルシェ、マリリン、ミヤ、ララ……あっ、兄上達からも手紙が来てる」
ショウはもうすぐ国を出て一年になるのだと、懐かしい人達の手紙を読みながら、少しホームシックになった。
ミヤは、ショウに何通も手紙を出していて、日付順に読む。ショウの健康を気遣ったり、離宮の様子を教えてくれるミヤの手紙を読む。
「ミヤより、背が高くなったかなぁ。あっ、ナッシュ兄上も独立したんだ。離宮には、ラジック兄上だけなのかぁ……僕が帰国する頃には、ラジック兄上も独立して、離宮には僕一人なのかなぁ」
五歳で離宮に移った時には、サリームや、カリン、ハッサン、ナッシュ、ラジックと、六人で暮らしていたのにとショウは懐かしく思い出す。
ミヤからの手紙には、ナッシュの独立のお祝いの宴の様子が詳しく書いてあった。ショウの不在が寂しく感じたと、他の兄上からの手紙を読むにつれて、ラジックの独立の宴には帰国できるのかなぁとショウは考える。
「色々あったけど、兄上達は僕に優しくしてくれたなぁ。ハッサン兄上だってパシリに使われたけど、伯父さんのリンクの商船隊に参加させてくれたし」
マルシェとマリリンの手紙には、プレゼントのお礼と、可愛い絵が添えられていて、ショウはクスリと笑う。
「マルシェは字が上手くなったな。それに、マリリンのこの絵は、きっとおままごとセットなんだろうね」
最後にララからゴルチェ大陸の測量に向かったショウを心配する手紙を読むと、会いたくなった。
「ララ、初めは親が決めた許嫁だし、綺麗な髪をしている女の子だとしか思って無かったけど、今は会いたくてたまらないよ。カジム伯父上の屋敷で、一緒に選んだ本を読んでいるんだろうなぁ」
寒いニューパロマで、パドマ号の交代の軍艦を待っている間に、竜でならレイテまで行って帰れるかなとショウはベッドに行儀悪く寝そべって考えた。
お腹いっぱいな上に未だ疲れが残っていたショウは、考えているうちに眠りに落ち、夢の中でララを抱き寄せて、綺麗な髪を撫でながらキスをしていた。
「あ~、よく寝たなぁ」
う~んとのびをして、ショウはベッドから飛び下りる。
「ショウ王子、お目覚めですか?」
まさか、見張っていたのかと思うほどのジャストタイミングで顔を出したパシャム大使に驚きながら、ショウは朝の挨拶を交わしたが、どんよりした冬空でわからなかったがお昼になっている。
ぐう~とお腹の音にショウは恥ずかしくなったが、パシャム大使はいそいそと食事の用意が出来ていますと食堂へと誘った。航海の間、レッサ艦長はショウの為に薄味の料理を別に作らせていたが、やはり香辛料がキツい時もあったので、大使館の料理人の味にパクパクとパシャム大使が満足するほどの量を平らげる。
「パシャム大使、料理人に美味しかったと伝えて下さい」
ショウのお礼の言葉に、パシャム大使は自分が褒められたように喜んだ。
「ショウ王子、国から手紙が何通か届いてます」
手紙を受け取ったショウが立ち上がって、自室に帰ろうとする姿を見ていたパシャム大使は驚いて引き止める。
「ショウ王子、背が伸びられたのですね。裾が、短くなっています。新しい服を用意しなくては!」
東南諸島の男の服は身分が高い程、裾が長くなる。王子であるショウは幼い時から、足首まで隠れる長衣を着ていたが、普通の子供は夏場はチョッキと短パンだけの身軽な服装が多かった。ニューパロマは寒いからとミヤが用意してくれた上等な絹の綿入り長衣が、ショウの足首よりかなり上までしか無かった。
「でも、中のズボンをずらしてはけば、大丈夫ですよ。それに少し休養したら、又、ゴルチェ大陸に向かいますから」
一般の庶民ではあるまいし、足首が見えている服を王子様に着せておくわけにはいかないと、パシャム大使は後に引かない。
「東南諸島の服は夏場は涼しくて良いけど、冬場は寒いんだよね。いっそ、作るなら三国風の服の方が機能的で防寒には良いけど、パシャム大使は、僕が帝国カブレだと思うかもなぁ」
パロマ大学には東南諸島の裕福な商人の子息達が何人か留学していたが、目立つ服装を改め、帝国風の格好をする学生も多かった。しかし、ショウは東南諸島の第六とはいえ王子なのだからと、国の服装を着ていた。
「確かに、カザリア王国の冬は寒すぎるよ。どうせ、背が伸びて新調するなら、ダメ元で言ってみるか」
「なんですと! ショウ王子は、東南諸島連合王国の王子なのですよ! 帝国風の服だなんて、とんでもない! アスラン王といい、ショウ王子といい、とてもお似合いで格調高いのに!」
案の定、パシャム大使は東南諸島の服を着ないなんてと、反対しだしたのでショウは帝国風の服を諦める。
「帝国風の服装の方が冬は暖かそうだから言ってみただけだよ。そんな風にムキにならなくても良いのに……」
ショウは未だ東南諸島の誇りについてお説教をしているパシャム大使を後にして、手紙を読もうと部屋に帰る。
「マルシェ、マリリン、ミヤ、ララ……あっ、兄上達からも手紙が来てる」
ショウはもうすぐ国を出て一年になるのだと、懐かしい人達の手紙を読みながら、少しホームシックになった。
ミヤは、ショウに何通も手紙を出していて、日付順に読む。ショウの健康を気遣ったり、離宮の様子を教えてくれるミヤの手紙を読む。
「ミヤより、背が高くなったかなぁ。あっ、ナッシュ兄上も独立したんだ。離宮には、ラジック兄上だけなのかぁ……僕が帰国する頃には、ラジック兄上も独立して、離宮には僕一人なのかなぁ」
五歳で離宮に移った時には、サリームや、カリン、ハッサン、ナッシュ、ラジックと、六人で暮らしていたのにとショウは懐かしく思い出す。
ミヤからの手紙には、ナッシュの独立のお祝いの宴の様子が詳しく書いてあった。ショウの不在が寂しく感じたと、他の兄上からの手紙を読むにつれて、ラジックの独立の宴には帰国できるのかなぁとショウは考える。
「色々あったけど、兄上達は僕に優しくしてくれたなぁ。ハッサン兄上だってパシリに使われたけど、伯父さんのリンクの商船隊に参加させてくれたし」
マルシェとマリリンの手紙には、プレゼントのお礼と、可愛い絵が添えられていて、ショウはクスリと笑う。
「マルシェは字が上手くなったな。それに、マリリンのこの絵は、きっとおままごとセットなんだろうね」
最後にララからゴルチェ大陸の測量に向かったショウを心配する手紙を読むと、会いたくなった。
「ララ、初めは親が決めた許嫁だし、綺麗な髪をしている女の子だとしか思って無かったけど、今は会いたくてたまらないよ。カジム伯父上の屋敷で、一緒に選んだ本を読んでいるんだろうなぁ」
寒いニューパロマで、パドマ号の交代の軍艦を待っている間に、竜でならレイテまで行って帰れるかなとショウはベッドに行儀悪く寝そべって考えた。
お腹いっぱいな上に未だ疲れが残っていたショウは、考えているうちに眠りに落ち、夢の中でララを抱き寄せて、綺麗な髪を撫でながらキスをしていた。
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