225 / 368
第九章 新しい発見
16 大変だぁ!
しおりを挟む
ヘッジ王国の船の修理など、東南諸島連合王国の海軍に掛かれば、本当にあっという間に修理された。三隻を任された士官達は、船長として弛んだヘッジ王国の乗組員達を叱咤激励して、甲板掃除も徹底的にやらせる。
それぞれの船には熟練の乗組員を数名ずつ乗せて、ヘッジ王国が反乱をおこして、乗っ取りをかけたりしないように用心もさせた。航海に必要な食糧や、水を積み込むと、邪魔なヘッジ王国の人達を乗せたショウが買い上げた三隻はいなくなった。
「士官達には、山羊の相場を教えておきました。彼らは生真面目ですから、値切るのは不得意でしょうが、あまり高いと剣を抜きかねませんわね。まぁ、値段交渉はパフューム大使がついてますから、損はさせませんよ」
海の覇者を怒らすと怖いと、ヘッジ王国のケチなルートス国王が相場で売ってくれるといいがと、ショウも笑う。
ただ、いずれはイズマル島のことがバレて、折角の補給基地を簡単に諦めたことで、難癖をつけてくるだろうとショウは眉を顰める。
「そうだ! ローラン王国のダカット金貨の改鋳の特別国債をルートス国王に発行させてみようか?」
金余りのレイテの商人は、投資先を求めているが、ローラン王国の信用は低い。造船所には投資したが、それは東南諸島の船屋の技術力を信じているからと、アレクセイ皇太子が土地を船屋に半永久的に貸し出すと確約したからだ。
ルートス国王はケチだが、ローラン王国にキッチリと利子は払わせるだろうから、投資先として有望だと考えてくれるかもしれないと、砂浜に座ってぶつぶつ呟く。
遠ざかる船を見送りながら、竜達に念願の海水浴をさせているのに、ショウが何やら考え込んでいるのをバッカス外務大臣は気づいた。
「少しは楽しまなくちゃ駄目ですよ! サンズと泳いでいらしては?」
ショウはそうだな! と上着を脱ぎ捨てて、海に駆け込む。
「きゃあ~、細マッチョなのね~」
胸の上できゅっと指を絡めてるバッカス外務大臣に、カリンは後ろから蹴りを入れたくなった。
「ショウ! お前は無防備過ぎるぞ!」
竜達の海水浴を珍しそうに見学していたウォンビン島の住民も、ショウが一緒に遊んでいるのに続いて参加する。何人かは竜に乗って海へダイブしたりと、全く恐れ知らずだ。
『今度は俺を乗せてくれよ』
ショウは、ヤナス長老の孫の一人ルルブがマリオンと話しているのに気づいた。
「ルルブは竜と話せるんだね」
ルルブはショウに、少し悲しそうに竜は島にはいないんだと答える。
「ウォンビン島も東南諸島連合王国に参加したのだから、レイテに来れば竜に会わせてあげるよ。でも、竜騎士になるには修行をしなくてはいけないんだよ」
濡れて黒っぽくなった栗色の髪を顔からかきあげて、本当に! と嬉しそうに叫ぶ。
『この島には、何人か竜騎士の素質のある子どもがいるよ』
サンズは一緒に海水浴をしている子ども達に『乗せて!』と頼まれたのだ。
ショウは海水浴を切り上げて、ヤナス長老と話し合いに行く。ヤナス長老とマクギャリー村長は、浜辺の椰子の木の下で、竜達の海水浴を笑いながら見物していた。
ショウはランドが海水浴をしているのを楽しそうに眺めているマクギャリー村長の貴重な時間を邪魔するのを控えて、終わってから話すことにする。
ランドは初めての海水浴を堪能して、マクギャリーの側の熱い砂の上で昼寝しだす。
「しまった! ウォンビン島の住民もお昼寝タイムだ!」
一緒に海水浴を楽しんでいた子ども達も、ヤナス長老やマクギャリー村長までも、木陰のゴザの上で昼寝を始める。
「焦って話すことじゃないし、夕方に話し合おう。それまでにバッカス外務大臣と話し合っておこうかな……あれ? マリオンは寝ていない? 竜は海水浴の後は昼寝をするものなのに、変だなぁ……まさか……大変だぁ! マリオン! 待って!」
ショウは、マリオンがバッカスを全力で魅了して絆を結ぼうとしているのに気づいて、必死に駆けつける。
『マリオン、前にも断っただろう。私は子作りに興味がないと』
竜の魅了する魔力に必死で抵抗するバッカスに、マリオンは自分は子竜を持ちたいと説得する。
『バッカスが子供を作りたくなくても、私は子竜が欲しいんだ! それにバッカスを愛しているから絆を結んで、共に生涯を過ごしたい』
マリオンからの熱烈なプロポーズに、非情な外交官のバッカスも心を揺すぶられる。
『それに、メリルやサンズと交尾飛行するかもしれない』
「ひぇ~! ぜったいに駄目だよ~」
騎竜の交尾飛行は絆の竜騎士にも欲情を覚えさせると聞いているショウは、何てことを言い出すんだと、マリオンを止めようとした。
『ショウ! 絆を結ぶのは竜にとって一番大切なことなんだ。邪魔をしてはいけないよ!』
何時もはショウの言うことを聞く素直なサンズに意見されて、ショウはバッカスの判断に委ねる。
『お馬鹿さんね、メリルやサンズと交尾飛行なんかさせないわよ。アスラン王やショウ王太子と、気まずくなるでしょう。マリオンは本当にお馬鹿さんね。こんなお馬鹿さんの竜と絆を結ぶ変わり者は、私ぐらいしかいないわ』
そう言うとバッカスは優雅にマリオンの目の周りを掻いてやる。
「なぁ、ショウ? 私の勘違いかもしれないが、バッカス外務大臣はマリオンと絆を結んだのか?」
カリンの言葉に、ショウは力無く頷く。
「大変だぁ!」
自分と同じ誤解をしたカリンに、ショウは先程のバッカス外務大臣の言葉を教える。カリンは本当かなぁ? と疑わしそうだが、ショウは竜には嘘が通じないのを知っている。
バッカス外務大臣のことだから、どこかで騎竜を捕まえてマリオンに子竜を持たせてやるだろうとショウは考える。
ふと、ローラン王国の駐在大使になったフランツ卿や、若手の外交官のアンドリュー卿、ジェームズ卿、ベンジャミン卿などを思い出して、知~らない! とショウは首を竦めた。
しかし、本当に大変なのは、それからだった。マリオンと新婚のバッカスは当てにできなくなり、ショウはルルブや他の数人の子供達が竜騎士の素質がある件を、ヤナス長老と話し合わなくてはいけなかった。
「ルルブは、竜騎士の修行をしても良いと言ってます。レイテにお連れ下さい。他の子達はまだ幼いし、まだ親元から離したくありません。もう少しして、自分で判断できるようになってから、決めさせたい」
ヤナス長老の言葉に、ショウはこの件は焦ることではないと頷く。それより、ウォンビン島を補給基地として使うことになると説明するのが大変だった。
メッシーナ村のマクギャリー村長の方が、こういった話はピンときてくれるのだが、ヤナス長老はお客人はおもてなしすると、少し説明が理解できないようだ。
ショウはできれば、この楽園のようなウォンビン島をこのままにしておきたいとも思ったが、いずれはイズマル島への航路として多くの商船が寄港するだろうと溜め息をつく。
島の住民は川の水や、一日に一回はおこるスコールの雨水を溜めて飲料水にしていたが、メルト艦長に井戸を何ヶ所か掘って貰う。
「レイテからの応援部隊が到着するまでの、待機期間で良かったかも……」
マリオンと浜辺でラブラブのバッカスを見ながら、早く元の有能な外交官に返って貰いたいと、ショウは溜め息をつく。
士官達に山羊の値段などを教えさせているが、どうも呑気なウォンビン島の住民には、コインは装飾品にしか見えないみたいだ。穴を開けてペンダントにしたりと、意味を理解しているのかとショウは頭が痛くなる。
「当分は、商人達を近寄らせたくありませんね~」
そう本音を口にしてしまったショウに、メルト艦長とカリン艦長はまだまだ甘いなぁと苦笑する。
ショウは思わず本音を口にして愚痴ったが、応援部隊が来る前に、ヘッジ王国が建てた小屋を増築させて、補給基地の倉庫や、井戸の管理人の事務所を整備させる。
「ヤナス長老が気前よくタダで山羊を提供しないように、補給基地の役人には公正な人物を派遣しなくては……」
東南諸島の国民性の欠点は、商売気がありすぎることで、役人に監視が必要だと、ショウは問題が多発しそうだと溜め息をつく。
「でも、やりすぎたらヤナス長老に、魔術で脅して貰えれば良いかな? そういう意味では、ここの住民よりしっかりしているパトリックが婿になって管理してくれると有り難いのだけど……」
自分の縁談は嫌がるくせに、浜辺で女の子達と楽しそうに魚を干しているパトリックの縁談が進めば助かるなと、打算的な考えを持つ。
レイテからの応援部隊が到着し、バッカス外務大臣も新婚ラブラブモードから復活して、正式にウォンビン島は東南諸島連合王国の傘下に入った。
応援部隊の艦長達のうちの古参艦長に、ショウはこのウォンビン島の補給基地の開発と管理を任せて、グラナダ号とパドマ号はイズマル島へと向かう。
「パトリックは、ウォンビン島に残りましたね」
まだ結婚してウォンビン島に婿入りするとまでは決心していないが、パトリックはこの島の位置が重要だと悟っている。東南諸島を信じないわけでは無いが、呑気な同胞が心配になって残ったのだ。
ウォンビン島からは、小さな島で従姉妹や再従姉妹ばかりしか結婚相手がいないのを不満に感じていた数人の若者が、お見合いがてらメッシーナ村に来ることになった。金髪に小麦色の肌の若者はメッシーナ村の乙女の心をつかむかもしれないが、畑仕事とかできるのだろうかとショウは少し心配する。
「メッシーナ村もウォンビン島も、これから外の人と接するようになるから、血の濃さは問題なくなるわねぇ。それより余り混血しないで、魔力に優れた血統を保護する方が良いのかもよ」
本調子になったバッカス外務大臣のおネェ言葉に、ショウはそろそろ探索航海も終わりだなと感じる。
それぞれの船には熟練の乗組員を数名ずつ乗せて、ヘッジ王国が反乱をおこして、乗っ取りをかけたりしないように用心もさせた。航海に必要な食糧や、水を積み込むと、邪魔なヘッジ王国の人達を乗せたショウが買い上げた三隻はいなくなった。
「士官達には、山羊の相場を教えておきました。彼らは生真面目ですから、値切るのは不得意でしょうが、あまり高いと剣を抜きかねませんわね。まぁ、値段交渉はパフューム大使がついてますから、損はさせませんよ」
海の覇者を怒らすと怖いと、ヘッジ王国のケチなルートス国王が相場で売ってくれるといいがと、ショウも笑う。
ただ、いずれはイズマル島のことがバレて、折角の補給基地を簡単に諦めたことで、難癖をつけてくるだろうとショウは眉を顰める。
「そうだ! ローラン王国のダカット金貨の改鋳の特別国債をルートス国王に発行させてみようか?」
金余りのレイテの商人は、投資先を求めているが、ローラン王国の信用は低い。造船所には投資したが、それは東南諸島の船屋の技術力を信じているからと、アレクセイ皇太子が土地を船屋に半永久的に貸し出すと確約したからだ。
ルートス国王はケチだが、ローラン王国にキッチリと利子は払わせるだろうから、投資先として有望だと考えてくれるかもしれないと、砂浜に座ってぶつぶつ呟く。
遠ざかる船を見送りながら、竜達に念願の海水浴をさせているのに、ショウが何やら考え込んでいるのをバッカス外務大臣は気づいた。
「少しは楽しまなくちゃ駄目ですよ! サンズと泳いでいらしては?」
ショウはそうだな! と上着を脱ぎ捨てて、海に駆け込む。
「きゃあ~、細マッチョなのね~」
胸の上できゅっと指を絡めてるバッカス外務大臣に、カリンは後ろから蹴りを入れたくなった。
「ショウ! お前は無防備過ぎるぞ!」
竜達の海水浴を珍しそうに見学していたウォンビン島の住民も、ショウが一緒に遊んでいるのに続いて参加する。何人かは竜に乗って海へダイブしたりと、全く恐れ知らずだ。
『今度は俺を乗せてくれよ』
ショウは、ヤナス長老の孫の一人ルルブがマリオンと話しているのに気づいた。
「ルルブは竜と話せるんだね」
ルルブはショウに、少し悲しそうに竜は島にはいないんだと答える。
「ウォンビン島も東南諸島連合王国に参加したのだから、レイテに来れば竜に会わせてあげるよ。でも、竜騎士になるには修行をしなくてはいけないんだよ」
濡れて黒っぽくなった栗色の髪を顔からかきあげて、本当に! と嬉しそうに叫ぶ。
『この島には、何人か竜騎士の素質のある子どもがいるよ』
サンズは一緒に海水浴をしている子ども達に『乗せて!』と頼まれたのだ。
ショウは海水浴を切り上げて、ヤナス長老と話し合いに行く。ヤナス長老とマクギャリー村長は、浜辺の椰子の木の下で、竜達の海水浴を笑いながら見物していた。
ショウはランドが海水浴をしているのを楽しそうに眺めているマクギャリー村長の貴重な時間を邪魔するのを控えて、終わってから話すことにする。
ランドは初めての海水浴を堪能して、マクギャリーの側の熱い砂の上で昼寝しだす。
「しまった! ウォンビン島の住民もお昼寝タイムだ!」
一緒に海水浴を楽しんでいた子ども達も、ヤナス長老やマクギャリー村長までも、木陰のゴザの上で昼寝を始める。
「焦って話すことじゃないし、夕方に話し合おう。それまでにバッカス外務大臣と話し合っておこうかな……あれ? マリオンは寝ていない? 竜は海水浴の後は昼寝をするものなのに、変だなぁ……まさか……大変だぁ! マリオン! 待って!」
ショウは、マリオンがバッカスを全力で魅了して絆を結ぼうとしているのに気づいて、必死に駆けつける。
『マリオン、前にも断っただろう。私は子作りに興味がないと』
竜の魅了する魔力に必死で抵抗するバッカスに、マリオンは自分は子竜を持ちたいと説得する。
『バッカスが子供を作りたくなくても、私は子竜が欲しいんだ! それにバッカスを愛しているから絆を結んで、共に生涯を過ごしたい』
マリオンからの熱烈なプロポーズに、非情な外交官のバッカスも心を揺すぶられる。
『それに、メリルやサンズと交尾飛行するかもしれない』
「ひぇ~! ぜったいに駄目だよ~」
騎竜の交尾飛行は絆の竜騎士にも欲情を覚えさせると聞いているショウは、何てことを言い出すんだと、マリオンを止めようとした。
『ショウ! 絆を結ぶのは竜にとって一番大切なことなんだ。邪魔をしてはいけないよ!』
何時もはショウの言うことを聞く素直なサンズに意見されて、ショウはバッカスの判断に委ねる。
『お馬鹿さんね、メリルやサンズと交尾飛行なんかさせないわよ。アスラン王やショウ王太子と、気まずくなるでしょう。マリオンは本当にお馬鹿さんね。こんなお馬鹿さんの竜と絆を結ぶ変わり者は、私ぐらいしかいないわ』
そう言うとバッカスは優雅にマリオンの目の周りを掻いてやる。
「なぁ、ショウ? 私の勘違いかもしれないが、バッカス外務大臣はマリオンと絆を結んだのか?」
カリンの言葉に、ショウは力無く頷く。
「大変だぁ!」
自分と同じ誤解をしたカリンに、ショウは先程のバッカス外務大臣の言葉を教える。カリンは本当かなぁ? と疑わしそうだが、ショウは竜には嘘が通じないのを知っている。
バッカス外務大臣のことだから、どこかで騎竜を捕まえてマリオンに子竜を持たせてやるだろうとショウは考える。
ふと、ローラン王国の駐在大使になったフランツ卿や、若手の外交官のアンドリュー卿、ジェームズ卿、ベンジャミン卿などを思い出して、知~らない! とショウは首を竦めた。
しかし、本当に大変なのは、それからだった。マリオンと新婚のバッカスは当てにできなくなり、ショウはルルブや他の数人の子供達が竜騎士の素質がある件を、ヤナス長老と話し合わなくてはいけなかった。
「ルルブは、竜騎士の修行をしても良いと言ってます。レイテにお連れ下さい。他の子達はまだ幼いし、まだ親元から離したくありません。もう少しして、自分で判断できるようになってから、決めさせたい」
ヤナス長老の言葉に、ショウはこの件は焦ることではないと頷く。それより、ウォンビン島を補給基地として使うことになると説明するのが大変だった。
メッシーナ村のマクギャリー村長の方が、こういった話はピンときてくれるのだが、ヤナス長老はお客人はおもてなしすると、少し説明が理解できないようだ。
ショウはできれば、この楽園のようなウォンビン島をこのままにしておきたいとも思ったが、いずれはイズマル島への航路として多くの商船が寄港するだろうと溜め息をつく。
島の住民は川の水や、一日に一回はおこるスコールの雨水を溜めて飲料水にしていたが、メルト艦長に井戸を何ヶ所か掘って貰う。
「レイテからの応援部隊が到着するまでの、待機期間で良かったかも……」
マリオンと浜辺でラブラブのバッカスを見ながら、早く元の有能な外交官に返って貰いたいと、ショウは溜め息をつく。
士官達に山羊の値段などを教えさせているが、どうも呑気なウォンビン島の住民には、コインは装飾品にしか見えないみたいだ。穴を開けてペンダントにしたりと、意味を理解しているのかとショウは頭が痛くなる。
「当分は、商人達を近寄らせたくありませんね~」
そう本音を口にしてしまったショウに、メルト艦長とカリン艦長はまだまだ甘いなぁと苦笑する。
ショウは思わず本音を口にして愚痴ったが、応援部隊が来る前に、ヘッジ王国が建てた小屋を増築させて、補給基地の倉庫や、井戸の管理人の事務所を整備させる。
「ヤナス長老が気前よくタダで山羊を提供しないように、補給基地の役人には公正な人物を派遣しなくては……」
東南諸島の国民性の欠点は、商売気がありすぎることで、役人に監視が必要だと、ショウは問題が多発しそうだと溜め息をつく。
「でも、やりすぎたらヤナス長老に、魔術で脅して貰えれば良いかな? そういう意味では、ここの住民よりしっかりしているパトリックが婿になって管理してくれると有り難いのだけど……」
自分の縁談は嫌がるくせに、浜辺で女の子達と楽しそうに魚を干しているパトリックの縁談が進めば助かるなと、打算的な考えを持つ。
レイテからの応援部隊が到着し、バッカス外務大臣も新婚ラブラブモードから復活して、正式にウォンビン島は東南諸島連合王国の傘下に入った。
応援部隊の艦長達のうちの古参艦長に、ショウはこのウォンビン島の補給基地の開発と管理を任せて、グラナダ号とパドマ号はイズマル島へと向かう。
「パトリックは、ウォンビン島に残りましたね」
まだ結婚してウォンビン島に婿入りするとまでは決心していないが、パトリックはこの島の位置が重要だと悟っている。東南諸島を信じないわけでは無いが、呑気な同胞が心配になって残ったのだ。
ウォンビン島からは、小さな島で従姉妹や再従姉妹ばかりしか結婚相手がいないのを不満に感じていた数人の若者が、お見合いがてらメッシーナ村に来ることになった。金髪に小麦色の肌の若者はメッシーナ村の乙女の心をつかむかもしれないが、畑仕事とかできるのだろうかとショウは少し心配する。
「メッシーナ村もウォンビン島も、これから外の人と接するようになるから、血の濃さは問題なくなるわねぇ。それより余り混血しないで、魔力に優れた血統を保護する方が良いのかもよ」
本調子になったバッカス外務大臣のおネェ言葉に、ショウはそろそろ探索航海も終わりだなと感じる。
1
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる