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第十四章 ザイクロフト卿と決着
4 メリッサの卒業!
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パロマ大学での春学期の期末試験も終わり、メリッサは卒業することにする。未だ学びたい気持ちもあったが、これ以上はショウ様と離れて暮らしたくない。
「レティシア様に、ララは二人目を身籠ってるし、ロジーナとエスメラルダ様も……夏にはミミとも結婚するし、秋にはミーシャ様が嫁いでこられるのよ」
第一夫人が目標のメリッサだが、やはりライバルが懐妊したと聞くと、心穏やかではない。それに、学門の道に限りは無いが、メリッサは象牙の塔に籠って経済学を研究するより、第一夫人になって実際にお金を動かす方に興味がある。
「リリィ様に色々とご指南して頂きたいし、レイテに帰りましょう」
レイテで、一、二を争う大商人のラシンドの娘であるリリィは、ミヤにつぐ遣り手と評判の高いハーミヤに育てられたのだ。ショウ王太子の第一夫人として、商船隊を管理し、サンズ島の運営、ゾルダス造船所などに投資し、莫大な利益を得ている。
若手の第一夫人としては、カリン王子のラビータと双璧だと評判が高い。経済学を学んだメリッサは、リリィの元で実際の投資を目にしたいと思っている。
「メリッサ様、ご卒業ですかぁ」
ショウ王太子の妃をお世話できるのを張り切っているパシャム大使は、悲しそうな顔をするが、レイテの後宮で過ごすのが本来の姿なのだと諦める。
「でも、お世話になった教授方に挨拶もしたいし、もう暫くはニューパロマに留まります」
メリッサは、授業ではなく、個人的に色々と指導して貰いたいと教授に頼んでいた。後もう少し、パロマ大学に通い、東南諸島での商売の仕方を教授と個人的に話し合う予定だ。
「そうですねぇ、ショウ王太子の妃を父上のメルト様以外の艦にお乗せするわけにもいけませんし、その間は教授とお勉強なさるのも良いかもしれません」
この頃はメルトは、サンズ島への物資の運搬などは、他の艦に任せて、パトロールや防衛に力をいれていたので、レキシントン港にあまり寄港しなくなっていた。しかし、妃を他の男が艦長に任せるわけにはいかない。ショウ王太子の旗艦ブレイブス号か、メルト艦長のグレナダ号が寄港するまで、安全に預かるつもりだ。
しかし、パシャム大使は何年もの間に、パロマ大学の校内には護衛が付き添えないのに慣れてしまっていた。大使館からの馬車には、御者の他に護衛が付いていたが、パロマ大学の待合室で待機していた。それに普段なら東南諸島からの留学生が何人かメリッサ妃の側にいるのだが、学期末試験が終わり、大学校内も閑散としているのもを忘れていた。
ザイクロフト卿は、サラム王国には数少ない竜騎士に、ニューパロマまで送って来て貰っていた。王の庶子と誤解されている立場を目一杯利用しているのだ。大使に命じていたメリッサの動向の報告を受け、パロマ大学に向かう。
「パロマ大学には護衛は同行できない。メリッサ妃が一人になった時に、拐うチャンスがあるかもしれない」
用意周到な計画があるわけでは無かったが、ザイクロフトは東南諸島に一泡吹かせてやりたいと考える。その為に、メリッサが指導して貰っている教授の周辺を調査しようと、パロマ大学に向かったのだが、閑散とした校内を無防備に歩くメリッサを見つけた。
「こんな好機を逃すか!」
問題は、メリッサが竜騎士だと言うことだが、東南諸島の大使館とパロマ大学はかなり距離がある。絆の竜騎士でも、離れた場所にいる竜を呼び寄せる能力がある者は少ない。しかも、メリッサはパートナーとしての能力しかないと聞いている。
何時もは用意周到なプランを立てるザイクロフト卿だが、行き当たりばったりの誘拐計画を実行することを瞬時に決断する。とは言うものの、馬で拐っていく訳にはいかない。急いで大使館にとって返し、馬車と人員を手配する。
「ザイクロフト卿! 何をなさろうとしているのですか?」
カザリア王国に駐在している大使は、そんな真似をしたら東南諸島連合王国が黙っていないと、真っ青になって止める。友好的とは言えないカザリア王国で他国の妃を誘拐などしたら、外交特権も取り消されると、ザイクロフ卿の肩をつかむ。
「離せ! どうせ、カザリア王国とは敵対関係なのだ。今更、仲良くできるものか! それに、商売にしか興味の無い東南諸島が、何人もいる妃の一人や二人害されたと言って、戦争など仕掛けてくるものか!」
大使の手を振りきって、ザイクロフト卿はパロマ大学に向かう。
「レティシア様に、ララは二人目を身籠ってるし、ロジーナとエスメラルダ様も……夏にはミミとも結婚するし、秋にはミーシャ様が嫁いでこられるのよ」
第一夫人が目標のメリッサだが、やはりライバルが懐妊したと聞くと、心穏やかではない。それに、学門の道に限りは無いが、メリッサは象牙の塔に籠って経済学を研究するより、第一夫人になって実際にお金を動かす方に興味がある。
「リリィ様に色々とご指南して頂きたいし、レイテに帰りましょう」
レイテで、一、二を争う大商人のラシンドの娘であるリリィは、ミヤにつぐ遣り手と評判の高いハーミヤに育てられたのだ。ショウ王太子の第一夫人として、商船隊を管理し、サンズ島の運営、ゾルダス造船所などに投資し、莫大な利益を得ている。
若手の第一夫人としては、カリン王子のラビータと双璧だと評判が高い。経済学を学んだメリッサは、リリィの元で実際の投資を目にしたいと思っている。
「メリッサ様、ご卒業ですかぁ」
ショウ王太子の妃をお世話できるのを張り切っているパシャム大使は、悲しそうな顔をするが、レイテの後宮で過ごすのが本来の姿なのだと諦める。
「でも、お世話になった教授方に挨拶もしたいし、もう暫くはニューパロマに留まります」
メリッサは、授業ではなく、個人的に色々と指導して貰いたいと教授に頼んでいた。後もう少し、パロマ大学に通い、東南諸島での商売の仕方を教授と個人的に話し合う予定だ。
「そうですねぇ、ショウ王太子の妃を父上のメルト様以外の艦にお乗せするわけにもいけませんし、その間は教授とお勉強なさるのも良いかもしれません」
この頃はメルトは、サンズ島への物資の運搬などは、他の艦に任せて、パトロールや防衛に力をいれていたので、レキシントン港にあまり寄港しなくなっていた。しかし、妃を他の男が艦長に任せるわけにはいかない。ショウ王太子の旗艦ブレイブス号か、メルト艦長のグレナダ号が寄港するまで、安全に預かるつもりだ。
しかし、パシャム大使は何年もの間に、パロマ大学の校内には護衛が付き添えないのに慣れてしまっていた。大使館からの馬車には、御者の他に護衛が付いていたが、パロマ大学の待合室で待機していた。それに普段なら東南諸島からの留学生が何人かメリッサ妃の側にいるのだが、学期末試験が終わり、大学校内も閑散としているのもを忘れていた。
ザイクロフト卿は、サラム王国には数少ない竜騎士に、ニューパロマまで送って来て貰っていた。王の庶子と誤解されている立場を目一杯利用しているのだ。大使に命じていたメリッサの動向の報告を受け、パロマ大学に向かう。
「パロマ大学には護衛は同行できない。メリッサ妃が一人になった時に、拐うチャンスがあるかもしれない」
用意周到な計画があるわけでは無かったが、ザイクロフトは東南諸島に一泡吹かせてやりたいと考える。その為に、メリッサが指導して貰っている教授の周辺を調査しようと、パロマ大学に向かったのだが、閑散とした校内を無防備に歩くメリッサを見つけた。
「こんな好機を逃すか!」
問題は、メリッサが竜騎士だと言うことだが、東南諸島の大使館とパロマ大学はかなり距離がある。絆の竜騎士でも、離れた場所にいる竜を呼び寄せる能力がある者は少ない。しかも、メリッサはパートナーとしての能力しかないと聞いている。
何時もは用意周到なプランを立てるザイクロフト卿だが、行き当たりばったりの誘拐計画を実行することを瞬時に決断する。とは言うものの、馬で拐っていく訳にはいかない。急いで大使館にとって返し、馬車と人員を手配する。
「ザイクロフト卿! 何をなさろうとしているのですか?」
カザリア王国に駐在している大使は、そんな真似をしたら東南諸島連合王国が黙っていないと、真っ青になって止める。友好的とは言えないカザリア王国で他国の妃を誘拐などしたら、外交特権も取り消されると、ザイクロフ卿の肩をつかむ。
「離せ! どうせ、カザリア王国とは敵対関係なのだ。今更、仲良くできるものか! それに、商売にしか興味の無い東南諸島が、何人もいる妃の一人や二人害されたと言って、戦争など仕掛けてくるものか!」
大使の手を振りきって、ザイクロフト卿はパロマ大学に向かう。
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