332 / 368
第十四章 ザイクロフト卿と決着
8 決闘の朝!
しおりを挟む
『サンズ、そろそろ行くよ』
心配のあまり夜中は寝られなかったサンズは、明け方にうとうとしていたが、ショウの呼びかけで目を覚ます。
『未だ、暗いよ……』
未だ夜が明けてないと、サンズは愚図る。決闘などさせたくないのだ。
『サンズ、大使館で待っててくれても良いんだけど……』
『一緒に行く!』と脚をジタバタさせながら抗議するサンズを、ショウは静かにしろ! と宥める。
「ショウ王太子、決闘に行かれるのですね! 私を付き添い人として指名されたのに、置いて行くつもりだったのですか!」
バージョンを付き添い人に指名したものの、その後、時間と場所の変更があったので、できたら決闘などに巻き込みたくないと考えていたのだ。しかし、バージョンは置いて行かれたら大変だと、竜舎の前で寝ずの番をしていた。
「まぁまぁ、そんなに怒るなよ。置いて行くつもりなんか、無かったさ」
本当ですか? と疑い深そうな視線を向け、バージョンは、一瞬たりとも側を離れない。
『サンズ、ニューパロマとレキシントン港の中間地点にある森に行ってくれ』
バージョンを決闘に巻き込みたく無かったが、仕方ないと出発する。しかし、大使館の外ではスチュワート皇太子とジェームズ卿が待ち構えていた。
「ショウ様、こんなに朝早くからどちらに行かれるのですか?」
やれやれ、わかっているくせにと肩を竦める。
「止めに来られたのなら、無駄ですよ」
ショウに言われるまでもなく、止めても無駄だとスチュワートも思っていた。自分が言って止めるぐらいなら、初めから決闘などしないだろう。
「サラム王国の外交官と決闘されるのですね。私は前からショウ様とは親しい間柄だと考えています。だから、立会人に立候補しますよ」
面倒な事になったが、ここで揉めて遅刻するのは困る。
「スチュワート様にはかないませんね。でも、立会人としての立場をおまもり下さい」
決闘に手だし無用と宣言して、決闘場所に向かう。東の空が明るくなり、暗い森が見えてきた。
「あの馬車はサラム王国の大使館のものか?」
森の中の空き地に一台の馬車が停まっている。こんな早朝に、ピクニックではあるまい。ショウ達は少し離れた場所に竜を下ろす。
「ショウ王太子! 助っ人を連れて来たのですか? これは、これは、スチュワート皇太子殿下ではありませんか!」
馬車から降り立ったザイクロフト卿の嘲笑に、スチュワート皇太子はムカッとする。
「私は、この決闘の立会人だ! 無礼な言葉は慎みたまえ! 紳士としての節度を護りなさい」
サラム王国の大使館の武官がザイクロフト卿の付き添い人として、スチュワート皇太子と、バージョン中尉と話し合う。スチュワート皇太子とジェームズ卿は、話し合いで済まされないか? 血を流しただけで終わらせないか? と最後の確認をする。
「まさか! 今更怖じ気づいたのか!」
ザイクロフト卿の徴発に、ショウも我慢の限界だ。
「お前を成敗してくれる!」
スチュワート皇太子も、ジェームズ卿も、ザイクロフト卿の態度には腹を立てていたが、立会人として中立を我慢して保つ。
「ショウ王太子もザイクロフト卿もお互いに許しがたいと考えているのだな。なら、決闘をするしかない! 両名の付き添い人は、手出しをしないように!」
お互いの付き添い人に、武器を点検させる。剣先に毒を塗ったりする卑怯な遣り口を警戒した決闘の手順だ。
バージョンは、ザイクロフト卿なら毒ぐらい塗りかねないと真剣に調べたが、何も変わったところは見つからなかった。サラム王国の武官も、ショウ王太子の剣を調べて立会人に返す。
「本当に決闘をするのですか?」
最後の最後の確認をスチュワート皇太子がし、二人が頷く。サンズは心配で気も狂わんばかりだが、ショウとの約束を守って我慢して見守る。
「甘やかされた王太子に、私の剣が受けられるかな?」
嘲笑うザイクロフト卿に、ショウは激しく打ち込む。バージョンは、ザイクロフト卿が外交官なのに腕が立つと見抜いた。
「ショウ様! 油断なさらないで下さい」
ショウも二、三度剣を交わして、ザイクロフト卿がかなりの腕前だと気づく。しかし、メリッサを誘拐しようとした相手を許す気は無い。
凄く激しい戦いになったが、ショウの剣がザイクロフト卿の左腕をかすめた。立会人のスチュワート皇太子は、これで終わらせてくれたらと、一旦は中断させようと声を掛けるが、全く聞き入れて貰えない。
「スチュワート様、これは無理ですよ! 止めに入ったら、此方が斬り殺されます」
エドアルド国王陛下も無茶を言われる! ジェームズは見守るしかないと、止めようとするスチュワート皇太子に無駄だと忠告する。
シャツに血が滲んできたザイクロフト卿は、少しずつショウ王太子に圧されていく。
……チッ! 甘やかされた王太子に殺されるのか! しかし、私一人では死なないぞ! 地獄に道連れにしてやる……
用意周到なザイクロフトは、剣は決闘前に調べられるのはわかりきってたので、ズボンの横に毒を塗っていた。どうせ、死ぬなら、東南諸島の王太子を殺してからにしようと、最後の悪巧みをする。
「お前みたいな甘ちゃんに私が殺せるわけがない!」
ザイクロフト卿の挑発に、ショウも怒りが抑えきれない。
「こそこそと悪どいことばかりして回るお前なんか、ここで成敗してやる!」
挑発に乗ってはいけない! バージョンは冷静さを失っては、ミスを犯してしまうと注意しかけた。その時、ザイクロフト卿の剣がショウの顔を掠めた。
「ショウ様!」バージョンの悲鳴があがる。サンズも心配そうに羽根をバタバタさせた。
頬に一筋の傷がつき、血が流れ落ちる。その隙にザイクロフトはズボンの毒に剣を擦り付けた。
「何をした!」
立会人のスチュワート皇太子と、ジェームズ卿は、ザイクロフト卿の不審な動きに気づき、決闘を止めようとする。
しかし、ザイクロフト卿は自分の死と引き換えに、ショウ王太子を殺すべく、最後の攻撃にでた。
ショウの剣がザイクロフト卿の胸を貫いた時、毒を塗られた剣が肩に叩き落とされた。
「これで……親の仇がとれた……」
ザイクロフト卿が草の上に崩れ落ち、ショウは肩に燃えるような痛みを感じて、膝をついた。
「ショウ王太子! 大丈夫ですか?」
バージョンはショウに駆け寄り、怪我の具合を確かめる。
『ショウ! しっかりして!』
サンズは決闘が終わったのだと安堵したが、様子がおかしいと側に飛んできた。
『サンズ、心配かけたね……』
バージョンが自分のシャツを裂いて、肩の傷から流れ出る血を止めようとしている真っ青な顔と、サンズの心配そうな金色の瞳がボヤけていく。
「ショウ様!」
朦朧とするショウ王太子を、バージョンは抱き締める。
『ショウ! ショウ! しっかりして!』
ショウは、サンズに大丈夫だと言おうとしたが、真っ暗な世界に落ちて行く。そこには憎らしいザイクロフト卿が高笑いをしていた。
心配のあまり夜中は寝られなかったサンズは、明け方にうとうとしていたが、ショウの呼びかけで目を覚ます。
『未だ、暗いよ……』
未だ夜が明けてないと、サンズは愚図る。決闘などさせたくないのだ。
『サンズ、大使館で待っててくれても良いんだけど……』
『一緒に行く!』と脚をジタバタさせながら抗議するサンズを、ショウは静かにしろ! と宥める。
「ショウ王太子、決闘に行かれるのですね! 私を付き添い人として指名されたのに、置いて行くつもりだったのですか!」
バージョンを付き添い人に指名したものの、その後、時間と場所の変更があったので、できたら決闘などに巻き込みたくないと考えていたのだ。しかし、バージョンは置いて行かれたら大変だと、竜舎の前で寝ずの番をしていた。
「まぁまぁ、そんなに怒るなよ。置いて行くつもりなんか、無かったさ」
本当ですか? と疑い深そうな視線を向け、バージョンは、一瞬たりとも側を離れない。
『サンズ、ニューパロマとレキシントン港の中間地点にある森に行ってくれ』
バージョンを決闘に巻き込みたく無かったが、仕方ないと出発する。しかし、大使館の外ではスチュワート皇太子とジェームズ卿が待ち構えていた。
「ショウ様、こんなに朝早くからどちらに行かれるのですか?」
やれやれ、わかっているくせにと肩を竦める。
「止めに来られたのなら、無駄ですよ」
ショウに言われるまでもなく、止めても無駄だとスチュワートも思っていた。自分が言って止めるぐらいなら、初めから決闘などしないだろう。
「サラム王国の外交官と決闘されるのですね。私は前からショウ様とは親しい間柄だと考えています。だから、立会人に立候補しますよ」
面倒な事になったが、ここで揉めて遅刻するのは困る。
「スチュワート様にはかないませんね。でも、立会人としての立場をおまもり下さい」
決闘に手だし無用と宣言して、決闘場所に向かう。東の空が明るくなり、暗い森が見えてきた。
「あの馬車はサラム王国の大使館のものか?」
森の中の空き地に一台の馬車が停まっている。こんな早朝に、ピクニックではあるまい。ショウ達は少し離れた場所に竜を下ろす。
「ショウ王太子! 助っ人を連れて来たのですか? これは、これは、スチュワート皇太子殿下ではありませんか!」
馬車から降り立ったザイクロフト卿の嘲笑に、スチュワート皇太子はムカッとする。
「私は、この決闘の立会人だ! 無礼な言葉は慎みたまえ! 紳士としての節度を護りなさい」
サラム王国の大使館の武官がザイクロフト卿の付き添い人として、スチュワート皇太子と、バージョン中尉と話し合う。スチュワート皇太子とジェームズ卿は、話し合いで済まされないか? 血を流しただけで終わらせないか? と最後の確認をする。
「まさか! 今更怖じ気づいたのか!」
ザイクロフト卿の徴発に、ショウも我慢の限界だ。
「お前を成敗してくれる!」
スチュワート皇太子も、ジェームズ卿も、ザイクロフト卿の態度には腹を立てていたが、立会人として中立を我慢して保つ。
「ショウ王太子もザイクロフト卿もお互いに許しがたいと考えているのだな。なら、決闘をするしかない! 両名の付き添い人は、手出しをしないように!」
お互いの付き添い人に、武器を点検させる。剣先に毒を塗ったりする卑怯な遣り口を警戒した決闘の手順だ。
バージョンは、ザイクロフト卿なら毒ぐらい塗りかねないと真剣に調べたが、何も変わったところは見つからなかった。サラム王国の武官も、ショウ王太子の剣を調べて立会人に返す。
「本当に決闘をするのですか?」
最後の最後の確認をスチュワート皇太子がし、二人が頷く。サンズは心配で気も狂わんばかりだが、ショウとの約束を守って我慢して見守る。
「甘やかされた王太子に、私の剣が受けられるかな?」
嘲笑うザイクロフト卿に、ショウは激しく打ち込む。バージョンは、ザイクロフト卿が外交官なのに腕が立つと見抜いた。
「ショウ様! 油断なさらないで下さい」
ショウも二、三度剣を交わして、ザイクロフト卿がかなりの腕前だと気づく。しかし、メリッサを誘拐しようとした相手を許す気は無い。
凄く激しい戦いになったが、ショウの剣がザイクロフト卿の左腕をかすめた。立会人のスチュワート皇太子は、これで終わらせてくれたらと、一旦は中断させようと声を掛けるが、全く聞き入れて貰えない。
「スチュワート様、これは無理ですよ! 止めに入ったら、此方が斬り殺されます」
エドアルド国王陛下も無茶を言われる! ジェームズは見守るしかないと、止めようとするスチュワート皇太子に無駄だと忠告する。
シャツに血が滲んできたザイクロフト卿は、少しずつショウ王太子に圧されていく。
……チッ! 甘やかされた王太子に殺されるのか! しかし、私一人では死なないぞ! 地獄に道連れにしてやる……
用意周到なザイクロフトは、剣は決闘前に調べられるのはわかりきってたので、ズボンの横に毒を塗っていた。どうせ、死ぬなら、東南諸島の王太子を殺してからにしようと、最後の悪巧みをする。
「お前みたいな甘ちゃんに私が殺せるわけがない!」
ザイクロフト卿の挑発に、ショウも怒りが抑えきれない。
「こそこそと悪どいことばかりして回るお前なんか、ここで成敗してやる!」
挑発に乗ってはいけない! バージョンは冷静さを失っては、ミスを犯してしまうと注意しかけた。その時、ザイクロフト卿の剣がショウの顔を掠めた。
「ショウ様!」バージョンの悲鳴があがる。サンズも心配そうに羽根をバタバタさせた。
頬に一筋の傷がつき、血が流れ落ちる。その隙にザイクロフトはズボンの毒に剣を擦り付けた。
「何をした!」
立会人のスチュワート皇太子と、ジェームズ卿は、ザイクロフト卿の不審な動きに気づき、決闘を止めようとする。
しかし、ザイクロフト卿は自分の死と引き換えに、ショウ王太子を殺すべく、最後の攻撃にでた。
ショウの剣がザイクロフト卿の胸を貫いた時、毒を塗られた剣が肩に叩き落とされた。
「これで……親の仇がとれた……」
ザイクロフト卿が草の上に崩れ落ち、ショウは肩に燃えるような痛みを感じて、膝をついた。
「ショウ王太子! 大丈夫ですか?」
バージョンはショウに駆け寄り、怪我の具合を確かめる。
『ショウ! しっかりして!』
サンズは決闘が終わったのだと安堵したが、様子がおかしいと側に飛んできた。
『サンズ、心配かけたね……』
バージョンが自分のシャツを裂いて、肩の傷から流れ出る血を止めようとしている真っ青な顔と、サンズの心配そうな金色の瞳がボヤけていく。
「ショウ様!」
朦朧とするショウ王太子を、バージョンは抱き締める。
『ショウ! ショウ! しっかりして!』
ショウは、サンズに大丈夫だと言おうとしたが、真っ暗な世界に落ちて行く。そこには憎らしいザイクロフト卿が高笑いをしていた。
1
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる