転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第5章 入学編

第5章ー⑰

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 「「…はっ?」」

 男の発言に自分達は目を丸くする。飲み過ぎた? 一体何を? 腐った牛乳でもがぶ飲みしたのだろ…

 「酒、飲み過ぎて、二日酔いが酷い、うぶっ!?」

 「…」

 ろうなどという淡い考えも虚しく、男は吐気を抑えて自ら自白する。二日酔いにしてもぶっ倒れるぐらい症状が悪化してるって、どんだけ飲んだというのだこの人は。あまりにも酷すぎてミオですら呆気に取られすぎてその場で茫然としているのだけれども。

 「いやー、すまないね皆」

 「リーフさん?!」

 皆が変な男に気を取られていると、突然リーフさんが現れた。さっき新学式に参加していたと思うが、もう終わってしまったのだろうか。

 「『明日入学式だから程々に』と注意したつもりだったんだけどね。心配で様子を見に来たら案の定だ」

 「えっ? この人、知り合いなんですか?」

 驚くべき事に、この二日酔い男とリーフさんは知り合いらしい。ひょっとしてリーフさんの友人かなにかか? 友人が調子こいて勝手に学園内で徘徊していたということなのだろうか。けど、リーフさんの発言が引っかかる。入学式だから程々にしとけと注意したのが妙に引っかかる。普段から注意しているのならいざ知らず、この日に合わせて注意していたというのはなにか変だ。となると、学園関係者なのだろうか。仮にもここは貴族学校の筈だが、剃り忘れの顎鬚にしわしわのシャツ、髪もボサボサで清潔感皆無そうな男が学園の関係者というのはあまりにも不釣り合いすぎる。そう考えると、流石にそれはないかな。































 「知り合いもなにも、今日から君達のクラスを担任する、アサヒ・コールスタッシュ先生だよ」





































                『…えっ?!』

 恐らくここで初めてクラス全員の気持ちが一つになった瞬間だった。

 「あの、今なんて言いました?」

 嘘だと思いたい気持ちが強まったのか、ミオが顔を真っ青にしながらもリーフさんにもう一度聞き返す。駄目だミオ。その質問は更に自分達を苦しめる事に…

 「彼が君達を担任するアサヒ・コールスタッシュ先生だ。色々世話の掛かる先生だが、実力は本物だから。酒と煙草とギャンブル好きだけど、女遊びだけはしないから安心してくれ」

 「女は時間と金が掛かりそうだから面倒なだけですよ」

 「…嘘…」

 なる事など、リーフさんは知らぬかのような爽やかな笑顔で答えた。酒と煙草とギャンブルって、典型的にダメな男の三大要素しかないし。あと、時間と金が掛かるのはどっちかというとその人な気がするんですけど。親切に助けようとした女の子を前によく言えたものだな。

 「ほら、せめて先生らしくなにか一言言ってあげたらどうだい?」

 「んー、まあ、これからよろしくぅー、うっぷ!?」

 『…』

 呑気に二人の謎の漫才を見せられ、クラスの全員が絶望に叩き落されるのだった。
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