上 下
374 / 445
第11章「異世界編、始まる」

第4話「俺のアレが限界」

しおりを挟む
 「2人とも! ボサッとしないで手伝って?!」

 「えっ? あっ、うん」

 「し、仕方ないみたいですね」

 「ええっ?! ちょっと待って!? さすがにこれ以上引っ張られると俺の腕が、いや、ホントにマジなやつだから!?」

 有紗はボーッとしていた梓とみのりに声をかけ引っ張るのを手伝うよう促した。このままだとマジで俺の身体がグロテスクになってしまう。

 それに、さっきから耐えているのだが、がそろそろ限界を迎えてきている。

 「ごめんねお兄ちゃん。もう少し辛抱してね?」

 「和彦君、すぐに助けますからがんばってください!?」

 2人はとにかく俺に言葉をかけ少しでも不安を取り除こうとしているが、腕の痛みとを我慢しているせいで俺の耳にはほとんど入ってきていない。

 「ッ!?」

 そのとき、とうとうの我慢の限界がきていた。この状態でするのはマズい気がするのだが、もうがすぐそこまできている。

 「ほら、いくわよ!?」

 「ッッ!?」

 俺がを抑えようとしていたそのとき、有紗達3人が一斉に俺の腕を引っ張り始めた。

 「イダダダダダダダダダッ!? 腕が、腕が…」

 「ちょっと和彦!? 暴れないでよね?!」

 俺が激痛に悶えると有紗から注意されるのだが、そんなこと言われてもこの激痛を味わってジッとしていられるわけがない。

 「っ!? はっ…」

 そのとき、不意にがきてしまった。マズい。このままだと有紗達にかかってしまう。

 「はっっぶっしょいーー!!」

 「ッ!?」

 そう思った矢先だった。俺の鼻は限界を迎え、大きなをした。

 すると、俺の鼻水とツバが有紗達の方に勢いよく飛んでいった。

 しかし、有紗はそれをすぐに察知したのか、避けようと無意識に俺の手を離した。

 「あっ」

 そのことにすぐに気づいた有紗だったが、

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 気づいたときには時すでに遅く、ゲートは一瞬にして俺を吸いこんでしまい、俺はゲートの中に呑み込まれてしまった。

 「和彦?! きゃっ?!」

 「有紗ちゃん?! きゃ?!」

 「みなさん?! きゃあ!?」

 俺がゲートに呑み込まれると有紗は俺を助けようと慌てて手をゲートの中に突っ込んだ。

 だがしかし、慌てていたせいか、体勢が悪く踏ん張りきれずにそのままゲートの中に吸い込まれてしまった。そこから芋づる式に梓とみのりも有紗と同じようにゲートに吸い込まれていった。

 そして、ゲートは何事もなかったかのようにスッと消えていくのだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,867pt お気に入り:309

婚約関係には疲れたので、しばらく義弟を溺愛したいと思います。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:16,571pt お気に入り:523

集めましょ、個性の欠片たち

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:2

二人のおっさん

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:285pt お気に入り:1

月の帰り道

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:10

空白 ~ 学生寮の殺人

ミステリー / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:11

LoOp

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:17

処理中です...