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本編(一話完結)
三上 日和(みかみ ひより)、高校2年生。陰気で友人もおらず、教室の隅っこで1人ソシャゲをしながらぼんやりと生きるだけの日々。ゲームと漫画以外人生の楽しみが無いまま過ごして来た17年間は、上空から落ちてきた植木鉢が頭に激突し呆気なく終わった。
死に際にこれまでの人生を振り返るターンも無く即死…だと思いきや、見知らぬ場所で目が覚める。
「…ん、ん?え、何?」
フカフカのベッドの上から辺りを見回せば、如何にも貴族様が暮らしていそうな豪華な部屋が目に入る。どこもかしこも煌びやかな装飾が施されており、困惑しながらもどうにか身を起こし立ち上がった。
「俺死んだはずじゃ…これは夢…?それとも天国?」
昔好んで読んでいた異世界転生物の小説では神様から特別なスキルを授かって赤子に生まれ変わるという展開が多かったが、自分の体を見るに幼さはあるがもう赤子ではない程度には成長しているようだ。
よくよく己の姿を確認しようと壁に立てかけてある全身鏡に近づけば、そこに映ったのは生前の自分とは似ても似つかない少年の姿であった。
黒い髪に真紅の瞳。頭部からは小さい2本ツノが生え、背中には悪魔のような羽がついている。
人間ですらないその姿に驚愕しわなわなと震えていれば、不意に扉がノックされた。
「ウルス様、入りますよ~」
「え、いや、ちょ!」
有無を言わさずそのまま扉がガチャリと開く。せめて事態を飲み込む時間が欲しかったが、入室の許可を出していないにも関わらず無遠慮に入ってくる様子に違和感を感じる。
様と付けられていることから察するにどう考えてもこの体の持ち主の方が位が高いはず、こんな豪華な部屋で暮らしているのだから尚更だ。ぞんざいに扱われているのだろうか。
執事服を着崩した気だるげな男が扉から顔を覗かせ、完全にこの体の持ち主を完全に舐めていますよという態度で首に手を当てズカズカと中へ入ってくる。
外見はおよそ20代前半程度、寝起きそのままのようなボサボサの白髪。目が隠れるほど長く伸ばされた前髪の隙間からチラリと見える整った顔立ちにどこか見覚えがあった。
「お、ベッドから立ち上がるなんて珍しい。今日は元気そうでなにより。んで本日は~、まぁ特に何もないですね~。そんじゃ」
こちらの様子をじっとり観察するように上から下に見た後、くぁっと欠伸を噛み殺しながらあってないようなレベルのふわっとした本日の予定を眠そうに告げ立ち去ろうとするので咄嗟に呼び止める。
「は!?ちょ、ちょっとまて!それだけか!?きがえとか、もっといろいろやることあるんじゃないのか!?めしつかいなんだろ!」
「お、今着替えるんですか~?珍し。ずっと寝衣生活で夜にしか着替えない引きこもりウルス様が、ようやくお出かけする気になりました?明日は槍が降るな~」
「なんだよ!じゃあなんできたんだよ!なにもないならつたえにくるひつようなかっただろ!?」
「いや仕事なんで~。ウルス様の生存確認的な?つかなんで今更そんなこと聞いてくるんですか、いつものことでしょ」
半笑いで告げられた言葉にハッと我に返る。そもそも俺は死んだはずで、こうして起き上がって喋っていること自体がおかしなことだ。
しかも全くの別人、その上悪魔のような姿になっている。最悪なことにこの体に関する記憶は一切持っておらず、一から探っていく必要があった。
恐らくウルスというのが名前なのだろう。悪魔、ウルス…
「はっ!?ウルス!?」
ウルス…と頭の中で名前を反芻させていると、自分が三上日和であった頃熱心にプレイしていたゲームのキャラクターを思い出した。
主人公が各地を冒険し最強を目指すRPGゲーム、【ブレイヴクエスト】
プレイヤーに主人公の必殺技の使い方を教える為のチュートリアル戦闘で倒される最序盤のボスである悪魔ウルス。
両親が魔界屈指の上級悪魔だが、ウルスは人型を保てない下級悪魔以下の魔力量と戦闘能力で、権力を盾に我儘放題し主人公の暮らす村を遊び半分で破壊しろと自分より身分の低い悪魔達に命令する典型的な七光の屑キャラだ。コアなファンがちらほら付いているが、多くのプレイヤーにはネタキャラとして認識され、ザコルスという蔑称で有名だった。
破壊し尽くされた村を見た主人公が怒りによって力を覚醒し、魔族を殲滅すると心に決めるという物語を進める上で重要なイベントで、初めてプレイした時から大好きなシーンの1つだ。
この姿、名前、暮らしぶり、間違いない。どうやらブレイヴクエストの世界に、よりによってウルスに憑依してしまったらしい。
村を襲った時は青年のようなビジュアルだった為鏡を見た時は全く気が付かなかった。
「うわ、急に大声出さないでくださいよ。あ~ウルス様おかしくなっちゃった、面倒なんでもう行きますね~」
執事風の男は呆れたように背を向け出て行こうとする。
飽きるほどプレイし攻略本を読み漁った俺なら分かる、この怠惰な雰囲気の男はセラだろう。上級悪魔の息子であるウルスを監視する為に屋敷に潜入している天使であり、主人公のパーティが全員戦闘不能になった際数%の確率で全復活してくれるトンデモお助けキャラ。
ウルスが殺されたのをいいことにフラフラと気ままに過ごし、気まぐれで助言をしてくれる。
端から味方でもなんでもないのだ。ウルスが死んだことになんの反応もしていなかった。
自分がゲームのキャラクターであると自覚した瞬間、この体の持ち主であるウルス自身の記憶が少しずつ蘇ってくる。
持って生まれた魔力量が少なく、物心ついた時には既に両親には見捨てられていた。生活に不自由したことは無かったが親と同様屋敷の人間は皆無関心で、ウルスは注目を集め構ってもらおうとわざと癇癪を起こしており常に寂しさに苛まれていたようだ。
そんな中でもセラは人形のように無感情に対応してきた他の使用人達とは違い、何故か毎日部屋に訪れて来てくれ、いつも気だるそうにしながらも呼び止めれば自分に構ってくれていた。
ゲームの記憶がある三上日和だから分かる、毎日来てくれたのも、話しかけたら答えてくれたのも全部監視の為だ。
だがウルスの中ではその記憶が大切なものとして残っていたようで、ゲームのキャラクター設定に関する知識がある三上日和と完全にリンクした今、涙腺が崩壊した。
「う゛え゛~~~~ん!ひぐ、うう゛~~~~!」
「は!?…え、何?」
面倒そうに出て行こうとしていたセラはギョッと目を見開いたまま振り返り、困惑しながらこちらに近寄ってくる。
目線を合わせてしゃがみ込み、子どもの相手など分からないといった様子で困ったように頭を搔いた後、取り敢えずといった感じで頭をぽんぽんと撫でてくる。
「ぐすっ、う゛ぅ~~……」
「えぇ~?ん~…困ったなぁ」
セラの腰にしがみつき涙でべしょべしょになった顔をぎゅっと押し付ける。
ゲーム上のウルスは死んだところで誰も悲しむものはいなかった。それは許されない行いをした報いであり当然の結果なのだが、誰かに注目してほしい、構って欲しいという歪んだ承認欲求によって起こした行動だったのだと理解出来た。
孤独なウルスが唯一心を許している存在になんの感情も抱かれておらず、死に際ですら関心を持たれていなかった事実を知ってしまったせいだろうか、強い悲しみの感情で満たされたウルスとしての人格に飲み込まれそうになる。
「ぅ゛ぐっ、ひっく、…う゛う゛っ、せ、せら゛、」
ウルスの幼少期に憑依出来たことにまずは喜ぼう、ここからであればまだやり直せる。幸い今はまだ目立った問題行動は起こしていない、セラからも面倒な子どもだというぐらいにしか思われていないようで、困惑しながらも頭を撫で続ける様子からウルスに対して多少の情が残っているのかもしれない。
少しずつ、やり直していこう。少なくとも主人公の村を襲うことは無いし、こちらからアクションを起こさないかぎり死ぬことは無いと願いたい。
このまま静かに生活して、穏やかに暮らそう。幸運なことにお金に苦労することは無さそうだから、屋敷を追い出されさえしなければ夢のニート生活が出来るかもという希望もある。
「っ、…お゛れ、っいい゛こに゛、な゛る…!だ、だから゛、きら゛い゛に、なら゛ない゛で!」
「…ウルス様~?」
セラにぎゅうぎゅう抱きつきながら、そう宣言した。
「ウルス様~、起きてます~?」
「セラ、おれはもうおきてるぞ」
いつもの通りセラが部屋に入ってくる。セラは毎朝ここに訪れ全く意味の無い1日のスケジュール報告をしてくるが、ウルスが大人しく過ごしているか監視するのが本当の目的だ。
ウルスの記憶によると、毎回ここで伝え終わればもう用は無いというように立ち去るセラを呼び止め、適当な話をして時間稼ぎをしながら何とか引き止めて一緒に居させようとしていた。
正直に傍に居て欲しいと命令しても目を離した隙にセラがいなくなってしまう為、これは幼いウルスが精一杯考えた作戦のようだ。
だが、良い子になると宣言した手前ここで引き止める訳にはいかない。
もう既にこちらに背を向けているセラに思わず「ぁっ…」と声が漏れる。
ほんの一瞬セラの動きが止まったように思えたが、そのまま扉に手をかけてしまった。
行かないでほしい、寂しいとウルスの感情が訴えかけてくる。
必死に耐えながらシーツをぎゅっと握りしめ、去っていく背中を見ないよう下を向いた。
数日続けていけば、セラは面倒事が少なくなったというような様子を見せていたから、努力が報われたとほっとする。
日が経つ毎にセラの纏う空気がほんのり変化したような気がするが、それも気の所為だと片付けた。
セラの顔を見てしまうと寂しくて仕方なくなってしまうので、今日は毛布を頭まで被りもごもごと返事だけしていれば、ぺろっと布団をめくられ憑依初日のように頭を撫で回される。
「セラ、おれにかまうことないから、きにしないでくれ」
「どうだか。ほんとどうしちゃったんです?いい子になるって急に言い出して、すっかり大人しくなってさ~」
「っ、…う゛ぅ、」
セラの手の温度がじんわりと伝わってきた瞬間、押し殺していた寂しさが溢れ出る。
毛布からのそりと這い出てセラに抱きつきながら、良い子作戦はほんの数日で頓挫してしまったなとぼんやり考えた。
面倒だと言って何処かに行ってしまうくせに、ゲームではウルスが死んだら仕事が片付いたってちょっと嬉しそうにしてたくせに、離れようとした途端優しくしてくれるセラはずるいやつだ。
「せら…、だけだ。おれにこんな、かまってくれるやつは。だから、めんどくさいって、きらわれたくなかったんだ…」
ゲーム通りに進んで、自分が死んだ時清々したと思われるのも、嫌われるのも、無関心なのも嫌だ。
けれどすぐに出ていってしまうセラと仲良くなる方法が分からない、かといって引き止めることをやめれば振り出しに戻るだけ。
なら嫌われるよりも無関心になってもらう方が良かった。死さえ回避出来れば万々歳だ。だけどセラは天使で優しいから悪魔の俺にも優しくしてくれる。
「確かにここ数日は楽に過ごせましたね」
「う゛っ」
「まぁでも、俺が居ないとウルス様こんなに弱っちゃうみたいですし。仕方ないんでこれからもウルス様の相手してあげますよ~」
「せ、せら゛ぁ゛~!!」
全身でセラの体温を感じながら、三上日和だった頃の感情よりもウルスの感情の方が強くなっていることに気がつく。徐々に飲み込まれているというより、精神が溶け合ってこの世界に馴染み始めているのだろう。憑依したての頃の違和感や、別人の体を動かしているという感覚はもう消えている。
元々のウルスもセラのことが大好きで大事だったようで、セラが今までより構ってくれている事実が心底嬉しかった。
あれから年月が経過し、少年の姿から青年体になるまで成長した。
俺の持つ魔力量ではこの姿まで成長するのが限界なようで、大人の姿になることは叶わないらしい。
悪魔と人間の時間感覚は全く違く、体感では5年ほどしか経っていないが実際は数十年経過しているようだ。
セラとの関係は意外にも良好で、良い子作戦を失敗したあの日から欲求を我慢できなくなり、前以上にベタベタ甘えるようになってしまった。
朝ベッドから起き上がる時はセラに抱き起こしてもらい、食事をする時も傍に居てと駄々を捏ねる。
セラはというと、前のように目を離した隙に何処かに行ってしまうなんてことは無くなり、一緒に居て欲しいと強請れば言葉通り片時も離れないでいてくれるようになった。
相変わらず屋敷でセラ以外から話しかけられることは無いが、我儘三昧で癇癪を起こしてた頃の孤独感は、セラのおかげですっかり消え去っていた。
「セラ、今日も一緒に寝てくれ」
「あ~はいはい、ウルス様は青年体になっても変わらないですねぇ」
セラはいつも通り面倒そうにしながらも、お願いをすればなんだって聞いてくれた。
こうしてセラと眠るのはもう日課になっており、眠る前はいつもセラに頬を両手で包まれてぬいぐるみでも愛でるかのように優しく撫でられる。
満足気に微笑むセラに見つめられると、不思議と安心する。体の力が抜けてだんだんとうとうとして、すぐに眠りに落ちることができた。
目覚めた時に腹の奥がじくじく疼いて変な気分になることだけが難点だが。
何不自由無く、毎日が満ち足りていて幸せだ。
けれどふと頭の中である欲求が湧き上がる。“ゲームの主人公に会ってみたい”と。
せっかく退屈だった人生を支えてくれた大好きなゲームの世界に居るのだから、ゲームのキャラクター達が意志を持って動いている姿が見てみたい、あわよくば好意的に思われたい。
ゲームでウルスが村を襲撃したのがこの頃のはずだから、もう主人公はこの世界に存在しているだろう。
この屋敷で、空気のように扱われてきた俺が居なくなったところできっと誰も気がつくはずがない。セラだってきっと久々に自由な時間を楽しめるはずだ。
セラが朝食を片付けるため部屋から出て行くタイミングを見計らい、生まれて初めて窓から屋敷の外へと飛び立った。
羽を使ったことは1度もなく、フラフラとしながらも何とか飛行することに成功する。
「俺の屋敷は上級悪魔のボスダンジョンになってるから、マップとしては…あっちか!」
ゲームではワープ機能によって一瞬で行けたけれど、実際に魔界から人間界まで飛ぶとなると相当の距離があり、到着する頃にはへとへとになりながら落下し地面に頭から激突してしまった。
「うぎゃんっ!」
落下の衝撃でパキンッと片方のツノが折れてしまう。痛覚は通って無いものの、あまりの出来事に顔を真っ青にし折れたツノを手に震える。
ツノは魔力の源であり、折れてしまえば生え変わるまで魔力が回復しない。
片方であってもウルスにとっては死活問題であり、このままでは魔力が足りず屋敷に戻るには歩いて帰るしかなくなる。
だが歩いて帰れば冒険者や騎士に出くわして殺されてしまうリスクもあった。
「あれ、そもそも人間と悪魔って敵対してるんじゃ…」
村を襲っていないから大丈夫だとばかり思っていたが、そもそものこと人間と悪魔、魔族は敵対関係にあり、討伐対象であった。
今更そんな初歩的なことに気づいて逃げようにもどうすることも出来ない。
羽をしょんぼりと下げ地面にへたりこみメソメソ泣いていれば、ふと頭上から声をかけられる。
「君、悪魔か?そこで何をしている、まさか村に危害を加えに来た訳では無いだろうな?」
「え、え、あっ!!?セオドア!?」
声の主はブレイヴクエストの主人公であるセオドアだった。ゲームで何度も見たセオドアが、こうして動いて話しかけてくれるなんて夢のようだ。
だがセオドアと名前を呼んだ瞬間眉をひそめ、剣を額に突きつけてくる。
「何故、名前を知っている」
「ひ、ひぇっ、あの、そのっ、」
咄嗟に上手い言い訳が思いつかない。当たり前だ、突然名前を呼んだら不審がるのは当然。迂闊すぎる自分の行動に深く後悔した。
嫌だ、ここまで頑張ってきたのに、何も悪いことなんかしていないのに死ぬなんて嫌だ、どうにか、どうにか……
「せ、セオドアと、友達に…!」
「ダメでしょ、ウルス様。外に出たりなんかしたらさ」
背後から何者かに抱きしめられ、耳元でそう囁かれる。
すぐに声色だけでその人物がセラだと分かった。
目の前にいるセオドアの顔は何が恐ろしいものを見たような驚愕の表情で固まり、声を出すことが出来ないのか微動だにしなくなる。
セラに抱きしめられれば、嬉しくて幸せで心が安らいでいくはずなのに、無視出来ないほどの悪寒と恐怖で体が震える。
後ろを振り返る暇も無く、瞬く間に視界が暗転した。
「ぁ゛っ♡♡?ぁ゛っ、ひぁ゛っ♡♡ぁ゛っ、~~♡♡?」
「脳みそふわふわなウルス様のことだから、自分が居なくなっても誰も気がつかないって思ったんでしょ。バカだな~ウルス様、俺だけはずっと一緒に居たのに…羽なんか使いやがって…」
「ひん゛っ!?♡ぁ゛う゛うっ♡♡う゛~~♡♡」
羽の付け根をギュッと抓られ、体が大きく跳ねる。
目が覚めた時瞬間からずっと全身が快楽に支配され、嬌声を上げることしか出来ない。
「ウルス様のココ、毎日意識失わせて、丁寧にちょっとずつ拡げてたの気づいてました~?はは、気づいてるわけないか」
既にずっぷりとセラの肉棒が挿入り込んでおり、気絶している間も好き勝手動かれたようで起きた瞬間から絶頂の余韻が引かない。未知の感覚に恐怖し逃げようと必死に足をばたつかせた。
「ありゃ、元気いっぱいですね~、ちょっとだけ大人しくしてような」
頬を両手で包まれ強制的にセラと目を合わせられた瞬間、キィンと耳鳴りがし、頭がグラりと揺れる。
途端に全身から力が抜け落ち、抵抗し暴れさせていた手足がベッドに投げ出された。
「、ぁ゛…ぁ゛…♡?」
体が動かない、自分が自分じゃなくなっていくようで怖い。
どんなに力を込めようにも身動ぎすら叶わず、やだ、やだ、と情けない声を上げることしか出来ない。泣きながら助けてと何度も呟くが、自分が助けを求めることが出来る唯一の存在からこうして犯されているのだから、もはや絶望しか残っていなかった。
その様子を見て気分が良くなったのか、セラは「いい子ですね~、ウルス様♡」と口角を上げ頬を撫でる。
「真っ白ですべすべで、ウルス様ってと~っても可愛いんですよ。本当、食べたいぐらい」
その言葉に肩を大きく跳ねさせた俺を見てセラは愉快そうに笑い、がぱっ♡と天使に似つかわしくない凶暴な牙を見せつけながらゆっくりと焦らすように喉元を柔く何度も甘噛みする。
「ん゛ひっ♡♡、はっ、…はっ…♡くひゅ、…♡♡」
ひくっひくっと噛み千切られるかもしれない恐怖に痙攣する喉を味わうように舌で舐め上げられる。
(たべられちゃう、おれ、このままじゃセラに、たべられて、)
声にならない声でやめてと何度もやめてと呟くが聞き入れてくれる様子は無い。グッと噛み跡を残すように歯を立てられた瞬間、視界がチカチカ明滅した。
「ッ~~~~♡♡♡…ぉ゛、………♡♡っ………♡♡♡」
痛くて苦しいはずなのに、ゾクゾクと体の奥から快楽がせり上がってくる。この天使に全て喰らい尽くされてしまうと恐怖しているのにも関わらず、体は勝手にそれこそが俺の幸せだと言うようにセラのモノをぎゅ~♡と締め付け為す術なく絶頂してしまう。
何度もイったことにより勃つことすら出来ず、使い物にならなくなった自身の陰茎からとろ~♡と透明な液体がゆっくり吐き出される。
いつまでも絶頂寸前の頭が真っ白になるような感覚から戻って来れないまま、ただ涙を流すことしか出来ない。
「あれ、もしかして甘イキしてんの?うっわぁ、ウルス様可愛すぎでしょ~♡中動かしてないのに俺に喉噛まれてイっちゃうとか、もしかして俺達相思相愛ってやつ?♡」
「か、ひゅッ…♡♡ひゅ、…っ、♡♡っ……♡♡」
「あは~♡全然戻って来れないのか~わい~♡ツノ、もう片方も折っちゃいますね。生えてきたらその度に折ってやるから」
一切の躊躇も無く根元からパッキリ折られ、両方のツノが無くなり逃亡の手段を奪われた俺をセラは愛おしそうに見つめ唇を重ねてくる。舌を一方的に絡め取られるが、首を振って抵抗することさえ出来ずされるがまま蹂躙されていく。
「な゛、んれぇ゛…っ♡♡にゃ゛んれ゛、こん゛、にゃ゛ぁ゛あぁ~~♡やら゛♡や゛あぁ゛あ゛♡♡い゛、くぅ゛っ♡♡い゛、く゛っ♡♡」
容赦無く弱点をごりごり擦られ、ぷしゃぁあ♡と情けなく潮を吹きながら中イキしなんでなんでとセラに必死に訴える。
絶えず涙を流し続ける目元を舐め取り、セラは心底愉快だと顔を歪ませた。
「なんでって、ウルス様のせいでしょ。面倒なだけだったのに、あんなに可愛いこと言って俺を惑わせて、それなのに逃げるなんて酷いじゃないですか」
「んぉ゛っ♡ひ、ぉ゛おぉ゛っ♡おぉぉ゛お゛~~~~♡♡♡」
「あははっ♡気持ちいい~って顔だ♡ほら、ウルス様。俺の目を見てくださいね、すぐに何も考えられなくしてあげますから」
その言葉に従ったらもう戻って来れない気がして咄嗟に固く目を瞑るが、セラはくすくすと嘲笑いながら煽るようにゆっくりと奥を優しくノックしてくる。
「ウルス様~♡目開いてくださいよ、怖いことなんて何も無いですってば。今までもそうだったでしょ?俺のこと信じて♡」
耳元で甘い言葉を囁かれ、気持ちが揺らぐ。
目を見ろという要求だって、ただ言葉通りの意味でなんの危険も無いものかもしれない。長い前髪から僅かに見える瞳はいつだって優しくて大好きで、どうしてこんなことになってしまったんだろう。
中々目を開かない様子に痺れを切らしたのか、セラは小さく舌打ちし腰を掴んでいる手に少しだけ力が込められる。
「…ウルス様の為なんだって。俺が行かなかったら、あの時殺されてたかもしれないじゃないですか。何も知らないまま、ここで俺と楽しく気楽に過ごすのがウルス様の幸せでしょ」
肉棒がぐりっ…と壁を無理矢理こじ開けるように強く押し付けられ、入ってはいけない所まで挿れようと広げられていく。
ほんのり怒気を含んだ声色で、それなのに今にも泣いてしまいそうなぐらい弱々しく訴えかけられる。
そうか、セラは怒ってるんだ、俺がセラに何も言わないで外に出ちゃったから。今更後悔したところで遅いことは分かっていた。
不安にさせてごめん、こんなことさせてごめんって謝らなければいけないのに、俺を壊そうとしてくるセラが怖くて、喉が引き攣り上手く言葉にならない。
「ご、ぇ゛…っ、♡な、ひゃ…っ♡」
「お願い、お願い。このままだと酷いことしちゃいますよ。今なら許してあげるんで、俺以外全部忘れさせた後でたっぷり優しくしてあげますから。ほら、早く」
「へ、ぁ、?♡♡、ぁ、やっ、…?♡♡」
理解が追いつかず、言葉をかけられるが何も耳に入ってこない。
今何をされようとしているのか、このままではどうされてしまうのかが。嫌だ、怖い、こわい、
恐怖のままに首を横に振れば、セラは深く溜め息をつく。
ずろろ…♡と一旦フチまで引き抜かれたかと思うと、間髪入れずにドチュンッッ♡♡と結腸へと一気に貫かれた。
「ーーーッ?♡♡ッッぉ゛おお゛ぉ゛おぉ゛~~~♡♡♡♡♡」
「ッ、中、すげ~締まって…、…、あ、…っは♡ははっ、♡目、開けちゃったんだ…♡きゅうきゅう甘えてきて、そんなにイイですか~?♡」
奥の奥まで侵入されあまりの強烈な刺激に思わず絶叫し、目を見開き全身が激しく痙攣する。ぷしゃっ♡ぷしゃっ♡と壊れた玩具のように潮を勢いよく噴出し、動かれる度に連続で絶頂しているのか正常な思考が戻って来ない。
目を閉じなければいけないのに、強烈な快楽を与え続けられているせいで頭が回らない。気づけば自分を壊そうとしている張本人に対して無意識に助けを求めていた。
「あぁ゛あぃ゛ぐうぅ゛♡♡もぉ゛や゛ぁあぁっ♡せら゛ぁ゛、♡♡ら゛ひゅけッ♡♡♡たぢゅ、けへぇ゛え゛~~~♡♡♡」
「は~い、ウルス様♡すぐ助けてあげますね♡」
助けて助けてと必死にセラに対して叫ぶ。この屋敷の中で俺のことを助けてくれるのはセラしかいないから。
心の底から信じていたのに、誰よりも大好きだったのに。
セラは涙で歪む視界を戻すように目元に口付け雫を舐め取る。
後頭部を両手で優しく持ち上げられ、安心させるように微笑むセラと目が合った。
「外に出たこと、出たいと思ったこと、辛いことまでぜ~んぶ忘れて、これからは俺のことだけ記憶して、縋ってくださいね~♡可愛くて可哀想な、ひとりぼっちのウルス様~♡」
「、わ、ひゅれ゛ぇっ、♡♡?ぁ゛、あ゛…♡♡?、ぁ、っ…♡……♡」
頭の中が徐々に霞んでいく。そうだ、これは全部夢なんだ、いつも通り、セラに見つめられて、段々意識が落ちてって…。安心する、気持ちいい、暖かい…。
「ぇ゛、へ…♡♡ふへ…♡♡、…しぇ、ら゛ぁ…♡♡?♡♡…え、へへ…♡♡……っ♡♡…っ♡」
セラの背中にはいつの間にか大きな天使の羽が現れていて、覆い隠すように広げられている。うっすら仄暗くなった視界でセラの瞳だけが爛々と輝いていた。
死に際にこれまでの人生を振り返るターンも無く即死…だと思いきや、見知らぬ場所で目が覚める。
「…ん、ん?え、何?」
フカフカのベッドの上から辺りを見回せば、如何にも貴族様が暮らしていそうな豪華な部屋が目に入る。どこもかしこも煌びやかな装飾が施されており、困惑しながらもどうにか身を起こし立ち上がった。
「俺死んだはずじゃ…これは夢…?それとも天国?」
昔好んで読んでいた異世界転生物の小説では神様から特別なスキルを授かって赤子に生まれ変わるという展開が多かったが、自分の体を見るに幼さはあるがもう赤子ではない程度には成長しているようだ。
よくよく己の姿を確認しようと壁に立てかけてある全身鏡に近づけば、そこに映ったのは生前の自分とは似ても似つかない少年の姿であった。
黒い髪に真紅の瞳。頭部からは小さい2本ツノが生え、背中には悪魔のような羽がついている。
人間ですらないその姿に驚愕しわなわなと震えていれば、不意に扉がノックされた。
「ウルス様、入りますよ~」
「え、いや、ちょ!」
有無を言わさずそのまま扉がガチャリと開く。せめて事態を飲み込む時間が欲しかったが、入室の許可を出していないにも関わらず無遠慮に入ってくる様子に違和感を感じる。
様と付けられていることから察するにどう考えてもこの体の持ち主の方が位が高いはず、こんな豪華な部屋で暮らしているのだから尚更だ。ぞんざいに扱われているのだろうか。
執事服を着崩した気だるげな男が扉から顔を覗かせ、完全にこの体の持ち主を完全に舐めていますよという態度で首に手を当てズカズカと中へ入ってくる。
外見はおよそ20代前半程度、寝起きそのままのようなボサボサの白髪。目が隠れるほど長く伸ばされた前髪の隙間からチラリと見える整った顔立ちにどこか見覚えがあった。
「お、ベッドから立ち上がるなんて珍しい。今日は元気そうでなにより。んで本日は~、まぁ特に何もないですね~。そんじゃ」
こちらの様子をじっとり観察するように上から下に見た後、くぁっと欠伸を噛み殺しながらあってないようなレベルのふわっとした本日の予定を眠そうに告げ立ち去ろうとするので咄嗟に呼び止める。
「は!?ちょ、ちょっとまて!それだけか!?きがえとか、もっといろいろやることあるんじゃないのか!?めしつかいなんだろ!」
「お、今着替えるんですか~?珍し。ずっと寝衣生活で夜にしか着替えない引きこもりウルス様が、ようやくお出かけする気になりました?明日は槍が降るな~」
「なんだよ!じゃあなんできたんだよ!なにもないならつたえにくるひつようなかっただろ!?」
「いや仕事なんで~。ウルス様の生存確認的な?つかなんで今更そんなこと聞いてくるんですか、いつものことでしょ」
半笑いで告げられた言葉にハッと我に返る。そもそも俺は死んだはずで、こうして起き上がって喋っていること自体がおかしなことだ。
しかも全くの別人、その上悪魔のような姿になっている。最悪なことにこの体に関する記憶は一切持っておらず、一から探っていく必要があった。
恐らくウルスというのが名前なのだろう。悪魔、ウルス…
「はっ!?ウルス!?」
ウルス…と頭の中で名前を反芻させていると、自分が三上日和であった頃熱心にプレイしていたゲームのキャラクターを思い出した。
主人公が各地を冒険し最強を目指すRPGゲーム、【ブレイヴクエスト】
プレイヤーに主人公の必殺技の使い方を教える為のチュートリアル戦闘で倒される最序盤のボスである悪魔ウルス。
両親が魔界屈指の上級悪魔だが、ウルスは人型を保てない下級悪魔以下の魔力量と戦闘能力で、権力を盾に我儘放題し主人公の暮らす村を遊び半分で破壊しろと自分より身分の低い悪魔達に命令する典型的な七光の屑キャラだ。コアなファンがちらほら付いているが、多くのプレイヤーにはネタキャラとして認識され、ザコルスという蔑称で有名だった。
破壊し尽くされた村を見た主人公が怒りによって力を覚醒し、魔族を殲滅すると心に決めるという物語を進める上で重要なイベントで、初めてプレイした時から大好きなシーンの1つだ。
この姿、名前、暮らしぶり、間違いない。どうやらブレイヴクエストの世界に、よりによってウルスに憑依してしまったらしい。
村を襲った時は青年のようなビジュアルだった為鏡を見た時は全く気が付かなかった。
「うわ、急に大声出さないでくださいよ。あ~ウルス様おかしくなっちゃった、面倒なんでもう行きますね~」
執事風の男は呆れたように背を向け出て行こうとする。
飽きるほどプレイし攻略本を読み漁った俺なら分かる、この怠惰な雰囲気の男はセラだろう。上級悪魔の息子であるウルスを監視する為に屋敷に潜入している天使であり、主人公のパーティが全員戦闘不能になった際数%の確率で全復活してくれるトンデモお助けキャラ。
ウルスが殺されたのをいいことにフラフラと気ままに過ごし、気まぐれで助言をしてくれる。
端から味方でもなんでもないのだ。ウルスが死んだことになんの反応もしていなかった。
自分がゲームのキャラクターであると自覚した瞬間、この体の持ち主であるウルス自身の記憶が少しずつ蘇ってくる。
持って生まれた魔力量が少なく、物心ついた時には既に両親には見捨てられていた。生活に不自由したことは無かったが親と同様屋敷の人間は皆無関心で、ウルスは注目を集め構ってもらおうとわざと癇癪を起こしており常に寂しさに苛まれていたようだ。
そんな中でもセラは人形のように無感情に対応してきた他の使用人達とは違い、何故か毎日部屋に訪れて来てくれ、いつも気だるそうにしながらも呼び止めれば自分に構ってくれていた。
ゲームの記憶がある三上日和だから分かる、毎日来てくれたのも、話しかけたら答えてくれたのも全部監視の為だ。
だがウルスの中ではその記憶が大切なものとして残っていたようで、ゲームのキャラクター設定に関する知識がある三上日和と完全にリンクした今、涙腺が崩壊した。
「う゛え゛~~~~ん!ひぐ、うう゛~~~~!」
「は!?…え、何?」
面倒そうに出て行こうとしていたセラはギョッと目を見開いたまま振り返り、困惑しながらこちらに近寄ってくる。
目線を合わせてしゃがみ込み、子どもの相手など分からないといった様子で困ったように頭を搔いた後、取り敢えずといった感じで頭をぽんぽんと撫でてくる。
「ぐすっ、う゛ぅ~~……」
「えぇ~?ん~…困ったなぁ」
セラの腰にしがみつき涙でべしょべしょになった顔をぎゅっと押し付ける。
ゲーム上のウルスは死んだところで誰も悲しむものはいなかった。それは許されない行いをした報いであり当然の結果なのだが、誰かに注目してほしい、構って欲しいという歪んだ承認欲求によって起こした行動だったのだと理解出来た。
孤独なウルスが唯一心を許している存在になんの感情も抱かれておらず、死に際ですら関心を持たれていなかった事実を知ってしまったせいだろうか、強い悲しみの感情で満たされたウルスとしての人格に飲み込まれそうになる。
「ぅ゛ぐっ、ひっく、…う゛う゛っ、せ、せら゛、」
ウルスの幼少期に憑依出来たことにまずは喜ぼう、ここからであればまだやり直せる。幸い今はまだ目立った問題行動は起こしていない、セラからも面倒な子どもだというぐらいにしか思われていないようで、困惑しながらも頭を撫で続ける様子からウルスに対して多少の情が残っているのかもしれない。
少しずつ、やり直していこう。少なくとも主人公の村を襲うことは無いし、こちらからアクションを起こさないかぎり死ぬことは無いと願いたい。
このまま静かに生活して、穏やかに暮らそう。幸運なことにお金に苦労することは無さそうだから、屋敷を追い出されさえしなければ夢のニート生活が出来るかもという希望もある。
「っ、…お゛れ、っいい゛こに゛、な゛る…!だ、だから゛、きら゛い゛に、なら゛ない゛で!」
「…ウルス様~?」
セラにぎゅうぎゅう抱きつきながら、そう宣言した。
「ウルス様~、起きてます~?」
「セラ、おれはもうおきてるぞ」
いつもの通りセラが部屋に入ってくる。セラは毎朝ここに訪れ全く意味の無い1日のスケジュール報告をしてくるが、ウルスが大人しく過ごしているか監視するのが本当の目的だ。
ウルスの記憶によると、毎回ここで伝え終わればもう用は無いというように立ち去るセラを呼び止め、適当な話をして時間稼ぎをしながら何とか引き止めて一緒に居させようとしていた。
正直に傍に居て欲しいと命令しても目を離した隙にセラがいなくなってしまう為、これは幼いウルスが精一杯考えた作戦のようだ。
だが、良い子になると宣言した手前ここで引き止める訳にはいかない。
もう既にこちらに背を向けているセラに思わず「ぁっ…」と声が漏れる。
ほんの一瞬セラの動きが止まったように思えたが、そのまま扉に手をかけてしまった。
行かないでほしい、寂しいとウルスの感情が訴えかけてくる。
必死に耐えながらシーツをぎゅっと握りしめ、去っていく背中を見ないよう下を向いた。
数日続けていけば、セラは面倒事が少なくなったというような様子を見せていたから、努力が報われたとほっとする。
日が経つ毎にセラの纏う空気がほんのり変化したような気がするが、それも気の所為だと片付けた。
セラの顔を見てしまうと寂しくて仕方なくなってしまうので、今日は毛布を頭まで被りもごもごと返事だけしていれば、ぺろっと布団をめくられ憑依初日のように頭を撫で回される。
「セラ、おれにかまうことないから、きにしないでくれ」
「どうだか。ほんとどうしちゃったんです?いい子になるって急に言い出して、すっかり大人しくなってさ~」
「っ、…う゛ぅ、」
セラの手の温度がじんわりと伝わってきた瞬間、押し殺していた寂しさが溢れ出る。
毛布からのそりと這い出てセラに抱きつきながら、良い子作戦はほんの数日で頓挫してしまったなとぼんやり考えた。
面倒だと言って何処かに行ってしまうくせに、ゲームではウルスが死んだら仕事が片付いたってちょっと嬉しそうにしてたくせに、離れようとした途端優しくしてくれるセラはずるいやつだ。
「せら…、だけだ。おれにこんな、かまってくれるやつは。だから、めんどくさいって、きらわれたくなかったんだ…」
ゲーム通りに進んで、自分が死んだ時清々したと思われるのも、嫌われるのも、無関心なのも嫌だ。
けれどすぐに出ていってしまうセラと仲良くなる方法が分からない、かといって引き止めることをやめれば振り出しに戻るだけ。
なら嫌われるよりも無関心になってもらう方が良かった。死さえ回避出来れば万々歳だ。だけどセラは天使で優しいから悪魔の俺にも優しくしてくれる。
「確かにここ数日は楽に過ごせましたね」
「う゛っ」
「まぁでも、俺が居ないとウルス様こんなに弱っちゃうみたいですし。仕方ないんでこれからもウルス様の相手してあげますよ~」
「せ、せら゛ぁ゛~!!」
全身でセラの体温を感じながら、三上日和だった頃の感情よりもウルスの感情の方が強くなっていることに気がつく。徐々に飲み込まれているというより、精神が溶け合ってこの世界に馴染み始めているのだろう。憑依したての頃の違和感や、別人の体を動かしているという感覚はもう消えている。
元々のウルスもセラのことが大好きで大事だったようで、セラが今までより構ってくれている事実が心底嬉しかった。
あれから年月が経過し、少年の姿から青年体になるまで成長した。
俺の持つ魔力量ではこの姿まで成長するのが限界なようで、大人の姿になることは叶わないらしい。
悪魔と人間の時間感覚は全く違く、体感では5年ほどしか経っていないが実際は数十年経過しているようだ。
セラとの関係は意外にも良好で、良い子作戦を失敗したあの日から欲求を我慢できなくなり、前以上にベタベタ甘えるようになってしまった。
朝ベッドから起き上がる時はセラに抱き起こしてもらい、食事をする時も傍に居てと駄々を捏ねる。
セラはというと、前のように目を離した隙に何処かに行ってしまうなんてことは無くなり、一緒に居て欲しいと強請れば言葉通り片時も離れないでいてくれるようになった。
相変わらず屋敷でセラ以外から話しかけられることは無いが、我儘三昧で癇癪を起こしてた頃の孤独感は、セラのおかげですっかり消え去っていた。
「セラ、今日も一緒に寝てくれ」
「あ~はいはい、ウルス様は青年体になっても変わらないですねぇ」
セラはいつも通り面倒そうにしながらも、お願いをすればなんだって聞いてくれた。
こうしてセラと眠るのはもう日課になっており、眠る前はいつもセラに頬を両手で包まれてぬいぐるみでも愛でるかのように優しく撫でられる。
満足気に微笑むセラに見つめられると、不思議と安心する。体の力が抜けてだんだんとうとうとして、すぐに眠りに落ちることができた。
目覚めた時に腹の奥がじくじく疼いて変な気分になることだけが難点だが。
何不自由無く、毎日が満ち足りていて幸せだ。
けれどふと頭の中である欲求が湧き上がる。“ゲームの主人公に会ってみたい”と。
せっかく退屈だった人生を支えてくれた大好きなゲームの世界に居るのだから、ゲームのキャラクター達が意志を持って動いている姿が見てみたい、あわよくば好意的に思われたい。
ゲームでウルスが村を襲撃したのがこの頃のはずだから、もう主人公はこの世界に存在しているだろう。
この屋敷で、空気のように扱われてきた俺が居なくなったところできっと誰も気がつくはずがない。セラだってきっと久々に自由な時間を楽しめるはずだ。
セラが朝食を片付けるため部屋から出て行くタイミングを見計らい、生まれて初めて窓から屋敷の外へと飛び立った。
羽を使ったことは1度もなく、フラフラとしながらも何とか飛行することに成功する。
「俺の屋敷は上級悪魔のボスダンジョンになってるから、マップとしては…あっちか!」
ゲームではワープ機能によって一瞬で行けたけれど、実際に魔界から人間界まで飛ぶとなると相当の距離があり、到着する頃にはへとへとになりながら落下し地面に頭から激突してしまった。
「うぎゃんっ!」
落下の衝撃でパキンッと片方のツノが折れてしまう。痛覚は通って無いものの、あまりの出来事に顔を真っ青にし折れたツノを手に震える。
ツノは魔力の源であり、折れてしまえば生え変わるまで魔力が回復しない。
片方であってもウルスにとっては死活問題であり、このままでは魔力が足りず屋敷に戻るには歩いて帰るしかなくなる。
だが歩いて帰れば冒険者や騎士に出くわして殺されてしまうリスクもあった。
「あれ、そもそも人間と悪魔って敵対してるんじゃ…」
村を襲っていないから大丈夫だとばかり思っていたが、そもそものこと人間と悪魔、魔族は敵対関係にあり、討伐対象であった。
今更そんな初歩的なことに気づいて逃げようにもどうすることも出来ない。
羽をしょんぼりと下げ地面にへたりこみメソメソ泣いていれば、ふと頭上から声をかけられる。
「君、悪魔か?そこで何をしている、まさか村に危害を加えに来た訳では無いだろうな?」
「え、え、あっ!!?セオドア!?」
声の主はブレイヴクエストの主人公であるセオドアだった。ゲームで何度も見たセオドアが、こうして動いて話しかけてくれるなんて夢のようだ。
だがセオドアと名前を呼んだ瞬間眉をひそめ、剣を額に突きつけてくる。
「何故、名前を知っている」
「ひ、ひぇっ、あの、そのっ、」
咄嗟に上手い言い訳が思いつかない。当たり前だ、突然名前を呼んだら不審がるのは当然。迂闊すぎる自分の行動に深く後悔した。
嫌だ、ここまで頑張ってきたのに、何も悪いことなんかしていないのに死ぬなんて嫌だ、どうにか、どうにか……
「せ、セオドアと、友達に…!」
「ダメでしょ、ウルス様。外に出たりなんかしたらさ」
背後から何者かに抱きしめられ、耳元でそう囁かれる。
すぐに声色だけでその人物がセラだと分かった。
目の前にいるセオドアの顔は何が恐ろしいものを見たような驚愕の表情で固まり、声を出すことが出来ないのか微動だにしなくなる。
セラに抱きしめられれば、嬉しくて幸せで心が安らいでいくはずなのに、無視出来ないほどの悪寒と恐怖で体が震える。
後ろを振り返る暇も無く、瞬く間に視界が暗転した。
「ぁ゛っ♡♡?ぁ゛っ、ひぁ゛っ♡♡ぁ゛っ、~~♡♡?」
「脳みそふわふわなウルス様のことだから、自分が居なくなっても誰も気がつかないって思ったんでしょ。バカだな~ウルス様、俺だけはずっと一緒に居たのに…羽なんか使いやがって…」
「ひん゛っ!?♡ぁ゛う゛うっ♡♡う゛~~♡♡」
羽の付け根をギュッと抓られ、体が大きく跳ねる。
目が覚めた時瞬間からずっと全身が快楽に支配され、嬌声を上げることしか出来ない。
「ウルス様のココ、毎日意識失わせて、丁寧にちょっとずつ拡げてたの気づいてました~?はは、気づいてるわけないか」
既にずっぷりとセラの肉棒が挿入り込んでおり、気絶している間も好き勝手動かれたようで起きた瞬間から絶頂の余韻が引かない。未知の感覚に恐怖し逃げようと必死に足をばたつかせた。
「ありゃ、元気いっぱいですね~、ちょっとだけ大人しくしてような」
頬を両手で包まれ強制的にセラと目を合わせられた瞬間、キィンと耳鳴りがし、頭がグラりと揺れる。
途端に全身から力が抜け落ち、抵抗し暴れさせていた手足がベッドに投げ出された。
「、ぁ゛…ぁ゛…♡?」
体が動かない、自分が自分じゃなくなっていくようで怖い。
どんなに力を込めようにも身動ぎすら叶わず、やだ、やだ、と情けない声を上げることしか出来ない。泣きながら助けてと何度も呟くが、自分が助けを求めることが出来る唯一の存在からこうして犯されているのだから、もはや絶望しか残っていなかった。
その様子を見て気分が良くなったのか、セラは「いい子ですね~、ウルス様♡」と口角を上げ頬を撫でる。
「真っ白ですべすべで、ウルス様ってと~っても可愛いんですよ。本当、食べたいぐらい」
その言葉に肩を大きく跳ねさせた俺を見てセラは愉快そうに笑い、がぱっ♡と天使に似つかわしくない凶暴な牙を見せつけながらゆっくりと焦らすように喉元を柔く何度も甘噛みする。
「ん゛ひっ♡♡、はっ、…はっ…♡くひゅ、…♡♡」
ひくっひくっと噛み千切られるかもしれない恐怖に痙攣する喉を味わうように舌で舐め上げられる。
(たべられちゃう、おれ、このままじゃセラに、たべられて、)
声にならない声でやめてと何度もやめてと呟くが聞き入れてくれる様子は無い。グッと噛み跡を残すように歯を立てられた瞬間、視界がチカチカ明滅した。
「ッ~~~~♡♡♡…ぉ゛、………♡♡っ………♡♡♡」
痛くて苦しいはずなのに、ゾクゾクと体の奥から快楽がせり上がってくる。この天使に全て喰らい尽くされてしまうと恐怖しているのにも関わらず、体は勝手にそれこそが俺の幸せだと言うようにセラのモノをぎゅ~♡と締め付け為す術なく絶頂してしまう。
何度もイったことにより勃つことすら出来ず、使い物にならなくなった自身の陰茎からとろ~♡と透明な液体がゆっくり吐き出される。
いつまでも絶頂寸前の頭が真っ白になるような感覚から戻って来れないまま、ただ涙を流すことしか出来ない。
「あれ、もしかして甘イキしてんの?うっわぁ、ウルス様可愛すぎでしょ~♡中動かしてないのに俺に喉噛まれてイっちゃうとか、もしかして俺達相思相愛ってやつ?♡」
「か、ひゅッ…♡♡ひゅ、…っ、♡♡っ……♡♡」
「あは~♡全然戻って来れないのか~わい~♡ツノ、もう片方も折っちゃいますね。生えてきたらその度に折ってやるから」
一切の躊躇も無く根元からパッキリ折られ、両方のツノが無くなり逃亡の手段を奪われた俺をセラは愛おしそうに見つめ唇を重ねてくる。舌を一方的に絡め取られるが、首を振って抵抗することさえ出来ずされるがまま蹂躙されていく。
「な゛、んれぇ゛…っ♡♡にゃ゛んれ゛、こん゛、にゃ゛ぁ゛あぁ~~♡やら゛♡や゛あぁ゛あ゛♡♡い゛、くぅ゛っ♡♡い゛、く゛っ♡♡」
容赦無く弱点をごりごり擦られ、ぷしゃぁあ♡と情けなく潮を吹きながら中イキしなんでなんでとセラに必死に訴える。
絶えず涙を流し続ける目元を舐め取り、セラは心底愉快だと顔を歪ませた。
「なんでって、ウルス様のせいでしょ。面倒なだけだったのに、あんなに可愛いこと言って俺を惑わせて、それなのに逃げるなんて酷いじゃないですか」
「んぉ゛っ♡ひ、ぉ゛おぉ゛っ♡おぉぉ゛お゛~~~~♡♡♡」
「あははっ♡気持ちいい~って顔だ♡ほら、ウルス様。俺の目を見てくださいね、すぐに何も考えられなくしてあげますから」
その言葉に従ったらもう戻って来れない気がして咄嗟に固く目を瞑るが、セラはくすくすと嘲笑いながら煽るようにゆっくりと奥を優しくノックしてくる。
「ウルス様~♡目開いてくださいよ、怖いことなんて何も無いですってば。今までもそうだったでしょ?俺のこと信じて♡」
耳元で甘い言葉を囁かれ、気持ちが揺らぐ。
目を見ろという要求だって、ただ言葉通りの意味でなんの危険も無いものかもしれない。長い前髪から僅かに見える瞳はいつだって優しくて大好きで、どうしてこんなことになってしまったんだろう。
中々目を開かない様子に痺れを切らしたのか、セラは小さく舌打ちし腰を掴んでいる手に少しだけ力が込められる。
「…ウルス様の為なんだって。俺が行かなかったら、あの時殺されてたかもしれないじゃないですか。何も知らないまま、ここで俺と楽しく気楽に過ごすのがウルス様の幸せでしょ」
肉棒がぐりっ…と壁を無理矢理こじ開けるように強く押し付けられ、入ってはいけない所まで挿れようと広げられていく。
ほんのり怒気を含んだ声色で、それなのに今にも泣いてしまいそうなぐらい弱々しく訴えかけられる。
そうか、セラは怒ってるんだ、俺がセラに何も言わないで外に出ちゃったから。今更後悔したところで遅いことは分かっていた。
不安にさせてごめん、こんなことさせてごめんって謝らなければいけないのに、俺を壊そうとしてくるセラが怖くて、喉が引き攣り上手く言葉にならない。
「ご、ぇ゛…っ、♡な、ひゃ…っ♡」
「お願い、お願い。このままだと酷いことしちゃいますよ。今なら許してあげるんで、俺以外全部忘れさせた後でたっぷり優しくしてあげますから。ほら、早く」
「へ、ぁ、?♡♡、ぁ、やっ、…?♡♡」
理解が追いつかず、言葉をかけられるが何も耳に入ってこない。
今何をされようとしているのか、このままではどうされてしまうのかが。嫌だ、怖い、こわい、
恐怖のままに首を横に振れば、セラは深く溜め息をつく。
ずろろ…♡と一旦フチまで引き抜かれたかと思うと、間髪入れずにドチュンッッ♡♡と結腸へと一気に貫かれた。
「ーーーッ?♡♡ッッぉ゛おお゛ぉ゛おぉ゛~~~♡♡♡♡♡」
「ッ、中、すげ~締まって…、…、あ、…っは♡ははっ、♡目、開けちゃったんだ…♡きゅうきゅう甘えてきて、そんなにイイですか~?♡」
奥の奥まで侵入されあまりの強烈な刺激に思わず絶叫し、目を見開き全身が激しく痙攣する。ぷしゃっ♡ぷしゃっ♡と壊れた玩具のように潮を勢いよく噴出し、動かれる度に連続で絶頂しているのか正常な思考が戻って来ない。
目を閉じなければいけないのに、強烈な快楽を与え続けられているせいで頭が回らない。気づけば自分を壊そうとしている張本人に対して無意識に助けを求めていた。
「あぁ゛あぃ゛ぐうぅ゛♡♡もぉ゛や゛ぁあぁっ♡せら゛ぁ゛、♡♡ら゛ひゅけッ♡♡♡たぢゅ、けへぇ゛え゛~~~♡♡♡」
「は~い、ウルス様♡すぐ助けてあげますね♡」
助けて助けてと必死にセラに対して叫ぶ。この屋敷の中で俺のことを助けてくれるのはセラしかいないから。
心の底から信じていたのに、誰よりも大好きだったのに。
セラは涙で歪む視界を戻すように目元に口付け雫を舐め取る。
後頭部を両手で優しく持ち上げられ、安心させるように微笑むセラと目が合った。
「外に出たこと、出たいと思ったこと、辛いことまでぜ~んぶ忘れて、これからは俺のことだけ記憶して、縋ってくださいね~♡可愛くて可哀想な、ひとりぼっちのウルス様~♡」
「、わ、ひゅれ゛ぇっ、♡♡?ぁ゛、あ゛…♡♡?、ぁ、っ…♡……♡」
頭の中が徐々に霞んでいく。そうだ、これは全部夢なんだ、いつも通り、セラに見つめられて、段々意識が落ちてって…。安心する、気持ちいい、暖かい…。
「ぇ゛、へ…♡♡ふへ…♡♡、…しぇ、ら゛ぁ…♡♡?♡♡…え、へへ…♡♡……っ♡♡…っ♡」
セラの背中にはいつの間にか大きな天使の羽が現れていて、覆い隠すように広げられている。うっすら仄暗くなった視界でセラの瞳だけが爛々と輝いていた。
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