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第六節 リアラルト訓練学校編
第104幕 放課後の決闘
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昼を終え、訓練も程よくこなした俺は放課後の訓練場に足を運んでいた。
入った瞬間、大勢の魔人がいることがいて、その中央にはルットがキザっぽい立ち方で俺を待っていた。
「ふっ、遅かったね」
「……」
わざわざ観客を集めるなんてな……恐らく俺の敗北を学校中に知らしめたいのだろう。
逆のことを考えきれないのが頭の浅いところだ。
ちゃっかりシエラとミシェラもいて、俺のことを応援している。
その事が更に不服なのか、不機嫌そうな顔をこっちに向けている。
無自覚なんだろうが、煽ってるようにしか見えない。
ルットとある程度離れた状態で向き合うと、彼はふぁさっと再び髪をかきあげて格好つけていた。
彼の癖なんだろうが、鬱陶しいことこの上ない。
「まずはよく逃げなかったと褒めてあげるよ。
だけど……『グレリア様の申し子』の中でも最もグレリア様に近いこのルットと相対する道を選んだことを後悔すると良い」
「はいはい、さっさと始めようか」
正直こんな戦い、手早く終わらせて店を回るか、寮に帰って勉強か休むかしたいもんだ。
少なくともなんの実入りもない戦いをする必要はない。
「……随分と余裕そうな態度を取っているね。後悔させてあげよう」
すらっとした細身の剣を抜き放って、俺の方に剣先を突きつけている。
レイピア……ではない。ぎりぎり剣としての体裁を保っている。
「さあ、君の剣を抜きたまえ。僕の力を、しっかりと見せてあげよう」
ルットは悠然とした態度で俺に宣言してきたが、こいつはこっちが丸腰だということが見えてないのか?
訓練場にある木剣で戦ってもいいが、完全に黙らせてやるには……やっぱりこっちのほうがいいだろう。
俺は左足を前に出し、若干肩と腰を低く落とし、拳を構えていつでも攻撃出来る体勢を取り、軽くルットを長髪してやることにした。
「ほら、こっちは準備出来たぞ」
「……なんのつもりだい? まさか、僕と素手で戦うってこと?」
「だとしたらどうする?」
「その驕り……僕の力で正してあげるよ!!」
俺が少し鼻で笑ってやると、それが余計に癇に障った様子で、語気を強めながら今にも飛びかかりかねない程の殺気を放っている。
「で、勝負開始の合図はどうする?」
「それじゃ、それは私がしてあげるわ」
後は開始の合図を待つばかり……という時にシエラが俺とルットの間に割り込んで審判役に手を上げた。
「シエラ君……ご、ごほん、それでは君にお願いしよう」
少し頬を染めてる辺りがなんとも気持ち悪いが、彼女が応じてくれるならそれでいい。
シエラは手を振り上げ、息を吸い込んで――
「それでは、決闘開始!」
手を振り下ろしたと同時に、ルットは身体強化の魔方陣を使って一気に迫ってきた。
突きの姿勢を取り、そのまま最速の動きで攻撃に転じてきた。
正直、ミシェラよりも大分遅い。
身体強化も三重程度で余裕で対処可能だ。
俺もルットに合わせ……いや、彼より一つ少なく身体強化を施して応戦することにした。
最速の突きに合わせて剣を叩き落とすように思いっきり拳を振り下ろす。
刃を横に倒していたおかげで思いっきり下に逸れて地面に突き刺さってしまった。
「な、なんだって!?」
「驚いてる場合かよ」
あまりに予想外だったのか、動きを止めてしまうルットに対し、そのまま右の後ろ足に力を入れ、そのままの状態で蹴って移動するように詰め寄り、左の拳を軽く顎を狙って打ち放つ。
「くっ……生意気なっ!」
重ねた魔方陣の差でなんとか残った腕で防御を間に合わせてきたが、この期に及んで剣を手放さないのは愚の骨頂だ。
更に二度ほど軽く拳を放ち、ルットの攻撃を牽制してやる。
なんとか剣を引き抜いた彼はやや苛立ちながら回避行動を取ると、そのまま手をかざして魔方陣を構築する。
「喰らえ……!」
構築されているのは雷の起動式。
魔方陣から雷の球体がいくつか飛び出し、ふわふわと宙を漂いながらゆっくりとこちらに向かっている。
……思ったより拍子抜けしたが、あまり油断はしないほうが良いだろう。
一気に決着をつけると心に決め、ルットに詰め寄るように走るのだけれど……その雷の球体の近くを通ろうとした瞬間、それは爆発するように周囲に雷の力をばらまいた。
「なに……!?」
なんとか咄嗟に避けることが出来たが、更に目の前の雷球が起爆した。
ギリギリ右肩に当たる程度で留めることに成功したが、肩の方に結構痺れを感じる。
しばらくはまともに動かすことは出来ないだろうが……関係ない。
もっと気をつけるべきだった。魔方陣の起動式には雷・爆発・浮く・拡散……とよくわからない式が書かれていた。
近くを通るだけで起爆するという式は書かれてなかったはずだ。
いや、考えるのは後で良い。今は――一気に攻勢を仕掛ける!
「はああああっっ!!」
気合を入れるように声を張り上げ、両足に魔方陣を展開し、発動させる。
足元で指向性の爆発が発生し、身体に負荷を掛けながら一気にルットに詰め寄る。
地面がめくり上がる程の勢いで削り取っていき、なんとか彼の右横の位置につくことが出来た。
「な、はやっ……!」
そのまま大地を踏みしめ、身体を捻りながら思いっきりルットの顔面を左拳で殴り飛ばしてやる。
「はぐっ……!」
「沈めぇぇぇ!!」
ぐっと力を込めて更に一つ、魔方陣を重ね地面に叩きつけるように振り抜いてやると、後頭部からすごい勢いで地面にめり込み、バウンドするように頭が跳ね上がる。
二度ほどそれを繰り返して、ルットは完全に意識を絶たれ、倒れ伏してしまった。
唖然とした表情で見守る観客たち。
シエラとミシェラの二人だけが俺の事を信じていたらしく、はしゃいでいるようだったが、他の観客たちはルットの勝利を信じていたようで……ただただ呆然とするばかり。
「勝者、グレファ!」
シエラが俺のところにとことことやってきて、俺の手を取って空にかざし、勝利をアピールすると……一斉に驚きと歓喜の声を上げた。
……それ以上に男の方から落胆の声が聞こえてきたのだが、それはまた後ででいいだろう。
気を抜いたことは後の反省点として考え今後に活かせばいい。
多少何事もうまく行き過ぎていい気になっていた節があったのだろう……。
そういう意味では今回の戦いはいい経験になった。
入った瞬間、大勢の魔人がいることがいて、その中央にはルットがキザっぽい立ち方で俺を待っていた。
「ふっ、遅かったね」
「……」
わざわざ観客を集めるなんてな……恐らく俺の敗北を学校中に知らしめたいのだろう。
逆のことを考えきれないのが頭の浅いところだ。
ちゃっかりシエラとミシェラもいて、俺のことを応援している。
その事が更に不服なのか、不機嫌そうな顔をこっちに向けている。
無自覚なんだろうが、煽ってるようにしか見えない。
ルットとある程度離れた状態で向き合うと、彼はふぁさっと再び髪をかきあげて格好つけていた。
彼の癖なんだろうが、鬱陶しいことこの上ない。
「まずはよく逃げなかったと褒めてあげるよ。
だけど……『グレリア様の申し子』の中でも最もグレリア様に近いこのルットと相対する道を選んだことを後悔すると良い」
「はいはい、さっさと始めようか」
正直こんな戦い、手早く終わらせて店を回るか、寮に帰って勉強か休むかしたいもんだ。
少なくともなんの実入りもない戦いをする必要はない。
「……随分と余裕そうな態度を取っているね。後悔させてあげよう」
すらっとした細身の剣を抜き放って、俺の方に剣先を突きつけている。
レイピア……ではない。ぎりぎり剣としての体裁を保っている。
「さあ、君の剣を抜きたまえ。僕の力を、しっかりと見せてあげよう」
ルットは悠然とした態度で俺に宣言してきたが、こいつはこっちが丸腰だということが見えてないのか?
訓練場にある木剣で戦ってもいいが、完全に黙らせてやるには……やっぱりこっちのほうがいいだろう。
俺は左足を前に出し、若干肩と腰を低く落とし、拳を構えていつでも攻撃出来る体勢を取り、軽くルットを長髪してやることにした。
「ほら、こっちは準備出来たぞ」
「……なんのつもりだい? まさか、僕と素手で戦うってこと?」
「だとしたらどうする?」
「その驕り……僕の力で正してあげるよ!!」
俺が少し鼻で笑ってやると、それが余計に癇に障った様子で、語気を強めながら今にも飛びかかりかねない程の殺気を放っている。
「で、勝負開始の合図はどうする?」
「それじゃ、それは私がしてあげるわ」
後は開始の合図を待つばかり……という時にシエラが俺とルットの間に割り込んで審判役に手を上げた。
「シエラ君……ご、ごほん、それでは君にお願いしよう」
少し頬を染めてる辺りがなんとも気持ち悪いが、彼女が応じてくれるならそれでいい。
シエラは手を振り上げ、息を吸い込んで――
「それでは、決闘開始!」
手を振り下ろしたと同時に、ルットは身体強化の魔方陣を使って一気に迫ってきた。
突きの姿勢を取り、そのまま最速の動きで攻撃に転じてきた。
正直、ミシェラよりも大分遅い。
身体強化も三重程度で余裕で対処可能だ。
俺もルットに合わせ……いや、彼より一つ少なく身体強化を施して応戦することにした。
最速の突きに合わせて剣を叩き落とすように思いっきり拳を振り下ろす。
刃を横に倒していたおかげで思いっきり下に逸れて地面に突き刺さってしまった。
「な、なんだって!?」
「驚いてる場合かよ」
あまりに予想外だったのか、動きを止めてしまうルットに対し、そのまま右の後ろ足に力を入れ、そのままの状態で蹴って移動するように詰め寄り、左の拳を軽く顎を狙って打ち放つ。
「くっ……生意気なっ!」
重ねた魔方陣の差でなんとか残った腕で防御を間に合わせてきたが、この期に及んで剣を手放さないのは愚の骨頂だ。
更に二度ほど軽く拳を放ち、ルットの攻撃を牽制してやる。
なんとか剣を引き抜いた彼はやや苛立ちながら回避行動を取ると、そのまま手をかざして魔方陣を構築する。
「喰らえ……!」
構築されているのは雷の起動式。
魔方陣から雷の球体がいくつか飛び出し、ふわふわと宙を漂いながらゆっくりとこちらに向かっている。
……思ったより拍子抜けしたが、あまり油断はしないほうが良いだろう。
一気に決着をつけると心に決め、ルットに詰め寄るように走るのだけれど……その雷の球体の近くを通ろうとした瞬間、それは爆発するように周囲に雷の力をばらまいた。
「なに……!?」
なんとか咄嗟に避けることが出来たが、更に目の前の雷球が起爆した。
ギリギリ右肩に当たる程度で留めることに成功したが、肩の方に結構痺れを感じる。
しばらくはまともに動かすことは出来ないだろうが……関係ない。
もっと気をつけるべきだった。魔方陣の起動式には雷・爆発・浮く・拡散……とよくわからない式が書かれていた。
近くを通るだけで起爆するという式は書かれてなかったはずだ。
いや、考えるのは後で良い。今は――一気に攻勢を仕掛ける!
「はああああっっ!!」
気合を入れるように声を張り上げ、両足に魔方陣を展開し、発動させる。
足元で指向性の爆発が発生し、身体に負荷を掛けながら一気にルットに詰め寄る。
地面がめくり上がる程の勢いで削り取っていき、なんとか彼の右横の位置につくことが出来た。
「な、はやっ……!」
そのまま大地を踏みしめ、身体を捻りながら思いっきりルットの顔面を左拳で殴り飛ばしてやる。
「はぐっ……!」
「沈めぇぇぇ!!」
ぐっと力を込めて更に一つ、魔方陣を重ね地面に叩きつけるように振り抜いてやると、後頭部からすごい勢いで地面にめり込み、バウンドするように頭が跳ね上がる。
二度ほどそれを繰り返して、ルットは完全に意識を絶たれ、倒れ伏してしまった。
唖然とした表情で見守る観客たち。
シエラとミシェラの二人だけが俺の事を信じていたらしく、はしゃいでいるようだったが、他の観客たちはルットの勝利を信じていたようで……ただただ呆然とするばかり。
「勝者、グレファ!」
シエラが俺のところにとことことやってきて、俺の手を取って空にかざし、勝利をアピールすると……一斉に驚きと歓喜の声を上げた。
……それ以上に男の方から落胆の声が聞こえてきたのだが、それはまた後ででいいだろう。
気を抜いたことは後の反省点として考え今後に活かせばいい。
多少何事もうまく行き過ぎていい気になっていた節があったのだろう……。
そういう意味では今回の戦いはいい経験になった。
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