リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット

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第二十一節・凍てつく大地での戦い編

第348幕 皇帝VS英雄①

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皇帝との戦いは苛烈を増し、周囲の大地に幾度とない傷が走る。力自体は五分。技術の方も恐らく……。

「流石神の代理人とも言うべき守護者だ。やはり年月が経てば、今の身体も馴染むか」
「まるで俺のことを知ってるかのような物言いだな?」
「知っている。だからこそ貴様は我が最大の障害に相応しい――!」

幾たびも剣を重ね、詰め寄っては離れを繰り返しながら、どんどん斬撃を加速させて行く。一撃、二撃……煌めく剣閃が更に激しさを増し、俺やロンギルス皇帝に襲いかかってように見える。

ヒュルマの皇帝とは言っていたが……蓋を開けてみれば戦い方はこちらと何も変わらない。『身体強化』の魔方陣を使って攻撃を仕掛け、同じように魔方陣で多様な攻撃を行う――これでは、魔人と戦っているのと大差ない。

「人側の皇帝が、こうも魔人の戦い方に精通しているとはな。詠唱魔法はどうした?」
「くくっ……無知とは罪、か。良いだろう。使ってやろうではないか。その身に刻むと良い」

俺の挑発に敢えて乗るみたいだが……それは愚行としか言えない。魔方陣による攻撃は詠唱魔法のそれより遥かに強力だ。皇帝の攻撃と同時にぶつけ、一気に優勢になる……!

「我が内に眠る魔力よ。言霊と混ざり、現出せよ。全てを焼き尽くす業火の炎――『アビスフレア』!」

ロンギルス皇帝の詠唱と同時に魔方陣が展開される。『闇』『炎』の二種類で構築されたそれは、詠唱魔法に感化されるように力を増して行く――!

「何……!?」
「どうした? 貴様の望んだ通り……詠唱魔法だ」

ニヤリと不敵な笑みを浮かべた皇帝の言葉に思わず絶句しかける……けど、このままでは不味い。俺の方も今すぐ対抗しなければ太刀打ちできない。

既に皇帝の作り出した黒やら紫やらが混じった巨大な炎の玉がこちらに迫って来ている。これを避けたら後方のどこか……それこそ町や村に被害が及びかねない。

「……行くぞ!」

俺の方も魔力を集中させ、大きな魔方陣を展開していく。起動式マジックコードは『神』『焔』の二つだ。迫りくる闇の炎に向けて放たれた神焔は、ギリギリ俺の近くでぶつかり合って……あまりの激しさに吹き飛ばされてしまった。爆風と熱が身体に襲いかかってくるが、それを防御の魔方陣で受け止める。

「何という火力だ……」
「これが詠唱魔法の真の力だよ。同時に使う事により、互いの力をより高め合う……遥か昔の失われし魔法ロストマジックと言ったところか」

いつの間にか詰め寄って来ていた皇帝の斬撃になんとか合わせる。金属音を響かせながら、互いの魔法と魔方陣がぶつかる衝撃を感じる。どうやらこの男は、戦闘中に喋りながら相手の心を乱すのを好んでいるようだ。カーターや司のように自分の悪感情をまっすぐぶつける訳じゃない以上、こっちの方がタチが悪い。

「確かに強いものがあるな。だが……こんなところで負けるわけにはいかない。お前を殺し、この戦いを終わらせる……!」
「くくくっ、貴様にそれが出来るか? 戦いは続く。例え私が死んでも……その意思は継がれてゆく」
「例えそうだとしても、今、この時の戦争は終わる。その事に意味はある!」

剣戟を重ねていき、ロンギルス皇帝の魔方陣を加えた詠唱魔法に対し、こちらは『神』の起動式マジックコードを使った魔方陣で応戦する。互いに一歩も退かない激しい戦い。その戦況を変えたのは……やはりロンギルス皇帝の方だった。

「なるほど……確かに強い。ヘルガすら降す貴様は、まさに最強の障害言える」
「……障害、だと?」
「ああ。貴様を乗り越え、私はより輝かしい明日を手に入れる。誰にも邪魔はさせない。故に……この戦いは私が制覇する。我が生贄となれ!」

ロンギルス皇帝は魔方陣を構築してみると……そこに刻まれていたのは『時』『停止』の起動式マジックコードがあった。確か……あれは司の使っていた起動式マジックコードだ。

「それは……!?」

驚いたその瞬間――俺の周辺に様々な攻撃が繰り出されていた。『アビスフレア』を始めとした如何にも大がかりな魔法で作り出した数々。白い雷の矢みたいなのも混じってるから、『聖』とかの文字を使った魔方陣も発動させているのだろう。

まるでヘルガの攻撃の魔法版。あまりの出来事に驚きを回って冷静になるほどだ。時間がない上に、これだけの強力な魔法を相殺する手段は……残されていない。手元にグラムレーヴァがあったら……。
心底渇望しても、現実は非情だ。とっさに『神』『障壁』『円』の魔方陣を発動させて、自分の周囲を魔方陣で囲って身を守る。こちらの魔方陣が発動したと同時にこちらに辿り着いた魔法の数々は、容赦なく蹂躙を始めた。軋んで壊れそうになった障壁に向かって何度も同じ魔方陣を使って破れないように補強していく。

「くっ……これほど、とは……っ」

嫌な音を立てる魔方陣を何度も保たせながらその猛攻が収まるのを待った。しばらくして攻撃は止んだけれど、かなり魔力を使わされる羽目になった。このまま遠距離の攻撃を続けては、いつまでも決着はつかない。どちらの魔力が先に尽きるかどうかの戦いになる。

……そうなれば、余計に消耗させられるこっちの方が不利になる。ならば、こっちの戦場で戦うしかない。

判断すると行動は素早かった。『神速』で一気に距離を詰め、自分の間合いに持ってくる。勝利をこの手に掴む為に――
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