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第二十三節・最終決戦
第387幕 孤独な皇帝
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ロンギルスの魔方陣は、ここに来て一気に種類が増えた。どこかで見たような起動式も使ってきて……いよいよもって手に負えなくなってきそうだ。
「くっ……ここまで原初の起動式を使ってくるなんて……」
なにせ『分身』『奪』『結界』『生命』の四つを一度に使いこなしているのだからな。ルッセルの驚きにも妙に納得できる。
「お前たち、大丈夫か!?」
「あ、兄貴……!」
「グレリア様!」
ヘルガを倒したのか、兄貴は俺たちの元に駆けつけてきた。それを見たロンギルスは驚いた表情を浮かべ……悟ったような顔をしていた。
「そうか。ヘルガは逝ったか」
「ああ。お前の事を求めた……ある意味彼女らしい最期だった」
「いいや、最期ではない」
「なに?」
ロンギルスは不敵な笑みを浮かべ、堂々とした様子で立っている。この男とヘルガの関係は俺もよく知っている。恋仲……いいや、それ以上の関係だと言ってもいいだろう。だからこそ、なにか動揺があるとは思ったのだけれど……。
「『生命』の起動式。これはあらゆる命を蘇らせることが出来る。セイルがスパルナにしたように、な」
「まさか……それでエルガを蘇らせると……そう言いたいのか?」
「そんな事は間違っています! 命は……簡単に生き返らせられるものではありません!」
ルッセルが吠えるように放った言葉が、俺の心に突き刺さる。その簡単に生き返らせることの出来ない『命』を蘇らせたのは……他でもない俺だったからだ。
「くくくっ……ははははっ、はははははっ! 貴様には何もわかるまい。私とヘルガの関係など」
「ええ、わかりませんよ。ですが……やってはいけないことくらいはわかっているつもりです!」
ルッセルは『雷』『刃』の魔方陣を発動すると同時にすぐさま別の場所に移動して、立て続けに魔方陣を発動させていく。ロンギルスはそれを『奪』で奪い、『結界』で防ぎ、『分身』で迎え撃ってくる。
「くっ……なんで……!」
「貴様では圧倒的に力が足りぬのだよ。ここにいる者の中で平凡で矮小な存在の者よ。立ち去るがいい!」
発動されたのは……『空間』の魔方陣。それをルッセルの周囲を覆うように展開され、その全てから銃が出現していく。
「あれは……!」
「ヘルガの……原初の起動式……!」
他の原初の起動式も不可解だけれど、それ以上に、今さっきまで使っていたはずのヘルガの原初の起動式をロンギルスが使ってくるなんて……!
「グ、グレリア様……!」
ルッセルの覚悟を決めたような声と同時に次々と銃弾の雨が降り注いでいく。一瞬、ひやっとさせられるけれど、ルッセルは辛うじて展開していた『防御』の魔方陣で生き延びていた。
「はっ、はぁっ……も、申し訳、ありません……」
なんとか生きているようだけれど、身体のあちこちが既にボロボロ。死ぬ事は無さそうだが、あれでは最早戦う事は出来ないだろう。
「ルッセル。今は休んでおけ」
兄貴が鋭い目でロンギルスを睨んでいるけど――
「兄貴。悪いけど、これだけは譲れない。俺がロンギルスを殺す。だから……手を出さないでくれ」
「だが――」
「頼む」
ロンギルスから視線を外して、俺はまっすぐ兄貴の事を見た。この男とだけは、この手で決着をつけないといけない。そうする事で、初めて前に進める。
「……わかった。お前の覚悟、見届けてやる。その代わり……お前が死にそうになっても、俺は助けないぞ?」
「それで構わない」
――ありがとう、兄貴。
心の中でしかそういう風に言えない。
「良かったのか? グレリアと共に戦えば……スパルナの仇を討つチャンスではないか。それをわざわざ捨てるとは」
「勘違いするなよ」
ロンギルスに向かってグラムレーヴァの刃を突きつけ、出来るだけ挑発的な笑顔を浮かべる。
「ロンギルス……お前の相手なんて、最初から俺だけで充分なんだよ」
「はっ、抜かしよるわ。いいだろう。ならばもっと必死にこい」
鼻で笑ったロンギルスに向かって走り出しながら、『英』『身体』を発動させる。身体中から溢れ出る力を抑えつけるようにグラムレーヴァを強く握り――『空間』で目の前に出現した銃を斬り飛ばした。
「ほう?」
「この程度……でええええ!」
立て続けに上へから下へ。そのまま刃を返すような斜めに向けて切り上げながら魔方陣を構築する。
発動するのは『英』『風』『槍』の三つ。ほぼ透明な風の槍がロンギルスに間髪入れずに襲い掛かる。
中途半端に魔方陣を使っても効果はない。なら……求めるのは息もつかさない程の速さ。その為なら……!
以前、兄貴の『神』『速』の魔方陣を見た時の事を思い出していた。あれと同じ速さ……それを叶える魔方陣が……俺にはある!
『英』『身体』『速』の魔方陣を発動させる。羽のように軽くなるというのは、こういう事を言うのか? と思えるような感覚が襲ってくる。
「いくぞ……ロンギルス!」
グラムレーヴァを持つ手に力を込め、吠えるように駆け抜けていく。そこにあるのは――たった独りになったとしても、堂々と不敵な笑顔を浮かべている孤独の皇帝の姿だった。
「くっ……ここまで原初の起動式を使ってくるなんて……」
なにせ『分身』『奪』『結界』『生命』の四つを一度に使いこなしているのだからな。ルッセルの驚きにも妙に納得できる。
「お前たち、大丈夫か!?」
「あ、兄貴……!」
「グレリア様!」
ヘルガを倒したのか、兄貴は俺たちの元に駆けつけてきた。それを見たロンギルスは驚いた表情を浮かべ……悟ったような顔をしていた。
「そうか。ヘルガは逝ったか」
「ああ。お前の事を求めた……ある意味彼女らしい最期だった」
「いいや、最期ではない」
「なに?」
ロンギルスは不敵な笑みを浮かべ、堂々とした様子で立っている。この男とヘルガの関係は俺もよく知っている。恋仲……いいや、それ以上の関係だと言ってもいいだろう。だからこそ、なにか動揺があるとは思ったのだけれど……。
「『生命』の起動式。これはあらゆる命を蘇らせることが出来る。セイルがスパルナにしたように、な」
「まさか……それでエルガを蘇らせると……そう言いたいのか?」
「そんな事は間違っています! 命は……簡単に生き返らせられるものではありません!」
ルッセルが吠えるように放った言葉が、俺の心に突き刺さる。その簡単に生き返らせることの出来ない『命』を蘇らせたのは……他でもない俺だったからだ。
「くくくっ……ははははっ、はははははっ! 貴様には何もわかるまい。私とヘルガの関係など」
「ええ、わかりませんよ。ですが……やってはいけないことくらいはわかっているつもりです!」
ルッセルは『雷』『刃』の魔方陣を発動すると同時にすぐさま別の場所に移動して、立て続けに魔方陣を発動させていく。ロンギルスはそれを『奪』で奪い、『結界』で防ぎ、『分身』で迎え撃ってくる。
「くっ……なんで……!」
「貴様では圧倒的に力が足りぬのだよ。ここにいる者の中で平凡で矮小な存在の者よ。立ち去るがいい!」
発動されたのは……『空間』の魔方陣。それをルッセルの周囲を覆うように展開され、その全てから銃が出現していく。
「あれは……!」
「ヘルガの……原初の起動式……!」
他の原初の起動式も不可解だけれど、それ以上に、今さっきまで使っていたはずのヘルガの原初の起動式をロンギルスが使ってくるなんて……!
「グ、グレリア様……!」
ルッセルの覚悟を決めたような声と同時に次々と銃弾の雨が降り注いでいく。一瞬、ひやっとさせられるけれど、ルッセルは辛うじて展開していた『防御』の魔方陣で生き延びていた。
「はっ、はぁっ……も、申し訳、ありません……」
なんとか生きているようだけれど、身体のあちこちが既にボロボロ。死ぬ事は無さそうだが、あれでは最早戦う事は出来ないだろう。
「ルッセル。今は休んでおけ」
兄貴が鋭い目でロンギルスを睨んでいるけど――
「兄貴。悪いけど、これだけは譲れない。俺がロンギルスを殺す。だから……手を出さないでくれ」
「だが――」
「頼む」
ロンギルスから視線を外して、俺はまっすぐ兄貴の事を見た。この男とだけは、この手で決着をつけないといけない。そうする事で、初めて前に進める。
「……わかった。お前の覚悟、見届けてやる。その代わり……お前が死にそうになっても、俺は助けないぞ?」
「それで構わない」
――ありがとう、兄貴。
心の中でしかそういう風に言えない。
「良かったのか? グレリアと共に戦えば……スパルナの仇を討つチャンスではないか。それをわざわざ捨てるとは」
「勘違いするなよ」
ロンギルスに向かってグラムレーヴァの刃を突きつけ、出来るだけ挑発的な笑顔を浮かべる。
「ロンギルス……お前の相手なんて、最初から俺だけで充分なんだよ」
「はっ、抜かしよるわ。いいだろう。ならばもっと必死にこい」
鼻で笑ったロンギルスに向かって走り出しながら、『英』『身体』を発動させる。身体中から溢れ出る力を抑えつけるようにグラムレーヴァを強く握り――『空間』で目の前に出現した銃を斬り飛ばした。
「ほう?」
「この程度……でええええ!」
立て続けに上へから下へ。そのまま刃を返すような斜めに向けて切り上げながら魔方陣を構築する。
発動するのは『英』『風』『槍』の三つ。ほぼ透明な風の槍がロンギルスに間髪入れずに襲い掛かる。
中途半端に魔方陣を使っても効果はない。なら……求めるのは息もつかさない程の速さ。その為なら……!
以前、兄貴の『神』『速』の魔方陣を見た時の事を思い出していた。あれと同じ速さ……それを叶える魔方陣が……俺にはある!
『英』『身体』『速』の魔方陣を発動させる。羽のように軽くなるというのは、こういう事を言うのか? と思えるような感覚が襲ってくる。
「いくぞ……ロンギルス!」
グラムレーヴァを持つ手に力を込め、吠えるように駆け抜けていく。そこにあるのは――たった独りになったとしても、堂々と不敵な笑顔を浮かべている孤独の皇帝の姿だった。
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