異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。

ファンタスティック小説家

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第四章 悪逆の道化師

冒険者登録

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「ルールーの冒険者ギルドってちいさいんだね」
「辺境だからですよ」

 俺たちはそんな会話をしながら、ルールー冒険者ギルドへ足を踏み入れた。

「こんにちは! ルールー冒険者ギルドへようこそ!」

 ギルドへやってきた目的はひとつ。
 金稼ぎのためである。
 旅には金が掛かる。
 依頼をこなしてお金を稼ぐ冒険者ギルドは、今の俺たちに必要なものだ。

 とはいえ、俺たちには試すべき事がある。

「狩人協会ってこの町にありますか?」

 そう。
 偉大にして超強大な組織、人類保存ギルド:狩人協会の力を借りることだ。

「ふっ……ルールーみたいなド田舎にはありませんよ!」

 鼻で笑われましたねぇ。ええ。
 
「あははぁ……えーと、1番近い狩人協会はどこかわかりますか?」
「第三聖都フィギラになら、あると思いますよ!」

 フィギラですか。

「アーカム」
「なんですか、アンナ」
「たぶん、私たちの求めてる狩人協会じゃないと思う」
「……。白の狩人の狩人協会、と?」
「そう。英雄ギルドと人類保存ギルドは、同じ狩人協会だし、公的には繋がってる風だけど、実際は裏と表なんだよ」

 厄災との最前線。
 黒の狩人のアジトは隠蔽されている。
 加えて、そもそも俺たちは厳密に言えば黒の狩人ではない。
 狩人になる前に異次元に取り込まれてしまった。

 ゆえに、下手に探しまわると、人間に化けた厄災と勘違いされて暗殺される可能性すらあるとアンナは語った。
 
「エースカロリは伝統的な狩人の家系なんでしょう。なら、名前を出せばなんとかなるんじゃないですか」
「ローレシア魔法王国内ならね。流石に他国まで名を響かせてる訳じゃないよ。狩人は必要以上に情報を共有しないんだ。厄災たちのなかには、狩人の頭を割って、情報を抜き出すのもいるからさ」

 頭を割って?
 それって脳みそに管刺されて「あっ……あっ……あっ」ってなるってこと?
 勘弁してよ、厄災。

「まあ、先生くらい絶大な活躍でもしてたら、流石に有名になっちゃうだろうけど」
「それじゃあ、僕たちが師匠の弟子って言えば……」
「先生は公的には何十年も弟子を取ってないことになってるよ。それに、こう言うのはアレだけど、流石に先生のネームバリューも過去のものになってる。先生が活躍していたのは半世紀以上も前の話だから」

 若い狩人は名前すら知らない可能性があるのか。
 いや、半世紀となると2世代、下手したら3世代くらい代替わりしてる。
 当然と言えば当然だな。

「あのー……」

 受付嬢が申し訳なさそうな顔で、こちらを見つめてきていた。
 ついアンナと話しこんでしまった。
 結論として、現状では、狩人協会のサポートはあまり期待できないということでいいだろう。

「こほんっ。冒険者登録をお願いできますか?」
「あ、冒険者登録ですね! では、こちらの用紙にお名前とその他の情報をご記入ください!」
 
 俺たちはもろもろの手続きを終えて、冒険者としてデビューを果たした。
 ちなみに手数料として、最後に残ったマニーを持っていかれた。

 冒険者には等級がある。
 クエストをこなしたりして、ギルドに実力が認められると昇級できて、より高報酬で、より危険なクエストに挑めるようになるらしい、
 
 受付嬢から『等級』『脅威度』『剣術段階』『属性魔術段階』など、もろもろの話を聞かされた。

 以下が冒険者の等級が担当する脅威度と、剣術&魔術の段階をまとめたものだ。
 
 S級 脅威度80~150 四式 四段
   英雄の領域。白の狩人。
 A級  脅威度50~70 三式 三段
   A級の怪物討伐には、非常に優れた戦闘能力が必要になる
 B級  脅威度31~50  二式 二段
   B級の怪物討伐には、高い戦闘能力を要求される
 C級  脅威度16~30 一式 一段
   C級の怪物討伐には、戦闘訓練を積まないと太刀打ちできない
 D級  脅威度 1~15 
   D級の怪物討伐には、武装した人間なら十分に挑める
 E級  討伐クエストはない
   何事も下積みからはじまる

「ビギナーの皆様は必ずE級からはじめていただきます!」
「あたしたちならS級として活躍できるって」

 アンナが身を乗り出そうとするのを、羽交い締めにして「あはは、すみません、うちのが」と受付から離れた。めっ、アンナ、めっ!

「なにするの、アーカム。不満じゃないの?」
「不満とかの問題じゃないです。納得いかないからって、そんな脅迫じみたことするのは良くないって話ですよ」

 最も俺が恐れるのは、トラブルを起こすことだ。
 オーレイの言っていた通り、ここはドリムナメア聖神国。
 トニス教会のお膝元だ。
 騒ぎを起こせば宣教師がやってくる。
 身寄りのない俺たちは、教会に睨まれるわけにはいかないのだ。

 ただ、E級からスタートでは効率が悪いのも事実。

「こほん。受付のお嬢さん、僕はこう見えて風の三式魔術師で、こちらの彼女は狩人流剣術四段なんですよ。たぶんA級……いえ、贅沢はいいません、B級くらいのクエストなら問題なくこなせるかと」
「でも、規則ですので!」

 そうですか。ダメですか。
 交渉失敗です。

「これはE級メダルです! 大事なものですので失くさないようにしてくださいね! クエストは掲示板か、こちらの受付で受注できます!」

 俺たちは胸元にE級のメダルをつけて、掲示板の前に移動する。
 掲示板にはさびれた紙が何枚か貼ってある。
 依頼書だ。
 くすんでいて、依頼日が古く、いつからそこにあるのかわからない。
 たぶん依頼者も忘れていて、実際の課題はもう解決されていたりするのだろう。

「アーカム、こんなクエストじゃお金を稼げないよ」

 しょんぼりして心配そうな目をするアンナ。

 と、そこへ、

「おんやぁ、貧相な装備のビギナー君たちがかわいそうに立ち尽くしておりますぞぉ~?」
「いひひ、残念だけど、冒険者ってのは実力がモノをいう世界だからなぁ~、ビギナーじゃあまともなクエストを受けることすらできねえんだよなぁ」

 無視しようかと思ったが、向こうから視界に入って来られては避けようがない。
 20代前半の男たちだ。若さと勢いだけで生きていそう雰囲気がある。
 二人組のそいつらは、俺とアンナの肩に手を置いてきた。

「クエストの受注は早い者勝ちなのさ。今更クエスト受けようなんて素人もいいところだぜ、ぼくちゃん」
「そうですか。ご忠告痛みいります」

 今にも剣を抜きそうなアンナを目で制して「失礼します」と手を払いのけてギルドをあとにする。めっ、アンナ、めっ!

「あいつらバラす?」

 言い方がマフィアなんよ。
 アンナっちも将来、湖に死体浮かべるような大人になりそうで俺心配です。
 師匠の悪いところはマネしちゃいけません。

「トラブルは避けましょう。雑魚に構ってる暇はないです。今はとにかくギルドの評価をあげて、お金も稼げるクエストを受ける必要があります」

「あっはは、あいつらビビって逃げていきやがるぜ~」
「あばよ~ぼくちゃん嬢ちゃん、冒険ごっこは故郷の畑でやるんだなぁ~!」

 無表情のまま剣を抜くアンナさんを止めるのに大変苦労しました。
 アンナっち落ち着け。あいつらは俺があとで必ず懲らしめてやるからな!
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