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わが校では校内でのスマホの所持を禁止されている。しかし、現代において高校生がスマホを持たないというのは、ほぼ不可能に近い。かくいう俺も当たり前のようにスマホを持ち込んでいる。
「~~であるからして、李朝は……」
現代文の授業。退屈だ。
1,2,3,……ざっと数えただけでも数名のクラスメイトが、教卓の死角にスマホを置き、画面上で指を動かしている。
俺も何となしにスマホを開き、触り出した。
時間潰し目的のスマホは、意外とネタに困る。
ゲーム……は流石にバレるし、動画は通信料が嵩む。SNSをやっていれば、良い時間潰しになったかもしれないが、生憎と俺は興味がなかった。
消去法だと―――調べものか。
Ama○onのセールが近い。ネットサーフィンでもしながら、今月のバイト代を何に費やすかでも思い立った。
検索エンジンを開く―――
「は?」
真っ黒なインターフェイスに、monitoringと書かれたエンジン名。
普段のgoo○leと全く違う画面に、思わず声が漏れた。
教師がぎろりと俺を睨んだ。
慌ててスマホを隠しながら、
「いや、つい…中島敦の文章が素晴らしくて」
教師は訝しんだが、授業を進めたいらしく、すぐに板書に戻った。
上手く誤魔化せたが、内心他のことで頭がいっぱいだった。
謎の検索エンジン。
エラーにしては異常すぎるし、乗っ取られたか?
何にせよアプリを落とすなり、再起動なりすれば治るだろうと、スマホに再び目を落とすと―――
動画が流れていた。エッ○なやつだ。
消そうと頭で考えたときにはもう遅かった。俺のスマホの音量はmaxになっており、動画の嬌声が教室中に鳴り響いた。
○
動画の件で先生にこってり絞られた後、妙な話を聞いた。
俺のスマホで流れていた動画、同時に友だちの一人が自分のスマホで見ていたのだ。友だちは始め自分が音声を切り忘れたのかと大慌てだったと話していた。
そして、スマホは没収された後、放課後に帰って来たのだが、謎の検索エンジンがどうやっても治らなかった。
再起動をしても、アプリを再インストールしようとも、黒いインターフェイスが開き、通常の検索は一切できない。
俺は、この不可解な現象を、純粋な興味から解き明かしたいと思った。
いったいこの検索エンジンが何なのか調べてみることにした。
一つ、普段は何の反応も示さない。
二つ、授業中だけは勝手に検索を始め、全く俺に興味のないようなページに飛ぶ。
コスメ、ゲーム、参考書、スポーツ……
飛ぶページは日によって様々で、関連性がほとんど見いだせない。共通点があるとすれば、どれも若い学生が興味を持ちそうではあった。
そうして、数日間にわたって、授業中に調査を繰り返した。最初は全く理解できなかったが、答えは一週間後にわかることとなる。
俺のすぐ前の席の生徒がスマホをいじっていた。俺は自分のスマホに夢中だったが、ふと前席の生徒の画面に目をやると、俺のスマホと全く同じページが開かれていた。
その瞬間、理解した。これは他人の検索エンジンなのだ。
他の人が開いてるサイトを自分の画面に映しているだけ。
初日は友人が流していた動画が偶然にも、俺に同じ画面が映ってしまったということだ。
「~~であるからして、李朝は……」
現代文の授業。退屈だ。
1,2,3,……ざっと数えただけでも数名のクラスメイトが、教卓の死角にスマホを置き、画面上で指を動かしている。
俺も何となしにスマホを開き、触り出した。
時間潰し目的のスマホは、意外とネタに困る。
ゲーム……は流石にバレるし、動画は通信料が嵩む。SNSをやっていれば、良い時間潰しになったかもしれないが、生憎と俺は興味がなかった。
消去法だと―――調べものか。
Ama○onのセールが近い。ネットサーフィンでもしながら、今月のバイト代を何に費やすかでも思い立った。
検索エンジンを開く―――
「は?」
真っ黒なインターフェイスに、monitoringと書かれたエンジン名。
普段のgoo○leと全く違う画面に、思わず声が漏れた。
教師がぎろりと俺を睨んだ。
慌ててスマホを隠しながら、
「いや、つい…中島敦の文章が素晴らしくて」
教師は訝しんだが、授業を進めたいらしく、すぐに板書に戻った。
上手く誤魔化せたが、内心他のことで頭がいっぱいだった。
謎の検索エンジン。
エラーにしては異常すぎるし、乗っ取られたか?
何にせよアプリを落とすなり、再起動なりすれば治るだろうと、スマホに再び目を落とすと―――
動画が流れていた。エッ○なやつだ。
消そうと頭で考えたときにはもう遅かった。俺のスマホの音量はmaxになっており、動画の嬌声が教室中に鳴り響いた。
○
動画の件で先生にこってり絞られた後、妙な話を聞いた。
俺のスマホで流れていた動画、同時に友だちの一人が自分のスマホで見ていたのだ。友だちは始め自分が音声を切り忘れたのかと大慌てだったと話していた。
そして、スマホは没収された後、放課後に帰って来たのだが、謎の検索エンジンがどうやっても治らなかった。
再起動をしても、アプリを再インストールしようとも、黒いインターフェイスが開き、通常の検索は一切できない。
俺は、この不可解な現象を、純粋な興味から解き明かしたいと思った。
いったいこの検索エンジンが何なのか調べてみることにした。
一つ、普段は何の反応も示さない。
二つ、授業中だけは勝手に検索を始め、全く俺に興味のないようなページに飛ぶ。
コスメ、ゲーム、参考書、スポーツ……
飛ぶページは日によって様々で、関連性がほとんど見いだせない。共通点があるとすれば、どれも若い学生が興味を持ちそうではあった。
そうして、数日間にわたって、授業中に調査を繰り返した。最初は全く理解できなかったが、答えは一週間後にわかることとなる。
俺のすぐ前の席の生徒がスマホをいじっていた。俺は自分のスマホに夢中だったが、ふと前席の生徒の画面に目をやると、俺のスマホと全く同じページが開かれていた。
その瞬間、理解した。これは他人の検索エンジンなのだ。
他の人が開いてるサイトを自分の画面に映しているだけ。
初日は友人が流していた動画が偶然にも、俺に同じ画面が映ってしまったということだ。
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