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「ああもう!しつこいっ!」
そう背後に向けて声を上げながら女の人が走ってくる。
だけど、思っていたような緊迫感はないというか、なんというかしつこいナンパ男から逃げてきたみたいな?そんな雰囲気だ。
「フオフオフオーん」
『なんじゃ?』
獣の雄叫び?にしては間抜けな鳴き声がその背後から追いかけてくる。
女の人、と言うか少女かな。
17、8くらいの浅黒い肌に肩先まで伸びたプラチナブロンドの髪。
少しキツイ印象の瞳のためか、気の強そうな顔立ちに見える。
少女は頻繁に背後を振り返りながら走ってくると、やがてカティたちに気付き、軽く目を見張った。
「なんでこんなとこに子供が・・・?あ、キミたちちょっと匿って」
「へ?あ、ちょっと・・・」
少女はフラウの横をすり抜けると、カティの脇も無理やり身体を捩じ込んで押し入り、抜けた。と思うとそのまま逃げるのではなくカティは後ろに身体を縮こませて隠れた。
もっとも少女の方が伸長もあるし着ているものも幅広のフワリとしたスカートなので隠れきってはいないが。
ほぼ同時に洞窟の奥からなにやらもふもふした生き物がトテトテと走ってくる。
小さな赤ん坊程のサイズのテディベア。
見た目はぬいぐるみそのものである。
「フォ?フオフオフオオ?」
フラウから少し離れたところで立ち止まり、何か(おそらく少女だろうが)を探すように辺りをキョロキョロと見渡している。
魔物なのだろうが、敵意は微塵も感じられない。
むしろ、キョロキョロと小さな身体を動かしている様子は普通に可愛い。
と、その視線がカティの背後に隠れた少女を見つけて、輝いた。
「フオフオフオー」
小さい両手足をばたつかせて、切なげに声をあげる。
その声は獲物を見つけたというより慕う母親か、飼い主を見つけたかのようだ。
「あーもー、ホントにしつこいんだから」
カティの後ろで少女が舌打ちする。
その様子も目の前の魔物に襲われて逃げてきた感じはない。
「あ、あの?」
これはなんなのかと、カティが少女を振り向く。
「フオフオフオーフオーん」
「あの方はご主人なのですか?」
「フオっ!」
ごく自然とまるで当たり前のようにフラウがテディベアに話しかけ、テディベアが仰天した声を上げる。
が、次の瞬間には嬉しげに顔を綻ばせて、こくこくと何度も頷いてみせた。
「フオフオ、フオフオフオ」
「ふんふん、わかりましたです」
「ちょっと!もう主人じゃないわよ!テイムはもう解いたでしょ!」
「ですかテディさんはまだお姉さんを主人だと思ってるです」
『なんか、スゲー頭混乱してんだけど、俺』
(いや、俺もだから。てかフラウって魔物の言葉がわかるのか?)
〈フラウもテディさんもどっちも人間の配下同志だから繋がりがあるのです。普通の魔物はお話しできないです〉
頭の中でフラウが疑問に答える。
「テディさんはお姉さんにテイムされてお姉さんの配下になったですが、突然このダンジョンに連れて来られてテイムを解かれたのだそうです。それで捨てられたのです」
え?それって結構ヒドクない?
「だって!可愛いーと思ってついテイムしちゃったけど、そのコ可愛いだけで役にたたないんだもの!今日だって魔物を見つけた途端泣いて逃げるし!そのわりには大食らいだし?!」
「フオフオー」
「テディさんはもともと臆病な魔物だから仕方がないのです」
「それじゃあ役に立たないのよ!なによ!解放して上げたんだから勝手に好きなとこにいけばいいじゃない。いつまでもついてくんじゃないわよ!」
(えーと・・・)
『どうすんだ?これ・・・』
おかしなことに巻き込まれてしまったらしい。
『もうほっといて逃げるか?』
カティもそうしたいところだが。
「可哀想です」
フラウはそう言ってぎゅっとテディに抱きついてしまった。
そう背後に向けて声を上げながら女の人が走ってくる。
だけど、思っていたような緊迫感はないというか、なんというかしつこいナンパ男から逃げてきたみたいな?そんな雰囲気だ。
「フオフオフオーん」
『なんじゃ?』
獣の雄叫び?にしては間抜けな鳴き声がその背後から追いかけてくる。
女の人、と言うか少女かな。
17、8くらいの浅黒い肌に肩先まで伸びたプラチナブロンドの髪。
少しキツイ印象の瞳のためか、気の強そうな顔立ちに見える。
少女は頻繁に背後を振り返りながら走ってくると、やがてカティたちに気付き、軽く目を見張った。
「なんでこんなとこに子供が・・・?あ、キミたちちょっと匿って」
「へ?あ、ちょっと・・・」
少女はフラウの横をすり抜けると、カティの脇も無理やり身体を捩じ込んで押し入り、抜けた。と思うとそのまま逃げるのではなくカティは後ろに身体を縮こませて隠れた。
もっとも少女の方が伸長もあるし着ているものも幅広のフワリとしたスカートなので隠れきってはいないが。
ほぼ同時に洞窟の奥からなにやらもふもふした生き物がトテトテと走ってくる。
小さな赤ん坊程のサイズのテディベア。
見た目はぬいぐるみそのものである。
「フォ?フオフオフオオ?」
フラウから少し離れたところで立ち止まり、何か(おそらく少女だろうが)を探すように辺りをキョロキョロと見渡している。
魔物なのだろうが、敵意は微塵も感じられない。
むしろ、キョロキョロと小さな身体を動かしている様子は普通に可愛い。
と、その視線がカティの背後に隠れた少女を見つけて、輝いた。
「フオフオフオー」
小さい両手足をばたつかせて、切なげに声をあげる。
その声は獲物を見つけたというより慕う母親か、飼い主を見つけたかのようだ。
「あーもー、ホントにしつこいんだから」
カティの後ろで少女が舌打ちする。
その様子も目の前の魔物に襲われて逃げてきた感じはない。
「あ、あの?」
これはなんなのかと、カティが少女を振り向く。
「フオフオフオーフオーん」
「あの方はご主人なのですか?」
「フオっ!」
ごく自然とまるで当たり前のようにフラウがテディベアに話しかけ、テディベアが仰天した声を上げる。
が、次の瞬間には嬉しげに顔を綻ばせて、こくこくと何度も頷いてみせた。
「フオフオ、フオフオフオ」
「ふんふん、わかりましたです」
「ちょっと!もう主人じゃないわよ!テイムはもう解いたでしょ!」
「ですかテディさんはまだお姉さんを主人だと思ってるです」
『なんか、スゲー頭混乱してんだけど、俺』
(いや、俺もだから。てかフラウって魔物の言葉がわかるのか?)
〈フラウもテディさんもどっちも人間の配下同志だから繋がりがあるのです。普通の魔物はお話しできないです〉
頭の中でフラウが疑問に答える。
「テディさんはお姉さんにテイムされてお姉さんの配下になったですが、突然このダンジョンに連れて来られてテイムを解かれたのだそうです。それで捨てられたのです」
え?それって結構ヒドクない?
「だって!可愛いーと思ってついテイムしちゃったけど、そのコ可愛いだけで役にたたないんだもの!今日だって魔物を見つけた途端泣いて逃げるし!そのわりには大食らいだし?!」
「フオフオー」
「テディさんはもともと臆病な魔物だから仕方がないのです」
「それじゃあ役に立たないのよ!なによ!解放して上げたんだから勝手に好きなとこにいけばいいじゃない。いつまでもついてくんじゃないわよ!」
(えーと・・・)
『どうすんだ?これ・・・』
おかしなことに巻き込まれてしまったらしい。
『もうほっといて逃げるか?』
カティもそうしたいところだが。
「可哀想です」
フラウはそう言ってぎゅっとテディに抱きついてしまった。
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