巻き込まれた村人はガチャで無双する?

黒田悠月

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 ダンジョンに行ってみたら配下が一匹増えた。


 知らない少女に譲渡された新たな配下、というか従魔か、はテディベア。
 ステータスウインドウで確認したところまんまテディベアという名称らしい。
 レベル10で、攻撃力30、防御力が40、俊敏性が150。
 スキルが魅了〈Lv2〉と逃亡〈Lv2〉
 魅了して相手の油断を誘ったすきに逃げるというそれが唯一の特技のようだ。

 譲渡するなりさっさと消えた少女を後にしてダンジョンの先に進んだ後も、テディベアはただずっとフラウと並んでついてきては魔物が出ると背後に隠れるを繰り返している。
 もしくは逃げて行ってしばらくするといつの間にか戻っている。
 確かに役には立たないかも知れなかった。

『どうする?まだ降りてみるか?』

 水晶の洞窟を進んで行くことそろそろ一時間以上。
 いくつかの道を曲がり、分かれ道を進んで、何体かの魔物を討伐した。
 この階層はホワイトサーペントが多く、たまにポイズンスライムや毒ねずみが姿を表す。今のところカティのカマイタチだけでなんとか倒せる魔物ばかりだが、毒性を持つ魔物が多く決して気は抜けない。
 そのわりにはドロップアイテムは少なく、魔石もまだ一つ。
 下への階段を見つけたものの、時間的にはそろそろ一旦引き上げてもいい頃なのだが。

「まだ魔石一つだしなあ」

 高い買い物をしてしまっただけに、もう少し稼いでおきたいという気持ちもあるが、あまり無理もしたくはないというのもあり。

(どうするかな)

 ダンジョン内は昼夜の違いがなく、時間が分かりにくいというのも問題の一つだ。
 実際外が暗くなっているのかもわからない。

『もうしばらく3階層の入口付近で粘ってみたらどうだ?』

 奥へ進むほど魔物は強力になるし、戻るにも時間がかかる。
 だが、階段を降りてすぐならそれほどここと変わらないだろうという佑樹に、カティも同意した。
 正直なところダンジョンに入ってみても、それほど魔物に苦労しているわけではなく、懐具合が気になるというのが大きい。
 油断もあっただろう。

「もう少し、行ってみるか?」
「はいです!」
「フオフオー」

 フラウもまだヤル気なようなので、ヤバくなったら頑張ってもらおう。
 そんなことを考えつつ、カティは階段を降り始めた。

 後に安易な決断と油断を後悔することになるとも知らずに。
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