79 / 87
79
しおりを挟む
「トイレー」
「オシッコなのです!」
四時間ほど馬車は走って一つ目の休憩所に着いた。
乗り合いや貸し切りの馬車が五台ほど連なって走っていたため、休憩所には他にもたくさんの馬車が止まっている。
先に出ていたのだろう馬車も多い。
フラウとクリスの二人は馬車が止まるなり休憩所に設けられたトイレに駆け込んで行った。
ちなみにこの世界にあるトイレは木で仕切られた汲み取り式かただ深く穴が掘られただけのものだ。
(俺も行っておこうかな)
そう思いながらカティは周りの様子を見て回った。
『ちょっとだけ高速のパーキングに似てるな』
(・・・確かに)
止まっているのはバスや乗用車ではなく馬車だが、ずらりと並んでいる様や、いくつもの露店、御者や旅人が休むための小屋が建てられている様は日本の高速道路にあるパーキングエリアに似ている、
ガソリンスタンドの代わりに馬や地竜を交換するための獣舎、傷んだ馬車の車輪等を修理するための納屋まである。
リリスは一人さっさと露店を見て回っていた。
なんとなくその姿を見守って、カティ自身もぶらぶら歩く。
それに気づいたのは、偶然だった。
リリスが露店でいかにも甘そうなパンケーキらしきものを買っているのを見て、それからフラウたちはそろそろ戻ってくるだろうかとトイレのある小屋に目をやって。
その脇に座り込む黒髪の少女を見つけた。
(『珍しいな)』
(・・・ん?今、シンクロした?)
『ああ、だな』
(結構珍しいよね、この世界に黒髪)
カティも黒髪といえば黒髪だが、かなり色は薄めで茶に近い。
それと比べて少女の髪は漆黒とでもいうべき黒。
俯いているので目の色はわからないが、顔立ちも日本人っぽいように見える。
『いや、髪色じゃなくて』
(へ?)
『日本人だから珍しいって』
「・・・日本人?」
思わず声に出したら、その声が聞こえたのか少女が顔を上げた。
黒い目にどちらかというと平坦な目鼻立ち。
薄い唇。
少し黄みのがかった肌の色。
わりと西欧風の堀の深い顔立ちが多いこの世界には珍しい日本人らしい見た目。
「・・・おたく今、日本人って言うた?」
少女はカティに駆け寄ってくると、早口で話しかけてきた。
「・・・え?えっと・・・」
カティはどう答えるべきか迷った。
「なあ、今、日本人って言うたやんな?」
なんで関西弁?
いきなりのことな上に少女が関西弁で畳み掛けるように話しかけてくるので、カティは頭が回らない。
ただただ「・・・え?え?」と後で考えると馬鹿みたいに狼狽えていた。
「日本人?でもこっちの人っぽい顔しとるけど、あ、たまーに転生者?もおるんやっけ?こんなとこで会うとかびっくりやわ!」
「・・・は、はあ」
「うち、片山桜16才の元女子高生、よろしく」
「あ、はい」
少女ーー桜は「いやー、ホンマびっくりやわ」と一人でなにやら興奮気味にぶつぶつ言い続けていたが、ふと、腹の辺りを押さえて口をつぐんだ。
(・・・なに?)
『さあ?』
「なあ、同郷のよしみでちょっと頼みがあるんやけど・・・」
と、うって変わって言いづらそうに小さな声で、
「なんか奢ってくれへんかな?財布落としてもうてもう一日なんも食べてへんねん」
「頼むわ!」と両手を合わせた桜に、カティは「へ?」とまた間抜けな声を上げた。
「オシッコなのです!」
四時間ほど馬車は走って一つ目の休憩所に着いた。
乗り合いや貸し切りの馬車が五台ほど連なって走っていたため、休憩所には他にもたくさんの馬車が止まっている。
先に出ていたのだろう馬車も多い。
フラウとクリスの二人は馬車が止まるなり休憩所に設けられたトイレに駆け込んで行った。
ちなみにこの世界にあるトイレは木で仕切られた汲み取り式かただ深く穴が掘られただけのものだ。
(俺も行っておこうかな)
そう思いながらカティは周りの様子を見て回った。
『ちょっとだけ高速のパーキングに似てるな』
(・・・確かに)
止まっているのはバスや乗用車ではなく馬車だが、ずらりと並んでいる様や、いくつもの露店、御者や旅人が休むための小屋が建てられている様は日本の高速道路にあるパーキングエリアに似ている、
ガソリンスタンドの代わりに馬や地竜を交換するための獣舎、傷んだ馬車の車輪等を修理するための納屋まである。
リリスは一人さっさと露店を見て回っていた。
なんとなくその姿を見守って、カティ自身もぶらぶら歩く。
それに気づいたのは、偶然だった。
リリスが露店でいかにも甘そうなパンケーキらしきものを買っているのを見て、それからフラウたちはそろそろ戻ってくるだろうかとトイレのある小屋に目をやって。
その脇に座り込む黒髪の少女を見つけた。
(『珍しいな)』
(・・・ん?今、シンクロした?)
『ああ、だな』
(結構珍しいよね、この世界に黒髪)
カティも黒髪といえば黒髪だが、かなり色は薄めで茶に近い。
それと比べて少女の髪は漆黒とでもいうべき黒。
俯いているので目の色はわからないが、顔立ちも日本人っぽいように見える。
『いや、髪色じゃなくて』
(へ?)
『日本人だから珍しいって』
「・・・日本人?」
思わず声に出したら、その声が聞こえたのか少女が顔を上げた。
黒い目にどちらかというと平坦な目鼻立ち。
薄い唇。
少し黄みのがかった肌の色。
わりと西欧風の堀の深い顔立ちが多いこの世界には珍しい日本人らしい見た目。
「・・・おたく今、日本人って言うた?」
少女はカティに駆け寄ってくると、早口で話しかけてきた。
「・・・え?えっと・・・」
カティはどう答えるべきか迷った。
「なあ、今、日本人って言うたやんな?」
なんで関西弁?
いきなりのことな上に少女が関西弁で畳み掛けるように話しかけてくるので、カティは頭が回らない。
ただただ「・・・え?え?」と後で考えると馬鹿みたいに狼狽えていた。
「日本人?でもこっちの人っぽい顔しとるけど、あ、たまーに転生者?もおるんやっけ?こんなとこで会うとかびっくりやわ!」
「・・・は、はあ」
「うち、片山桜16才の元女子高生、よろしく」
「あ、はい」
少女ーー桜は「いやー、ホンマびっくりやわ」と一人でなにやら興奮気味にぶつぶつ言い続けていたが、ふと、腹の辺りを押さえて口をつぐんだ。
(・・・なに?)
『さあ?』
「なあ、同郷のよしみでちょっと頼みがあるんやけど・・・」
と、うって変わって言いづらそうに小さな声で、
「なんか奢ってくれへんかな?財布落としてもうてもう一日なんも食べてへんねん」
「頼むわ!」と両手を合わせた桜に、カティは「へ?」とまた間抜けな声を上げた。
0
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる