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『第4回次世代ファンタジーカップ』の作品を考えた

「異世界背信中~ポルノ男優の日常~」⑤

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 翌日、バイニーの紹介でポーンハブ卿という有名な貴族に会ったシュミケンとドルチェビッチ。サイビデオ卿と肩を並べるほどの好色な貴族として知られている彼は、シュミケンのポルノ映像のアイデアを聞いてすぐに興味を示した。

「面白い。これは挑戦する価値がある」とポーンハブ卿は言った。

「しかし、このビジネスが成功するには、ただの映像ではなく、芸術性を含めた独自のアプローチが必要だ。エルフの美しさと、それを称える文化を組み合わせた何かだ」

 ドルチェビッチは少々疑問に思ったものの、シュミケンはそのアイディアの可能性にわくわくしていた。

「例えば、伝統的なエルフの舞踏や音楽を取り入れ、それに合わせて彼らの魅力を強調するなんてどうでしょう?」

 シュミケンは提案した。

 ポーンハブ卿の目が輝いた。

「それは素晴らしい。エルフの文化を理解し、尊重することで、私たちも新しい何かを学ぶことができる。さらに、それは彼らを好む貴族たちにとっても魅力的なものとなるだろう」

 シュミケンはすかさず

「ポーンハブ卿が自ら監督をしますか?」と聞く。

 ポーンハブ卿はシュミケンの提案に興味津々で、

「実に魅力的な提案だ。しかし、私自身が直接監督するよりは、才能ある者に任せる方が賢明だろう。私は資金提供と貴族社会での宣伝役を務め、裏で支援する」と答えた。

 シュミケンは少し驚いたが、ポーンハブ卿の提案に納得し、彼の広範なコネクションと支援を背に、プロジェクトを成功させる自信が湧いてきた。

「それでは、才能ある者を探し、エルフの文化を理解し、尊重できる芸術家や監督を見つけ出すことが重要になりますね。私たちのビジョンを具現化できる方を…」とドルチェビッチは言葉を続けた。

 ポーンハブ卿は笑顔で

「その通りだ。このプロジェクトを通じて、ただの楽しみ以上のものを提供できることを願っている。エルフの文化が正確にかつ美しく反映され、貴族たちにも新たな視野を開かせることができれば、これ以上の成功はない」と語り、彼らの前途に対する期待と自信を示した。

 ◇

 ポーンハブ卿との謁見後、シュミケンはドルチェビッチに確信を持ってある秘密を語った。

「あのポーンハブ卿、バイニーさんから聞いたんだが、表向きは高潔な貴族を装っているが、実は奥さんに内緒で娼館に通い詰めている好色家だそうだ。今回のこの芸術的なポルノ映像の話も、表向きは芸術を装ってはいるものの、実際は自身の性欲処理の手段として利用できると思っているに違いないのさ」

 ドルチェビッチはその明かされた秘密に感心しながらも質問した。

「これから我々はどう動きますか?」

 シュミケンは迷うことなく自信満々に答えた。

「私たちはサイビデオ卿の元へ向かうんだ。彼は独身で、若い。それにかなりヤンチャで、隠れて冒険者として活動しているらしい」
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