「Death Game」ーその他

『むらさき』

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クリスマスぼっち同士がラブホで一夜を過ごすことになるが、何も起きないわけがない

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 "クリぼっち"と呼ばれる孤独なクリスマスイブ。それは、多くの人が大切な人と過ごす特別な日だが、一人で過ごす人々にとっては少々寂しい日でもある。この物語の主人公も、そんな"クリぼっち"の一人だった。

 彼は数か月前、大切な人との関係が終わっていた。一人でラブホテルの部屋を予約してしまった彼。当日、その予約をキャンセルすることもできたが、気が変わり、「せっかく予約してしまったのだから」と、一人でその部屋で過ごすことを決めた。

 部屋はクリスマスの飾り付けで彩られ、静かな中にも明るいイルミネーションが室内を彩っていた。彼は少し皮肉っぽく、孤独なクリスマスを嘆いていた。

「俺が貸切にしているから、聖夜にイチャイチャできずに悶々とするカップルがいるのかー。ざまあw」

 外から聞こえる幸せそうな笑い声に耳を傾ける中、突然の出来事が彼の夜を変えることになるのだった。

 ◇

 俺が静かなラブホの一室で過ごしていると、スマートフォンが振動し、親友のアキラからのメッセージが届いた。

 アキラ「 元気?何してる?」

 俺は少し驚きながらも、友人からの連絡を嬉しく思った。しばらく何を返そうか考えた後、返信を入力し始めた。

 俺「俺?ラブホでぼっちのクリスマスを満喫中(笑)」

 少しの間をおいて、アキラからの返信が届く。

 アキラ「 まじかよ、俺も退屈してるんだよ。ちょっと行ってもいいかな?」

 俺は驚きながらも、心の中でうれしい気持ちが芽生えた。アキラとの意外な再会は、彼のクリスマスを少し明るくするかもしれないと思った。

「 もちろん、来てくれよ!部屋番号は〇〇だ。」

 そして、しばらくして受付から電話がくる

 受付「お連れのお客様がこられました」

 俺「通してください」

 ラブホのドアがノックされた。アキラが笑顔で立っていた。二人は久しぶりの再会を喜び合い、思いがけないクリスマスの夜が始まったのである。

 ◇

 アキラが部屋に入り、俺と再会の瞬間、俺たちは互いに笑顔で抱き合い、長い間会っていなかった友人同士の会話が始まった。

「久しぶりだな!クリスマスにラブホって、なんか変わってるじゃん」

 アキラが笑いながら言った。

 俺も笑いながら答えた。

「そうだろう?俺も最初は自分でも意味がわからなかったんだけどさ」

 二人は少しの間、笑いながら部屋の中を見回した。

「クリスマスって、実はくだらないよな。あまり深く考えると、何が大切なのかわからなくなりそうだよ」

 アキラがつぶやいた。

 俺はうなずきながら、

「本当だ。それ自体にプレッシャーもあるし、何をすればいいのか分からなくなるよな」

 二人はクリスマスの意味や伝統について笑いながらお互いの気持ちを共有していた。そんなやり取りが彼らの間にリラックスした雰囲気をもたらしていた。

「でも、クリスマスに特別な意味を見出せなくても、人と一緒にいるってのは大事だよな」

 アキラはおもいっきり笑いながら言った。

 俺は真剣な表情でうなずいた。

「そうだな、クリスマスだけじゃなくて、大切なのは結局、その瞬間を大切にすることかもしれない」

 二人はしばらくの間、考えにふけった後、互いの視線が合い、不思議な空気が漂い始めた。それはただの友情としてだけではなく、もっと深いつながりを感じさせるものだった。

「こんなクリスマスでも、こうして一緒にいられてよかったな」

 俺が穏やかな声で言った。

 アキラも微笑みながら、

「そうだな、お互いがここにいることが一番大事だよ」

 アキラとの会話の中で、お互いに心の奥深くに秘めた感情を感じ始めた。部屋の空気が熱を帯び、彼らの間には友情以上のものが芽生えつつあった。

「クリスマスってさ、一人じゃなくて一緒に過ごすのが本当の意味なのかもしれない」

 アキラが熱っぽく語りかけた。

 俺は熱い視線を送りながら答えた。

「そうだな、特別な日だからこそ、一緒にいることの尊さが分かるんだろう」

 その言葉をきっかけに、彼らの間には静かな感情の波が広がり始めた。まるで空気が燃えるような熱さが部屋を包んでいた。

「この瞬間、本当に大切なんだ」

 俺が言葉を紡ぎながら、アキラに近づいていった。

 アキラもそれに応えるかのように近づき、二人の間にはもう何も言葉は必要ないという雰囲気が広がった。

 そして、二人は互いの顔を見つめ合い、熱いキスを交わした。その瞬間、孤独なクリスマスの夜が、彼らにとって特別な思い出となることを予感させた。

 ◇

 二人が熱いキスを交わした後、部屋には静寂が広がった。その一瞬、時間が止まったかのように感じられた。

 アキラは息を整え、微笑みながら俺を見つめた。

「これは…思いがけないクリスマスだな」

 俺も微笑みながら、そっと言葉を綴った。

「そうだな。でも、思い出深い夜になりそうだ」

 二人はお互いに手を取り合い、そのまま抱擁しながら、この特別な瞬間を静かに楽しんだ。

 そして、夜が更けるにつれて、二人は少しずつ外の世界に戻り始めた。しかし、この一夜だけの特別な瞬間を大切にし、お互いの心に深く刻み込むことを誓った。

 アキラが微笑みながら言った。

「ありがとう、このクリスマスは最高だった」

 俺も満ち足りた表情で答えた。

「俺も同じだ。ありがとう、アキラ」

 二人はその瞬間を胸に抱きながら、それぞれの道を歩み始めた。だけど、心の中には、燃えるような熱い思い出と、友情を超えた特別な瞬間が永遠に残ることだろう。
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