「怪奇小説」ー短編集

「消えた夜の秘密」

ある晩、三人の友人マサ、レナ、そしてオオトリは、ふとしたことから廃墟と化した古い洋館を訪れることになった。マサは慎重に周囲を見回し、「ここ、何か変わった雰囲気だわ」と小声でつぶやいた。レナはその言葉に気を取られることなく、好奇心旺盛に先を急ぐ。「大丈夫、何も起こらないわよ」と彼女は言い放った。オオトリは自信に満ちた態度で二人を先導し、「この洋館は私が子供の頃から知っている。何も恐れることはない」と断言した。

洋館の中は、予想以上に暗く、陰鬱な空気が漂っていた。マサは「ちょっと、早く帰りましょうよ。気味が悪い」と不安げに提案したが、レナとオオトリは探索を続けることに決めた。彼らは薄暗い廊下を歩き、奥へと進んでいった。

突然、奇妙な音が響き渡った。オオトリは「何の心配もいらない。ただの風だ」と言い張ったが、その音は次第に大きく、不気味なものへと変わっていった。レナは「何かがおかしいわ。ここにいるべきじゃない」と不安を口にした。しかし、その時、彼らの前に一つの部屋が現れた。

部屋の中央には、古びたテーブルが置かれ、その上には一冊の厚い本が開かれていた。マサが恐る恐るその本に近づき、ページをめくると、そこには洋館の歴史と、ある秘密について書かれていた。それは、この洋館がかつて一族の呪いによって封印された場所であり、夜になると封印が弱まり、不可解な現象が起こるというものだった。

「これは…」とマサが言葉を失う中、レナは「じゃあ、今夜がその…」と声を震わせた。オオトリもついには不安を隠せずに、「ここから出るべきだ」と提案した。三人は急いで洋館を後にし、外の明るい月明かりの下へと駆け出した。

安堵の息を吐きながら、マサは「今夜のことは忘れましょう。もう二度とここには来ないわ」と言った。レナとオオトリも同意し、三人は肩を組みながら家路についた。

この出来事以降、彼らは洋館への訪問を語ることはなかった。それでも、あの夜に感じた恐怖と、洋館が秘める謎は、彼らの心の中に永遠に残り続けることとなった。

そして、洋館は再び静寂に包まれ、その秘密を次なる訪問者へと待ち続けるのだった。