タイトル未定（仮）ー「怪奇小説という題名に憧れるアンソロジー」

読み切り

心霊写真家

　もう彼を見たくない。もう彼に縛られたくない。私、宮部陽花は写真家だ。自由に空を飛ぶ鳥のように、私の才能を開花させることを許さない夫、清。彼は私の全てを束縛し、才能までもが縛られてしまう。私の写真にさえ口を出してきた。

　私は自由を愛する。私の自由が奪われることに、私は耐えられなかった。ついに私は決断した。彼を殺めるという絶望的な決断だ。

　"私はもう、あなたに支配されたくない"

　彼の遺体を隠すことに成功し、私は一人で仕事を始めた。しかし、私の写真には、死んだはずの彼が写り始めた。

　

　彼の姿、彼の表情、彼の視線。彼は私の写真を通じて、私に忍び寄る。

　"このままでは、また彼に縛られてしまう"

　私は恐怖に打ち震えながらも、自室で私のカメラを手に取った。私が画面を操作するたびに、彼の姿は一層鮮明になる。彼の姿、彼の表情、彼の視線。それは私に向けられ、私を縛ろうとする。しかし、私は拒んだ。私は彼の束縛から逃れるために、彼を再び殺すことを決めた。

　"あなたはもういない。私を縛ることはできない"

　私は、写真を加工して彼を一掃した。私の写真にはもはや彼の姿はなく、私はついに自由を手に入れた。

　

　彼女はカメラを手に取り、最後の一枚を撮った。写真には彼の姿が映り、彼の表情、彼の視線が彼女を縛る。彼女は絶望した。

「あなたはもういない。なのに、どうしてまだ私を縛るの？」

　彼女はカメラを捨て、自分自身に手を伸ばした。彼女の手は彼女の顔を探り、彼女の目に触れた。彼女は深呼吸をし、目を閉じた。

　そして、彼女は目を潰した。痛みが彼女を襲い、彼女は床に崩れ落ちた。しかし、彼女は絶望よりも安堵感を感じた。彼女は彼の姿を見ることはなくなり、彼に縛られることもなくなった。彼女は視界を失ったが、彼女は自由を手に入れた。