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前後編

『後編』魔王軍の参謀になったので畜生戦術で人間たちを全力で潰します

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 魔王は、耕太の残酷さとその戦略がもたらす結果に恐怖し、彼を止めるには暗殺しかないと決意した。夜陰に乗じて、魔王は自らの手を汚すことを選び、耕太の私室へ忍び込んだ。

 暗闇の中、魔王は息を殺し、耕太が眠るベッドに近づいた。彼の手には、魔法の力で研ぎ澄まされた短剣が握られていた。しかし、その瞬間、耕太の眼が閃光のように開いた。

「おや、魔王殿。こんな夜更けにどうしたんだい?」

 耕太の口調はいつもと変わらず、どこか懐かしい任侠弁であったが、その眼差しは鋭く、魔王の心の奥を見透かしているようだった。

 魔王は一瞬の躊躇もなく、短剣を耕太に向けて突き出した。しかし、耕太の動きはそれ以上に速く、彼は身をかわし、魔王の攻撃をあっさりと避けた。

「何をする、魔王よ。我々は同じ目的のために戦っているのではないか?」

 耕太の言葉に、魔王は答えることができず、ただ絶望の中で短剣を地に落とした。

「魔王よ、あなたが私を畜生だと思うなら、それはあなたの自由だ。しかし、私はこの戦いを通じて、真の平和を実現しようとしている。それが、私がここに召喚された意味だ」

 耕太は静かに魔王に近づき、彼の肩を抱いた。

「しかし、あなたがそこまでして私を止めようとするなら、私の考えに何か間違いがあるのかもしれない。私はもう一度、自分の方法を見直すことにする。あなたの思いを無視するつもりはない」

 その言葉に、魔王は深い絶望に沈んだ。彼の計画は完全に失敗に終わり、かえって耕太の信念を強める結果となってしまった。魔王は自らの判断ミスを悔やみながら、彼の手から落ちた短剣を見つめた。

「私が予想した以上に、耕太は強かった…。そして、私の考えが間違っていたのかもしれない。彼の手法には恐れ入るが、もしかしたら、彼のいう真の平和への道が正しいのかもしれない」

 魔王は絶望の中で、耕太が提案する新たな平和への道を、否応なしに受け入れざるを得なくなった。彼の心は重い疑問と不安で満ちていたが、耕太を止めることはもはやできないと悟ったのだった。 

 暗殺の夜、魔王の紅い瞳は最後の光を失い、その巨大な身体が地に崩れ落ちた。耕太は、その瞬間を静かに見つめていた。魔王の時代は終わり、その死は新たな時代の始まりを告げていた。

 耕太は魔王軍の前に立ち、彼らの新たな王としての地位を宣言した。彼の言葉は力強く、しかし公正であった。彼は魔王軍の者たちに新たな希望を与え、人間との共存を説いた。彼らはかつての敵である耕太を新しい王として受け入れ、彼に忠誠を誓った。

 そして、耕太はダークエルフの女性を伴い、人間たちの前に現れた。彼女はその美しさと力で人々を圧倒し、耕太の権力の象徴となった。耕太は彼女と共に、人間たちに新しい秩序を敷いた。しかし、彼の統治は暴力や恐怖に依存するものではなかった。耕太は理解と平和を求め、異種族間の共存の道を模索した。

 そう...表向きはね


 完!
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