9 / 21
第一章 異世界にこんにちは
9.異界から落ちてきた物
しおりを挟む
9.異世界から落ちてきた物
サラジェン伯の屋敷に着いた俺は、まずサラジェン伯とその家臣たちから事情聴取を受けた。
尋問と言うほどでもなく、ここの世界に来た経緯(いきさつ)とか、元の世界はどんなところかとか、どんな能力があり職業は何だったか、といったものだ。
『だからね、いかいではイチローはしょうにんだったの。
とくべつなのうりょくはもってなかったって。
ここにおちてくるときはだいちがわれて、まわりのひともみんないっしょにおちたって。
きがついたらここにいたって。
あのね、あのね、でもね、オウラがまぶしいくらいいぱいなのに、まほうはつかえないの。』
ファンは、ここの領主一家と親しいらしく、俺たちを出迎えてくれた跡取り息子のクレスチンという青年にじゃれていた。
そして、通訳してもらう前に、肩の周りを羽ばたいてじゃれながらも領主のサラジェン伯爵にファンが捲まくし立てていた。
クレスチン青年はそんなファンの相手をしながら、俺をじっと見つめてきた。
カイトリルもイケメン君だったけど、クレスチン青年も負けず劣らずイケメン君だ。
背も高いし、金髪碧眼だし、なんだか男としてって言うより人間として負けた気がする。
ちぇ~っ、モテ面のリア充なんかはみんな滅びればいいのに。
ちょっとやさぐれた気分で恨めしく思ていたけれど、サラリーマンの悲しい性でにこやかに笑うと、爽さわやかにニコリと笑顔を返されてしまった。
変な感じになりそうなところで、執事さんみたいな人が来て、大広間みたいなところに案内された。
会社の会議室を思わせるような、テーブルといすが置いてあったが、重厚さでは比べられないほど立派なものだった。
そこで俺は、村人達に話した内容とほぼ同じことを話した。
そして、俺は気になっていたことを聞いてみた。
すなわち、俺のほかに誰かいなかったか、である。
この世界の人間は西洋人的な人たちばかりで、俺のように黒目黒髪の東洋人的な容姿の人間はいないみたいだ。だから、俺の様な容姿をした異世界人がいたら、大体領主に報告が行くというので、村人の知らない情報もあるかもしれないと思って聞いてみたのだ。
村では魔物のようなモノが黒い色を持っていると言っていたけれど、もしも、俺の周りの人が俺のように、この世界に落ちてきていたとしたら、他の村や町では運が悪ければ問答無用で牢屋とかに入れられたり、殺されているかもしれない。
昨日俺を見つけた村人は、俺一人で他にはその周辺に誰もいなかった言ったけれど、領主ならば他に情報を持っているだろうから、聞いてみたら良いと言ってくれた。もしかしたら海とか川とか山の上とか落ちていた人がいたら、見つけられにくいからすぐには分らないとも言っていたけれど。
俺は、昨日葡萄を摘む時にそんなことをちらっと考えたけれど、夜は精神的に疲れていたからすぐに眠ってしまったし、朝には深く考えても仕方がないから自分はラッキーだったと思おうとした。
しかし、サラジェン伯に聞いても、俺のような異世界から落ちて来た人間がいたと報告はないと言われ、気落ちしてしまった。もしかしたら、という思いも挫くじかれてしまったのだから。
「では、俺以外には誰もこの世界には来ていないと言う事ですか?」
『 魔物のようなモノや用途の解らない物はかなりの数が落ちて来たが、残念ながら直近五年間での人間は君だけだ。』
「用途の解らない物というのはどんなものがあるんですか。見てみたいんですけど。」
『 そういった物はほとんど王都へ輸送されるので、今この地には異界から落ちてきたものはない。王都で魔道具ではないと解ったらただちに処分されるか、研究施設で研究されるようだ。』
「何も?一つもここに残ってないんですか?」
『 何もない。』
異世界からのものが何も残っていない?
何か残っていたら、異世界から落ちてきたのが俺一人だけがじゃ無いのかも知れないと、希望を持てたのに。残念だ。
がっくりと肩を落としてしまった俺を見て、気の毒そうにしていたサラジェン伯が
『 というのは建前で、実は書籍が一冊ある』
と言った。
何もないとガッカリしていた所に朗報だ。日本語でなくてもいいから是非見てみたい。
「できたら見せてもらえませんでしょうか。もしかしたら、私の世界の物かもしれない。もしそうなら見てみたいんです。どうかお願いします。見せて下さい!」
俺がそう言うと領主は考えていたが、クレスチンが気の毒そうに俺を見て父親に掛け合ってくれた。
『 父上、見せてやっても良いのでは。我々もあれが何かわかります。』
ありがとうイケメン君。モテていそうなア充は滅びろなんて思って悪かったよ。
そして、書庫に隠してあったという本をクレスチンが持ってきてくれた。
見てびっくり。
異世界から落ちてきた物、それは。
なんと、かの有名な漫画雑誌「 週刊少年ジャンプ 」だった。
サラジェン伯の屋敷に着いた俺は、まずサラジェン伯とその家臣たちから事情聴取を受けた。
尋問と言うほどでもなく、ここの世界に来た経緯(いきさつ)とか、元の世界はどんなところかとか、どんな能力があり職業は何だったか、といったものだ。
『だからね、いかいではイチローはしょうにんだったの。
とくべつなのうりょくはもってなかったって。
ここにおちてくるときはだいちがわれて、まわりのひともみんないっしょにおちたって。
きがついたらここにいたって。
あのね、あのね、でもね、オウラがまぶしいくらいいぱいなのに、まほうはつかえないの。』
ファンは、ここの領主一家と親しいらしく、俺たちを出迎えてくれた跡取り息子のクレスチンという青年にじゃれていた。
そして、通訳してもらう前に、肩の周りを羽ばたいてじゃれながらも領主のサラジェン伯爵にファンが捲まくし立てていた。
クレスチン青年はそんなファンの相手をしながら、俺をじっと見つめてきた。
カイトリルもイケメン君だったけど、クレスチン青年も負けず劣らずイケメン君だ。
背も高いし、金髪碧眼だし、なんだか男としてって言うより人間として負けた気がする。
ちぇ~っ、モテ面のリア充なんかはみんな滅びればいいのに。
ちょっとやさぐれた気分で恨めしく思ていたけれど、サラリーマンの悲しい性でにこやかに笑うと、爽さわやかにニコリと笑顔を返されてしまった。
変な感じになりそうなところで、執事さんみたいな人が来て、大広間みたいなところに案内された。
会社の会議室を思わせるような、テーブルといすが置いてあったが、重厚さでは比べられないほど立派なものだった。
そこで俺は、村人達に話した内容とほぼ同じことを話した。
そして、俺は気になっていたことを聞いてみた。
すなわち、俺のほかに誰かいなかったか、である。
この世界の人間は西洋人的な人たちばかりで、俺のように黒目黒髪の東洋人的な容姿の人間はいないみたいだ。だから、俺の様な容姿をした異世界人がいたら、大体領主に報告が行くというので、村人の知らない情報もあるかもしれないと思って聞いてみたのだ。
村では魔物のようなモノが黒い色を持っていると言っていたけれど、もしも、俺の周りの人が俺のように、この世界に落ちてきていたとしたら、他の村や町では運が悪ければ問答無用で牢屋とかに入れられたり、殺されているかもしれない。
昨日俺を見つけた村人は、俺一人で他にはその周辺に誰もいなかった言ったけれど、領主ならば他に情報を持っているだろうから、聞いてみたら良いと言ってくれた。もしかしたら海とか川とか山の上とか落ちていた人がいたら、見つけられにくいからすぐには分らないとも言っていたけれど。
俺は、昨日葡萄を摘む時にそんなことをちらっと考えたけれど、夜は精神的に疲れていたからすぐに眠ってしまったし、朝には深く考えても仕方がないから自分はラッキーだったと思おうとした。
しかし、サラジェン伯に聞いても、俺のような異世界から落ちて来た人間がいたと報告はないと言われ、気落ちしてしまった。もしかしたら、という思いも挫くじかれてしまったのだから。
「では、俺以外には誰もこの世界には来ていないと言う事ですか?」
『 魔物のようなモノや用途の解らない物はかなりの数が落ちて来たが、残念ながら直近五年間での人間は君だけだ。』
「用途の解らない物というのはどんなものがあるんですか。見てみたいんですけど。」
『 そういった物はほとんど王都へ輸送されるので、今この地には異界から落ちてきたものはない。王都で魔道具ではないと解ったらただちに処分されるか、研究施設で研究されるようだ。』
「何も?一つもここに残ってないんですか?」
『 何もない。』
異世界からのものが何も残っていない?
何か残っていたら、異世界から落ちてきたのが俺一人だけがじゃ無いのかも知れないと、希望を持てたのに。残念だ。
がっくりと肩を落としてしまった俺を見て、気の毒そうにしていたサラジェン伯が
『 というのは建前で、実は書籍が一冊ある』
と言った。
何もないとガッカリしていた所に朗報だ。日本語でなくてもいいから是非見てみたい。
「できたら見せてもらえませんでしょうか。もしかしたら、私の世界の物かもしれない。もしそうなら見てみたいんです。どうかお願いします。見せて下さい!」
俺がそう言うと領主は考えていたが、クレスチンが気の毒そうに俺を見て父親に掛け合ってくれた。
『 父上、見せてやっても良いのでは。我々もあれが何かわかります。』
ありがとうイケメン君。モテていそうなア充は滅びろなんて思って悪かったよ。
そして、書庫に隠してあったという本をクレスチンが持ってきてくれた。
見てびっくり。
異世界から落ちてきた物、それは。
なんと、かの有名な漫画雑誌「 週刊少年ジャンプ 」だった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる