君に伝えたい言葉

マキノトシヒメ

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美鈴編

八月

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 先月の事を引きずってるみたいで…、というか引きずっちゃってるんだけど、あれ以来、お父さんの事は無視。一切口をきいていません。

 さすがにあれはないでしょ。
 あたしが怒ってるの、理解してくれるよね。
 治った後にも、翔太にはすぐに謝れなくて、三日くらいしてからやっと「ゴメンね」とだけ言えた。内容が内容だから、説明なんてしようがないもん。
 でも、翔太も「治ってよかった」だけで返してくれて、それ以上は何も聞いてこなかった。もしかしたら、誰かにアドバイスとか受けてたのかもしれないけど、そうだとしても、あたしのことを考えてそうしてくれてるのよね。自意識過剰じゃないわよね、これは。

 そうこうしているうちに、町内会のお祭りが近くなってきた某日。
「うわ」
 思わず声を上げてしまった。お父さん、ズタボロ状態になってるんだもん。
 聞けば、お父さんのあたしに対する言動が全部お母さんに伝わったのだとか。お母さんは、普段おっとりした感じで物静かなんだけど、その分、怒ると怖いのよね。
 お父さんが翔太に相談しようと、うちで話をしていた時にお母さんにも聞こえていたのだとか。
 あたしがお父さんのことを無視し続けていたから、何かあったんだろうと察していたとは思うけどね。でも、お母さんに言いつけるのは何か違うと思って、何も言ってはいなかったのに、結局自分でバラしたみたいな形になっちゃったわね。
 お父さんも、その状況で変な言い訳とかしないで、改めて「ごめんなさい」と言ってくれたから、しょうがないというレベルだけど、許してあげることにしました。

 町内会のお祭り当日。
 歴史的には、このお祭りの始まりは、神社祭で、町内にある三社合同で取り仕切っていたのだとか。今は催事関連は町内会の方に渡してしまったのだけど、その昔の名残で、三社持ち回りでお祓いとかの節目の催事をやっています。今年はうちは開催のお祓い担当なので、お父さんが務めました。ばんそうこう何枚か貼ったままだったけど。
 そういう感じに神社は無関係ではないから、やる事が幾許かはあるので、お祭りの方は交代で行きます。だから浴衣姿というわけにはいかないけど、夜になって、翔太といっしょに夜店をめぐって他愛もない話をして、花火を見物してから、また神社に戻る。
 締めは別の神社になるから、お父さんはもうやることはなくて、町内会の詰所の方でお酒でも飲んでるんだと思います。
 お祭りが終わるまでは、神社は開けています。もう催事はないと言っても、大元は三社合同だから神社が勝手に閉めちゃうのは事情がない限りできないことになってます。実際、なんやかやで人も来るんですけどね。

 お父さんが帰ってきたときは、締めの礼催も終わった後で、べろんべろんまでは行ってなかったけど、かなり飲んでいた。
 でもあたしの顔を見た途端、土下座までして。
「ごめんよお、美鈴、ごめんよお」
 もう。こうだもんなあ。
「わかったから。ほら、ちゃんと立って」
「ごめんよお~。ありがとお~」
 はあ。悪い人じゃないんだけど…ねえ。
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