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教室を見回すと、千早はとっくに居なくなっていた。
「うそー、今、終わったばっかやで?」
あてが外れて、かなりがっかりしてしまった。角田が後ろを振り向いて、ニヤリとした。
「なんなん?宮田千早?気になるん?」
俺は腹立ち紛れに、角田のにやけ顔の頬を思い切りつまんだ。
「そりゃ普通なるやろー?いきなりパンくれたし、顔が超絶美形やったぞ。なんで隠してんだよ、とか、気になるやろ?」
角田はいてて、と顔をしかめ、俺の手を振り払った。
「ならん。別にならへん。男やし。背も、お前より高いくらいの男やぞ?女の子なら気になるが、男では一ミリも気にならん。」
はっきりと言い切って、角田は立ち上がった。
「それより、はよ行こう。さっきLineで4時半頃には着くって連絡あったで!」
今日は、角田の元カノの由佳から合コンの話が持ちかけられていた。
こっちが4人、向こうも4人。
由佳を角田の元カノって事は、俺以外は知らないから、由佳の狙いは残りの2人ということになる。ちゃっかり指定してきたらしい…恐ろしい。
そして、元カノの前で新しい相手を物色しようという角田も、逞しい。
俺は、まぁおまけのような感覚で混ぜられているので、気楽なものだ。
駅前のマックで集まって、計8人でカラオケ。合コンといっても、田舎の高校生のやることなんて、こんなもんだ。
女子は皆そこそこ可愛かった。女子は自分より可愛い子は連れてこないものというが、御多分に洩れず、今回も由佳が一番可愛い、というか、可愛くみせる化粧や服装を知っているようだ。
皆、化粧してるし、元なんかわからないけど。
「志紀、気に入った子おる?」
角田がにじり寄ってきた。
「うーん。セナちゃん、やった?あの子、スタイルええなぁ。」
俺が答えると、角田は、大きく頷き、
「うん、足がめっちゃ綺麗やな。」
うん足か…俺としては、胸の方が…と思ったが、そこは流しておく。
「角田は?」
「俺か?俺は…悩むなぁ。」
俺は、とりあえず、曲を選びながら、周りを見る。
角田の元カノは、とっくにロックオンしたらしいバスケ部の加納にベッタリだ。くっついて、クスクスとお喋りをしている。加納は、それこそ、女の子なら誰でも大丈夫な奴だから、ここはここで、問題ないんだろう。
残りの女の子は、まだ牽制しあっているのか、残りの男にがっかりしたか、3人で集まって座っている。
どうしたものか、熱意をもって口説くほどの気もないけど、流石に声もかけないでは失礼だしなぁ。
俺はちらりとセナちゃんを見た。
ちょうどこちらを見た彼女と目が合い、お、と思う。
「セナちゃん、なんか歌う?」
俺は、自分の飲み物のコップを掴むと、一番端に座っていたセナちゃんの横へと移動した。
結果を言えば、結局のところ、今回は由佳の一人勝ち?お望み通りにいい男をゲットして、気がつけば2人ともいなかった。
残った6人で飯でも食うか?となったが、結局盛り上がらず。
俺はセナちゃんとLineの交換をしたけど、恐らくは、セナちゃんも加納狙いだったような…
本気で狙ったわけでもないのに、振られた形で、どうにも情けない。
角田は、全員とLine交換したようだ。流石、熱意が違う。
もう1人の松田という男は、初めからその気がなさそうで、いい男ではあるけど、ノリが悪い。
飯を食ったあと、じゃ、というとそのまま帰っていった。
角田の友達としては、意外なタイプだ。
その流れで、結局はなんとなく、皆帰ることになった。
「志紀、じゃーな。」
帰る方向が逆なので、駅の改札で別れる。何となく、帰る気になれなくて、少し本屋にでも寄っていくことにした。向きを変えて歩き出すと、突然、横から人にぶつかられ、大きくよろけてしまった。
「すみません…」
その声がなんとなく気になって、ぶつかってきた相手をまじまじと見つめてしまった。
すると、相手は一瞬驚いた顔をしたあと、すっと目を逸らし、小さな声で、すみません、ともう一度言うと、俺をよけて行こうとした。
その声で俺は確信した、千早だ。
そんなに何度も聞いたわけではない声だから、確かではなかったけれど、不思議な確信があった。
「待って。」
反射的に肩を掴む。すると、恐らく千早であろうその男は、慌てたように後ろを振り返った。そちらを見ると、サラリーマン風の男が明らかにこちらへ向かってくる。
「やばい、逃げるよ。」
そう言うと、千早は、俺の腕を掴み、引っ張った。
「え?」
「走れって!」
質問を挟む暇もない。俺は慌てて腕を千早に握られたまま走り出した。そのまま小さな繁華街を走り抜ける。後ろからは追ってくる気配はなかった。
「うそー、今、終わったばっかやで?」
あてが外れて、かなりがっかりしてしまった。角田が後ろを振り向いて、ニヤリとした。
「なんなん?宮田千早?気になるん?」
俺は腹立ち紛れに、角田のにやけ顔の頬を思い切りつまんだ。
「そりゃ普通なるやろー?いきなりパンくれたし、顔が超絶美形やったぞ。なんで隠してんだよ、とか、気になるやろ?」
角田はいてて、と顔をしかめ、俺の手を振り払った。
「ならん。別にならへん。男やし。背も、お前より高いくらいの男やぞ?女の子なら気になるが、男では一ミリも気にならん。」
はっきりと言い切って、角田は立ち上がった。
「それより、はよ行こう。さっきLineで4時半頃には着くって連絡あったで!」
今日は、角田の元カノの由佳から合コンの話が持ちかけられていた。
こっちが4人、向こうも4人。
由佳を角田の元カノって事は、俺以外は知らないから、由佳の狙いは残りの2人ということになる。ちゃっかり指定してきたらしい…恐ろしい。
そして、元カノの前で新しい相手を物色しようという角田も、逞しい。
俺は、まぁおまけのような感覚で混ぜられているので、気楽なものだ。
駅前のマックで集まって、計8人でカラオケ。合コンといっても、田舎の高校生のやることなんて、こんなもんだ。
女子は皆そこそこ可愛かった。女子は自分より可愛い子は連れてこないものというが、御多分に洩れず、今回も由佳が一番可愛い、というか、可愛くみせる化粧や服装を知っているようだ。
皆、化粧してるし、元なんかわからないけど。
「志紀、気に入った子おる?」
角田がにじり寄ってきた。
「うーん。セナちゃん、やった?あの子、スタイルええなぁ。」
俺が答えると、角田は、大きく頷き、
「うん、足がめっちゃ綺麗やな。」
うん足か…俺としては、胸の方が…と思ったが、そこは流しておく。
「角田は?」
「俺か?俺は…悩むなぁ。」
俺は、とりあえず、曲を選びながら、周りを見る。
角田の元カノは、とっくにロックオンしたらしいバスケ部の加納にベッタリだ。くっついて、クスクスとお喋りをしている。加納は、それこそ、女の子なら誰でも大丈夫な奴だから、ここはここで、問題ないんだろう。
残りの女の子は、まだ牽制しあっているのか、残りの男にがっかりしたか、3人で集まって座っている。
どうしたものか、熱意をもって口説くほどの気もないけど、流石に声もかけないでは失礼だしなぁ。
俺はちらりとセナちゃんを見た。
ちょうどこちらを見た彼女と目が合い、お、と思う。
「セナちゃん、なんか歌う?」
俺は、自分の飲み物のコップを掴むと、一番端に座っていたセナちゃんの横へと移動した。
結果を言えば、結局のところ、今回は由佳の一人勝ち?お望み通りにいい男をゲットして、気がつけば2人ともいなかった。
残った6人で飯でも食うか?となったが、結局盛り上がらず。
俺はセナちゃんとLineの交換をしたけど、恐らくは、セナちゃんも加納狙いだったような…
本気で狙ったわけでもないのに、振られた形で、どうにも情けない。
角田は、全員とLine交換したようだ。流石、熱意が違う。
もう1人の松田という男は、初めからその気がなさそうで、いい男ではあるけど、ノリが悪い。
飯を食ったあと、じゃ、というとそのまま帰っていった。
角田の友達としては、意外なタイプだ。
その流れで、結局はなんとなく、皆帰ることになった。
「志紀、じゃーな。」
帰る方向が逆なので、駅の改札で別れる。何となく、帰る気になれなくて、少し本屋にでも寄っていくことにした。向きを変えて歩き出すと、突然、横から人にぶつかられ、大きくよろけてしまった。
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