48 / 96
【第二部】
48、ごめん、さっきの嘘
しおりを挟む
なんて言い訳しようか考えながらロビーに行くと、一般のお客さんに紛れて慧もいて、とりあえず手を振っておく。私に気がついた慧は真顔で近づいてきて、言い訳をする暇も与えずに私の手首を掴む。
「こっち来てください」
「ちょっと待って。どこ行くの? こんなとこ誰かに見られたら変に思われるよ?」
そのまま私の手を引いてどこかに連れていこうとする慧を小声で咎める。ざっと見た感じ、とりあえずサークルの人はここにはいないけど、いつ誰が来るかも分からない。
「ここでもめてる方が変に思われますよ。誰にも見られたくないならついてきて」
慧に言い返されて反論しようと思ったけど、上手い言葉も見つからずにそのままホテルの外に連れ出される。
駐車場に止まっていたシルバーの乗用車に押し込まれるようにして助手席に乗せられ、私にシートベルトをさせて自分は運転席に座ると、慧は車のエンジンをかけた。
どこに行くのか聞こうと思ったけど、聞ける雰囲気でもないよね。大人しく座っていると、山道を少し走ってホテルから離れたところで慧が車を止め、サイドブレーキを引いた。
慧がシートベルトを外して、少し座席を下げたので、私も同じようにさせてもらう。
「怒ってる?」
車を止めたのはいいけど、何も話しかけてこなかったので私から話を振ると、窓の外を見ていた慧がこちらを振り向く。
「怒ってはないですけど、俺何かしました?」
「何もしてないよ?」
「俺のこと避けてますよね」
「避け、てな」
「なくないです」
ないよ、と言おうとしたところで言葉を被せられ、思わず苦笑いを浮かべる。
「ごめん、今生理中だからちょっと体調悪くて。返信する余裕なくて寝てたの」
「あ~……。体調悪い時にすみません」
バイキングはモリモリに食べてたくせに、いくら何でもそれは無理があるだろうと自分でも思ったけど、慧も女の子の事情にそこまで深く突っ込めなかったみたい。逆に謝られてしまって、少し罪悪感が募る。
「すみません、気がつかなくて。戻って休みますか?」
「い、いいよいいよ。寝たら体調良くなったし」
申し訳なさそうにしてる慧を見てると、こっちが申し訳なくなってきた。サイドブレーキを戻そうとした慧の手を掴んで止めると、こちらを見た慧と目が合う。
「それより、何か用事だった?」
「特に用はないです。ただ会いたいなと思ってただけ」
ダメだ。本格的に申し訳なくなってきた。
じっと目を見つめられると罪悪感がどんどん大きくなってきて、これ以上嘘を重ねることが出来なくなる。
「ごめん、さっきの嘘」
「嘘って。何が」
「生理なのは本当だけど、別の理由で避けてた。なんかね、まゆみに慧とみくちゃんが付き合ってるんじゃないかって言われて。色々考えてたらモヤモヤしてきて、話せなくなった」
慧の両手を握って一気に告白すると、慧は少し面食らったような顔をしてたけど、しばらくして口を開いた。
「一応言っておくけど、付き合ってないですよ。普通の友達です」
「うん、それは分かってるから大丈夫。でも慧の彼女は私なのになぁとか思っちゃって」
慧の手を握ったままうつむくと、その手を優しく外され、腰に手を回されて運転席の方に引き寄せられる。
「俺の彼女は花音先輩だけです」
「知ってる」
「付き合って一ヶ月経つし、もうみんなに言ってもいいんじゃないですか」
「う~ん……」
「俺も同じようなこと言われるんですよね」
抱きしめられたまま話していたけど、少しだけ身体を離すと、また慧と目が合う。
「こっち来てください」
「ちょっと待って。どこ行くの? こんなとこ誰かに見られたら変に思われるよ?」
そのまま私の手を引いてどこかに連れていこうとする慧を小声で咎める。ざっと見た感じ、とりあえずサークルの人はここにはいないけど、いつ誰が来るかも分からない。
「ここでもめてる方が変に思われますよ。誰にも見られたくないならついてきて」
慧に言い返されて反論しようと思ったけど、上手い言葉も見つからずにそのままホテルの外に連れ出される。
駐車場に止まっていたシルバーの乗用車に押し込まれるようにして助手席に乗せられ、私にシートベルトをさせて自分は運転席に座ると、慧は車のエンジンをかけた。
どこに行くのか聞こうと思ったけど、聞ける雰囲気でもないよね。大人しく座っていると、山道を少し走ってホテルから離れたところで慧が車を止め、サイドブレーキを引いた。
慧がシートベルトを外して、少し座席を下げたので、私も同じようにさせてもらう。
「怒ってる?」
車を止めたのはいいけど、何も話しかけてこなかったので私から話を振ると、窓の外を見ていた慧がこちらを振り向く。
「怒ってはないですけど、俺何かしました?」
「何もしてないよ?」
「俺のこと避けてますよね」
「避け、てな」
「なくないです」
ないよ、と言おうとしたところで言葉を被せられ、思わず苦笑いを浮かべる。
「ごめん、今生理中だからちょっと体調悪くて。返信する余裕なくて寝てたの」
「あ~……。体調悪い時にすみません」
バイキングはモリモリに食べてたくせに、いくら何でもそれは無理があるだろうと自分でも思ったけど、慧も女の子の事情にそこまで深く突っ込めなかったみたい。逆に謝られてしまって、少し罪悪感が募る。
「すみません、気がつかなくて。戻って休みますか?」
「い、いいよいいよ。寝たら体調良くなったし」
申し訳なさそうにしてる慧を見てると、こっちが申し訳なくなってきた。サイドブレーキを戻そうとした慧の手を掴んで止めると、こちらを見た慧と目が合う。
「それより、何か用事だった?」
「特に用はないです。ただ会いたいなと思ってただけ」
ダメだ。本格的に申し訳なくなってきた。
じっと目を見つめられると罪悪感がどんどん大きくなってきて、これ以上嘘を重ねることが出来なくなる。
「ごめん、さっきの嘘」
「嘘って。何が」
「生理なのは本当だけど、別の理由で避けてた。なんかね、まゆみに慧とみくちゃんが付き合ってるんじゃないかって言われて。色々考えてたらモヤモヤしてきて、話せなくなった」
慧の両手を握って一気に告白すると、慧は少し面食らったような顔をしてたけど、しばらくして口を開いた。
「一応言っておくけど、付き合ってないですよ。普通の友達です」
「うん、それは分かってるから大丈夫。でも慧の彼女は私なのになぁとか思っちゃって」
慧の手を握ったままうつむくと、その手を優しく外され、腰に手を回されて運転席の方に引き寄せられる。
「俺の彼女は花音先輩だけです」
「知ってる」
「付き合って一ヶ月経つし、もうみんなに言ってもいいんじゃないですか」
「う~ん……」
「俺も同じようなこと言われるんですよね」
抱きしめられたまま話していたけど、少しだけ身体を離すと、また慧と目が合う。
0
あなたにおすすめの小説
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
ハイスペミュージシャンは女神(ミューズ)を手放さない!
汐瀬うに
恋愛
雫は失恋し、単身オーストリア旅行へ。そこで素性を隠した男:隆介と出会う。意気投合したふたりは数日を共にしたが、最終日、隆介は雫を残してひと足先にった。スマホのない雫に番号を書いたメモを残したが、それを別れの言葉だと思った雫は連絡せずに日本へ帰国。日本で再会したふたりの恋はすぐに再燃するが、そこには様々な障害が…
互いに惹かれ合う大人の溺愛×運命のラブストーリーです。
※ムーンライトノベルス・アルファポリス・Nola・Berry'scafeで同時掲載しています
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます
けいこ
恋愛
ホテルマンとして、大好きなあなたと毎日一緒に仕事が出来ることに幸せを感じていた。
あなたは、グレースホテル東京の総支配人。
今や、世界中に点在する最高級ホテルの創始者の孫。
つまりは、最高ランクの御曹司。
おまけに、容姿端麗、頭脳明晰。
総支配人と、同じホテルで働く地味で大人しめのコンシェルジュの私とは、明らかに身分違い。
私は、ただ、あなたを遠くから見つめているだけで良かったのに…
それなのに、突然、あなたから頼まれた偽装結婚の相手役。
こんな私に、どうしてそんなことを?
『なぜ普通以下なんて自分をさげすむんだ。一花は…そんなに可愛いのに…』
そう言って、私を抱きしめるのはなぜ?
告白されたわけじゃないのに、気がづけば一緒に住むことになって…
仕事では見ることが出来ない、私だけに向けられるその笑顔と優しさ、そして、あなたの甘い囁きに、毎日胸がキュンキュンしてしまう。
親友からのキツイ言葉に深く傷ついたり、ホテルに長期滞在しているお客様や、同僚からのアプローチにも翻弄されて…
私、一体、この先どうなっていくのかな?
お見合いに代理出席したら花嫁になっちゃいました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
綾美は平日派遣の事務仕事をしているが、暇な土日に便利屋のバイトをしている。ある日、お見合いの代理出席をする為にホテルへ向かったのだが、そこにいたのは!?
堅物上司の不埒な激愛
結城由真《ガジュマル》
恋愛
望月かなめは、皆からオカンと呼ばれ慕われている人当たりが良い会社員。
恋愛は奥手で興味もなかったが、同じ部署の上司、鎌田課長のさり気ない優しさに一目ぼれ。
次第に鎌田課長に熱中するようになったかなめは、自分でも知らぬうちに小悪魔女子へと変貌していく。
しかし鎌田課長は堅物で、アプローチに全く動じなくて……
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
手出しさせてやろうじゃないの! ~公爵令嬢の幼なじみは王子様~
薄影メガネ
恋愛
幼なじみの王子様ジュードは天使のような容姿で文武両道の完璧な男性。ジュードと幼なじみの公爵令嬢エルフリーデはそんな完璧王子と婚約していて、二人は親公認の仲でもある。ちょっとおてんばなエルフリーデと大人なジュード、二人は幼い頃から仲良しでいつも傍にいるのが当たり前の大切な存在。けれど、エルフリーデにはある不満があって……
結婚するまで手を出さない? なら手出しさせてやろうじゃないの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる