悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ

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「あいつ、君と話したくて近づいたんだよ。まぁ、俺もだけど」 


なんだそれ。わかりづれぇよ…。話したいなら普通に話してくれよ。 

あんな酷い言い方していたら勘違いされるし、相手は嫌な思いをする。




「でも、酷いこと言う男は嫌い」 



「そうだよね~。じゃあ、俺は?」



 「興味ないわ」 


こいつ、多分腹黒くて計算高い奴だ。 

なんかそういう気がする。ゲーム上ではチャラチャラとしたイメージで何も考えてないように見えていただけだ。



「きついな~。へへ、あと、君さ男の子でしょ?マリーじゃなくてアレン」 



「は…?」


こいつ今なんて…。

なぜ俺の名前を知ってんだ。てか、なぜバレた。 




「な、なんで…」 


「秘密。じゃあね~」 



「ま、待って!」 



すぐにヴァルの腕を掴んで、行くのを阻止した。 




「だって、俺に興味ないんだよね~。俺悲しくて皆にこのことバラしそう」 




こいつ、8歳にしてめちゃくちゃに性格悪い!無自覚だったら相当やばい。 


とりあえず、話せばわかるだろ。



「嘘ウソ!興味あります!」


 先ほどと全く違う態度の変えように自分でもびっくりするが、奴は口の端を上げ怪しく笑う。 



「へぇ~、その反応本当にアレンなんだ」


 へ。こいつもしかして、俺にかまをかけた? 




「お前、性格悪いな」 



「え~、そんなことないって~」 



8歳相手にしてやられた。もう俺の計画台無しじゃん。まずそもそもなぜ、俺とマリーを知ってんだ。名乗ってはいないし。俺を見た瞬間、ワグナー家だと知っていた。 



「なんで、俺のこと知っていたんだ?」 



「それは秘密だって。もっと俺に興味持った時に話すよ」 



じゃあ、一生秘密のままだな。終わり。 


謎は謎のままへ。




「まさかワグナー家のアレンが、女装趣味があったとはびっくりしちゃった」 



「そんなわけないだろ」 



「じゃあ、なんでそんな格好しているの~」



 「教えない」 


「ケチ~」 


「お互いさまだ」 



自分は言わないくせに、人が教えてくれないと拗ねる。やっぱりガキだな。 




「あのさ俺、アレンに会えてうれしい」 


なんだ。急に。人を持ち上げて一気に陥れるアレか。 





「それだけ言いたかったから。これは本当のことだよ。じゃあ、アレン俺こと絶対忘れないでね。忘れていたら悲しくて口が滑っちゃうかも」 


と、言って最後まで人を脅し嬉しそうに去って行った。 

これからどうなるんだ、俺は…。 








そう頭を抱えていた俺をよそに、ヴァルはレオナルドのところへ行き、


「素直に可愛いって言えば良かったのに」

 「うるせ」 


そう二人がパーティー会場でそんなことを話していたなんて知らなかった。 




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