剣閃

小林 広平

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第漆幕

22-1

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「ほう。山村さんそんと聞きましたが、読み書き共に完璧かんぺき御座ござるなあ」

 同心どうしん先輩せんぱい宮内みやうちが、ふくよかな腹をさすなが慎太郎しんたろう仕事振しごとぶりをのぞいた。

 慎太郎しんたろう同心どうしんとしてのはたらきは上々じょうじょうった。剣の腕もる事ながら、現在の組頭くみがしらに気に入られた事が大きい。現在の組頭くみがしら月嶋つきしま以下の同僚達どうりょうたち不人気ふにんきった。と同時に、組頭くみがしら月嶋達つきしまたちきらいでった。

 現組頭げんくみがしら前組頭ぜんくみがしらちがい、こまかい事に対してうるさい所に同心達どうしんたち不満ふまんらす。何しろ、切腹せっぷくした先代せんだい組頭くみがしら関政盛せきまさもり組頭くみがしらばれ、現在げんざい組頭くみがしらるのにもかかわらず現組頭げんくみがしらしょうされるのが面白おもしろくないとう理由から、せきの事を前組頭ぜんくみがしらぶ様に通達つうたつする始末しまつ宮内曰みやうちいわく「御頭おかしらとしての度量どりょうりない」だ、うでる。

 組頭くみがしら組頭くみがしらで、ことごと先代こせんだいくらべられる事が気に入らない。たしかにせきの男としての生きざまみとめる。がしかし、組頭くみがしらいわく「切腹せっぷくる様な事態じたいおちいる事こそ」だ、うでる。
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