【完結】強がり高校生が同室のド真面目脳筋に喧嘩しながらも惹かれてく話

日向汐

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最終章

エピローグ・あとがき

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エピローグ



満開の桜に囲まれた、小さなログハウス。
そこから2人の男子生徒が飛び出してきた。

「楓、早くしないと花が来てしまう!」
「分かってるって」

そう言って玄関扉の鍵を閉める。
扉の横には「おたすけ部 部室」と書かれた掛札。






「あー、楓お兄ちゃん、陸お兄ちゃん、遅いー!」

2人が校門前に着くと、すでに荷物の運び出しは始まっていた。
軽トラックの横から、少女が顔を出す。

「まどか、何しに来てんだよ?」
「だってまどかのばぁばのお花だもん!それにぃ…、」

桜色のシフォンスカートの少女は、そっと荷台の方を見る。
そこには、学校職員に混ざって、生花の入った段ボールを持つ、グレーの瞳の美少年。

「あ、陸先輩!僕も明日からここの生徒ですから、よろしくお願いしますね」

グレージュの髪が春の風と陽を受け、サラサラと揺れ光る。

「入学おめでとう、祐希人。よろしく頼む」
「おい伊吹、俺もいるだろー」
「ああ、楓先輩も、よろしくお願いします」

2人も生花の段ボールを持って、男子寮へ運ぶ。

「シノさん、ここでいい?」
「うん!手伝いありがと~、助かるよ」

シノさんと呼ばれた、若い寮管理人が答えた。
彼はあたりを見回し、もう一度口を開いた。

「あれ?前野先生は、今日はいない?」
「前野先生は、義理の息子さんと温泉に行くと言ってました」
「…陸と前野先生って、いつそういう話してんの?」
「そうなんだー。わかった、ありがとう!」


搬入作業の手伝いが終わると、二人は階段を登り2年生のフロアへ行く。
共有スペースの前を通ると、調子のいい声が響いた。

「あ、『おた部』コンビ!今年も一発、警報&スプリンクラー、やってくんねぇ?」
「篠岡、その略し方やめてくんない?」
「火災報知器はもう修理されているから、誤作動はしないぞ」

近くでゲームをしていた童顔の男子生徒も振り返る。

「篠岡、僕にゲームで負けたから、データ消そうとしてんの」

クスクスと意地悪そうに笑う。

「ちぇー。だって玉置、異常に格ゲー強ぇんだぜ?お前は、格ゲー顔じゃなくて、育成ゲー顔だろ?」
「育成ゲー顔って何」
「そんなに強いのか。すごいな、玉置」
「俺もやりたーい」
「お、いいな!じゃあパーティゲームにしよーぜ」

4人が各々にコントローラーを握り、ゲーム画面がカラフルに展開する。

開け放たれた窓からは、心地よい春風が舞い込みカーテンを揺らす。
その奥に広がる景色は、温泉町の湯気と桜のピンク色、そして青い海が、今日も輝いていた。






—----------------
おまけ



その頃、「おたすけ部」顧問の前野は、義理の息子・修と温泉に浸かっていた。

「修くんは温泉好きかい?」
「そうですね、嫌いではないですけど、あまり行く機会ってなくて…」
「そうか。温泉ってな、地面に染み込んだ雨水や雪解け水が、長い年月をかけて温められてできるんだ。」
「そうだったんですか!なんだか素敵ですね。長い年月、地下で温められたものが人を癒すって、ドラマチックですね。」
「修くん!わかってるね。この町も、小さな町だけど、長い歴史の中で、人々が寄り添い合って、こんな温かい町になっているんだ。…だから俺は、この町の人も、この町の温泉も好きなんだ」
「…いいですね。また、一緒に温泉来ましょう」
「そうだな、男同士の約束だ!」



—---------------




幽霊小屋「おたすけ部」のふたりは、
今日も輝く「今」を生きていく。

清々しい風の中を、
ふたりで走り抜ける。




























最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

本作(旧タイトル:幽霊小屋「おたすけ部」のふたりは、)は、私にとって初めて、“誰かの心を少しでも軽くできたら…”と願いながら書いたお話でした。
けれど実際には、読んでくださった皆さまの存在に励まされ、むしろ私の方が心を軽くしていただきました😊

楓と陸のお話はこれで一旦は幕引きとなりますが、舞台となった「灰霞町」や、その他の登場人物たちには、まだ書ききれていない物語がたくさんあります。本作にも、その片鱗を忍ばせています。

もし続編が書けたら、今回はサブキャラクターだった登場人物たちに焦点を当てながら、未開部分を少しずつ紐解いていけたらと思っています。
(時間と体力があれば…ですが😂)
その時はきっとまた、見届けていただけたら嬉しいです♡ ˎˊ˗


拙い部分も多かったと思いますが、ここまで伴走してくださり、本当にありがとうございました。

ではまた、どこかで。


日向汐


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