24 / 24
最終章
エピローグ・あとがき
しおりを挟む
エピローグ
満開の桜に囲まれた、小さなログハウス。
そこから2人の男子生徒が飛び出してきた。
「楓、早くしないと花が来てしまう!」
「分かってるって」
そう言って玄関扉の鍵を閉める。
扉の横には「おたすけ部 部室」と書かれた掛札。
「あー、楓お兄ちゃん、陸お兄ちゃん、遅いー!」
2人が校門前に着くと、すでに荷物の運び出しは始まっていた。
軽トラックの横から、少女が顔を出す。
「まどか、何しに来てんだよ?」
「だってまどかのばぁばのお花だもん!それにぃ…、」
桜色のシフォンスカートの少女は、そっと荷台の方を見る。
そこには、学校職員に混ざって、生花の入った段ボールを持つ、グレーの瞳の美少年。
「あ、陸先輩!僕も明日からここの生徒ですから、よろしくお願いしますね」
グレージュの髪が春の風と陽を受け、サラサラと揺れ光る。
「入学おめでとう、祐希人。よろしく頼む」
「おい伊吹、俺もいるだろー」
「ああ、楓先輩も、よろしくお願いします」
2人も生花の段ボールを持って、男子寮へ運ぶ。
「シノさん、ここでいい?」
「うん!手伝いありがと~、助かるよ」
シノさんと呼ばれた、若い寮管理人が答えた。
彼はあたりを見回し、もう一度口を開いた。
「あれ?前野先生は、今日はいない?」
「前野先生は、義理の息子さんと温泉に行くと言ってました」
「…陸と前野先生って、いつそういう話してんの?」
「そうなんだー。わかった、ありがとう!」
搬入作業の手伝いが終わると、二人は階段を登り2年生のフロアへ行く。
共有スペースの前を通ると、調子のいい声が響いた。
「あ、『おた部』コンビ!今年も一発、警報&スプリンクラー、やってくんねぇ?」
「篠岡、その略し方やめてくんない?」
「火災報知器はもう修理されているから、誤作動はしないぞ」
近くでゲームをしていた童顔の男子生徒も振り返る。
「篠岡、僕にゲームで負けたから、データ消そうとしてんの」
クスクスと意地悪そうに笑う。
「ちぇー。だって玉置、異常に格ゲー強ぇんだぜ?お前は、格ゲー顔じゃなくて、育成ゲー顔だろ?」
「育成ゲー顔って何」
「そんなに強いのか。すごいな、玉置」
「俺もやりたーい」
「お、いいな!じゃあパーティゲームにしよーぜ」
4人が各々にコントローラーを握り、ゲーム画面がカラフルに展開する。
開け放たれた窓からは、心地よい春風が舞い込みカーテンを揺らす。
その奥に広がる景色は、温泉町の湯気と桜のピンク色、そして青い海が、今日も輝いていた。
—----------------
おまけ
その頃、「おたすけ部」顧問の前野は、義理の息子・修と温泉に浸かっていた。
「修くんは温泉好きかい?」
「そうですね、嫌いではないですけど、あまり行く機会ってなくて…」
「そうか。温泉ってな、地面に染み込んだ雨水や雪解け水が、長い年月をかけて温められてできるんだ。」
「そうだったんですか!なんだか素敵ですね。長い年月、地下で温められたものが人を癒すって、ドラマチックですね。」
「修くん!わかってるね。この町も、小さな町だけど、長い歴史の中で、人々が寄り添い合って、こんな温かい町になっているんだ。…だから俺は、この町の人も、この町の温泉も好きなんだ」
「…いいですね。また、一緒に温泉来ましょう」
「そうだな、男同士の約束だ!」
—---------------
幽霊小屋「おたすけ部」のふたりは、
今日も輝く「今」を生きていく。
清々しい風の中を、
ふたりで走り抜ける。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
本作(旧タイトル:幽霊小屋「おたすけ部」のふたりは、)は、私にとって初めて、“誰かの心を少しでも軽くできたら…”と願いながら書いたお話でした。
けれど実際には、読んでくださった皆さまの存在に励まされ、むしろ私の方が心を軽くしていただきました😊
楓と陸のお話はこれで一旦は幕引きとなりますが、舞台となった「灰霞町」や、その他の登場人物たちには、まだ書ききれていない物語がたくさんあります。本作にも、その片鱗を忍ばせています。
もし続編が書けたら、今回はサブキャラクターだった登場人物たちに焦点を当てながら、未開部分を少しずつ紐解いていけたらと思っています。
(時間と体力があれば…ですが😂)
その時はきっとまた、見届けていただけたら嬉しいです♡ ˎˊ˗
拙い部分も多かったと思いますが、ここまで伴走してくださり、本当にありがとうございました。
ではまた、どこかで。
日向汐
満開の桜に囲まれた、小さなログハウス。
そこから2人の男子生徒が飛び出してきた。
「楓、早くしないと花が来てしまう!」
「分かってるって」
そう言って玄関扉の鍵を閉める。
扉の横には「おたすけ部 部室」と書かれた掛札。
「あー、楓お兄ちゃん、陸お兄ちゃん、遅いー!」
2人が校門前に着くと、すでに荷物の運び出しは始まっていた。
軽トラックの横から、少女が顔を出す。
「まどか、何しに来てんだよ?」
「だってまどかのばぁばのお花だもん!それにぃ…、」
桜色のシフォンスカートの少女は、そっと荷台の方を見る。
そこには、学校職員に混ざって、生花の入った段ボールを持つ、グレーの瞳の美少年。
「あ、陸先輩!僕も明日からここの生徒ですから、よろしくお願いしますね」
グレージュの髪が春の風と陽を受け、サラサラと揺れ光る。
「入学おめでとう、祐希人。よろしく頼む」
「おい伊吹、俺もいるだろー」
「ああ、楓先輩も、よろしくお願いします」
2人も生花の段ボールを持って、男子寮へ運ぶ。
「シノさん、ここでいい?」
「うん!手伝いありがと~、助かるよ」
シノさんと呼ばれた、若い寮管理人が答えた。
彼はあたりを見回し、もう一度口を開いた。
「あれ?前野先生は、今日はいない?」
「前野先生は、義理の息子さんと温泉に行くと言ってました」
「…陸と前野先生って、いつそういう話してんの?」
「そうなんだー。わかった、ありがとう!」
搬入作業の手伝いが終わると、二人は階段を登り2年生のフロアへ行く。
共有スペースの前を通ると、調子のいい声が響いた。
「あ、『おた部』コンビ!今年も一発、警報&スプリンクラー、やってくんねぇ?」
「篠岡、その略し方やめてくんない?」
「火災報知器はもう修理されているから、誤作動はしないぞ」
近くでゲームをしていた童顔の男子生徒も振り返る。
「篠岡、僕にゲームで負けたから、データ消そうとしてんの」
クスクスと意地悪そうに笑う。
「ちぇー。だって玉置、異常に格ゲー強ぇんだぜ?お前は、格ゲー顔じゃなくて、育成ゲー顔だろ?」
「育成ゲー顔って何」
「そんなに強いのか。すごいな、玉置」
「俺もやりたーい」
「お、いいな!じゃあパーティゲームにしよーぜ」
4人が各々にコントローラーを握り、ゲーム画面がカラフルに展開する。
開け放たれた窓からは、心地よい春風が舞い込みカーテンを揺らす。
その奥に広がる景色は、温泉町の湯気と桜のピンク色、そして青い海が、今日も輝いていた。
—----------------
おまけ
その頃、「おたすけ部」顧問の前野は、義理の息子・修と温泉に浸かっていた。
「修くんは温泉好きかい?」
「そうですね、嫌いではないですけど、あまり行く機会ってなくて…」
「そうか。温泉ってな、地面に染み込んだ雨水や雪解け水が、長い年月をかけて温められてできるんだ。」
「そうだったんですか!なんだか素敵ですね。長い年月、地下で温められたものが人を癒すって、ドラマチックですね。」
「修くん!わかってるね。この町も、小さな町だけど、長い歴史の中で、人々が寄り添い合って、こんな温かい町になっているんだ。…だから俺は、この町の人も、この町の温泉も好きなんだ」
「…いいですね。また、一緒に温泉来ましょう」
「そうだな、男同士の約束だ!」
—---------------
幽霊小屋「おたすけ部」のふたりは、
今日も輝く「今」を生きていく。
清々しい風の中を、
ふたりで走り抜ける。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
本作(旧タイトル:幽霊小屋「おたすけ部」のふたりは、)は、私にとって初めて、“誰かの心を少しでも軽くできたら…”と願いながら書いたお話でした。
けれど実際には、読んでくださった皆さまの存在に励まされ、むしろ私の方が心を軽くしていただきました😊
楓と陸のお話はこれで一旦は幕引きとなりますが、舞台となった「灰霞町」や、その他の登場人物たちには、まだ書ききれていない物語がたくさんあります。本作にも、その片鱗を忍ばせています。
もし続編が書けたら、今回はサブキャラクターだった登場人物たちに焦点を当てながら、未開部分を少しずつ紐解いていけたらと思っています。
(時間と体力があれば…ですが😂)
その時はきっとまた、見届けていただけたら嬉しいです♡ ˎˊ˗
拙い部分も多かったと思いますが、ここまで伴走してくださり、本当にありがとうございました。
ではまた、どこかで。
日向汐
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
幼馴染が「お願い」って言うから
尾高志咲/しさ
BL
高2の月宮蒼斗(つきみやあおと)は幼馴染に弱い。美形で何でもできる幼馴染、上橋清良(うえはしきよら)の「お願い」に弱い。
「…だからってこの真夏の暑いさなかに、ふっかふかのパンダの着ぐるみを着ろってのは無理じゃないか?」
里見高校着ぐるみ同好会にはメンバーが3人しかいない。2年生が二人、1年生が一人だ。商店街の夏祭りに参加直前、1年生が発熱して人気のパンダ役がいなくなってしまった。あせった同好会会長の清良は蒼斗にパンダの着ぐるみを着てほしいと泣きつく。清良の「お願い」にしぶしぶ頷いた蒼斗だったが…。
★上橋清良(高2)×月宮蒼斗(高2)
☆同級生の幼馴染同士が部活(?)でわちゃわちゃしながら少しずつ近づいていきます。
☆第1回青春×BL小説カップに参加。最終45位でした。応援していただきありがとうございました!
【完結】君の穿ったインソムニア
古都まとい
BL
建設会社の事務として働く佐野純平(さの じゅんぺい)は、上司のパワハラによって眠れない日々を過ごしていた。後輩の勧めで病院を受診した純平は不眠症の診断を受け、処方された薬を受け取りに薬局を訪れる。
純平が訪れた薬局には担当薬剤師制度があり、純平の担当薬剤師となったのは水瀬隼人(みなせ はやと)という茶髪の明るい青年だった。
「佐野さんの全部、俺が支えてあげますよ?」
陽キャ薬剤師×不眠症会社員の社会人BL。
もう観念しなよ、呆れた顔の彼に諦めの悪い僕は財布の3万円を机の上に置いた
谷地
BL
お昼寝コース(※2時間)8000円。
就寝コースは、8時間/1万5千円・10時間/2万円・12時間/3万円~お選びいただけます。
お好みのキャストを選んで御予約下さい。はじめてに限り2000円値引きキャンペーン実施中!
液晶の中で光るポップなフォントは安っぽくぴかぴかと光っていた。
完結しました *・゚
2025.5.10 少し修正しました。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
【完結】恋愛初学者の僕、完璧すぎる幼馴染に「恋」を学ぶ
鳥羽ミワ
BL
志村春希は高校二年生で、同い年の幼馴染・須藤涼太のことが大好き。その仲良しぶりといったら、お互い「リョウちゃん」「ハルくん」と呼び合うほどだ。
勉強が好きな春希には、どうしてもひとつだけ、全く理解できないことがあった。それは、恋心。学年一位の天才でもある涼太にそのもどかしさを愚痴ったら、「恋」を教えようかと提案される。
仮初の恋人になる二人だけど、春希が恋を知ったら、幼馴染の友達同士のままではいられない。慌てる春希に「パラダイムシフトを起こそうよ」と提案する涼太。手を重ねて、耳元で囁く涼太。水族館デートに誘う涼太。あまあまに迫られて、恋愛初学者の春希が陥落しないはずもなく……。
恋を知ったら友達でいられない。でもこの思いは止められない。
葛藤する春希の隣で涼太だけが、この関係は両片思いだと知っていた。
幼馴染の溺愛恋愛ケーススタディ、開幕! 最後はもちろんハッピーエンド!
※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうへ投稿しています
幼なじみの友達に突然キスされました
光野凜
BL
『素直になれない、幼なじみの恋』
平凡な俺、浅野蒼にはイケメンでクラスの人気者な幼なじみ、佐伯瑛斗がいる。
家族ぐるみの付き合いのせいか、瑛斗は昔から距離感がおかしくて、何かと蒼にベッタリ。けれど、蒼はそれを“ただの友情”だと思っていた。
ある日、初めての告白に浮かれていると、瑛斗から突然キスされて......!?
「蒼のことが好きだ」
「お前が他の奴と付き合うのは耐えられない」
友達だと思っていた関係が一気に変わり、戸惑いながらも瑛人の一途で甘い想いに少しずつ心が揺れていく。
しかし、素直になれない蒼は最後の一歩が踏み出せずにいた。
そんなとき、ふたりの関係に”あるトラブル”が訪れて......。
じれったくて、思わず応援したくなるふたりのピュアな青春ラブストーリー。
「......蒼も、俺のこと好きになってよ」
「好きだ。好きだよ、蒼」
「俺は、蒼さえいればいい」
どんどん甘く、独占欲を隠さなくなる瑛斗に、戸惑いながらも心が揺れていく。
【一途で独占欲強めな攻め × 不器用で素直になれない受け】
あなたのいちばんすきなひと
名衛 澄
BL
亜食有誠(あじきゆうせい)は幼なじみの与木実晴(よぎみはる)に好意を寄せている。
ある日、有誠が冗談のつもりで実晴に付き合おうかと提案したところ、まさかのOKをもらってしまった。
有誠が混乱している間にお付き合いが始まってしまうが、実晴の態度はいつもと変わらない。
俺のことを好きでもないくせに、なぜ付き合う気になったんだ。
実晴の考えていることがわからず、不安に苛まれる有誠。
そんなとき、実晴の元カノから実晴との復縁に協力してほしいと相談を受ける。
また友人に、幼なじみに戻ったとしても、実晴のとなりにいたい。
自分の気持ちを隠して実晴との"恋人ごっこ"の関係を続ける有誠は――
隠れ執着攻め×不器用一生懸命受けの、学園青春ストーリー。
三ヶ月だけの恋人
perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。
殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。
しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。
罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。
それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる