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しおりを挟む元々、お試し期間なので、ただ、婚約をしないと決めるだけだ。双方の家が納得すれば、ただそれだけで終わる。もう、来週はオスカーと会わなくて良いのだと思うと、心が軽くなる。
「それでは、リリアとオスカー君の婚約はしないということで。」
お父様が宣言して話を締める。
「わかった。リリア嬢。申し訳ないことをしたね。許してほしい。」
「いえ……。もうオスカー様と会いたくないだけです。でも、ひとつだけ教えてもらえませんか。」
「話せることならば。」
「何故、オスカー様に、エリザベス様ことを、本当のことを話されなかったのですか?オスカー様が、私の前でだけ態度が違うなんて知らなかったけれど、もしも本当のことを知っていたら、私に嘘つきだと詰ることもなかったのではないでしょうか。ずっと、エリザベス様の元で勤めていたのに、嘘をつくなと言われ続けて辛かった。教えていただけても良いと思います。」
「話していたんだよ。」
「「「え?」」」
「話してあったんだ。」
「リチャード王子が陛下と共に王家を抜けることも、新しい王がこの国に来ることも、新しい王の伴侶として、エリザベス様が離宮に居ることも。マリアさんはリチャード王子を宥めるために仕方なく居てくれるので、精一杯、環境に配慮するようにと。話していなかったのは、サイラーが新体制の中枢に入ることが決まっているということだけだ。」
「え?では何故?」
「わからない。私にはオスカーがわからない。これから問うことになるが、もしも、重大な勘違いなどがあって、自分のしたことを反省したなら、何処かで生き直すことを許してやってくれるか?」
「それは、私に関わらないでくれるのであれば、何処かへ行く必要もありません。」
「そうか。その許容を有り難く受け取るよ。」
伯爵は立ち上がり、帰りの挨拶をしようとしていたが、今度はお父様が呼び止めた。
「それで次の話なんだが。」
何かもう話し合い終了の気配が漂っていたのに、お父様の空気読ままない感がすごい。
「慰謝料や謝罪は一切要らないと約束するので、代わりにサイラー君をくれないか。」
そう言ったお父様に、伯爵はすんなりと、
「サイラーが良ければ構わないよ。」
と返した。続けて、
「悪いが、今日はもう何も考えられない。婚約のスライドは構わないが、細かい話は、また今度にしてくれ。見送りは要らない。」
そう言って、帰って行った。
残されたのはお父様と私と次男様。
「えぇ—……。」
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