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何かと不穏です

第61話 絶交(筆者視点)

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シェイファーとセレナがシェルシェーレを監禁し始めてから2日、2人はシェイファーの私室でソファに横並びに座っていた。


「ねえ、リオネル?」

セレナはシェイファーの名を呼び、彼の頬を両手で包む。

「なんだいセレナ?」

シェイファーはセレナの肩を抱き、引き寄せる。

「あの女のこと、協力してくれてほんとにありがとう。」
「いやあ、礼を言うほどのことじゃないよ。両親をあの女に殺された君の気持ちを考えれば大したことじゃないさ。」
「リオネル……グスッ…ごめんなさい、安心したらっ…急に涙がっ…」
「ああセレナ、可哀想に…」

リオネルはセレナを抱き寄せ、泣いているセレナをなだめる。


…お気づきの人もいるだろうが、セレナのこれは嘘泣きである。リオネルに同情してもらうために涙を流しているに過ぎず、内心では今の状況を心から喜んでいる。

そして、シェルシェーレに両親を殺されたというのも真っ赤な嘘だ。両親が他界しているのは事実だが、全く別の理由だ。シェルシェーレは曲がりなりにも人を殺すような人物ではない。

「セレナ、それで余はこれからどうすればいい?あの女はいつ解放しよう?」
「……え?解放?」
「…?ああそうだ、十分反省したら解放するのだろう?」
「…そんなわけないでしょ?あの女はあのまま殺すのよ!」
「え?何故だ?人殺しは良くないぞ!」

リオネルはセレナから離れ、ガバッと立ち上がる。

「はあ?そんなこと言ったら監禁してる時点で十分良くないことよ!それにあの女は殺さないと意味が無いの!!」
「そんなこと聞いていないぞ!」
「言わなくても分かるでしょ!!」

事実、セレナはリオネルに対して"シェルシェーレを殺す"と明言はしていない。しかし、1度監禁したのを解放したところで全て元通りとなるわけが無いし、セレナも"シェルシェーレを黙らせる" "あの女を皆の記憶から消してやる" とは言っていたので、殺すつもりだと推測するのはそう難しくない。ただ、リオネルにそれを察することができる程の知性は無かった。

「よ、余は人殺しなどしたくない!!」

リオネルはセレナに比べれば、いくらか良心的な部分も持ち合わせていた。だが、やはり頭が悪いため、今回のこの状況を回避するに至らなかった。

「今更何言ってんのよ!あの女を野放しにしたらエリオットに私がしたことがバレるじゃない!!」

セレナは勢い余って元の設定を忘れ、口を滑らせた。

「……エリオット?エリオットとは誰だ?…まさか、余以外に男がいたのか!!」
「ち、違うわよそんなんじゃ…」
「ふざけるな!余は、貴様が余のことだけを愛していると言ったからここまでしてやったんだぞ!そうでなければ貴様のような下賎な女の言うことなど聞かなかった!!」

リオネルはアホなくせしてプライドだけはやたらと高い。アホなくせに。

「…そんなの、私だってあんたみたいなブサイク願い下げよ!」

とはいえセレナも大概なので、お互い様だろう。

「なんだと!…」

2人はこんな感じで延々と喧嘩を繰り広げ、やがてシェルシェーレの存在自体忘れてしまうのだった。
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