婚約破棄のおかげで魔法研究者になれます、ありがとう皇子様!

アミ100

文字の大きさ
105 / 122
考えることが増えました

第105話 親代わり(エリオット視点あり)

しおりを挟む
蓄音機…?音をたくわえるってどういうこと??

カチッ

デイジー夫人が蓄音機の電源を入れると、金属製のホーンからクラッシック音楽が流れ始めた。

「おお、こりゃ凄いですね」

エリオット様が反応する。

蓄音機…こんなもの初めて見た…!

「円筒状の…魔硬石まこうせき?に針を置いて…溝に沿って回してる?でもそれでなんで音楽が……もしかして硬化前の魔硬石に針を置いて回しながら、ホーンに向かって演奏すれば…!」

…ってあれ?今の全部声に出てた?

「…正解だ。よくわかったな。」

再びバッハシュタイン子爵の重い口が開く。

「これっ…この蓄音機はバッハシュタイン子爵様が作られたのですか!」
「いや、残念ながら私では無い。これはカナ・ベルナールという、王国の魔術学院の生徒が作ったものだ。」

王国の魔術学院の生徒…?魔術学院って言えば、教育に力を入れている王国の中でも最高峰の魔法学校で、あそこに通うのは確か15~18歳だったはず…

ということは私と同年代か、下手をすれば年下の子が蓄音機を作ったってことか…!

「魔術学院と言えば、今年度の新入生に、神託で水属性の魔力270を叩き出して、しかも推薦で入学したやつがいるって噂がありましたね。全く今年の魔術学院の生徒はどうなってんだか…」

考え込んでいる私の代わりに、エリオット様が反応する。

それにしても…

「カナ・ベルナールさんか…会ってみたいな…」

ーーーーーーーーーー

「それで、この機構の興味深いところが……」
「なるほど、ですがそれなら……」

エドモンさんに挨拶に来てから約1時間、エドモンさんとシェリーはすっかり意気投合し、ずっと各々の魔法学に関する興味・関心について語っていた。

「エドモンさ…バッハシュタイン子爵殿がここまで喋るなんて珍しいですね」

俺はエドモンさんの隣でニコニコとその様子を見守っていたデイジーさんに声をかける。

「ええ、彼って頭が良すぎて、話を理解すらしてもらえないことがほとんどで…だから、理解してくれる上に、それに対する考えを返してくれるのが嬉しいのよ。」
「なるほど。」
「それにしても、良い子そうじゃない、シェリーさん。色んな女性と遊んでるって聞いたときはどうなるかと思ったけど。」
「あはは…それは……すみません。」
「もう、本当よ!あなたが居たのは2年くらいとはいえ、私たちはあなたの親みたいなものなんだから…」
「デイジーさん…」

そう、ここバッハシュタイン邸は、奴隷から解放されてから全寮制の騎士学校に入るまでの2年間、俺が下働きとして働いていた場所だ。

下働きと言っても仕事は軽い掃除の手伝いくらいで、残りの時間は勉強を教えてくれたり、屋敷内を自由に遊ばせてくれたりした。そして、バッハシュタイン夫妻は俺が実の子供であるかのように接してくれた。

という訳で、今回ここに来ることをシェリーには仕事だと言ったが、あれは嘘だ。いや、一応時折捜査協力してくれているバッハシュタイン子爵への挨拶という名目ではあるが、普通は手紙を出すだけで、実際に赴くことはまず無い。

今回来た本当の理由は、デイジーさんにシェリーのことを手紙で伝えたところ、是非一度会ってみたいと催促されたからだ。

「それで、シェリーさんからお返事は貰ったの?」
「いや、それがまだで……反応は悪くないと思うんですが。」
「あらそうなのね、それじゃあ私に任せて!」
「え?」

デイジーさんは、そのまま張り切った様子で部屋を出ていってしまった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

処理中です...