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考えることが増えました

第108話 思惑(エリオット視点あり)

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スー…スー…

シェリーはベッドに、俺はソファに横たわって約1分後、シェリーの規則的な寝息が聞こえてくる。どうやらもう眠りについたらしい。

一方の俺はといえば…

「眠れるわけねえよな…」

嬉しいような苦しいようなこの状況に、俺は溜息をつく。

元はと言えば、有無を言わさずシェリーと同じ部屋に俺を押し込んだデイジーさんが悪い。まだ婚約者ではないと訂正したが、"あらそうなのね!でも最近はみんなそういうのに寛容だから大丈夫よ!"と押し切られてしまった。

……まあ、今まで散々遊んできた俺がどうこう言える立場には無いので、デイジーさんを責めるべきでは無いかもしれない。

それに、正直今回はチャンスだと思った。

違う環境に連れてくることで、普段俺のことをどう思ってるか分かりづらいシェリーの本心が確認できると思ったのだ。もっと言えば、実質的な義父母であるバッハシュタイン夫妻に挨拶させることで、言い方は悪いが囲い込もうとした節もある。

出会った頃の俺に対するシェリーの態度は、好意を寄せるでもなく、極端に嫌うでもなく、どちらかというと興味が無さそうな感じだった。

だが今は、前のような興味のなさそうな淡々とした雰囲気よりは、随分親しげに接してくれるようになったと思う。なにより、前よりも目が合うことが増えたし、抱きしめたときに軽くだが返してくれるようにもなった。

今のままでも俺は充分嬉しい。ただ正直なことを言うと、こういうシチュエーションでシェリーに触れられないのはとてももどかしい。いわば据え膳状態だ。

それに、なによりシェリーの気持ちを優先したい。もしかしたらわがままかもしれないが、一方的に俺の気持ちを押し付けたくないし、もっと言えばシェリーからも気持ちを返して貰えたら嬉しい。

「シェリー、お前は俺とどうなりたい…?」

俺はそう呟いてから、一応眠れるように努力しようと、まぶたを閉じた。

ーーーーーーーーーーー

チュンッチュンッ

「んー…」

翌朝。目を覚ました私は、目を擦りながらゆっくりと起き上がる。

「よう、起きたか。」

すると、もう起きて着替えも済ませたらしいエリオット様が、紅茶を飲みながら声をかけてきた。

「あれ、もう出るんでしたっけ?」
「いや、たまたま早く目が覚めちまってな。暇だから先に準備してたんだ。シェリーはゆっくりで大丈夫だぞ。」
「なら良かったです。」

私はひとまず伸びをしてから、ベッドから降りる。

「紅茶、飲むか?」
「はい…」

私はソファに座り、エリオット様に渡された紅茶を飲む。

「朝弱かったんだな、シェリー。てっきり起きて5秒くらいで本の1冊や2冊読み始めるもんかと思ってたよ。」
「私ってなんだと思われてるんですか……基本夜型なので、朝は弱いんです。」
「そうか」

ふとエリオット様の方を向くと、そこには何故か満足気に私を見つめるエリオット様の姿があった。
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